◆ 運、腕前、そして勝利 《天使への願い/Entreat the Angels》
 
 Luck, Skill, Victory  Entreating the Angels
 http://www.channelfireball.com/home/magic-tv-show-122-avacyn-restored-spoiler-vol-i/
 
 Luis Scott-Vargas   2012年4月19日
 
 
 
 今日は《マナ漏出/Mana Leak》日和じゃないみたいだ。確かに俺はあんまりリークが好きじゃない。《マナ漏出/Mana Leak》の入りデッキを使ってる動画を見てくれた人なら、何回も抜いてるところを見たことがあるだろう。実際、フィンケル(John Finkel)とイェルガー(Jelger Wiegersma)がハワイでトップ8に入賞したときの青白黒スピリットでは、メインに《マナ漏出/Mana Leak》が2枚しか入ってなかった。リーク嫌いなのは俺だけじゃなかったのさ。
 
 そしてどうやらWotCもリークが嫌いらしい。こんな逸品を見せられちゃあそうも思うよ:
 
 魂の洞窟/Cavern of Souls
 
 スペイン語、いやマジックスペ語が読めない人用のテキストはこちら(英語と同じで、スペイン語でもマジック用語が満載だ):
魂の洞窟が戦場に出るに際し、クリーチャー・タイプを1つ選ぶ。
 T:あなたのマナ・プールに(1)を加える。
 T:あなたのマナ・プールに、好きな色1色のマナを1点加える。このマナは選ばれたタイプのクリーチャー呪文を唱えるためにのみ使用でき、その呪文は打ち消されない。
 こいつは凄いカードだ。アンタップインする土地ってだけじゃなく、多色としても使える可能性があり、大切なクリーチャーたちに対して唱えられる打ち消しへの切り札だ。ランプ系のデッキが「巨人」指定で《業火のタイタン/Inferno Titan》や《原始のタイタン/Primeval Titan》を通せるのはアホらしい強さ。《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》デッキやコントロール相手を一枚で全く別物にしてしまった。《瞬間凍結/Flashfreeze》、《マナ漏出/Mana Leak》、《雲散霧消/Dissipate》を満載にして、ランプ系デッキを相手取ることはできなくなった。
 
 この土地が環境に及ぼす影響は結構歓迎で、というのも俺はずっと《マナ漏出/Mana Leak》を減らしても許される理由を探してたのでね。青黒コントロールは大打撃だろう。《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》にも衝撃走る。エスパーはといえばそれほど悪くなったわけでもない。もともとフルタップで動くデッキで、そんなエスパーが俺は好きだったから、《魂の洞窟/Cavern of Souls》による変化は苦手なデッキを弱くして、代わりに赤緑ランプデッキとの相性が少し悪くなったくらいだ。赤緑ステロイドがこいつを積んできても(実際積むだろうけど)、リークはもう抜いちゃってます(^q^)なんてね。
 
 というわけでまとめると《魂の洞窟/Cavern of Souls》のせいで青入りのコントロールや《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》デッキが弱くなって、ランプ系デッキ、赤緑ステロイド、それにゾンビ(ゾンビ以外のクリーチャーのために無色も出せるからね)あたりが強化されるといったところだろうか。こいつが入ることでクリーチャータイプをより統一する旨みが出たし、勝負のカギになる生物をきっちり着地させられるようになる。可能性は本当に凄い。
 
 コントロールが《魂の洞窟/Cavern of Souls》を使うのも、《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》デッキ相手に《大修道士、エリシュ・ノーン/Elesh Norn, Grand Cenobite》や《墓所のタイタン/Grave Titan》を押し通しに行ける。それって素敵やん。こいつがあるせいで、《マナ漏出/Mana Leak》を使うデッキは戦略を考え直さざるをえないだろう。青白黒スピリットなんかは既にリークを削ってるけど、普通の《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》は重いところを弾くために、リークに頼れなくなるわけだから問題だ。普通なら《魂の洞窟/Cavern of Souls》を使わないようなデッキ相手でも警戒しなければいけなくなってしまう。
 
 《魂の洞窟/Cavern of Souls》の影響は広範囲に及ぶだろうから、カードの評価が落ち着くまでにしばらくかかるだろう。環境には《マナ漏出/Mana Leak》に締め出されて日の目を見なかったカードがたくさんある。そのせいでまた《マナ漏出/Mana Leak》が帰り咲くかもしれない。そうやってメタが回っていくわけだね。
 
 《魂の洞窟/Cavern of Souls》はこのくらいでいいだろ。新カードで他に注目株は?
 
