◆ 【翻訳】ニクスへの旅 リミテッドレビュー 白・青 (by LSV)
 
 Journey into Nyx Limited Review - White and Blue
 
 Luis Scott-Vargas, 2014年4月22日
 
 http://www.channelfireball.com/articles/journey-into-nyx-limited-review-white-and-blue/
 
 ニクスへの旅のセットレビューへようこそ!前回同様、今週はそれぞれのカードがリミテッドでどうなのか見ていくよ。その後来週構築の評価だ。こうすればプレリリース前にレビューができるし、今回のカードで構築がどのように影響されるか、考える時間もできるからね。
 
 ああそう、前回同様、点数付けはこんな具合だ

 5.0点 強すぎる神いわゆるゴッド。《群れネズミ/Pack Rat》、《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》、《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》
 
 4.5点 素晴らしい爆弾レアだが、対処不能というほどでもない。《世界を喰らう者、ポルクラノス/Polukranos, World Eater》、《超音速のドラゴン/Hypersonic Dragon》

 4.0点 優秀なレアや、それに比肩し得るアンコモン。《密集軍の指揮者/Phalanx Leader》、《ヴィトゥ=ガジーのギルド魔道士/Vitu-Ghazi Guildmage》、《混沌のインプ/Chaos Imps》

 3.5点 トップコモンや強力なアンコモン。《稲妻の一撃/Lightning Strike》、《雨雲のナイアード/Nimbus Naiad》、《屑肉の刻み獣/Dreg Mangler》

 3.0点 ほぼデッキに入る良カード。《葉冠のドライアド/Leafcrown Dryad》、《本質の散乱/Essence Scatter》

 2.5点 まず抜けることのないカード。《国境地帯のミノタウルス/Borderland Minotaur》、《死の歓楽者/Dead Reveler》

 2.0点 数合わせでデッキに入る。でもたまに抜けるカード。《蛮族の血気/Savage Surge》、《前兆語り/Omenspeaker》、《武器庫の護衛/Armory Guard》

 1.5点 頭数の水増し。入るかどうかは半々くらい。《鋤引きの雄牛/Yoked Ox》、《長屋壊し/Tenement Crasher》

 1.0点 数合わせとしても役不足。ほぼ入らない。《迷宮での迷子/Lost in a Labyrinth》、《無視/Pay No Heed》

 0.5点 ギリギリデッキに入るかどうかなカード。もしくはサイドボード用カード。《瓦礫の調査/Survey the Wreckage》、《天界の粛清/Celestial Purge》

 0.0点 役立たず。《市内捜査/Search the City》、《伏魔殿のピュクシス/Pyxis of Pandemonium》

 
 じゃあ早速取り掛かろう!
 
