◆ 【翻訳】フランクに考えよう タルキール覇王譚リミテッドの知って嬉しい相互作用
Frank Analysis - Sweet Interactions in Khans of Tarkir Limited
By Frank Karsten 2014年12月2日
http://www.channelfireball.com/articles/frank-analysis-sweet-interactions-in-khans-of-tarkir-limited/
先週末、私はグランプリストラスブール14のカバレージ・ブースから、タマーシュ・ナジ(Tamás Nagy)がドラフトでスゥルタイを組んでトロフィーをさらっていくのを見ていた。タルキール覇王譚のリミテッドで成功するには、理解しておかなければならないことが2つある。1つはカードパワーとマナ安定のバランスを取って、強く安定したデッキを作ること。もう1つは変異環境ならではの、心理戦やブラフといかにして向き合うかだ。それに加えて、ちょっとしたコンボ、強烈なシナジー、普通だと考え付かないようなカードの使い方などを知っておくことも、勝利に貢献するときがある。
例えばストラスブールでは、相手ターンの戦闘中に《ラッパの一吹き/Trumpet Blast》を使っている光景を見た。相手のクリーチャーが強化されてしまうので普通ならしないプレイだが、その場合には意味があった。ラッパの一吹きを使ったプレイヤーの《ジェスカイの長老/Jeskai Elder》の果敢が誘発して、攻撃クリーチャーを討ち取ったのだ。他にも《矢の嵐/Arrow Storm》を自分の《スゥルタイの剥ぎ取り/Sultai Flayer》に撃ったプレイヤーもいた。ダメージレースに必死だったみたいでね。相手のクリーチャーに《強大化/Become Immense》して、《大物潰し/Smite the Monstrous》、《停止の場/Suspension Field》、《跳ね返す掌/Deflecting Palm》なんてのはいかが?
この手の普通じゃない、傾奇者プレイは大好きだ。しかし最も強力なのは、本来意図された使い方をすること。今日の記事では、各色の組み合わせと氏族について、それぞれ相乗効果を見ていきたいと思う。当たり前なものもあれば、気づきにくいものもあるけれど、どれもがゲームを決めるくらい強いものだよ。
白黒
白黒戦士が、タルキール覇王譚のリミテッドにおいて最もシナジーに溢れたアーキタイプであることは恐らく間違いない。なので今回の記事の一番手をつとめるのも自然な成り行きといえるだろう。環境には戦士クリーチャーがたくさんいる上(しかも《マルドゥの軍族長/Mardu Hordechief》や《武器を手に/Take Up Arms》といった、複数の戦士を出すカードすらある)、強化手段も豊富だ。強化手段としては《略奪者の戦利品/Raiders’ Spoils》が最良だが、《刃の隊長/Chief of the Edge》も相当なやり手だ。それに《戦場での猛進/Rush of Battle》があれば、ダメージレースを完全にひっくり返すことができる。
シールドだと、ドラフトに比べてこれらのシナジーを追及するのは困難なので、《略奪者の戦利品/Raiders’ Spoils》もサイドボードに置いておくことが多くなるだろう。でもドラフトの白黒戦士で使う戦利品の価値は計り知れないよ。
ティムール
ティムールは格闘がお好き。《ティムールの魔除け/Temur Charm》、《凶暴な殴打/Savage Punch》に加えて、手が足りなければ《素早い蹴り/Swift Kick》も採用できる(手が足りないだけに蹴りだ)。自分のクリーチャーと相手のクリーチャーを格闘させるのが普通の使い方だけど、個人的には相手のクリーチャー同士で潰し合わせるのが好み。
仮に相手が《アブザンの先達/Abzan Guide》と《雪角の乗り手/Snowhorn Rider》で殴ってきているとしよう(凄い色だが、十分あり得る話だ)。そこで先達を《反逆の行動/Act of Treason》で奪って、まず殴る。その後に魔除けで雪角の乗り手と格闘させてみよう。するとどうだ。なんと相手のクリーチャーを2体除去した上に、9点ものライフを得られたことになる。
《反逆の行動/Act of Treason》は《うねる塔甲羅/Meandering Towershell》との相性も目を見張るものがある。塔甲羅のテキストは「あなたのコントロール下で」だから、何とオーナーでなく奪ったこちら側へ永続的に帰ってくるんだ。
赤黒
この記事内で初めて紹介する、友好色の組み合わせだね。タルキール覇王譚のリミテッドでは、できることなら避けたい組み合わせだ。友好色だと氏族の選択肢が一つに限られてしまうし、対抗色の組み合わせなら使える、強力な多色カードを使用することが不可能になってしまう。
赤黒の組み合わせで思いつくコンボは、接死と先制攻撃の組み合わせだ。《龍の握撃/Dragon Grip》は、《無情な切り裂き魔/Ruthless Ripper》をメイン採用するとしても微妙だからできれば使いたくないカードだが、飛んでないデカブツだらけでコンバットトリック多め、かつ除去やバウンス少な目のデッキに当たったら、結構真剣に握撃の採用を検討するよ。《無情な切り裂き魔/Ruthless Ripper》についたら、《長毛ロクソドン/Woolly Loxodon》すらもじもじさせるという、素晴らしい仕事をしてくれる。リミテッドでは、いつもサイドボードを見るのを忘れずに!
