◆ 【翻訳】基本セット2015 リミテッドレビュー 黒 (by LSV)
 
 Magic 2015 Limited Review – Black
 
 Luis Scott-Vargas, 2014年7月8日
 
 http://www.channelfireball.com/articles/magic-2015-limited-review-black/
 
 
《呪われたスピリット/Accursed Spirit》
 リミテッド3.0点
 パワー3の回避能力は優秀。威嚇と除去が合わさったらまさに呪いたくなる強さ。
《黒猫/Black Cat》
 リミテッド1.5点
 何かイカすコンボでもない限り、サイドボード安定だろう(とはいえタフネス1相手にはかなり有効なサイド要員だ)。これを倒すタイミングは相手が選んでくるだろうし、ドローと違って手札破壊は終盤かなり弱くなるからね。
《血の宿主/Blood Host》
 リミテッド3.5点
 クリーチャー美味しいです(^q^)。こいつはライフも稼いでくれるから、他のサクり台よりずっと強力だ。餌が十分あれば、ビートダウンの猛攻を生き延びる助けになるはず。パーティーの盛り上げ役だ。こちらの命をつないで、5/5以上のサイズになって攻撃できるのは素晴らしい。こいつを念頭に置いたデッキを組むに足るカードだね。
《屍食いカラス/Carrion Crow》
 リミテッド3.0点
 出したターンにブロックできないとはいえ、《風のドレイク/Wind Drake》だ。まず抜けないだろう。何枚もあれば、簡単に相手を屍にできることだろう。
《苛性タール/Caustic Tar》
 リミテッド3.5点
 これだけ重たいカードにしては、かなり前向きな評価といっていいだろう。でも記憶が正しければ、オデッセイブロックでは対抗手段がほとんどなかった気がする。ブロック不能かつ速攻持ちで、非常に除去しづらい上に、前のめりなデッキのマナカーブの一番上に、あるいはコントロールのフィニッシャーにぴったり。今の評価より上がるのも全然ありそうだし、除去されづらいことを鑑みて3.5点をあげようかと思ったくらいだ(重たさを考えてやめておいたんだよ。マナコストで評価を変えたのは史上初かも)。
《夜の子/Child of Night》
 リミテッド3.0点
 輝かしい活躍をすることは滅多にないが、安定した強さで決して弱くない。リミテッドはこういうカードが中心の戦いだ。サイズを上げるオーラでもあるようなら、活躍するのは滅多にないって評価は取り下げるよ。
《血の誓約/Covenant of Blood》
 リミテッド2.5点
 クッソ重たいとはいえ、柔軟な除去だし1ターンの戦闘に相当するくらいのライフは稼いでくれる。だからクリーチャーをタップしてコストを支払う埋め合わせになるってものだ。5マナの除去としても使いづらい部類だから、何枚も入れたいとは思わないけれど、召集にうまく寄せれているなら強いまであるだろう。
《ひどい荒廃/Crippling Blight》
 リミテッド2.0点
 予想以上に使えるカードだったのを覚えてるよ。序盤2/1を除去したり、後半ブロッカーを排除したりできるんだよな。たくさん欲しいカードではないが、ビートダウンでもコントロールでも1枚は持っておきたい(ビートダウンでは、終盤に使いたいけどね)。
《残酷なサディスト/Cruel Sadist》
 リミテッド4.0点
 終盤、ライフが減ってから引くと残酷なまでにカードパワーが落ちるものの、1マナとして出たらゲームを支配できる。サイズの上がる1/1としてでも脅威だし、縮むけれど除去にも使えるというのが相手にしてみればとてもやりづらい。
《終わりなき従順/Endless Obedience》
 リミテッド2.0点
 相手の墓地から釣れたとしても、《ゾンビ化/Zombify》大好きとはいかないな。こういう使う場面を選ぶカードは、終盤いかに強力かということを考えても、毎回使うというわけにはいかない。それに、召集デッキだといつも釣る先があるわけじゃないから、釣るカードを相手に依存するというのはバクチになってしまう。
《永遠の口渇/Eternal Thirst》
 リミテッド1.0点
 セットで一番過大評価されてるカードじゃないかと思う(もう1枚は《アーティファクトの魂込め/Ensoul Artifact》な)。うまくいったときに強いカードが好きな人は多いよね。そういう気持ちいいことがあったりするのが、このゲームが面白いと思うんだけど、いつでも最大のパフォーマンスを想定して点数をつけるのは厄介だ。+1/+1カウンターが載るというのはそれだけを頼って何とかなるものではないし、そもそもサイズのあるクリーチャーにつけないといけないから、及び腰になるね。他の強力なオーラ同様、サイドボードから投入するなら申し分ないと思うけど、大体の相手はこれをメインに入れたいと思わない程度に除去は持ってるんじゃないかな。
《堕ちたる者の饗宴/Feast on the Fallen》
 リミテッド1.5点
 君がッ 泣くまで! 殴るのをやめないッ!回避能力のあるデッキなら結構うまくいくかもしれない。でもこの手のカードには、期待を裏切られるってオチだ。機能させるために上手いこと運んでやる必要があるというのは《永遠の口渇/Eternal Thirst》と同じ。+1/+1カウンターが載ってもそこまでぶっ壊れではないしね。白黒か青黒の飛行デッキだったら使ってみたいな。
《爛れ暗がり/Festergloom》
 リミテッド3.0点
 《林間隠れの斥候/Gladecover Scout》殺すマン5.0点
 デッキが黒でないタフネス1のクリーチャーだらけでもない限り、暗がりに置いとくのは勿体ない。サイドアウトするのは躊躇せずにした方がいいと思うけど、メインにも入れられるくらい強力だ。特に今回、セットにトークンを生成するカードが多いからね。