 スタンダードの次環境について全部が全部分かってるわけじゃないけど、経験を基にして推測をするだけの情報はある。まあ少なくとも考えることはできる。これまで公開されたカードを見ていって、「アヴァシンの帰還」のどいつから手をつけようかって考えるのは中々有益だし、少なくとも考えるのは面白いものだよ。当然俺はエスパー中心にカードを見るよ。エスパーが今一番使ってるデッキだし、これまで公開されたカードで一番強くなりそうだと論理的にも行きついたからね。
 
 そうなると注目なのは《天使への願い/Entreat the Angels》だ。
 
 マジックTVでTSG(Tristan Shaun Gregson)にトム・マーテル(Tom Martell)と3人で随分と話したけど、改めて俺はこいつが大好きだ。
 http://www.channelfireball.com/home/magic-tv-show-123-avacyn-restored-spoiler-vol-ii/
 タップアウトして何かをするとしたら、こいつよりも強いアクションは中々ない。打ち消しがあまり広く取られなくなるなら、こいつは次環境で大暴れするだろう。普通に唱えてもあまり嬉しくないけれど、それだって7マナで4/4天使が2体出てくるんだ。強くはないけど許せるレベルだろう。デッキ内にこいつを入れるのは、手札に来るリスクを補って余りある。だってこいつが奇跡コストで唱えられたら、まさに奇跡だから。4マナ以上で使えたらとにかく強いし、天使が4体以上も出たりすれば、クリーチャー主体のデッキがどう対処するばいいかわからないね。《戦争と平和の剣/Sword of War and Peace》が唯一天使を踏み潰して負けれるカードだけど、それも既にかなり押し込まれてる前提だからね。最悪3マナで唱えて天使を一体出すのでも十分だ。これほどトップから降ってきて危険なカードなら、一考してみる価値があるぜ。白入りのコントロールで、土地を置き続けてタップアウトするデッキこそ、こいつが入るデッキだ。ブロック構築だとめちゃめちゃ強いだろうね。こいつは強いカードになるよ。今まで公開された中でも最強の一枚だと思うね。
 
 今日見てみたカードを使ってこんなデッキリストあたりから始めてみようと思った。間違いなくフルスポイラーが出たらまた変わるけど、そこまで大きくは多分変わらないはず:
 2:島
 3:《平地/Plains》
 4:《沼/Swamp》
 4:《金属海の沿岸/Seachrome Coast》
 3:《進化する未開地/Evolving Wilds》
 3:《水没した地下墓地/Drowned Catacomb》
 3:《氷河の城砦/Glacial Fortress》
 4:《孤立した礼拝堂/Isolated Chapel》
 2:《悲劇的な過ち/Tragic Slip》
 1:《破滅の刃/Doom Blade》
 2:《喉首狙い/Go for the Throat》
 3:《マナ漏出/Mana Leak》
 3:《熟慮/Think Twice》
 2:《禁忌の錬金術/Forbidden Alchemy》
 2:《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》
 4:《未練ある魂/Lingering Souls》
 2:《イニストラードの君主、ソリン/Sorin, Lord of Innistrad》
 3:《審判の日/Day of Judgment》
 1:《殴打頭蓋/Batterskull》
 2:《月の賢者タミヨウ/Tamiyo, the Moon Sage》
 2:《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》
 2:《死の支配の呪い/Curse of Death’s Hold》
 3:《天使への願い/Entreat the Angels》