青赤
こんな場合を考えてみてほしい。相手のライフが12点で、こちらには《真珠湖の古きもの/Pearl Lake Ancient》がいるが、相手の2体ならんでいる4/4で止められているんだ。こちらはもうライフが3点、相手は《隠道の神秘家/Mystic of the Hidden Way》で攻撃し続けている。最終ターン、こちらの場にあるのは古きもの、9枚の土地、手札は土地が1枚。楽観視できる状況ではないね。
そこで《道極め/Master the Way》をトップデック。まず5マナ浮かせて(ティムールの魔除けケアでもっとマナを出しておいてもいいかも)、それから古きものの能力を3回起動するんだ。するとなんと、手札は土地10枚、古きもの、道極めの12枚。道極めで12点ダメージ。奇跡を見せてやろうじゃないか!
アブザン
《砂塵破/Duneblast》は環境最強のカードの一枚。唱えることができればほぼすべてのゲームに勝てるだろう。だから全除去絡みのコンボは大体何でもオーバーキル感が漂う。そうはいっても、華麗にオーバーキルをキメたり、接戦の場合に備えて、より効率良く運用する方法を考えておくのは悪くない。
砂塵破を最大限に活用するというなら、《血蠅の大群/Swarm of Bloodflies》を出してから使ってみるなんてどうだろうか。砂塵をくぐった後には10/10飛行が待ち受けているという寸法さ。他には《不気味な腸卜師/Grim Haruspex》を砂塵に放り込んで超ドローしてみるとか、うねる塔甲羅で更地になった盤面を駆け抜けるとか、《族樹の管理人/Kin-Tree Warden》で再生してみるとか、破壊不能の《兜砕きのズルゴ/Zurgo Helmsmasher》を合わせてみるとか。
更にシナジーを追い求めるなら、血蠅の大群を《古き者どもの報復/Retribution of the Ancients》と合わせてみよう。さながら《ゴブリンの名手/Goblin Sharpshooter》のごときマシンガンに早変わりだ。2枚目の血蠅か、《硬化した鱗/Hardened Scales》も合わせれば、酷いことが起きるだろう。報復も鱗も普通は使用に堪えるカードではないけれど、ガッチリはまるデッキを作れることもあるはずだ。
青白
《ジェスカイの長老/Jeskai Elder》は、デッキによって微妙なこともあれば超強力なこともある。デッキに呪文が4枚程度だと、強くない変異との相討ちもおちおちできないので、《湿地帯の水鹿/Wetland Sambar》以下に成り下がる。しかしながら、呪文が8枚以上あるようなら、長老は凶悪な2マナクリーチャーへと変貌する。
ストラスブールでクリスチャン・サイボルト(Christian Seibold)が、ジェスカイの長老2体、他の果敢持ちのクリーチャー、それに軽い呪文を詰め込みまくった美しいデッキを作ったことがあった。対戦相手は長老を上手に止めることができず、毎ターンルーター能力で手札の質が上がっていくのを眺めていることしかできなかった。5ターンキルまで決めてたのには舌を巻いた。
長老と相性抜群なのは《抵抗の妙技/Feat of Resistance》だ。ダブルブロックされても守ることができるし、+1/+1カウンターが載れば、続くターンにも平然と殴りに行くことができる。
Frank Analysis - Sweet Interactions in Khans of Tarkir Limited
By Frank Karsten 2014年12月2日
http://www.channelfireball.com/articles/frank-analysis-sweet-interactions-in-khans-of-tarkir-limited/
先週末、私はグランプリストラスブール14のカバレージ・ブースから、タマーシュ・ナジ(Tamás Nagy)がドラフトでスゥルタイを組んでトロフィーをさらっていくのを見ていた。タルキール覇王譚のリミテッドで成功するには、理解しておかなければならないことが2つある。1つはカードパワーとマナ安定のバランスを取って、強く安定したデッキを作ること。もう1つは変異環境ならではの、心理戦やブラフといかにして向き合うかだ。それに加えて、ちょっとしたコンボ、強烈なシナジー、普通だと考え付かないようなカードの使い方などを知っておくことも、勝利に貢献するときがある。
