【翻訳】フランクに考えよう マジック・オリジン、ピック順位表 前編
2015年8月12日 翻訳 コメント (2)◆【翻訳】フランクに考えよう マジック・オリジン、ピック順位表
A Pick Order List for Magic Origins
By Frank Karsten 2015年8月11日
http://www.channelfireball.com/articles/a-pick-order-list-for-magic-origins/
マジック・オリジンのドラフトピック順位表にようこそ!
プロツアーに向けての練習だけど、今回は仕事の都合で「チェコの森ドラフト合宿」に参加できなかった。なので環境に慣れるため、まずはマジック・オンライン(MO)でドラフトの数をこなして、バンクーバー入りしてから意見を交わすことにした。プロツアーではリミテッド部門が5-1で、17位に入れたことを考えると、練習としては悪くなかっただろうか。
自分の経験からいえば、マジック・オリジンの環境は攻め中心の、テンポ中心環境だと思う。ロール(Rolle)の提供してくれたデータでもやはりそうだった。ちなみにロールのデータというのは、MO上のマジック・オリジンリミテッドのゲーム58000をプログラムに集計させたものだったのだが、ゲームが決着するまでにかかるターン平均は9.1ターン、1ゲーム目の先手を取ったプレイヤーの勝率が51.1%だった。この数字を見る限り、環境はかなり高速といえるだろう。そう、タルキール龍紀伝よりずっと速い。
高名クリーチャーのせいで高速環境になっている部分が大きい。2ターン目《トーパの自由刃/Topan Freeblade》が出てきて止められない場合、速やかにゲームが終わってしまう。そういうわけで、勝率は2ターン目にクリーチャーを展開できるかどうかでぐっと変わってくる。2ターン目にクリーチャーを用意できれば勝率はぐっと上がると言っていいだろう。2マナ域を4~5枚用意したい。いつもの事ではあるけれど、同じ2マナなら終盤になっても役立つ奴がいいね。
それとマリガンしてしまうと厳しくなる。MOだと30.2%のゲームでマリガンが選択されていたけれど、1回マリガンすると勝率が37.3%まで落ち込んでしまっていた(先手なら34.5%、後手なら40.3%の勝率)。2回マリガンして初期手札が5枚になる確率は、MOのデータでは5.6%だったが、そうなると勝率は23.9%まで落ち込んでしまう(先手なら20.0%、後手なら28.4%の勝率)。
MO上だと、ドラフトで最も好まれていたのは白だったものの、勝率が最も高い色は白でなかった。最高勝率の栄誉に輝いたのは赤。下にロールのプログラムが集めてきた58000件のデータをまとめたので見てみてくれ(全色の勝率が50%を越えているのは、ゲーム開始後即投了とか、インターネット接続が切れて「無色」扱いのプレイヤーが発生するせいだと思う)。
私のチームメイトの結論もまた、赤が最強というものだった。合宿でのドラフト16回でも、赤が最も勝率が良かったとのこと。緑もまた、戦力としてあてにできるカードが多く、中々悪くない。青は貧弱なカードが多く弱カラーに見えるものの、それでもサポートカラーとしては全然戦える。特に卓2人までの場合はそれが顕著だ。白は強いものの、最近は少々希望者が溢れている模様。黒の数字はパッとしないものの、実は白とさえ組まなければ上の数字ほど悪くない。
マジック・オリジンは2色環境で、勝率が最も良い組み合わせは赤黒だった(MOの勝率54.2%)。そして勝率最低は白黒(MOの勝率49.1%)。チームのドラフト仲間もやはり、全く同じ結論にたどり着いていた。
生データから読み取れたのはこのくらいだ。というわけでようやくピック順位表に移ろう!下の表では、マジック・オリジンのカード全てを上から下に、1パック目1ピック目にピックするカードとして見た場合の、優先順位の順に並べてある。あくまでゲーム中の強さの順であって、金銭的価値は考慮していないことは気を付けて。多色のカードは初手から2色決めないと使えないので、本来の強さより少し順位は低めに設定されているのと、どんなデッキでも使える無色のカードは心持ち上に設定してある。読みやすくするのと、コメントをつけるためにいくつかのグループに分類しているけれど、別にリストはつなげて一つの物として見てもらって差し支えない。
あと覚えておいて欲しいけれど、ドラフト中ずっと何も考えず表に従ってピックするのはやめよう。ドラフトには整ったマナカーブとゲームプランというものが必要で、それまでピックしたカードによって何を優先すべきかは全く異なってくる。この表はあくまで、1パック目の初手を考える際のものだと思ってほしい。
