◆ 【翻訳】運命再編 リミテッドレビュー 多色・無色
 
 Fate Reforged Limited Set Review - Gold and Colorless
 
 By Luis Scott-Vargas 2015年1月16日
 
 http://www.channelfireball.com/articles/fate-reforged-limited-set-review-gold-and-colorless/
 
 
《精霊龍、ウギン/Ugin, the Spirit Dragon》
 リミテッド3.0点
 最初に言っておかなきゃなるまいが、ウギンは8マナだ。8ってのは尋常じゃない重さ。6マナ以上は1マナごとに越えられない壁があると思ってほしい。6と7にもかなりの差があるけど、7と8の差は更に大きいんだ。ゲームが終わる前に安定して8マナまで伸ばすには、身を守るカード、少なくとも数枚のドローを入れないといけない。普通に8マナのカードをデッキに入れても上手くいきっこないんだからね。
 
 8マナを使うってのはそういうこと。それはさておき……
 
 唱えることさえできれば、ウギンはかなりの仕事をしてくれる。+2すればクリーチャーを排除した上に忠誠値9のプレインズウォーカーが残る。マイナス能力を使えば盤面を流せるし、一番マナコストの重い奴がこっちにいたなら、相手の盤面だけを更地にすることも可能だ。変異を倒せないのはメリットにもデメリットにもなるが、ウギンを出すことがわかっているなら、適宜相討ちするなり変異を敢えて解除しないなり、ウギン着地後こっちだけ有利になるよう選べるよね。
 
 大体は着地後すぐマイナス能力を使って、そこから+2で後続を薙ぎ払っていく使い方になると思う。奥義は可愛いけれど、大多数のプレインズウォーカーと同じく、カードを評価するとき奥義は含めなくても差し支えない。奥義が使えるなら、他の2つの能力で勝ってそうなものだしね。
 
 まとめると、ウギンは適当にデッキに突っ込めばいいカードじゃないってことだ。コントロールデッキを作るようドラフトしなければいけないし、確実に8マナまで届くよう、工夫を凝らして構築しないとならない。上手く作れれば見返りは十分だが、強い意志を持って取り組まないといけない難題だ。点数はカードパワーとマナコストを計算に入れてのものだけれど、3点だからといって取りさえすればどんなデッキにも入るカードとは思わないでほしい。8マナってのはそのくらい重いんだ。
《世界を溶かすもの、アタルカ/Atarka, World Render》
 リミテッド3.0点
 7マナもかかる割に、すぐ盤面に影響を与えるわけでもなく除去耐性もないのは考え物だが、毎ターン12点ものダメージを叩きだせるパワーを前にすれば、そんな考えもすぐ吹き飛ぼうというもの。あまりの打点の高さに、即バウンスや除去されるリスクは進んで飲んでもいい気になれる。。
 
 ドラゴンがどうこうとか書いてあるけれど、基本的に自分以外のドラゴンに関してはフレーバーテキストだと思ってほしい。たまたま2体のドラゴンがデッキに入っていても、両方展開できていたらもうその時点で勝ちみたいなものなんだからね。
《狡猾な一撃/Cunning Strike》
 リミテッド3.0点
 カードを引くとさえ書いてなければ、こんな狡猾な手に引っかかって点数を上げたりしないのに……!2:1交換を取るカードにしては重いが、インスタントなのは貴重。果敢デッキのお供にしたい。タッチで使うようなカードではないが、デッキの色と合っていれば使った方がいいだろう。
《永遠のドロモカ/Dromoka, the Eternal》
 リミテッド4.5点
 5マナ5/5飛行というスペック、他のドラゴンどもとは全く違う生物だと思った方がいい(架空の存在とはいえ、ドラゴンも生き物……なんだよな?)。攻撃に際して鼓舞2がついてるのも大きい。とにかく書いてあることが全部強い。
《天上の待ち伏せ/Ethereal Ambush》
 リミテッド3.5点
 アド厨大歓喜、評価は青天井。察してもケアできない恐怖。待ち伏せされそうと思ったら攻撃しないでもいいが、殴らないならターン終了時に唱えられるだけ。構え損にはまずならない。
 