《肉は塵に/Flesh to Dust》
 リミテッド3.0点
 《破滅の刃/Doom Blade》とはいかないが、まあ今では《破滅の刃/Doom Blade》もアンコモンだしな。5マナもかかるんじゃあこれ以上高い点数はつけられないが、どんなデッキでも2枚くらいは喜んで使うね(マナカーブの上の方という、特権階級的な位置をこいつにとられるにしてもだ)。
《グレイブディガー/Gravedigger》
 リミテッド3.5点
 《ボトルのノーム/Bottle Gnomes》を戻してたテンペストの頃から《グレイブディガー/Gravedigger》は大好き。リミテッドが様変わりしないしない限り、今後もお世話になりそうだ。最小限といってもいい労力で2:1交換が取れるし、しかもカードを引くのとかに比べて必ず実が手に入る。しかも戻すのは強い奴だろうからね。それに序盤で取れたら、2枚でぐるぐる回すって夢もぐっと現実に近くなる。
《ガラクの目覚め/In Garruk’s Wake》
 リミテッド1.5点
 声を大きくして好きだといいたいところなんだが、9マナは重いって事実に目覚めさせられてね。それに相手がプレインズウォーカーを出してるなんてどれだけあると思う?プレインズウォーカーも出されてないのに目覚めを使うのって勿体なくない?
《寛大な拷問者/Indulgent Tormentor》
 リミテッド4.0点
 タフネス3ってのが脆くてちょいと遺憾だ。でも、毎ターン5点か8点ライフを削れるのはデカい。寛大にも3つの選択肢から選べるってのが、強制されるのに比べて拷問にしては手緩いけども、どれも相手にとってみれば選びたくないものだから、悪くはないはずだ。
《血吸いスリヴァー/Leeching Sliver》
 リミテッド1.0点
 こんなの使ったら勝率が吸い取られるだけだよ。感謝の一万回ドラフトすればスリヴァーデッキが微粒子レベルで存在するかもしれないが、それにしたってこいつの能力に心動かされることはないだろう。
《リリアナ・ヴェス/Liliana Vess》
 リミテッド3.5点
 5マナもかかるし盤面にも影響しないが、守りきることさえできれば強力だ。相手のハンドを削って奥義をちらつかせられるし、他にも強力なカードがあるならサーチすることすらできるんだからね。
《精神腐敗/Mind Rot》
 リミテッド2.5点
 諸君、私はアドバンテージが好きだ(それも普通の人よりかなり)。そんな俺でも考えなく《精神腐敗/Mind Rot》は突っ込まない。殴られてる時には文字通り腐るカードだし、殴りにいってるときに役立つカードでもない。中速系のデッキでは中々の活躍をするカードだし、他の中速~コントロールデッキ相手に差してもいい。こういうカードは、自分のゲーム運びをよく考えて入れよう。
《屍噛み/Necrobite》
 リミテッド2.5点
 ことコンバットトリック合戦にかけては、《屍噛み/Necrobite》を持ってる方に軍配が上がる。他のコンバットトリックをやり込められるし、除去からクリーチャーを守ることもできる。それに1/1で8/8を打ち倒すことも可能だ。勿論、使うためには3マナも立ててなければならないわけで、コンバットトリックとしては重い部類だ。それに《屍噛み/Necrobite》は対戦相手にダメージを追加できない。小型クリーチャーがあまりいないとか、クリーチャー数が少ないなら、無闇に入れるカードではないね。
《屍気を飛ばすもの/Necrogen Scudder》
 リミテッド3.0点
 ライフを3点失うのは結構痛いけど、3/3飛行を2マナばかり軽く呼べるのは、コントロールにしてみればまあまあ嬉しいし、前のめりなデッキにとってはとても素晴らしい。どんなデッキにでも入るけれど、こいつを使うなら前のめりでライフ損失が気にならないデッキに仕上げたいかな。バウンスにとても弱いから、相手がバウンスを2枚くらい見せてきたらサイドアウトも考えるよ。
《屍術士の助手/Necromancer’s Assistant》
 リミテッド3.0点
 タフ1が特別に弱い環境だったら入らないこともあるかもしれないが、3マナパワー3は入れておきたい。能力の方も何らかのアドバンテージになることがあるだろう。ライブラリーを墓地に落とすのはほとんどデメリットになりえないし(ライブラリーアウトさえされなければ)、墓地を参照するカードもそこそこある。
《屍術士の備蓄品/Necromancer’s Stockpile》
 リミテッド2.0点
 ゾンビでないクリーチャーをサイクリングできるのは大したことじゃない。ルーター能力のキモは、土地を捨ててクリーチャーを備蓄しておくことであって、逆ではないんだ。コモンにゾンビが3体いるようだから、かき集めれば5~6枚くらいゾンビが集まることも期待できそう。《屍術士の備蓄品/Necromancer’s Stockpile》があれば、ゾンビが《シマクマ/Striped Bears》になるよやったね!シマクマといえばクリーチャーの頂点に立つドロー生物だから、安定してゾンビを捨てられれば中々のカードになるかもな。
《夜火の巨人/Nightfire Giant》
 リミテッド3.5点
 5マナ5/4で2マナ火力を飛ばすというのは凄い。しかもこっちにやることが無いときですら、対戦相手からするとこいつの能力をケアして戦わなきゃならないせいで、かなりプレイが歪められてしまう。多色カードについてお決まりの警告はこいつにもあてはまるものの、サイクルの他の面々と同じく、タッチで使う価値があるよ。
《解き放たれし者、オブ・ニクシリス/Ob Nixilis, Unshackled》
 リミテッド4.0点