(訳注:DNの仕様でテキストになっています。リストを参照するのみであれば、ChannelFireball掲載の元記事にカード画像があるので、そちらがお勧めです http://www.channelfireball.com/articles/a-pick-order-list-for-magic-origins/ )
紙のドラフトであれば、上に挙げたカードはどんなコモン・アンコモンより優先してピックする。強レアを挙げたものの、総じて数は少ないし、ほとんどは対処可能だ。セット全体のカードパワーは非常にバランスがとれているといっていいだろう。
両面のプレインズウォーカーたちは、どれも本来の強さ、比肩し得る強アンコモンたちより少し上にしてある。これはドラフト中のサインまで含めての評価だ。紙のドラフトだと、両面カードが出るとその情報は共有されるから、ピックすることで特定の色主張が可能になる。《永遠警備の歩哨/Sentinel of the Eternal Watch》が《アクロスの英雄、キテオン/Kytheon, Hero of Akros》よりカードとして強かったとしても、キテオンという白のサインを流しつつアンコモンを取ると事態がこじれかねない。おそらく左は、キテオンを取って2パック目白を枯らしてくるだろう。私ならむしろ、キテオンを取ること下家に白を諦めさせる方に賭けたい。一方MOでは両面カードのことが分からないので、永遠警備の歩哨をとるかもしれない。
《カラデシュの火、チャンドラ/Chandra, Fire of Kaladesh》が、反転させづらくて一番使いにくいものの、赤は最強カラーなのでやれるものなら是非やりたい。なので序盤は、少しくらい他の色より弱くても、赤いカードに色補正をかけることにしている。この順位表でも、ちょっと赤いカード贔屓がちらほらあるので留意してほしい。
ここに名を連ねるアンコモンはどれも強力無比だが、カード単体で見れば《つむじ風のならず者/Whirler Rogue》が最強だろう。ただ青は一番扱いにくい色だし、ならず者はダブルシンボルでもあるから、この順位表では白の6マナクリーチャーを一位にすることにした。環境的に青より白の方が戦力になるカードは多いから、歩哨の方がデッキに入る可能性が高いと踏んでの評価だ。
ここに名を挙げたレアや神話レアは、ただ強と言うにはちょっとクセのある連中だ。たとえば《徴税の大天使/Archangel of Tithes》は凄まじい強さだが、白白白のトリプルシンボルは少々マナベース的に制約がかかりすぎるので、ならず者の方が良いのではないかと思う。
上でも触れたように、赤いカードは色的な理由で上にきているものもあるが、《焦熱の衝動/Fiery Impulse》に関しては、赤でない色だったとしても最強コモンの座は譲らなかったろう。赤の3マナ域はどれも強力なものの、複数種類存在するので、3マナばかり膨れ上がらないよう気を付けてピックしないと、3マナ域ばかり6枚とか、過剰な数が集まってしまいかねない。《地底の斥候/Subterranean Scout》が比較的上に来ているのは、私が唯一積極的に採用したいと思う赤い2マナ域だったため。《魔道士輪の暴漢/Mage-Ring Bully》も《ドラゴンの餌/Dragon Fodder》も微妙だった。
《葉光らせ/Leaf Gilder》と《閉所恐怖症/Claustrophobia》は、どちらも他環境ならもっと高評価されるべきカードだが、マジック・オリジンの環境を加味しての順位で低くなっている。緑には《エルフの幻想家/Elvish Visionary》、《葉光らせ/Leaf Gilder》、《森林群れの狼/Timberpack Wolf》と優秀な2マナ域が3種類もあるので、葉光らせを少しだけ低めにみても、マナカーブが十分整うことが多い。青はコモンやアンコモンに強いカードが少ないので、島の枚数を絞ったサポートカラーになりやすい。その場合、《閉所恐怖症/Claustrophobia》が唱えづらくなるので、それを見越して少し下げた。
それと最後に、強いながらリスキーなカードについて。
・《魂の貯蔵者、コソフェッド/Kothophed, Soul Hoarder》は6/6飛行で他にテキストがない方が多分強かった。能力が強制なので死にかねない。