 予示が両方はずれでも十分に強く、クリーチャーを引き当てようものなら恐ろしいことになる。総攻撃をかけるか考えるとき、心の片隅に留めておいてほしい。コモンだし、ピックしたらまず使われる性能だ。
《無残な競争/Grim Contest》
 リミテッド3.0点
 《弱者狩り/Hunt the Weak》と比較して、インスタントな点で勝っているものの、2色なのはマイナス。総合して同じ点数になった。タフネスを参照する格闘は斬新だね。奇妙な格闘を行うことになりそうで面白い。《射手の胸壁/Archers’ Parapet》と相性のいいカードがこいつを含めて何枚か出たから、複数入手したときは優先して胸壁を確保しても面白いかもしれない。
《過酷な命の糧/Harsh Sustenance》
 リミテッド3.0点
 過酷なことに、盤面で負けているときには性能がガタ落ちしてしまう(ただし、盤面が膠着していて回避能力持ちのクリーチャーにボコられているときは除く)。でもそれを除けば強力なカードだ。中盤クリーチャーを除去してもいいし、終盤は本体に撃ちこんでトドメに使ってもいい。どんな使い方をしても、ちょっと嬉しいライフゲイン付きだ。対応しての除去には気を付けたいから、多少計算が狂ってもいいように、余裕をもって除去できるところに撃ってもいい。
《嵐の憤怒、コラガン/Kolaghan, the Storm’s Fury》
 リミテッド4.5点
 うがいの音みたいな名前と裏腹に目を見張るような強さ。普通に唱えても強いし、単騎で十分脅威になるサイズだ。疾駆がついているのも無視できないポイントで、5ターン目以降、一番引きたいカードナンバーワンの座はまず揺るがないだろう。マナが余るような展開になったら、1ターン多く攻撃できるよう毎ターン疾駆で走らせていい。止まるようなときだけ普通に唱えればいいだろう。
《冬魂のオジュタイ/Ojutai, Soul of Winter》
 リミテッド3.5点
 5マナの連中と比べると、7マナのドラゴンは評価が落ちるが、重くともレアリティに恥じぬだけの性能を秘めたドラゴンだ。オジュタイはブロッカーとしても優秀だし、毎ターン5点のクロックを刻みながら、警戒のおかげでクリーチャーを2体封殺できる。
《漂う死、シルムガル/Silumgar, the Drifting Death》
 リミテッド4.5点
 3/7で除去できない飛行クリーチャーというだけで大したものだが、キッカーなし《湿地での被災/Marsh Casualties》を攻撃するたびに撃てるのは感動的。たいそうな名前がついているだけのことはある。
《戦乱の閃光/War Flare》
 リミテッド2.5点
 カードパワー的には間違いなく高得点カードなんだけど、最大限に活用するためにはクリーチャーをこれでもかと詰め込んだデッキに仕上げる必要がある。攻守どちらの局面で使っても、攻守両面で恩恵があるのは嬉しい。突然アンタップしてブロッカーにしてもいいし、6点ほど追加のダメージをねじ込みながらブロッカーを立たせてもいい。
 
 タフネスにも修正がかかるから、《ラッパの一吹き/Trumpet Blast》と違って相討ち以上が期待できなくもないけれど、盤面が膠着しそうなときでもなければ、普通に一方を取りつつ多少ダメージを入れるトリックとして使ってしまっていいだろう。ラッパの一吹きよりも、期待できる効果に幅がありそう。ラッパも戦乱の閃光も攻めるデッキでは強力だが、閃光はクリーチャーが多めに入っているデッキならどんなデッキでも使える。

 
 マルチカラーのドラゴンランキング
 5.《世界を溶かすもの、アタルカ/Atarka, World Render》
 4.《冬魂のオジュタイ/Ojutai, Soul of Winter》
 3.《漂う死、シルムガル/Silumgar, the Drifting Death》
 2.《嵐の憤怒、コラガン/Kolaghan, the Storm’s Fury》
 1.《永遠のドロモカ/Dromoka, the Eternal》
 
