【翻訳】チャネル・ファイアーボール チーム・パンテオンの使ったアブザンミッドレンジ
2014年10月15日 翻訳 コメント (5)◆ 【翻訳】チャネル・ファイアーボール チーム・パンテオンの使ったアブザンミッドレンジ
#TeamCFBP Deck Tech – Abzan Midrange
William "Huey" Jensen, 2014年10月12日
http://www.channelfireball.com/articles/teamcfbp-deck-tech-abzan-midrange/
今回はのプロツアーでは、プロツアー『ニクスへの旅』で使ったようなアブザンミッドレンジを使う予定だ。今回は前と比べて、少しコントロール寄りの構成になっている。
ヒューイの質問
1枚挿しのカードが多い理由は?
パトリックの答え:
アブザンは60枚でなく、サイドボードまで含めた75枚が1つのデッキだ。メインデッキで大量に1枚挿ししてあるカードを、サイドボードにある追加の1枚で補っているんだね。胆汁病、悲哀まみれ、残忍な切断はどれも輝く瞬間がある。刺さるとき以外でも、1枚目は何らかの使い道があるものの、それ以降は微妙なカードを抱えることになってしまう。胆汁病はジェスカイテンポ、それに《ゴブリンの熟練扇動者/Goblin Rabblemaster》に頼るデッキならよく効くし、悲哀まみれは赤系英雄的デッキなどのアグロ相手に強いけれど、他にも緑のマナクリーチャーを潰したりするのにもいい。胆汁病と悲哀まみれは使い道が似ているから、メインでは枚数を抑えることにして、サイドボードで追加を取ることにした。胆汁病は効果範囲が全体でないし、悲哀まみれはデッキで一番混雑してる3マナにある上、《カマキリの乗り手/Mantis Rider》のようなクリーチャーを倒せないという欠点がある。それとこれは予想してなかったんだけど、両方がデッキに入っているとケアしてプレイするのが難しいという効果もあるね。
《残忍な切断/Murderous Cut》はファッティを対処する枠であると同時に、1ターンに2枚のカードを使うことをも可能にしてくれる。4~5ターン目まで待てるなら、切断は大体1マナで唱えられる。メインに1枚挿しておくと、ほぼいつでも除去が飛んでくるのを匂わせられてかなりいい。単体除去ではあるが、性能は折り紙つきだ。
翻って《完全なる終わり/Utter End》はどんな障害でも排除が可能だ。欠点としてはあまりマナ効率が良くないことだが、他に対処可能な手段がないときの保険のようなもので、普通の除去の2枚目3枚目のように考えれば悪くないだろう。もっとたくさん入れたいところだが、手札に完全なる終わりばかりあっても遅すぎて困るので、増量はちょっと難しい。2枚は入れていいと思うけれど、それ以上の枚数を入れるのはちょっと怖い。《信者の沈黙/Silence the Believers》は、《対立の終結/End Hostilities》が使えるようになった分、ブロック構築と比べると重要性は下がっただろうか。それにブロック構築と違って、クリーチャー以外にも色々と厄介な奴らがいるからね(特にプレインズウォーカー)。
サイドボード後は、相手に合わせたデッキに変貌できる。アブザンは環境内でも、サイドボード用カードに恵まれているという点ではトップクラスのデッキの一つだろう。あらゆる種類のパーマネントに対する軽くて使いやすい除去、全体除去、ドロー、プレインズウォーカー、それに多彩なクリーチャーやライフゲインとそろい踏みだ。
1挿しの《エレボスの鞭/Whip of Erebos》はちょっと場違いに思えるかもしれないが、用途が2つある。一つは《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》と《包囲サイ/Siege Rhino》に続く9枚目のライフゲイン手段が欲しかった。この点では、《真面目な訪問者、ソリン/Sorin, Solemn Visitor》とどちらを入れるか難しいんだけどね。今この瞬間も、どちらを登録するのが良いか100%確信できてはいない。2つ目の理由は、鞭(もしくはソリン)を足すことで、攻めに多角的な面を足すことができるということ。長期戦では特に、《女王スズメバチ/Hornet Queen》を釣るのがお気に入り。そこまで長期戦にならなくても、鞭を出して毎ターン8点くらいライフゲインをすれば、圧倒的に有利なゲーム展開ができる。ゲームが長引けば、対戦相手は倒しても倒しても繰り出されるサイの前に屈することだろう。鞭でなくソリンを使う場合、一番の売りはパワーが1上がることになりそう。絆魂との相性は抜群だ。飛行クリーチャーを出せるのもいいけれど、ライフゲインのが重要だ。