・《強欲なドラゴン/Avaricious Dragon》は終盤引くと協力なものの、4ターン目に出すとあっさり自滅できる。6マナクリーチャー、そう、能力のついた《黄金造りの歩哨/Gold-Forged Sentinel》ぐらいに考えておくとちょうどいい。
・《飛行機械の諜報網/Thopter Spy Network》はデッキ次第でぶっ壊れにも紙屑にもなり得る。結構デッキを寄せないといけないので、アーティファクトや飛行機械トークンを出す手段が最低5枚はないと使わないことにしている。
・7マナのレア連中は、どれも単体でゲームに勝利できるカードばかりだが、7マナに届かせるのは環境柄結構大変。なので個人的には、強コモンやアンコモンをさしおいては取らないようにしている。
多色のアンコモンの評価は大体このくらい。赤の強い奴らが上位で、確かに強力なカードではあるものの、初手から2色決めることを考えての評価だ。
ここにある2色のカードを見ると、その色の組み合わせをやる際に、優先して取っていいカードが分かるようになっている。たとえば赤黒なら、《猛火のヘルハウンド/Blazing Hellhound》とシナジーを形成する《反逆の行動/Act of Treason》は他の組み合わせで使うより強い。同様に、《蘇りしケンタウルス/Returned Centaur》は《取り憑かれたスカーブ/Possessed Skaab》のある青黒で使うといい感じだし、《飛空士志願者/Aspiring Aeronaut》は《雷鳴のワイヴァーン/Thunderclap Wyvern》のある青白で使いたい。といった具合だ。その色でどんな戦略が有効かざっと理解するのに最適。
土地は無色で色を決めなくていいので、比較的高評価になっている。《ならず者の道/Rogue’s Passage》は、ダブルシンボルの無いデッキで使うならかなり強いし、マナ基盤の安定のために《進化する未開地/Evolving Wilds》も1~2枚入れられるとかなり心強い。
《意志を砕く者/Willbreaker》は結構面白くて、《秘儀術師の掌握/Grasp of the Hieromancer》、《アクロスの看守/Akroan Jailer》、《錬金術師の薬瓶/Alchemist’s Vial》、《眼腐りの暗殺者/Eyeblight Assassin》、《イェヴァの腕力魔道士/Yeva’s Forcemage》といった好相性な相方が存在するものの、そのどれもが単体で強いと言い切れるカードでないし、コンボ要素のない《意志を砕く者/Willbreaker》は使用に堪えない。ベンチを温めてることが多いとしても、ここら辺のカードとの比較でピックしておく分にはいいかもね。
ここら辺までが、デッキには入れるものの初手では取りたくないカード。
いくつかコメントをば。
・この環境の《骨読み/Read the Bones》はあまり好きになれない。勿論デッキに入れられる強さではあるものの、3マナとライフ2点を支払って盤面に何も影響しないカードを使うというのは、テンポ環境において自殺行為にすらなり得る。
・《荒廃唱え/Blightcaster》と《血に呪われた騎士/Blood-Cursed Knight》が低めなのは、白黒が罠っぽい組み合わせだから。この2枚はエンチャントに依存することになるものの、そもそもエンチャントの数が少ないし、事が都合よく運んだとしても、それだけで圧倒できるようなシナジーではない。更にそもそも上手く回ってくれないことも多く、できれば白黒は避けた方がいいと思う。
・2色合っているなら、ペインランドはかなり優先して取りたい。安定したマナ基盤は大切。だけど2色のカードみたいなものなので、初手的には低評価。
・《臨海の護衛/Maritime Guard》など、見ていてかなり悲しくなってくるが、この環境では1度ならずデッキに入れた。とにかく2マナが大切なので。
・《ヴリンの翼馬/Vryn Wingmare》は強そうに見えるものの、飛行機械トークンがそこかしこにいる関係で、タフネス1の飛行が活躍するのは難しい。
DNの字数制限に引っかかったので分割します。
後編
http://misdirection.diarynote.jp/201508130012592448/
A Pick Order List for Magic Origins
By Frank Karsten 2015年8月11日
http://www.channelfireball.com/articles/a-pick-order-list-for-magic-origins/
マジック・オリジンのドラフトピック順位表にようこそ!
