答え合わせ:究極の価格
2012年9月18日 MtG コメント (7)◆ Ultimate Price = 究極の価格
ちょっと残念。
これじゃ直訳じゃないかね。なんで究極の価格でクリーチャーがぶっ壊れんの。
ひみつ日記にちょっぴり書きましたが、Ultimate Priceとは、借金など身から出た錆を、自分の命をもって支払うことになってしまうこと。
つまりここのpriceは、価格そのものもさることながら、「代償・代価」という意味を帯びています。レガシーのアイドル、《発展の代価/Price of Progress》にあるPriceですな。
Priceとしてはまあ、カネや労働など、様々なものを差し出せるわけですが、自分の差し出せる「究極の」モノが「命」ということで、命を差し出すことを婉曲的に表現したのがこのUltimate Priceです。
価格という日本語は、あくまでモノを買うときとかに使うのではないでしょうか。
あるいはアルティメット・プライス!出血サービスでのご奉仕価格という意味にとれなくもないけれど。
バーゲンじゃないんだから。
どちらかというと代償・代価という意味も込めて、(究極という方はせめて活かすと)「究極の支払い」くらいにした方が、カードとしての意味は通じるのではないかなあ。
ただ難しい面もあって、priceのマジック訳語テンプレートに「支払い」という語はなく、また辞書にも載っていない訳語ですので、テンプレートから外れた訳をするとなると相当な冒険です。チームの他の面子にかなりの説明をする情熱が必要でしょう。またどんなに説得しても、最終決断でチーフが却下する可能性もあります。
影響力も何もなく個人でやっているこのブログのようなところならともかく、基本的にチームであたる翻訳で足並みを乱すのはあまり好まれません。
また、職人芸的に120%面白さを引き出すよりも、90%の無難さを目指すきらいが、どうしても規模が大きくなるにつれて生じてきます。これはどんな組織でもそういうものでしょう。
それと全くの推測ですが、翻訳の際にイラスト、フレーバーテキスト、文章などが与えられていない、あるいはカード名、ルール文章、フレーバーを別のチームが担当している気がします。
推測になりますが、これについては翻訳チームに必ずしも非があるわけではありません。
翻訳者はいつも、クライアントから送りつけられる資料に埋もれながら、さらに自分で資料収集に励んでいるものです。一種職業病といってもいいでしょう。
そんな翻訳者が資料にアクセスできていないということは、相当なコミュニケーションの断絶が発生しているはずで、これはもう悲惨な状況としか言いようがない。
全て推測なので何の根拠もありませんが、日本語以外の言語でもこのようなおかしな訳語には事欠かない模様。
伝聞になりますが、《森滅ぼしの最長老/Woodfall Primus》というカードがあります。
もちろん森滅ぼしなんて単語があるわけはありませんが、中々よくできた訳語の例でしょう。
ドイツ語だとOberster Holzeinschläger。
最長老の部分はいいとして、残りの部分が森林伐採者、木こりか何か。続けて読むと老いたる伐採者……?迫力がないなあ。なんてことになりかねないそうな。
エンターテイメント性を重視するか、とにかく無難な訳を用意するか、マジックのこんな側面に目を向けてみるのも、語らうと楽しい一面でしょう。
ちょっと残念。
これじゃ直訳じゃないかね。なんで究極の価格でクリーチャーがぶっ壊れんの。
ひみつ日記にちょっぴり書きましたが、Ultimate Priceとは、借金など身から出た錆を、自分の命をもって支払うことになってしまうこと。
つまりここのpriceは、価格そのものもさることながら、「代償・代価」という意味を帯びています。レガシーのアイドル、《発展の代価/Price of Progress》にあるPriceですな。
Priceとしてはまあ、カネや労働など、様々なものを差し出せるわけですが、自分の差し出せる「究極の」モノが「命」ということで、命を差し出すことを婉曲的に表現したのがこのUltimate Priceです。
価格という日本語は、あくまでモノを買うときとかに使うのではないでしょうか。
あるいはアルティメット・プライス!出血サービスでのご奉仕価格という意味にとれなくもないけれど。
バーゲンじゃないんだから。
どちらかというと代償・代価という意味も込めて、(究極という方はせめて活かすと)「究極の支払い」くらいにした方が、カードとしての意味は通じるのではないかなあ。
ただ難しい面もあって、priceのマジック訳語テンプレートに「支払い」という語はなく、また辞書にも載っていない訳語ですので、テンプレートから外れた訳をするとなると相当な冒険です。チームの他の面子にかなりの説明をする情熱が必要でしょう。またどんなに説得しても、最終決断でチーフが却下する可能性もあります。