《消去/Erase》と《霊気のほころび/Unravel the AEther》が両方入っているのは、一晩考えた結果でね。消去の方が好きではあるんだが、《危険な櫃/Perilous Vault》がどのくらい使われるか分からなかったもので、75枚の中に対処できるカードが2種類くらいは欲しかった。2枚目の完全なる終わりも同じ用途で考えたものの、霊気のほころびの方がずっと軽い。《ジェスカイの隆盛/Jeskai Ascendancy》コンボや、赤系英雄的を相手にするとき、軽いことは超重要から(《大歓楽の幻霊/Eidolon of the Great Revel》、《パーフォロスの槌/Hammer of Purphoros》、《モーギスの軍用犬/Mogis’s Warhound》などなど)。
苦し紛れの1挿し《世界を目覚めさせる者、ニッサ/Nissa, Worldwaker》は、コントロールを相手取るとき用の悪あがきだ。コントロールにとって一番有効な攻め手で、本当はもっとたくさん採用したかった。しかし、コントロールが流行るという証拠もないのに増量するのは難しかったんだ。結果的に、対コントロール要員としては《骨読み/Read the Bones》を代わりに取ることにした。骨読みなら、《思考囲い/Thoughtseize》の取られている黒系のミッドレンジデッキを相手取るときも使えるし、対戦の組み合わせによってはコントロール風のデッキに組み替えるんだけど、その際も役立つ。
《風番いのロック/Wingmate Roc》は1枚挿しで使いかけて思いとどまった。アブザンカラーのデッキでは既に結構使われているけれど、メインに《羊毛鬣のライオン/Fleecemane Lion》を多く取っていないこともあって、今回のデッキには不向きと思ったんだ。ジェスカイテンポデッキに非常に強くて素晴らしいと思うけれど、その役割なら《高木の巨人/Arbor Colossus》のがいいかと思った。巨人の方が、赤緑怪物やプレインズウォーカーを相手にするときも強い。ジェスカイ相手でも、《思考囲い/Thoughtseize》で前方確認してやれば、巨人で十分実力を発揮できる
ヒューイの質問
他のアブザンではあまり見ない、《対立の終結/End Hostilities》が取られているのは何故?
パトリックの答え
緑単信心デッキが環境を席巻するなら、緑を倒すのに《対立の終結/End Hostilities》が一番有効だと思ったんだ。こちらと似たようなデッキを含めて、緑デッキにも強いのもいい。盤面を更地にしてから、カードを引いて《太陽の勇者、エルズペス/Elspeth, Sun’s Champion》や《女王スズメバチ/Hornet Queen》を出せば簡単マジックできるからね。対立の終結を使う場合、《森の女人像/Sylvan Caryatid》との兼ね合いが一番の問題だった。結果、我ながらイカれてると思うけれど、《森の女人像/Sylvan Caryatid》と《サテュロスの道探し/Satyr Wayfinder》を入れたり抜いたり、枚数を変えながらテストしてみたんだ。《森の女人像/Sylvan Caryatid》のが1ゲーム目は優れているんだけど、サイドボード後は《サテュロスの道探し/Satyr Wayfinder》のが優秀だった。女人像のがありがたい対戦にしても、道探しだってそこそこ強かった。道探しが強いと思う対戦でも、2枚くらいあればいいかなという結論になった。多分こういう考え方は間違ってて、どちらかが良いかはっきり決めるべきだと思う。取りあえず今は女人像を使ってるけど、明日はどうなるかは分からない。ちなみにこのインタビューはプロツアー前日夜のものだから、デッキリストは実際変わる可能性があるよ。
ヒューイの質問
デッキに《女王スズメバチ/Hornet Queen》が2枚取られているが、プロツアー・基本セット2015では少し使われたに留まっていたこのカード、プロツアー・タルキール覇王譚ではたくさん目にすると思うか?