プロツアーに向けての練習だけど、今回は仕事の都合で「チェコの森ドラフト合宿」に参加できなかった。なので環境に慣れるため、まずはマジック・オンライン(MO)でドラフトの数をこなして、バンクーバー入りしてから意見を交わすことにした。プロツアーではリミテッド部門が5-1で、17位に入れたことを考えると、練習としては悪くなかっただろうか。
自分の経験からいえば、マジック・オリジンの環境は攻め中心の、テンポ中心環境だと思う。ロール(Rolle)の提供してくれたデータでもやはりそうだった。ちなみにロールのデータというのは、MO上のマジック・オリジンリミテッドのゲーム58000をプログラムに集計させたものだったのだが、ゲームが決着するまでにかかるターン平均は9.1ターン、1ゲーム目の先手を取ったプレイヤーの勝率が51.1%だった。この数字を見る限り、環境はかなり高速といえるだろう。そう、タルキール龍紀伝よりずっと速い。
高名クリーチャーのせいで高速環境になっている部分が大きい。2ターン目《トーパの自由刃/Topan Freeblade》が出てきて止められない場合、速やかにゲームが終わってしまう。そういうわけで、勝率は2ターン目にクリーチャーを展開できるかどうかでぐっと変わってくる。2ターン目にクリーチャーを用意できれば勝率はぐっと上がると言っていいだろう。2マナ域を4~5枚用意したい。いつもの事ではあるけれど、同じ2マナなら終盤になっても役立つ奴がいいね。
それとマリガンしてしまうと厳しくなる。MOだと30.2%のゲームでマリガンが選択されていたけれど、1回マリガンすると勝率が37.3%まで落ち込んでしまっていた(先手なら34.5%、後手なら40.3%の勝率)。2回マリガンして初期手札が5枚になる確率は、MOのデータでは5.6%だったが、そうなると勝率は23.9%まで落ち込んでしまう(先手なら20.0%、後手なら28.4%の勝率)。
MO上だと、ドラフトで最も好まれていたのは白だったものの、勝率が最も高い色は白でなかった。最高勝率の栄誉に輝いたのは赤。下にロールのプログラムが集めてきた58000件のデータをまとめたので見てみてくれ(全色の勝率が50%を越えているのは、ゲーム開始後即投了とか、インターネット接続が切れて「無色」扱いのプレイヤーが発生するせいだと思う)。
色 デッキがその色になる確率 勝率
赤 42.7% 51.4%
緑 39.3% 50.7%
青 35.7% 50.6%
白 43.5% 50.2%
黒 38.8% 50.1%
私のチームメイトの結論もまた、赤が最強というものだった。合宿でのドラフト16回でも、赤が最も勝率が良かったとのこと。緑もまた、戦力としてあてにできるカードが多く、中々悪くない。青は貧弱なカードが多く弱カラーに見えるものの、それでもサポートカラーとしては全然戦える。特に卓2人までの場合はそれが顕著だ。白は強いものの、最近は少々希望者が溢れている模様。黒の数字はパッとしないものの、実は白とさえ組まなければ上の数字ほど悪くない。
マジック・オリジンは2色環境で、勝率が最も良い組み合わせは赤黒だった(MOの勝率54.2%)。そして勝率最低は白黒(MOの勝率49.1%)。チームのドラフト仲間もやはり、全く同じ結論にたどり着いていた。
生データから読み取れたのはこのくらいだ。というわけでようやくピック順位表に移ろう!下の表では、マジック・オリジンのカード全てを上から下に、1パック目1ピック目にピックするカードとして見た場合の、優先順位の順に並べてある。あくまでゲーム中の強さの順であって、金銭的価値は考慮していないことは気を付けて。多色のカードは初手から2色決めないと使えないので、本来の強さより少し順位は低めに設定されているのと、どんなデッキでも使える無色のカードは心持ち上に設定してある。読みやすくするのと、コメントをつけるためにいくつかのグループに分類しているけれど、別にリストはつなげて一つの物として見てもらって差し支えない。
あと覚えておいて欲しいけれど、ドラフト中ずっと何も考えず表に従ってピックするのはやめよう。ドラフトには整ったマナカーブとゲームプランというものが必要で、それまでピックしたカードによって何を優先すべきかは全く異なってくる。この表はあくまで、1パック目の初手を考える際のものだと思ってほしい。