影響力も何もなく個人でやっているこのブログのようなところならともかく、基本的にチームであたる翻訳で足並みを乱すのはあまり好まれません。
また、職人芸的に120%面白さを引き出すよりも、90%の無難さを目指すきらいが、どうしても規模が大きくなるにつれて生じてきます。これはどんな組織でもそういうものでしょう。
それと全くの推測ですが、翻訳の際にイラスト、フレーバーテキスト、文章などが与えられていない、あるいはカード名、ルール文章、フレーバーを別のチームが担当している気がします。
推測になりますが、これについては翻訳チームに必ずしも非があるわけではありません。
翻訳者はいつも、クライアントから送りつけられる資料に埋もれながら、さらに自分で資料収集に励んでいるものです。一種職業病といってもいいでしょう。
そんな翻訳者が資料にアクセスできていないということは、相当なコミュニケーションの断絶が発生しているはずで、これはもう悲惨な状況としか言いようがない。
全て推測なので何の根拠もありませんが、日本語以外の言語でもこのようなおかしな訳語には事欠かない模様。
伝聞になりますが、《森滅ぼしの最長老/Woodfall Primus》というカードがあります。
もちろん森滅ぼしなんて単語があるわけはありませんが、中々よくできた訳語の例でしょう。
ドイツ語だとOberster Holzeinschläger。
最長老の部分はいいとして、残りの部分が森林伐採者、木こりか何か。続けて読むと老いたる伐採者……?迫力がないなあ。なんてことになりかねないそうな。
エンターテイメント性を重視するか、とにかく無難な訳を用意するか、マジックのこんな側面に目を向けてみるのも、語らうと楽しい一面でしょう。
コメント
ファミコンの「ソンソン」なんて、韓国人の知り合いいわく「ソソソソだと思っていた」っていうてたしw
知っていれば文字として認識するけど、画像とて認識していたら、こうなるわなーと思った。
あるあr……ねーよ!
活版印刷じゃないんだから。まあさすがに、データ入稿もされていると思いたいけれど。
魂の洞窟、指定ケンタクルスで!!
ちょっと前の最新スレの書き込みに
>オルゾフへの支払を渋ったら料金が現金払いから死に値上がりしたって感じだろうから、
>代価とかより価格の方がオルゾフらしい商売っ気が出ていてむしろベターなんじゃないだろうか。
ってのがあり、こちらの記事と合わせてカード名の翻訳一つでも色々感じ方が違うんだなと 面白く思いました
勝ってではありますがリンクさせていただきました、今後も翻訳楽しみにしています
そうですね。はっきりとは言及されていませんが、カネ関連の訳語を選択した方がオルゾフっぽいと思います。そこは共感しますね。
リンク歓迎です!
今後も翻訳していく予定ですので、よかったら見ていってください。
「究極の価格」のマズいところは「今までどおりの『代価』でほとんど問題ないのに、あえて『価格』にして結果として外した」というところにあると思うので、Takuさんが言っているのとは逆の現象だと思います。
おそらくは資料が乏しいのと、オルゾフについての前提知識があったのが裏目に出たのでしょう。
正直なところ、「名訳」がいくら生まれたところでプレイヤーの利するところは全くないので、色気を出して当たり訳を出そうとする(結果失敗して意味の通じない訳になる)のは一プレイヤーとしてはあまり好みません。そういう意味では理解の不足からくる誤訳(例:よりよい品物)とは別の問題です。
そうした平坦な訳は翻訳者の芸を楽しむ人にとってはつまらない訳でしょうから、このあたりはずっと論争の絶えないところでしょう。
ただ今回のケースはカード全体と照らし合わせれば明らかに違和感があるので、takuさんのおっしゃるようなチームの体制の弊害なのかもしれません。いたずらに責め立てるよりは、交代まもない翻訳チームの改善に期待したいところです。
あと「究極の支払い」は別の方向にマズいです。payを連想させるうえに、自発的に支払っているわけではなく(命を)取り立てているわけですし。
意訳するとしてもせいぜい「究極の対価」ぐらいではないでしょうか。
丁寧なコメントありがとうございます。
おそらく私がチームに入って訳していたとして、支払いという訳にはできなかったでしょう。
ただし、このpriceの意味に最も近いのは今でも「支払い」と確信しております。前提として「究極の」という部分を活かす場合、という但し書きがつきますが。
推測に過ぎない部分だけでも翻訳チームの仕事って大変なんだということがわかりました。
だが活用 てめーはダメだ