例えばストラスブールでは、相手ターンの戦闘中に《ラッパの一吹き/Trumpet Blast》を使っている光景を見た。相手のクリーチャーが強化されてしまうので普通ならしないプレイだが、その場合には意味があった。ラッパの一吹きを使ったプレイヤーの《ジェスカイの長老/Jeskai Elder》の果敢が誘発して、攻撃クリーチャーを討ち取ったのだ。他にも《矢の嵐/Arrow Storm》を自分の《スゥルタイの剥ぎ取り/Sultai Flayer》に撃ったプレイヤーもいた。ダメージレースに必死だったみたいでね。相手のクリーチャーに《強大化/Become Immense》して、《大物潰し/Smite the Monstrous》、《停止の場/Suspension Field》、《跳ね返す掌/Deflecting Palm》なんてのはいかが?
この手の普通じゃない、傾奇者プレイは大好きだ。しかし最も強力なのは、本来意図された使い方をすること。今日の記事では、各色の組み合わせと氏族について、それぞれ相乗効果を見ていきたいと思う。当たり前なものもあれば、気づきにくいものもあるけれど、どれもがゲームを決めるくらい強いものだよ。
白黒
白黒戦士が、タルキール覇王譚のリミテッドにおいて最もシナジーに溢れたアーキタイプであることは恐らく間違いない。なので今回の記事の一番手をつとめるのも自然な成り行きといえるだろう。環境には戦士クリーチャーがたくさんいる上(しかも《マルドゥの軍族長/Mardu Hordechief》や《武器を手に/Take Up Arms》といった、複数の戦士を出すカードすらある)、強化手段も豊富だ。強化手段としては《略奪者の戦利品/Raiders’ Spoils》が最良だが、《刃の隊長/Chief of the Edge》も相当なやり手だ。それに《戦場での猛進/Rush of Battle》があれば、ダメージレースを完全にひっくり返すことができる。
シールドだと、ドラフトに比べてこれらのシナジーを追及するのは困難なので、《略奪者の戦利品/Raiders’ Spoils》もサイドボードに置いておくことが多くなるだろう。でもドラフトの白黒戦士で使う戦利品の価値は計り知れないよ。
ティムール
ティムールは格闘がお好き。《ティムールの魔除け/Temur Charm》、《凶暴な殴打/Savage Punch》に加えて、手が足りなければ《素早い蹴り/Swift Kick》も採用できる(手が足りないだけに蹴りだ)。自分のクリーチャーと相手のクリーチャーを格闘させるのが普通の使い方だけど、個人的には相手のクリーチャー同士で潰し合わせるのが好み。
仮に相手が《アブザンの先達/Abzan Guide》と《雪角の乗り手/Snowhorn Rider》で殴ってきているとしよう(凄い色だが、十分あり得る話だ)。そこで先達を《反逆の行動/Act of Treason》で奪って、まず殴る。その後に魔除けで雪角の乗り手と格闘させてみよう。するとどうだ。なんと相手のクリーチャーを2体除去した上に、9点ものライフを得られたことになる。
《反逆の行動/Act of Treason》は《うねる塔甲羅/Meandering Towershell》との相性も目を見張るものがある。塔甲羅のテキストは「あなたのコントロール下で」だから、何とオーナーでなく奪ったこちら側へ永続的に帰ってくるんだ。
赤黒
この記事内で初めて紹介する、友好色の組み合わせだね。タルキール覇王譚のリミテッドでは、できることなら避けたい組み合わせだ。友好色だと氏族の選択肢が一つに限られてしまうし、対抗色の組み合わせなら使える、強力な多色カードを使用することが不可能になってしまう。
赤黒の組み合わせで思いつくコンボは、接死と先制攻撃の組み合わせだ。《龍の握撃/Dragon Grip》は、《無情な切り裂き魔/Ruthless Ripper》をメイン採用するとしても微妙だからできれば使いたくないカードだが、飛んでないデカブツだらけでコンバットトリック多め、かつ除去やバウンス少な目のデッキに当たったら、結構真剣に握撃の採用を検討するよ。《無情な切り裂き魔/Ruthless Ripper》についたら、《長毛ロクソドン/Woolly Loxodon》すらもじもじさせるという、素晴らしい仕事をしてくれる。リミテッドでは、いつもサイドボードを見るのを忘れずに!
