◆ ラヴニカへの回帰・レビュー イゼット(青赤)
 
 Return to Ravnica Set Review – Izzet
 
 Luis Scott-Vargas, 2012年9月30日
 
 http://www.channelfireball.com/articles/return-to-ravnica-set-review-izzet/
 
 
《ニヴィックスのギルド魔道士/Nivix Guildmage》
 構築2.0点
 こっちのギルド魔道士には《イゼットのギルド魔道士/Izzet Guildmage》と違って無限コンボがないが、かなりアドを稼いでくれるよ。《蒼穹の魔道士/Azure Mage》も使ったけど(しかもレビューでは他でもない1点をつけておきながらね!)、こいつもかなり似てるところがあるよね。3マナでルーターするのは素晴らしいし、たくさん軽い呪文を入れてあるとか《ゴブリンの電術師/Goblin Electromancer》を使ってるとかなら、呪文をコピーもできるだろうから強烈だ。
 
 リミテッド3.5点
 リミテッドでギルド魔道士が弱いなんてよほどのことがない限りないだろう。単なるルーターとしてみればただ強ではないが、青赤のデッキで2番目の能力でコピーする呪文がないなんて考えづらい。それに、相手にしてみればこちらのギルド魔道士がどれだけ強いか測りかねるから、強さに関係なく除去を使ってくれるだろう。
《竜英傑、ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, Dracogenius》
 構築3.5点
 愉快な話として、もともとの《火想者ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, the Firemind》のおかげでポール・チェオン(Paul Cheon)はプロツアーへこぎつけた。ポールが2006年に北カリフォルニア大会に出たとき(俺は既に権利があったので、その大会では3人のジャッジのうちの一人だったんだ)、デッキに青赤ニヴ=ミゼットコントロールを選択していたんだ。あのデッキは素敵だった。ニヴ=ミゼット、《潮の星、京河/Keiga, the Tide Star》、《連絡/Tidings》、《強迫的な研究/Compulsive Research》、《撹乱する群れ/Disrupting Shoal》他、素敵なカードを使っていた。勝負はニヴ=ミゼットを出して《明けの星、陽星/Yosei, the Morning Star》を撹乱する群れで消してからだ。その大会でポールは4位になってアメリカ選手権06への権利を手にし、その後すぐ優勝までしてしまった。
 
 なんでこの話をしたかというと、この第2のニヴ=ミゼットは前のよりずっと強力だからだ。4/4でなくて5/5というサイズがずっと強力なだけでなく、こいつは望むがままに使える《マスティコア/Masticore》であり《思考訓練/Train of Thought》だ。《撹乱する群れ/Disrupting Shoal》で守ることさえできないが、盤面に与える影響は計り知れない。こいつが場にいる状態でターンを迎えられたらまず負けないだろう。いや、俺だってターンが帰ってくれば勝ち一直線な重たいクリーチャーが嫌いなわけじゃないんだ。ただ《三巨頭の執政官/Archon of the Triumvirate》と比べてみてくれればどういうことか分かってくれると思う。執政官で3回殴っても、《殺害/Murder》されればそのままあっさり負けれるだろう。でもそれがニヴ=ミゼットだったら、3ターン生き残れるはずがない。カードを7枚も引かれたら巻き返しなんてまずできないよ。
 
 竜英傑御大、凄い強そう。こいつに寄せた構築をしたくなるカードリスト入りだね。
 
 リミテッド4.5点
 5点じゃない理由は6マナかかるのに除去で落ちるのと、色シンボルの要求が厳しいせい。それでもほぼ絶対に流せない部類のカードだろう。どちらか一方の色をやっていて2パック目までに見たなら、そこから色を変えることをお勧めするね。3パック目なら色は変えられないかもしれないけど、俺なら多分、そこから色を変えられないかやってみると思う。除去されなければ負けないなんて、英傑でなくてもわかることだよね。
《瞬間移動門/Teleportal》
 構築1.0点
 イカす名前だけどどうでもいい効果。《踏み荒らし/Overrun》より弱い上に、踏み荒らしなんていらない色の呪文だ(踏み荒らしにしたって構築でしょっちゅうお目にかかるわけじゃないしね)。
 
 リミテッド3.5点
 《影の舞い/Dance of Shadows》と《踏み荒らし/Overrun》の中間あたりだろうか。つまり、中々強いのとぶっ壊れの爆弾との中間くらい。緊急時に2マナで唱える選択肢があるのはもちろん意義がある。イゼットでこいつを活かせるだけの盤面をどれだけ構築できるかわからないけど、それができなくても、前のめりな赤黒ラクドスビートダウンでタッチするのにうってつけだ。こいつを撃って終わるゲームは多いだろうね。
《思考閃光/Thoughtflare》
 構築2.0点
 インスタントタイミングでカードを引けることはもうないと思ってたけど、いきなり5つも選択肢が閃くとはね。《スフィンクスの啓示/Sphinx’s Revelation》が依然至高にして最高だと思うけど、こいつもそこそこのマナでかなりの枚数を引ける上に、色シンボル的にずっと唱えやすい。こいつを使うデッキもあると思う。《スフィンクスの啓示/Sphinx’s Revelation》を使うデッキでこそあまり採用されないってだけでね。
 
 リミテッド4.0点
 ・・・おや!?《連絡/Tidings》のようすが・・・!
 おめでとう!連絡は思考閃光にしんかした!
 連絡を使ったら大体2回に1回は1,2枚カードを捨ててたもんだ。だから見劣りなんてほんの少しするだけだ。インスタントで使えるようになったのはそこまで大きくないが、色々なコンバット・トリックや打消しと組み合わせるといいだろう。取れるなら取っておくことをお勧めするよ。必要なら色もタッチしてね。
《膨れコイルの奇魔/Blistercoil Weird》
 構築1.0点
 どうも何かスキマを埋めるパーツが足りない気がする。無限とかね。それはおいといて、専用デッキを作るには打点が足りない。《窯の悪鬼/Kiln Fiend》先輩を押しのけるのは難しいぞ。
 