パトリックの答え
間違いなく目にすると思う。しかもたくさん。《女王スズメバチ/Hornet Queen》は、環境を定義するカードの一枚と言っていいだろう。プロツアー・基本セット2015では《生命散らしのゾンビ/Lifebane Zombie》が張り切ってたから、この危険生物にとっては居心地が良い環境でなかった。女王スズメバチはエルズペスのマイナス能力に引っかからず、おまけに1回の攻撃でエルズペスを葬り去る。更に《嵐の息吹のドラゴン/Stormbreath Dragon》や《英雄の破滅/Hero’s Downfall》といった環境最強のカードの多くを一蹴してのけるんだ。既に緑単信心やリアニメイトでは柱となっているカードだけど、他にも怪物デッキやコントロール、アブザンなど実に様々なデッキで目にすることになると思う。スズメバチに対抗できるカードは多くないし、対スズメバチを考えて準備してくるプレイヤーは多くないと思う。意識されていたとしても、安定して対処するためにはデッキをかなり組み替えないとならない。
ヒューイの質問
アブザンでデッキをくむとき、前のめりにいくのかコントロール寄りで組むのか、舵を切るのが難しい。今回のデッキはコントロール寄りに見えるが、新スタンダードにおいて、アブザンビートダウンとアブザンコントロール、それぞれの強みと弱点を教えてほしい。
パトリックの答え
ビートダウン寄りのデッキを作る人が多い様子で、確かに他のプレイヤーの構成を見ていると一理ある。前のめりに組んだアブザンも試したけれど、緑単信心相手が絶望的でコントロール寄りになった。それにコントロール寄りに組んだことで、ミラーマッチも制しやすくなった。代償として一番大きかったのは、コントロール相手が微有利から微不利になったことだ。それと、カード単体で見ると前のめりなカードの方がコントロール用のカードよりやや強いという事情もあるので、相手を選ぶものの、全体的にはコントロール寄り構築の方が、幅広い相手に有利なゲームが展開できるだろう。アブザンをビートダウン路線で組むかコントロール路線で組むかは、環境初期大いに揺れるところだと思う。
ヒューイの質問
サイドボードのカード選択について、採用した理由を聞かせてほしい。
パトリックの答え
《骨読み/Read the Bones》は《思考囲い/Thoughtseize》を取っているデッキ用。アブザンやマルドゥミッドレンジか、スゥルタイや青黒コントロールか、相手は問わない。消耗戦を戦い抜くのに強いカード。除去を山盛りにした後、緑単信心に持ち込んでもいい。
《羊毛鬣のライオン/Fleecemane Lion》は、とにかくただただ強い。今この環境にたまたま合っていなかったとしても、間違いなく輝く瞬間がくる。もっとたくさん入れたいところなのだけれど、枠が無いので仕方がない。2枚しか追加できなくても、受け身なデッキを突き崩して、新たなゲームプランを立てるのに十分な性能。ブロック構築の時ほどではないにせよ、序盤のブロッカーとしても機能してくれる。
《高木の巨人/Arbor Colossus》は、ガッチリした肉が欲しいときに追加投入できる戦力だ。中でも特に、《嵐の息吹のドラゴン/Stormbreath Dragon》迎撃に重宝する(あと《カマキリの乗り手/Mantis Rider》や《龍語りのサルカン/Sarkhan, the Dragonspeaker》相手)。赤緑主軸の怪物デッキと戦うときに一番輝く。怪物デッキの人気は下火かもしれないけれど、アブザンミッドレンジにとっては強敵だ。緑単のデッキミラーを制するには《対立の終結/End Hostilities》に頼らなくてはいけないのに、赤緑はクリーチャーに加えてプレインズウォーカーもいるのが理由だ。
サイドボードの残りは基本的に除去で、上でも触れたけど相手に合わせてデッキを調整していくのが主な用途だ。例外は《世界を目覚めさせる者、ニッサ/Nissa, Worldwaker》で、こちらはコントロール用。相手のプレインズウォーカーと戦う際に、違った方向から攻撃を仕掛けることができる。
#TeamCFBP Deck Tech – Abzan Midrange
William "Huey" Jensen, 2014年10月12日
http://www.channelfireball.com/articles/teamcfbp-deck-tech-abzan-midrange/
今回はのプロツアーでは、プロツアー『ニクスへの旅』で使ったようなアブザンミッドレンジを使う予定だ。今回は前と比べて、少しコントロール寄りの構成になっている。
Patrick Chapinのアブザンミッドレンジ
土地
3:《砂草原の城塞/Sandsteppe Citadel》
4:《疾病の神殿/Temple of Malady》
4:《静寂の神殿/Temple of Silence》
3:《ラノワールの荒原/Llanowar Wastes》
1:《コイロスの洞窟/Caves of Koilos》
1:《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》
4:《吹きさらしの荒野/Windswept Heath》
3:《森/Forest》
2:《平地/Plains》
クリーチャー
4:《森の女人像/Sylvan Caryatid》
1:《羊毛鬣のライオン/Fleecemane Lion》
4:《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》
4:《包囲サイ/Siege Rhino》
2:《女王スズメバチ/Hornet Queen》
呪文
4:《思考囲い/Thoughtseize》
1:《胆汁病/Bile Blight》
4:《英雄の破滅/Hero’s Downfall》
3:《アブザンの魔除け/Abzan Charm》
1:《悲哀まみれ/Drown in Sorrow》
1:《完全なる終わり/Utter End》
1:《残忍な切断/Murderous Cut》
2:《対立の終結/End Hostilities》
3:《太陽の勇者、エルズペス/Elspeth, Sun’s Champion》
サイドボード
3:《骨読み/Read the Bones》
2:《胆汁病/Bile Blight》
2:《羊毛鬣のライオン/Fleecemane Lion》
2:《高木の巨人/Arbor Colossus》
1:《消去/Erase》
1:《対立の終結/End Hostilities》
1:《悲哀まみれ/Drown in Sorrow》
1:《完全なる終わり/Utter End》
1:《エレボスの鞭/Whip of Erebos》
1:《世界を目覚めさせる者、ニッサ/Nissa, Worldwaker》
ヒューイの質問
1枚挿しのカードが多い理由は?