 
《神々の神盾/Aegis of the Gods》
 リミテッド2.0点
 単体で2マナ2/1だから、何とか紙、戦力外通告を免れてるようだ。プレイヤーを対象にとるもの自体がそう数を見ない上、《アスフォデルの灰色商人/Gray Merchant of Asphodel》すら止めることができない。エンチャントでもある《青銅の黒貂/Bronze Sable》が欲しいのでもない限り、流して差し支えの無いカードだろう。
《アジャニの存在/Ajani’s Presence》
 リミテッド3.0点
 コンバットトリックで奮励と書いてあればとにかく強い。《アジャニの存在/Ajani’s Presence》も例外じゃない。基本となる白の1マナでクリーチャーを守れるというところからして優秀だし、2対1以上の交換を取れる可能性があるのは嬉しい。耳にタコができるくらい言ってるけど、柔軟かつ強力なカードこそ是非使いたいというもの。こいつは柔軟性もカードパワーも素晴らしい。
《アクロスの猛犬/Akroan Mastiff》
 リミテッド2.5点
 普通、これくらいの性能なら2.5点より2点ってところなんだが、テーロスは授与や怪物化、たまに神もいたりして、とにかく巨大な怪物たちが跋扈してる環境だ。機能し始めるのが遅いタッパーは数を入れたくないが、一枚目はもう健闘間違いなしだ。
《ニクスの武装/Armament of Nyx》
 リミテッド2.5点
 《口輪/Muzzle》と《熟達した戦い/Battle Mastery》の分割カードとは何とも面白い。もっとも、口輪をかましてやりたい奴が偶然エンチャントだったりして、噛み合わないことはまあまああるだろう。カードとしては好きだけど、除去がこれしかなくて依存する、なんてのはやめた方がいいかもね。
《払拭の光/Banishing Light》
 リミテッド4.0点
 何でも忘却の彼方に放り込んでしまえるのは依然強力だ。もっとも、《忘却の輪/Oblivion Ring》3枚でやったみたいに、マジックオンラインをクラッシュさせられないのは残念だけどね。取れることがあれば何を差し置いても取るのをお勧めするけれど、ミラディンブロックのアーティファクトみたいに、普通の環境よりエンチャントを破壊する手段が多いのは覚えておきたい。攻撃宣言のとき、相手が土地をたくさん立てていたら気をつけよう。
 参考動画:LSV Breaks MTGO
 https://www.youtube.com/watch?v=AGXG5rNe_tI
《黎明運びの戦車兵/Dawnbringer Charioteers》
 リミテッド4.5点
 見た目よりずっと《悪斬の天使/Baneslayer Angel》に近い性能だよ。こいつが対象にとられ始めたら?レースができるといいね。たまたま相手が対象にとる手段を持っていなかったとしても、依然2/4飛行絆魂だ。軽視できる性能じゃないぜまったく。
《神討ち/Deicide》
 リミテッド2.5点
 構築で高評価なカードはリミテッドでも高評価なもんだが、これに限っては例外だ。神討ちは申し分のない性能だけど、他のエンチャント除去と大差ない。構築の強さに目がくらんで、実際より高い評価をしたりしないようにね。
《ヘリオッドの指図/Dictate of Heliod》
 リミテッド4.5点
 永続する《踏み荒らし/Overrun》がインスタントタイミングで出せるって?永続するか、瞬速で出せるかのどちらかだけでも素晴らしいカードなのに、その両方がついているとなると手が付けられない。指図させてもらうけど、どんな状況でもこれを流したらいかんよ。
《警備隊の鷲/Eagle of the Watch》
 リミテッド3.0点
 タフネス1のクリーチャーに警戒がついているってのは変な感じだけど、こいつを巨大なサイズに育て上げる方法が行く通りもあるとくれば、中々警戒も存在感がある。大きく育てられなくても、3マナでパワー2の飛行持ちだから、果敢に討死にする前に何回かは殴れることが多いだろう。。
《弁論の幻霊/Eidolon of Rhetoric》
 リミテッド2.0点
 《角海亀/Horned Turtle》に首ったけならこいつをどうぞ(俺は好きだよ)。弁が立つだけでなく、物理的にも人を守れる。能力はリミテッドだとフレイバーテキストみたいなもんだが、たまにプレイヤーを苦しめることがある。もっとも苦しむのは相手じゃなくて自分のこともあるわけだが。
《活力の泉/Font of Vigor》
 リミテッド0.5点
 全く使い道がないわけではないが、唱えることがあったら驚きだね。ライフを得るだけのカードを使うのには反対だと喝を入れておきたい。回復の効率も良くないしね。
《神送り/Godsend》
 リミテッド4.0点
 名前4.5点
 最高にイカす名前のせいで一点くらいおまけしてやりたい。今回のセットで一番わくわくするカードの一枚だ。性能もいいよ。どんなクリーチャーでもこいつをつければ強力な殴り手、あるいは守り手に変貌する。それにエンチャントじゃないのも嬉しいオマケだ。相手からすれば、こちらのクリーチャー全てを処理するか、さもなくば死ぬかの2択を迫られる上、5点以上のダメージを喰らわせた後でブロッカーに付け替えることすらできてしまう。《撤回のらせん/Retraction Helix》や《航海の終わり/Voyage’s End》でテンポを大きく失ってしまうことは気をつけたい。装備したりすると普段よりマナを使うからね。
《収穫守りのアルセイド/Harvestguard Alseids》
 リミテッド2.5点
 瞬速で出せるエンチャントが山ほどあるとかでもない限り、前のめりな能力と防御的なサイズが同居しているちぐはぐなカードということになる。能力もサイズも悪くないから使うけど、攻勢に回った白の攻め方は回避能力を使うから、この能力の必要性はちょっぴり薄れるかな。
《ラゴンナ団の先駆者/Lagonna-Band Trailblazer》
 リミテッド1.5点
 《クラーケンの幼子/Kraken Hatchling》を使った枚数なら誰にも負けない自信があるが、今回は幼子が荒ぶってた環境とは随分違うんだよな。軽くてパワーが2,3のクリーチャーは少なく、超弩級な奴らが多い。0/4の価値はがくっと下がってしまう。(少なくともタフネスは)凄まじいサイズに育つこともあるかもしれないが、それでも白にとってこの性能はコレジャナイ感が拭えない。
《船団の出航/Launch the Fleet》
 リミテッド3.5点