 
 こういうデッキ大好き。《魂の洞窟/Cavern of Souls》のおかげで環境がパーマネント中心に動いていくだろう。このエスパーコントロールは盤面に干渉する手段が山盛りにしてあるし、全力でフルタップして強いものを出せるし、素のパワーで環境のどんなデッキにも引けを取らないと思う。《原始のタイタン/Primeval Titan》は確かに強いけど、4体とか5体(あるいはもっと)天使を並べられるのは間違いなくタイタンより強いし、環境最強のカードを使えるのはご褒美だよね。おっと、どのカードのことを言ってるのかわからなければ、トム・マーテルに何で彼がプロポイント40越えなのか聞いてみてくれ。
 
 《月の賢者タミヨウ/Tamiyo, the Moon Sage》
 
 アヴァシンの帰還から入った素敵な仲間、《月の賢者タミヨウ/Tamiyo, the Moon Sage》も忘れちゃいけない。網気付いてる人も多いと思うけど、《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》との相性は最高だ。ギデオンはガッチリ守ってくれるし、タミヨウのマイナス能力を使うために敵を引きつけてもくれるし、あり余るカードを使う相方にも最適だ。場に出て即死したとしても《Time Walk》なんだから、4~6枚くらいカードを引けば必要なものが見つかるだろう。ギデオン以外には、《審判の日/Day of Judgment》に《未練ある魂/Lingering Souls》を使ってるけど、両方ともタミヨウとの相性が素晴らしい。《殴打頭蓋/Batterskull》あたりを切って、もっとタミヨウを積むことすら考えてるよ。
 
 サイドボードをどんな風にするかは考えてないんだ。メインも全スポイラーが公開されたら変わると思うしね。
 
 エスパーコンからデッキ構築を始めたけど、勿論それ以外も考えてるよ。前環境にあったデッキは大体何かを手に入れてる。新しいデッキが出てきそうなカードは少ないけどね。《僻地の灯台/Desolate Lighthouse》(またの名をルートハウス)なんかがその少ない一枚で、ドロー・ゴー戦略が生き残るとすればこいつを使うデッキだろう。デッキの核になりそうなカードは少ない感じだけど、フルスポイラーが出たら、そいつ中心にデッキを組みたくなるようなカードが出てくるだろう。《マナ漏出/Mana Leak》が大打撃を受けたとはいえ、環境の強豪はそれほど変わってない。《未練ある魂/Lingering Souls》は相変わらずの強さだし、《ドラグスコルの隊長/Drogskol Captain》は脅威。ビートダウンもまだまだ域をしてる。ランプ系デッキがビートダウンに対して強いことを考えると、タイタンも前にも増して使われるだろう。でも全体としては、使いたいと思ったものを何でも組めるようになると思う。
 
 《魂の洞窟/Cavern of Souls》は危険とはいえ、洞窟で環境が変わるのは歓迎だし、前環境も面白かった。どんなアーキタイプが好きな人でも、何種類もデッキがありそう。コンボが好きな人はちょっと残念かもしれないけどね。
 
 というわけで今日はおしまい。セット全体のレビューに向けて、力を温存してるところなのさ。レビューは来週から書き始める予定だよ!構築でいかに使えないか冗談を考えるのがタイヘン……なんてことはないけどね。でも全体をやるとなったら中々の作業量だからさ。
 
 
 
 LSV

コメント

ゆーき
2012年4月24日9:58

翻訳お疲れ様です!

面白くなってきましたね(^-^)
とりあえず魂の洞窟を使った結婚デッキを作ってみるかな!

カサイ
2012年4月24日11:52

翻訳ありがとうございます、いつも面白く読ませて頂いてます。

魂の洞窟は実際に使われなくても環境に与える影響はでかいと思いますね。

Taku
2012年4月24日18:53

> ゆずぽんさん

どうもどうも。
ボロスカラー好きなので嬉しいですね。
洞窟ちゃんと入手できるかなあ。

> カサイさん

本当に、デッキ構築意識しなければならないというのは大きいですよね。
わかってはいても、言語化してくれる人は決して多くないので参考になります。

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