(訳注:DNの仕様でテキストになっています。リストを参照するのみであれば、ChannelFireball掲載の元記事にカード画像があるので、そちらがお勧めです http://www.channelfireball.com/articles/a-pick-order-list-for-magic-origins/ )
最強格のレア
《搭載歩行機械/Hangarback Walker》
《ピア・ナラーとキラン・ナラー/Pia and Kiran Nalaar》
《光り葉の選別者/Gilt-Leaf Winnower》
《マナ喰らいのハイドラ/Managorger Hydra》
《チャンドラの灯の目覚め/Chandra’s Ignition》
《血の儀式の司祭/Priest of the Blood Rite》
《キテオンの不正規軍/Kytheon’s Irregulars》
《悲劇的な傲慢/Tragic Arrogance》
《衰滅/Languish》
《辺境地の巨人/Outland Colossus》
《巨森の予見者、ニッサ/Nissa, Vastwood Seer》《精霊信者の賢人、ニッサ/Nissa, Sage Animist》
《異端の癒し手、リリアナ/Liliana, Heretical Healer》《反抗する屍術師、リリアナ/Liliana, Defiant Necromancer》
《ヴリンの神童、ジェイス/Jace, Vryn’s Prodigy》《束縛なきテレパス、ジェイス/Jace, Telepath Unbound》
《アクロスの英雄、キテオン/Kytheon, Hero of Akros》《歴戦の戦士、ギデオン/Gideon, Battle-Forged》
《カラデシュの火、チャンドラ/Chandra, Fire of Kaladesh》《燃え盛る炎、チャンドラ/Chandra, Roaring Flame》
紙のドラフトであれば、上に挙げたカードはどんなコモン・アンコモンより優先してピックする。強レアを挙げたものの、総じて数は少ないし、ほとんどは対処可能だ。セット全体のカードパワーは非常にバランスがとれているといっていいだろう。
両面のプレインズウォーカーたちは、どれも本来の強さ、比肩し得る強アンコモンたちより少し上にしてある。これはドラフト中のサインまで含めての評価だ。紙のドラフトだと、両面カードが出るとその情報は共有されるから、ピックすることで特定の色主張が可能になる。《永遠警備の歩哨/Sentinel of the Eternal Watch》が《アクロスの英雄、キテオン/Kytheon, Hero of Akros》よりカードとして強かったとしても、キテオンという白のサインを流しつつアンコモンを取ると事態がこじれかねない。おそらく左は、キテオンを取って2パック目白を枯らしてくるだろう。私ならむしろ、キテオンを取ること下家に白を諦めさせる方に賭けたい。一方MOでは両面カードのことが分からないので、永遠警備の歩哨をとるかもしれない。
《カラデシュの火、チャンドラ/Chandra, Fire of Kaladesh》が、反転させづらくて一番使いにくいものの、赤は最強カラーなのでやれるものなら是非やりたい。なので序盤は、少しくらい他の色より弱くても、赤いカードに色補正をかけることにしている。この順位表でも、ちょっと赤いカード贔屓がちらほらあるので留意してほしい。
強アンコモン
《永遠警備の歩哨/Sentinel of the Eternal Watch》
《つむじ風のならず者/Whirler Rogue》
《牢獄の管理人、ヒクサス/Hixus, Prison Warden》
《徴税の大天使/Archangel of Tithes》
《地底街のトロール/Undercity Troll》
《騎士の勇気/Knightly Valor》
《極上の炎技/Exquisite Firecraft》
《燃えさし口のヘリオン/Embermaw Hellion》