 リミテッド1.0点
 2ターンに1回くらい呪文を唱えていけたとしても弱い。2ターンに1回というのも、嘘みたいに上手くいったときの話だ。2ターン目とか3ターン目に呪文なんて唱えたくはないし、でもそれ以降2/2を出してもすぐに見劣りするようになってしまう。こいつが強いときもあるかもしれないけれど、そう多くはないだろう。
《凍結燃焼の奇魔/Frostburn Weird》
 構築1.0点
 奇魔連中は構築で使われそうにない。どれもキマって凄い名前がついてるのにね。
 
 リミテッド3.0点
 プレリリースで使って随分と感心した。1/4から4/1まで変幻自在で、そのどのサイズもが役に立った。多くのゲームで活躍したよ。これだけ軽くてこれだけの柔軟性を持っているなんてお買い得だね。
《ニヴメイガスの精霊/Nivmagus Elemental》
 構築2.0点
 専用デッキを作るならこういうのでないと。永続的に+2/+2されるのはターン終了時まで+1/+1の修正を受けるのとは随分違う。その呪文を食わせてやらなきゃならないにしてもね。でかくするのに大したものは要らないし、打ち消される呪文を食べさせるなら元手すらかかってないことになる。スタンダードではファイレクシア・マナと使うには遅すぎる登場なのが残念だったな。でも少なくとも、ファイレクシア・マナ呪文はもう見なくてすむよ!
 
 リミテッド2.0点
 そんなに呪文を食べさせなくても強い。毎回カード1枚はかかるが、それでもかなりの脅威だ。でもこいつがいるからって、どうでもいい呪文を詰め込みまくるのはあめておこう。それに除去満載の相手には躊躇なく抜くようにね。

 
 天才ですから
 
 もう気づいてるかもしれないけど、イゼット団で一番わくわくしてるカードは《竜英傑、ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, Dracogenius》御大だ。それ以外にもなんぼかいいのがあるけどね。《ゴブリンの電術師/Goblin Electromancer》は素敵に見えるし、《イゼットの魔除け/Izzet Charm》は壊れた強さ。それに《思考閃光/Thoughtflare》も中々使いでがありそうだ。ギルドのカードだけでこれだけのものがあるのは大したものだから、そういう意味でイゼットは最強クラスのギルドだと思う。
 
 10月1週目の今週はセレズニア特集に敬意を払って、明日は緑とセレズニアのカードをレビューするよ。緑だからって差別しないさ。
 
 
 
 LSV

コメント

こばたつ
こばたつ
2012年10月22日23:36

>・・・おや!?《連絡/Tidings》のようすが・・・!おめでとう!連絡は思考閃光にしんかした!

原文からこういう訳が出来るのはさすがTakuさん。
無理はなさらず・・・今後も楽しみにしてます。

Taku
2012年10月23日0:03

> こばたつさん

頭を捻った箇所でしたので、このようなコメントいただけて本当に嬉しいです!
大体こういうのは、原文をそのまま訳してもナンセンスな箇所か、言葉遊びの箇所なのですが、コメントで反応があると思わずガッツポーズをしたくなります。
正攻法でできない訳をソロでやっているからできる、ちょっとした遊び心ですね。

かっこかり
2012年10月23日8:54

こういう文の向こう側の人が見えるような翻訳記事(往年のデュエリスト・ジェパンのデュエリストの企画を翻訳した記事みたいな)は好きなので、楽しく読ませてもらっています。

自分も「…おや!? 《連絡/Tidings》のようすが…!」のくだりは一体どんな原文だったのかと思わず目を引かれました。
あとは、最近ですと《鐘楽のスフィンクス/Sphinx of the Chimes》の記事にあった「警鐘を鳴らす」という表現とか。日本語だと「鐘」がかかってますけど、英語だと「警鐘を鳴らす」に使うのは確かChimeではなくAlarmですよね?
こちらも原文がどんなだったのかとちょっと気になってました。(自分の英語力はゴミクズなのでChimeを使った表現がある、ってオチなだけかも知れませんがw)

ナベ氏
2012年10月23日9:08

ミゼット様は今の環境で人権なさすぎて泣いた

イゼチャは・・・器用貧乏すぎた

ティル@那珂ちゃん改二記念
2012年10月23日11:39

翻訳いつも楽しみにしています!リンクさせていただきました!

Taku
2012年10月23日14:52

> かっこかりさん

訳文にコメントが付くのはいつも本当に嬉しいです。

スフィンクスの記述はchime inという表現で、相槌を打つとか会話に口をはさむといった意味がありますが、普通に訳したのでは原文にある言葉遊び(Sphinx of the Chimesについてchime inするというダジャレ)が活かせません。
その先を見ると、LSV曰く使えるけどリスクがあるから要注意というレビューでしたので、意味を汲んで警鐘を鳴らすという表現を選択すれば、「鐘」をひっかけることができるな……というプロセスであの訳に決定しました。

> ナベ氏

そうなのか。フィニッシャーとしてありなのかと思ったけれど……スタンやりたいなあ。
イゼチャも2マナでマナ漏出の後釜として使うと厳しいだろうなあ。はまるシーンはありそうだけど、何とも。

> ティル@リトバスさん

どうもありがとうございます!こちらからもリンクさせていただきますね。

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