パトリックの答え:
アブザンは60枚でなく、サイドボードまで含めた75枚が1つのデッキだ。メインデッキで大量に1枚挿ししてあるカードを、サイドボードにある追加の1枚で補っているんだね。胆汁病、悲哀まみれ、残忍な切断はどれも輝く瞬間がある。刺さるとき以外でも、1枚目は何らかの使い道があるものの、それ以降は微妙なカードを抱えることになってしまう。胆汁病はジェスカイテンポ、それに《ゴブリンの熟練扇動者/Goblin Rabblemaster》に頼るデッキならよく効くし、悲哀まみれは赤系英雄的デッキなどのアグロ相手に強いけれど、他にも緑のマナクリーチャーを潰したりするのにもいい。胆汁病と悲哀まみれは使い道が似ているから、メインでは枚数を抑えることにして、サイドボードで追加を取ることにした。胆汁病は効果範囲が全体でないし、悲哀まみれはデッキで一番混雑してる3マナにある上、《カマキリの乗り手/Mantis Rider》のようなクリーチャーを倒せないという欠点がある。それとこれは予想してなかったんだけど、両方がデッキに入っているとケアしてプレイするのが難しいという効果もあるね。
《残忍な切断/Murderous Cut》はファッティを対処する枠であると同時に、1ターンに2枚のカードを使うことをも可能にしてくれる。4~5ターン目まで待てるなら、切断は大体1マナで唱えられる。メインに1枚挿しておくと、ほぼいつでも除去が飛んでくるのを匂わせられてかなりいい。単体除去ではあるが、性能は折り紙つきだ。
翻って《完全なる終わり/Utter End》はどんな障害でも排除が可能だ。欠点としてはあまりマナ効率が良くないことだが、他に対処可能な手段がないときの保険のようなもので、普通の除去の2枚目3枚目のように考えれば悪くないだろう。もっとたくさん入れたいところだが、手札に完全なる終わりばかりあっても遅すぎて困るので、増量はちょっと難しい。2枚は入れていいと思うけれど、それ以上の枚数を入れるのはちょっと怖い。《信者の沈黙/Silence the Believers》は、《対立の終結/End Hostilities》が使えるようになった分、ブロック構築と比べると重要性は下がっただろうか。それにブロック構築と違って、クリーチャー以外にも色々と厄介な奴らがいるからね(特にプレインズウォーカー)。
サイドボード後は、相手に合わせたデッキに変貌できる。アブザンは環境内でも、サイドボード用カードに恵まれているという点ではトップクラスのデッキの一つだろう。あらゆる種類のパーマネントに対する軽くて使いやすい除去、全体除去、ドロー、プレインズウォーカー、それに多彩なクリーチャーやライフゲインとそろい踏みだ。
1挿しの《エレボスの鞭/Whip of Erebos》はちょっと場違いに思えるかもしれないが、用途が2つある。一つは《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》と《包囲サイ/Siege Rhino》に続く9枚目のライフゲイン手段が欲しかった。この点では、《真面目な訪問者、ソリン/Sorin, Solemn Visitor》とどちらを入れるか難しいんだけどね。今この瞬間も、どちらを登録するのが良いか100%確信できてはいない。2つ目の理由は、鞭(もしくはソリン)を足すことで、攻めに多角的な面を足すことができるということ。長期戦では特に、《女王スズメバチ/Hornet Queen》を釣るのがお気に入り。そこまで長期戦にならなくても、鞭を出して毎ターン8点くらいライフゲインをすれば、圧倒的に有利なゲーム展開ができる。ゲームが長引けば、対戦相手は倒しても倒しても繰り出されるサイの前に屈することだろう。鞭でなくソリンを使う場合、一番の売りはパワーが1上がることになりそう。絆魂との相性は抜群だ。飛行クリーチャーを出せるのもいいけれど、ライフゲインのが重要だ。