 一番下についてる能力がなくても3.5点の実力はあるし、他のクリーチャーが死んだら+1/+1カウンターが載るというのは驚異的だ。ライブラリーを探すことはほとんどないにしても、悠々と地上クリーチャーを飛び越えてダメージを叩き込めるし、安易にチャンプブロックで凌がせることもしない。それに、ライブラリーを探すって文があまりに空気なもので、相手がうっかりやらかしたりするかもしれない。おっと、使う側はくれぐれも忘れないようにね。
《墓穴の模範/Paragon of Open Graves》
 リミテッド2.5点
 《黒猫/Black Cat》に接死がついたりしたら、相手は驚いて墓穴へ足を滑らせて落っこちるかもしれない。マナを立てておく価値がある模範だ。貧弱な黒のクリーチャーが突然やる気を出して、戦闘でも相討ちを取りにいく。結構いいんじゃない?
《腐敗喰いの蛆/Rotfeaster Maggot》
 リミテッド3.0点
 中村修平に言わせると、《スレイベンの純血種/Thraben Purebloods》は比肩し得るもののないリミテッドの頂点捕食者だから、それにライフを得る能力までついたとしたら手が付けられない怪物といっていい。そこまでいうのは冗談としても、5マナとしてはかなりのやり手だ。サイズも申し分ないし、墓地のカードを食べて
《影外套の吸血鬼/Shadowcloak Vampire》
 リミテッド3.0点
 コモンのパワー4の飛行クリーチャーとか、黒でそんなのが出るとは思わなかった。毎ターン飛行をつけたとしても、たったライフ2点で飛ぶことができるというのは特筆に値するし、守る側からするとかなりの脅威だから、ライフ2点分を取り戻すのは簡単だろう。聞かれる前に言っておくけど、パワーが1高いというのは本当に強いんだ。代償としてライフを数点払わなきゃならないにしてもね。
《血の署名/Sign in Blood》
 リミテッド3.0点
 相手に向けて撃つのがせいぜい10回に1回だとしても、選択肢があるというのはとても強い。それに序盤だと、ライフ2点はカード2枚分の価値が間違いなくある。
《イニストラードの魂/Soul of Innistrad》
 リミテッド4.0点
 実に素晴らしい、リミテッドの魂とでも呼びたいね。素敵だし、強力だし、かといって全く手も足も出ないわけじゃない(どうにもならないカードはテーロスの魂でどうぞ)。イニストラードの魂は、止めるのが困難な上に、対処されようがされるまいが、殉職したクリーチャーを回収してのける。実にいい。それに、クリーチャーが次々墓地から蘇ってくるなんて、まさに闇の隆盛って感じじゃないか。
《刺し傷/Stab Wound》
 リミテッド3.5点
 ラヴニカへの回帰の最強コモンが戻ってきた。しかもアンコモンに昇格してね。《刺し傷/Stab Wound》はぶっ壊れた強さだったし、つけられる側からしたら不快極まりないから、単に悲しいとは言えないな(フレイバー的には正しいカードになってるともいう)。《刺し傷/Stab Wound》はかなり早い上に取り除くのが難しいクロックで、それが気に食わないときには単なる除去として使ったっていい。理想的な使い方としては、無視できる何かに適当に刺して放置しておくことかな。2/3とかいい対象だね。
《精神染み/Stain the Mind》
 リミテッド0.0点
 相手のデッキに7枚《三つぞろいの霊魂/Triplicate Spirits》があったりでもしない限り、リミテッドでは存在感なし。
《チフス鼠/Typhoid Rats》
 リミテッド3.0点
 1マナ1/1接死で悪いはずがない。この環境でタフネス1が特に弱いことでもない限り、その法則は変わらないだろう。光りもので集めてみよう。
《潰瘍化/Ulcerate》
 リミテッド3.5点
 ライフを払うカードって強いことが多いけど、支払うライフは積み重なるわけで。個々で強いカードでも(実際強いが)、ドラフトではデッキを作るのであって、カードを集めるわけじゃないからね。これはライフを支払うお仲間の中でも強い方だが、こいつを使うということは他のライフを支払うカードが弱くなるということは覚えておこう。《潰瘍化/Ulcerate》とか《屍気を飛ばすもの/Necrogen Scudder》とか詰め込まれたデッキだと、貴重なリソースを奪い合うことになるからね。
《墓損ない/Unmake the Graves》
 リミテッド2.0点
 《立ち上がるアーボーグ/Urborg Uprising》とはいかないが、そもそもあれに匹敵するようなカードなんてあるだろうか。盤面に影響しないものに召集を使うのは好みでないのだけれど、クリーチャーが多めのデッキなら入れても間違いが起きるカードじゃない。アドバンテージはアドバンテージなんだから。
《肢体の壁/Wall of Limbs》
 リミテッド1.0点
 へんじがない、ただのしかばねのようだ
《無駄省き/Waste Not》
 リミテッド0.0点
 コミュニティがデザインしたってことだし、このカード自体が無駄とは言いたくないんだが、リミテッド向けに作られたカードではないよね。カード1枚を取り返すのにだって、手札破壊をたくさん入れておかないとならないし、その上で相手が土地以外を捨ててくれないとならない。入れ込む価値があるとは思えない。
《魔女の使い魔/Witch’s Familiar》
 リミテッド1.5点
 3マナ2/3だから、まあ如才ない奴じゃないかね。
《ザスリッドの隠し刃/Xathrid Slyblade》
 リミテッド3.0点
 対象にとられずブロックもしづらい2/1が3マナな上、オーラをつけてみてもいいというのは中々使い出がある。フレイバーもかなりいいと思うから、ベン・スターク(Ben Stark)に聞いてみよう。宛先はTwitterの @BenS8528 まで。
《ゾフの影/Zof Shade》
 リミテッド2.5点
 終盤のマナの使い道としてはまあまあ。凄い入れたいカードではないけど、地味に仕事するよ。