 区切りごとにトップ5を出さないとなんか落ち着かないよな。
 
 
《ゴブリンの爆裂樽/Goblin Boom Keg》
 リミテッド1.0点
 4マナで3点ダメージというだけで眉唾物なのに、引火してから爆発するまで、ソーサリーより遅いときた。相手は爆発するまでの時間を使って、鼓舞なり変異解除なりして爆発に備えることができる。絶対に使いたくないカードだね。
《英雄の刃/Hero’s Blade》
 リミテッド1.5点
 装備は繰り返し使えるカードアドバンテージの塊と見られがちだが、装備コストが重いというのは厳しいというのが実情だ。6マナ使ってこれを装備しても、つけた先がバウンスなり除去されてしまったら、相当なテンポを失うことになる。同じマナを払うなら、装備よりも変異を解除する方がいい。伝説のクリーチャーにはマナが不要でもそこは変わらない。
 
 ただ、かなり低速なデッキに突きつけるカードとしてはそこそこだし、絆魂持ちが多ければマシになる。絆魂持ちにつけて1回でもダメージを与えれば、後で違うクリーチャーに装備する時間を稼いでいるのと同義だからね。
《切り出した石の従者/Hewed Stone Retainers》
 リミテッド2.0点
 色々想像してみた。全力で《わめき騒ぐマンドリル/Hooting Mandrills》を探査しながら出したり、《果敢な一撃/Defiant Strike》を唱えてから出したり、あるいは5~6ターン目に適当なクリーチャーと一緒に出す……みんな違って、みんないい。後半トップから引いてもまったくの無駄牌だし、1~2マナで唱えられるカードのないデッキには無用。でも多少工夫して使ってやるだけの価値はあるよ。
《火の巡礼者/Pilgrim of the Fires》
 リミテッド1.0点
 7マナも使ってタフネスが4ぽっちなのはちょっと。環境には《絞首/Throttle》や《矢の嵐/Arrow Storm》があるわけだし。sん性攻撃がついてるから、少なくとも戦闘に関しては非の打ちどころがない。とはいえ無闇に使う気にはなれないよ。
《達人の巻物/Scroll of the Masters》
 リミテッド0.5点
 ルーン唱えの長槍ファンはもうそろそろはっきりと言うべきなのですッッ 達人は保護されているッッッ
 一時的な強化にこれほど大量のマナをつぎ込んでもゲームには勝てない。装備に関して言ったことは全てこの巻物にも当てはまる。しかも出したばかりのときはカードですらない。果敢デッキで必要なのは、軽くて使い勝手の良いカードで、こういうカードじゃない。果敢デッキ以外ならって?こんなカードにマジになっちゃってどうするの。
《ウギンの構築物/Ugin’s Construct》
 リミテッド3.0点
 4マナ4/5を4ターン目にポンと出せる可能性が生まれるなら、クリーチャーがいて唱えられないリスクを飲んでもいい。変異を中心に集めて安全を確保するのも容易にできるはずだ。後半は魅力的でもなくなるけれど、生贄にするくらいなら色のついてる奴で敢えて相討ちしてみてもいいし、いざとなれば2/1とか適当な奴を生贄にしてもいい。

 
 アーティファクトトップ5
 5.《火の巡礼者/Pilgrim of the Fires》
 4.《ゴブリンの爆裂樽/Goblin Boom Keg》
 3.《英雄の刃/Hero’s Blade》
 2.《切り出した石の従者/Hewed Stone Retainers》
 1.《ウギンの構築物/Ugin’s Construct》
 
 構築物>>>>>>>>>>>>>>その他
 
 
2色土地
 《平穏な入り江/Tranquil Cove》・《陰鬱な僻地/Dismal Backwater》・《血溜まりの洞窟/Bloodfell Caves》・《岩だらけの高地/Rugged Highlands》・《花咲く砂地/Blossoming Sands》・《磨かれたやせ地/Scoured Barrens》・《急流の崖/Swiftwater Cliffs》・《ジャングルのうろ穴/Jungle Hollow》・《風に削られた岩山/Wind-Scarred Crag》・《茨森の滝/Thornwood Falls》・《汚染された三角州/Polluted Delta》・《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》・《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》・《樹木茂る山麓/Wooded Foothills》・《吹きさらしの荒野/Windswept Heath》
 リミテッド3.0点
 タルキール覇王譚だけのときとあまり変わらないが、2色デッキを組むのが少し容易になったので少し価値は落ちたか。なんにせよ、できれば初手では取りたくないね。
《精霊龍のるつぼ/Crucible of the Spirit Dragon》
 リミテッド0.0点
 ドラゴンが4体取れたのに実質2色だからなー!かーっ!つれーっ!
 そこに颯爽と現れる救世主、精霊龍のるつぼ!
 という武勇伝を語るために入れるというなら止めはしない。武勇伝を作る以外の目的でデッキに入れるのはやめておこう。