《消去/Erase》と《霊気のほころび/Unravel the AEther》が両方入っているのは、一晩考えた結果でね。消去の方が好きではあるんだが、《危険な櫃/Perilous Vault》がどのくらい使われるか分からなかったもので、75枚の中に対処できるカードが2種類くらいは欲しかった。2枚目の完全なる終わりも同じ用途で考えたものの、霊気のほころびの方がずっと軽い。《ジェスカイの隆盛/Jeskai Ascendancy》コンボや、赤系英雄的を相手にするとき、軽いことは超重要から(《大歓楽の幻霊/Eidolon of the Great Revel》、《パーフォロスの槌/Hammer of Purphoros》、《モーギスの軍用犬/Mogis’s Warhound》などなど)。
苦し紛れの1挿し《世界を目覚めさせる者、ニッサ/Nissa, Worldwaker》は、コントロールを相手取るとき用の悪あがきだ。コントロールにとって一番有効な攻め手で、本当はもっとたくさん採用したかった。しかし、コントロールが流行るという証拠もないのに増量するのは難しかったんだ。結果的に、対コントロール要員としては《骨読み/Read the Bones》を代わりに取ることにした。骨読みなら、《思考囲い/Thoughtseize》の取られている黒系のミッドレンジデッキを相手取るときも使えるし、対戦の組み合わせによってはコントロール風のデッキに組み替えるんだけど、その際も役立つ。
《風番いのロック/Wingmate Roc》は1枚挿しで使いかけて思いとどまった。アブザンカラーのデッキでは既に結構使われているけれど、メインに《羊毛鬣のライオン/Fleecemane Lion》を多く取っていないこともあって、今回のデッキには不向きと思ったんだ。ジェスカイテンポデッキに非常に強くて素晴らしいと思うけれど、その役割なら《高木の巨人/Arbor Colossus》のがいいかと思った。巨人の方が、赤緑怪物やプレインズウォーカーを相手にするときも強い。ジェスカイ相手でも、《思考囲い/Thoughtseize》で前方確認してやれば、巨人で十分実力を発揮できる
ヒューイの質問
他のアブザンではあまり見ない、《対立の終結/End Hostilities》が取られているのは何故?
パトリックの答え
緑単信心デッキが環境を席巻するなら、緑を倒すのに《対立の終結/End Hostilities》が一番有効だと思ったんだ。こちらと似たようなデッキを含めて、緑デッキにも強いのもいい。盤面を更地にしてから、カードを引いて《太陽の勇者、エルズペス/Elspeth, Sun’s Champion》や《女王スズメバチ/Hornet Queen》を出せば簡単マジックできるからね。対立の終結を使う場合、《森の女人像/Sylvan Caryatid》との兼ね合いが一番の問題だった。結果、我ながらイカれてると思うけれど、《森の女人像/Sylvan Caryatid》と《サテュロスの道探し/Satyr Wayfinder》を入れたり抜いたり、枚数を変えながらテストしてみたんだ。《森の女人像/Sylvan Caryatid》のが1ゲーム目は優れているんだけど、サイドボード後は《サテュロスの道探し/Satyr Wayfinder》のが優秀だった。女人像のがありがたい対戦にしても、道探しだってそこそこ強かった。道探しが強いと思う対戦でも、2枚くらいあればいいかなという結論になった。多分こういう考え方は間違ってて、どちらかが良いかはっきり決めるべきだと思う。取りあえず今は女人像を使ってるけど、明日はどうなるかは分からない。ちなみにこのインタビューはプロツアー前日夜のものだから、デッキリストは実際変わる可能性があるよ。
ヒューイの質問
デッキに《女王スズメバチ/Hornet Queen》が2枚取られているが、プロツアー・基本セット2015では少し使われたに留まっていたこのカード、プロツアー・タルキール覇王譚ではたくさん目にすると思うか?