 勝ってる状況をオーバーキルに持ち込むような類のカードだが、効果は強力無比でゲーム展開の軸にできるカードだ。自軍全部を対象にとることができ、攻撃クリーチャーの数を倍にすることができる。英雄的デッキとしては嬉しいところだろう。クリーチャー1体を全力で強化する戦略には合わないが、散らせるデッキであればフィニッシャーとしてかなり強力な使い方ができる。《ヘリオッドの福音者/Evangel of Heliod》とのコンボも注目だ。出航が決まったら、福音者を取って航海に乗り出そう。
《レオニンの偶像破壊者/Leonin Iconoclast》
 リミテッド2.0点
 英雄的デッキはこういう防御的な効果に時間を割きたくないところだが、デッキに入れるようなことがあれば破滅というわけでもないからね。こいつが輝くマッチアップもあるだろう。授与されているときは、エンチャントされている方を先に何とかしないと倒せないというのが、何とも痒いところに手が届いてないけどね。
《定命の者の強情/Mortal Obstinacy》
 リミテッド3.0点
 かなりいいカードだと思う。軽くて英雄的を誘発させやすい上、1:1交換は取りやすい。それに+1/+1修正があれば、似たようなサイズのクリーチャーを難なく乗り越えていくのは難しくないからね。相手からしたら、サイズで上をいかれた対戦相手からすれば、チャンプブロックで凌いで次ターンに対処を持ち越すか、《浄化の印章/Seal of Cleansing》さながらエンチャントを割られるのに耐えるしかなくなってしまう。
《ニクス毛の雄羊/Nyx-Fleece Ram》
 リミテッド2.0点
 構築で使うのはとても楽しみなんだが、クリーチャーのパワーがすぐ6以上になるような環境柄、壊れ性能じゃあないね。早く手を出したくなるように見えるのは、羊頭狗肉じゃないかと思うよ。
《抑圧的な光線/Oppressive Rays》
 リミテッド1.5点
 唱えたターンはブロッカー排除になるだろうけれど、ゲームが長引くと効果が凄まじく劣化するし、カード1枚を対処するにしては抜け道が多すぎるというのが気に食わない。ヒドいカードではあるが、一応英雄的を誘発できなくもない。対象にとったあと、マナを支払って攻撃すればいいだけだからね。
《オレスコスの速爪/Oreskos Swiftclaw》
 リミテッド3.0点
 ニャーブレードキタ━(゚∀゚)━!
《密集軍の隊形/Phalanx Formation》
 リミテッド3.5点
 《踏み荒らし/Overrun》系列としては中々面白い。まず、これを撃っても小型クリーチャーが超強くなるわけじゃないから、下準備が欲しいところだ。一方で、白はバカデカい怪物を作ることができるから、どんな呪文であれば、こうやって複数体を対象にすることができるのはかなり有意義だ。こいつは中々強いんじゃないかと思っているけれど、しっかり使いこなせるようなデッキを組みたい。パワーが4以上のクリーチャーを安定して量産でもしないと、あまり使っても嬉しくないだろう。
《採石場の巨人/Quarry Colossus》
 リミテッド2.5点
 巨大で巨人な《ネクラタル/Nekrataal》みたいなもので、3点はつけてあげたいんだが、ベン・スターク(Ben Stark)が怒鳴り込んできそうなんだよなぁ。能力もサイズも素晴らしいが、7マナのカードは、抜けることもあるということを意識したい(神話レアとかは別だけどね)。
《復仇/Reprisal》
 リミテッド3.5点
 きたきた、これぞ的確な再録というやつだ。《復仇/Reprisal》はアライアンス時代に使ったけど強かったなあ。青白のジンデッキとか使ってたけど、《シヴ山のドラゴン/Shivan Dragon》を倒すのにちょうどよかったんだ。今回のリミテッドでも大活躍だろう。まずもって最も除去したい奴に撃つだろうから、撃ちたいけど撃てなくて当てが外れるということはまずないだろう。昔懐かしき再生できないって書いてあるのも結構意味がある。最近は再録でもないと滅多に見ない一文だけどね。
《盲いた喧嘩屋/Sightless Brawler》
 リミテッド2.5点
 これを抜くとしたら困った状況だろう。強力なカードを抜くことになるし、これが抜けるということは、クリーチャーの頭数が足りないからなんだろうが、白いデッキで生物が足りないという事態は歓迎しがたい。サイドに下げることがなくはないとおもうけど、そんなしょっちゅう抜くことはないと思う。こいつのデメリットは強烈だし、白のコントロール風味なデッキも存在はしている。でも全体としてみると、こいつは白の性格とかなり噛み合っている。ただ、こいつを使うときは前方確認をしてから使いたい。こいつをこちらの一番強いクリーチャーに授与しようとして、除去を合わせられてしまったら大打撃だ。せいぜいそれだと時間稼ぎにしかならないが、相手のクリーチャーにつけて攻撃しづらくもできることを覚えておこう。
《空封じ/Skybind》
 リミテッド1.0点
 名前を見ただけで、読まずに封印して次のカードへ行きたいと思ったんだが、俺もプロだから自分の好き嫌いくらいは我慢しないとね。気は長い方だからさ。このカードのテキストに書いてあることと同じくらい長い。とにかく、ブロッカーを排除するか、戦場に出た時の能力を再利用できるらしい。5マナの仕事としては空恐ろしいほど微妙だ。授与を剥がすこともできるが、わざわざこれを使う必要が感じられないんだよな。毎ターンエンチャントを唱えられたらプレッシャーをかけられると思うけれど、ちょっとばかり楽観的すぎやしないかな。
《石識の防衛者/Stonewise Fortifier》
 リミテッド3.0点
 2マナ2/2の熊にオマケがついている時点で好感度が高い。それに序盤に出しても後半に出しても仕事ができる。活躍できないターンもあるだろうけれど、是非とも採用したいクリーチャーだ。
《補給線の鶴/Supply-Line Cranes》
 リミテッド3.5点
 カウブレード以降、イラストみたいに武器を背負ってる鳥はお目にかかってないんだが、こいつはある意味、カウブレードを懐かしむための一枚じゃないかと思うんだけどどうだろうか。しかも偶然かどうかわからないけど、やたらと強いカードだ。5マナ3/5飛行という基本スペックで十分強いし、カウンターを他に乗せられる能力は色々使い出があることだろう。3/5飛行で選択肢がなかったとしてもとても強かったろうから、それに選択肢がついて悪いはずがないね。
《テツモスの大神官/Tethmos High Priest》
 リミテッド3.0点
 白のデッキなら、まず英雄的を誘発させる手段や釣る先には困らないだろうし、3マナ2/3は何もなくても使用に堪えうる。なんでレアじゃなくてアンコモンなのか不思議だけど、その分ドラフトでは目にすることが多いだろう。