 
 運命再編のコモントップ10
 10.《チフス鼠/Typhoid Rats》
 9.《圧点/Pressure Point》
 8.《ジェスカイの賢者/Jeskai Sage》
 7.《スゥルタイの使者/Sultai Emissary》
 6.《エイヴンの偵察員/Aven Surveyor》
 5.《龍火浴びせ/Bathe in Dragonfire》
 4.《払いのけ/Whisk Away》
 3.《蓮道のジン/Lotus Path Djinn》
 2.《影の手の内/Reach of Shadows》
 1.《砂草原ののけ者/Sandsteppe Outcast》
 
 数日後レビューを見直してみると、コモンの評価が変わることがある。セットのレビューをしていて面白いことの一つだ。ポッドキャストのリミテッド・リソース(Limited Resources)で、マーシャル(Marshall Sutcliffe)と下のセットレビューをしていて、考えを改めたことがいくつか。特に《蓮道のジン/Lotus Path Djinn》については評価が低すぎたし、《スゥルタイの使者/Sultai Emissary》は評価が高すぎたと思う。とはいえ、今後セットと長らく付き合っていく中で、カードの評価は上下するだろうけどね。
 http://lrcast.com/limited-resources-267-fate-reforged-set-review-common-and-uncommon/
 (数時間ばかりヒマならこちらをどうぞ)
 
 《砂草原ののけ者/Sandsteppe Outcast》が文句なしの一位。あまりに手軽な1:2交換が取れるのは見逃せない。低マナでマナ効率的にも素晴らしい。次が《影の手の内/Reach of Shadows》。確定除去はとても重要だ。3位以下はぐっと価値が落ちるけれど、面白いことにトップ10に赤いカードは1枚あるだけで、緑に至っては0枚だ。俺が間違っている可能性はあるが、局所的な間違いがちらほらあったとしても、赤と緑のコモンが、他3色にカードパワー的に大きく水をあけられているのは間違いないと思う。それはつまり、レアやアンコモンから入るのがドラフトの上等だとすると、初手が赤や緑でなかった人は、赤や緑に食指が伸びにくいということだから、色の強弱と人気不人気のバランスは面白いことになりそうだ。
 
 来週は構築のレビューをするよ。それまでプレリリースを楽しんでくれ!ジェスカイをやろうかなと思ってるけど、運命に任せてみるとしようか。
 
 
 
 LSV

コメント

nophoto
tyatya
2015年2月4日9:22

野郎タブー中のタブーに触れやがった…

いつも楽しく拝見しております
CFBのサイトにも見に行っていますが、やはり細かいジョークまではなかなか読み取れないのでTakuさんの翻訳は非常にありがたいです
早くも龍紀伝が迫っていますがこれからも翻訳頑張ってください…ッ

Taku
2015年2月4日17:56

> tyatyaさん

なんでも知っとるわァ~~~~この人ォ…

いつも読みに来ていただきありがとうございます!
淡々とやり遂げようとは思っているものの、やはりこういったコメントがあるのと無いのとでは全く気合の入り方が変わります。モチベーションの維持にとてもありがたいです。

今後も少なくともリミテッドレビューは完走しますので!
よろしければお茶請けにでもしてください。

nophoto
本骨
2015年2月6日19:25

 8.《ジェスカイの長老/Jeskai Elder》


ん?w

思わず二度見しました。

8. Jeskai Sage ←本文からコピペしました。

コレは多分、コピペじゃなくて翻訳しながら手打ちしてるが故に起きる間違いですよね?

そんなペラペラと英語打ち込めるのがスゲェと思います。

なんにせよ翻訳作業お疲れ様でした~
次回も楽しみにしてます~。

Taku
2015年2月6日22:17

> 本骨さん

いやぁ失敬失敬。ご指摘ありがとうございます。
修正しました。

実際、長老と賢者ってなんか混じりませんか?私は混じります!

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