パトリックの答え
間違いなく目にすると思う。しかもたくさん。《女王スズメバチ/Hornet Queen》は、環境を定義するカードの一枚と言っていいだろう。プロツアー・基本セット2015では《生命散らしのゾンビ/Lifebane Zombie》が張り切ってたから、この危険生物にとっては居心地が良い環境でなかった。女王スズメバチはエルズペスのマイナス能力に引っかからず、おまけに1回の攻撃でエルズペスを葬り去る。更に《嵐の息吹のドラゴン/Stormbreath Dragon》や《英雄の破滅/Hero’s Downfall》といった環境最強のカードの多くを一蹴してのけるんだ。既に緑単信心やリアニメイトでは柱となっているカードだけど、他にも怪物デッキやコントロール、アブザンなど実に様々なデッキで目にすることになると思う。スズメバチに対抗できるカードは多くないし、対スズメバチを考えて準備してくるプレイヤーは多くないと思う。意識されていたとしても、安定して対処するためにはデッキをかなり組み替えないとならない。
ヒューイの質問
アブザンでデッキをくむとき、前のめりにいくのかコントロール寄りで組むのか、舵を切るのが難しい。今回のデッキはコントロール寄りに見えるが、新スタンダードにおいて、アブザンビートダウンとアブザンコントロール、それぞれの強みと弱点を教えてほしい。
パトリックの答え
ビートダウン寄りのデッキを作る人が多い様子で、確かに他のプレイヤーの構成を見ていると一理ある。前のめりに組んだアブザンも試したけれど、緑単信心相手が絶望的でコントロール寄りになった。それにコントロール寄りに組んだことで、ミラーマッチも制しやすくなった。代償として一番大きかったのは、コントロール相手が微有利から微不利になったことだ。それと、カード単体で見ると前のめりなカードの方がコントロール用のカードよりやや強いという事情もあるので、相手を選ぶものの、全体的にはコントロール寄り構築の方が、幅広い相手に有利なゲームが展開できるだろう。アブザンをビートダウン路線で組むかコントロール路線で組むかは、環境初期大いに揺れるところだと思う。
ヒューイの質問
サイドボードのカード選択について、採用した理由を聞かせてほしい。
パトリックの答え
《骨読み/Read the Bones》は《思考囲い/Thoughtseize》を取っているデッキ用。アブザンやマルドゥミッドレンジか、スゥルタイや青黒コントロールか、相手は問わない。消耗戦を戦い抜くのに強いカード。除去を山盛りにした後、緑単信心に持ち込んでもいい。
《羊毛鬣のライオン/Fleecemane Lion》は、とにかくただただ強い。今この環境にたまたま合っていなかったとしても、間違いなく輝く瞬間がくる。もっとたくさん入れたいところなのだけれど、枠が無いので仕方がない。2枚しか追加できなくても、受け身なデッキを突き崩して、新たなゲームプランを立てるのに十分な性能。ブロック構築の時ほどではないにせよ、序盤のブロッカーとしても機能してくれる。
《高木の巨人/Arbor Colossus》は、ガッチリした肉が欲しいときに追加投入できる戦力だ。中でも特に、《嵐の息吹のドラゴン/Stormbreath Dragon》迎撃に重宝する(あと《カマキリの乗り手/Mantis Rider》や《龍語りのサルカン/Sarkhan, the Dragonspeaker》相手)。赤緑主軸の怪物デッキと戦うときに一番輝く。怪物デッキの人気は下火かもしれないけれど、アブザンミッドレンジにとっては強敵だ。緑単のデッキミラーを制するには《対立の終結/End Hostilities》に頼らなくてはいけないのに、赤緑はクリーチャーに加えてプレインズウォーカーもいるのが理由だ。
サイドボードの残りは基本的に除去で、上でも触れたけど相手に合わせてデッキを調整していくのが主な用途だ。例外は《世界を目覚めさせる者、ニッサ/Nissa, Worldwaker》で、こちらはコントロール用。相手のプレインズウォーカーと戦う際に、違った方向から攻撃を仕掛けることができる。
コメント
一つ、元のデッキリストではクリーチャーの欄にあるのでわかりにくいですが《太陽の勇者、エルズペス/Elspeth, Sun’s Champion(THS)》が3枚抜けているようです。
ご指摘ありがとうございます。修正しました。
> QB系貝類.シェルダーさん
いつもどうもです!
ありがとうございます!