 
 黒のコモントップ5
 5.《血の署名/Sign in Blood》
 4.《夜の子/Child of Night》
 3.《屍食いカラス/Carrion Crow》
 2.《影外套の吸血鬼/Shadowcloak Vampire》
 1.《肉は塵に/Flesh to Dust》
 
 最初の2枚以降はかなり団子だ。どれも素晴らしいとは言い難いが強力だから、どれを優先するかは環境がどんなものになるかによるかな(2/1が強いのか、それともカードを2枚引くのが重要な環境かとかね)。それに、自分のデッキをどんなものに仕上げるか、他にどんなカードが取れてるかとかも考えたいところだ(特にマナカーブを考えるとね)。順位にしてはふんわりしてるけど、まあ点数とか順位表とかでできるのはその程度で、特に今回は強さが団子状になってるから、個々のカードの強さと弱点を説明して、どう取るのが一番いいか考えてもらうのが、まあ現実的なところかな。
 
 
 
 LSV

コメント

re-giant
2014年7月27日0:32

さすがに9マナは重すぎるかー。そりゃそうだ。
高評価は解説が興味深く、低評価は投げやりなネタコメントが面白いというお得なレビューの翻訳お疲れ様です。こういうのは自分のペースで好きなときに好きなだけ訳すものだと思います。

Taku
2014年7月27日10:08

> re-giantさん

実際、リミテッドでは8ですら結構唱えるの難しいですから……でもお守りとして結構自分は好きです。
毎度温かいコメントをかけていただいてありがたく思います。
そこまで大変な毎日を送っているわけでもありませんので!お楽しみいただけるよう頑張ります!

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