 
 白のコモントップ3
 3.《アジャニの存在/Ajani’s Presence》
 2.《オレスコスの速爪/Oreskos Swiftclaw》
 1.《補給線の鶴/Supply-Line Cranes》
 
 補給線の鶴がぶっちぎりの一位(おっと、別に鳥が武器を持ってるからってわけじゃないぜ)。他の白のコモンは、まあ予想できたことだけどマナカーブを埋めていく感じかな。今回白には目玉となる英雄的クリーチャーが出なかった。ま、俺は別に残念と思ってないけどね。英雄的クリーチャーが最序盤に出てきて殴り掛かってくるゲームって、そんなに胸躍るものじゃなかったから、そういう速いゲームが減ってくれるなら言うことはないかな。オレスコスの速爪はあまりにマナレシオがいいものだから2位になった。カードとしては《アジャニの存在/Ajani’s Presence》が鶴に次いで強力だけれど、一般的にはコンバットトリックよりマナカーブの方が重要だからね。もっとも実際にドラフトしてみたら、2位と3位は入れ替わるかもしれない。



LSV






※《空槍の騎兵/Skyspear Cavalry》に関する記述がないのは、原文に存在しないためです。今までのパターン的に、2つ目か3つ目の記事で思い出したようにレビューされるはず。

コメント

ゼン
2014年4月23日22:14

参考にさせていただきます!
青も翻訳予定でしょうか?

Taku
2014年4月23日22:17

> ゼンさん

ありがとうございます。
そうですね、全色一つずつ訳していく予定です。平日は時間的制約があるので、少し時間がかかるかもしれませんが、最後まで手がけるつもりです。

たまに完走できなかったセットもありますが、ま、志は高く!

dds666
2014年4月23日23:38

>>一枚目はもう健闘間違いなしだ。
相変わらず言語センスが冴えてて素晴らしいですw

Taku
2014年4月24日9:36

> dds666さん

いやぁ、さりげなく埋め込んだつもりだったのに、気づいてもらえるとは僥倖の至り。
ddsさんのような、言葉を扱うプロの方に言語面でコメントを頂けると嬉しいですね!

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