青赤
こんな場合を考えてみてほしい。相手のライフが12点で、こちらには《真珠湖の古きもの/Pearl Lake Ancient》がいるが、相手の2体ならんでいる4/4で止められているんだ。こちらはもうライフが3点、相手は《隠道の神秘家/Mystic of the Hidden Way》で攻撃し続けている。最終ターン、こちらの場にあるのは古きもの、9枚の土地、手札は土地が1枚。楽観視できる状況ではないね。
そこで《道極め/Master the Way》をトップデック。まず5マナ浮かせて(ティムールの魔除けケアでもっとマナを出しておいてもいいかも)、それから古きものの能力を3回起動するんだ。するとなんと、手札は土地10枚、古きもの、道極めの12枚。道極めで12点ダメージ。奇跡を見せてやろうじゃないか!
アブザン
《砂塵破/Duneblast》は環境最強のカードの一枚。唱えることができればほぼすべてのゲームに勝てるだろう。だから全除去絡みのコンボは大体何でもオーバーキル感が漂う。そうはいっても、華麗にオーバーキルをキメたり、接戦の場合に備えて、より効率良く運用する方法を考えておくのは悪くない。
砂塵破を最大限に活用するというなら、《血蠅の大群/Swarm of Bloodflies》を出してから使ってみるなんてどうだろうか。砂塵をくぐった後には10/10飛行が待ち受けているという寸法さ。他には《不気味な腸卜師/Grim Haruspex》を砂塵に放り込んで超ドローしてみるとか、うねる塔甲羅で更地になった盤面を駆け抜けるとか、《族樹の管理人/Kin-Tree Warden》で再生してみるとか、破壊不能の《兜砕きのズルゴ/Zurgo Helmsmasher》を合わせてみるとか。
更にシナジーを追い求めるなら、血蠅の大群を《古き者どもの報復/Retribution of the Ancients》と合わせてみよう。さながら《ゴブリンの名手/Goblin Sharpshooter》のごときマシンガンに早変わりだ。2枚目の血蠅か、《硬化した鱗/Hardened Scales》も合わせれば、酷いことが起きるだろう。報復も鱗も普通は使用に堪えるカードではないけれど、ガッチリはまるデッキを作れることもあるはずだ。
青白
《ジェスカイの長老/Jeskai Elder》は、デッキによって微妙なこともあれば超強力なこともある。デッキに呪文が4枚程度だと、強くない変異との相討ちもおちおちできないので、《湿地帯の水鹿/Wetland Sambar》以下に成り下がる。しかしながら、呪文が8枚以上あるようなら、長老は凶悪な2マナクリーチャーへと変貌する。
ストラスブールでクリスチャン・サイボルト(Christian Seibold)が、ジェスカイの長老2体、他の果敢持ちのクリーチャー、それに軽い呪文を詰め込みまくった美しいデッキを作ったことがあった。対戦相手は長老を上手に止めることができず、毎ターンルーター能力で手札の質が上がっていくのを眺めていることしかできなかった。5ターンキルまで決めてたのには舌を巻いた。
長老と相性抜群なのは《抵抗の妙技/Feat of Resistance》だ。ダブルブロックされても守ることができるし、+1/+1カウンターが載れば、続くターンにも平然と殴りに行くことができる。
コメント
これはお久しぶりです!
久々にDNを拝見しましたが、色々とあったのですね。
今年も楽しんでもらえるように頑張ります!
あと、同じく「なんかしっくりこない」と思いつつ Interaction の訳に 相互作用 を当ててます。原語はもっとこう……楽しい感じの言葉なんですけどね (´・ω・`)
LSVと比べると言葉遊びも少ないし、割と真面目なコメントが多いんですけどね。
ここだけはちょっとドラマティックな言葉遣いだったのと、真面目な感じで記述するのが困難だったので、少し肩の力を抜いてみました。
Interactionは難しいですね。完璧に捉えられる訳語がない……。
一度理解してしまえば、「相互作用」も悪くないんですけどね。あまり耳にする言葉ではないのがネック。