《地震の精霊/Seismic Elemental》
ここに名を連ねるアンコモンはどれも強力無比だが、カード単体で見れば《つむじ風のならず者/Whirler Rogue》が最強だろう。ただ青は一番扱いにくい色だし、ならず者はダブルシンボルでもあるから、この順位表では白の6マナクリーチャーを一位にすることにした。環境的に青より白の方が戦力になるカードは多いから、歩哨の方がデッキに入る可能性が高いと踏んでの評価だ。
ここに名を挙げたレアや神話レアは、ただ強と言うにはちょっとクセのある連中だ。たとえば《徴税の大天使/Archangel of Tithes》は凄まじい強さだが、白白白のトリプルシンボルは少々マナベース的に制約がかかりすぎるので、ならず者の方が良いのではないかと思う。
優良コモン
《焦熱の衝動/Fiery Impulse》
《領事補佐官/Consul’s Lieutenant》
《魂の貯蔵者、コソフェッド/Kothophed, Soul Hoarder》
《勇者の守護神/Patron of the Valiant》
《残虐無道の猛火/Ravaging Blaze》
《光り葉の将帥、ドゥイネン/Dwynen, Gilt-Leaf Daen》
《森林の怒声吠え/Woodland Bellower》
《魂刃のジン/Soulblade Djinn》
《魂裂き/Reave Soul》
《トーパの自由刃/Topan Freeblade》
《稲妻の投槍/Lightning Javelin》
《秘宝の探求者/Relic Seeker》
《ケラル砦の修道院長/Abbot of Keral Keep》
《残酷な蘇生/Cruel Revival》
《塔の霊/Tower Geist》
《抑制する縛め/Suppression Bonds》
《勇者の選定師/Anointer of Champions》
《空網蜘蛛/Skysnare Spider》
《墓刃の匪賊/Graveblade Marauder》
《戦乱の神託者/War Oracle》
《飛行機械技師/Thopter Engineer》
《ジェスの盗人/Jhessian Thief》
《葉光らせ/Leaf Gilder》
《野性の本能/Wild Instincts》
《ギラプールの歯車造り/Ghirapur Gearcrafter》
《ヴァレロンの管理人/Valeron Wardens》
《分離主義者の虚空魔道士/Separatist Voidmage》
《魔道士輪の対応者/Mage-Ring Responder》
《議事会の自然主義者/Conclave Naturalists》
《ソンバーワルドの頭目/Somberwald Alpha》
《潮流の先駆け/Harbinger of the Tides》
《閉所恐怖症/Claustrophobia》
《ドゥイネンの精鋭/Dwynen’s Elite》
《飛行機械の諜報網/Thopter Spy Network》
《高位調停者、アルハマレット/Alhammarret, High Arbiter》
《族霊導きの鹿羚羊/Totem-Guide Hartebeest》
《確固たるエイヴン/Stalwart Aven》
《祝福された霊魂/Blessed Spirits》
《不浄な飢え/Unholy Hunger》
《業火の侍祭/Acolyte of the Inferno》
《迅速な報い/Swift Reckoning》
《ボガートの粗暴者/Boggart Brute》
《印章持ちのヒトデ/Sigiled Starfish》
《アクロスの兵長/Akroan Sergeant》
《強欲なドラゴン/Avaricious Dragon》
《空荒らしの巨人/Skyraker Giant》
《ギデオンの密集軍/Gideon’s Phalanx》
《よろめくグール/Shambling Ghoul》
《ジョラーガの祈祷/Joraga Invocation》
《地底の斥候/Subterranean Scout》
《焦熱の結末/Fiery Conclusion》
《ナントゥーコの鞘虫/Nantuko Husk》
上でも触れたように、赤いカードは色的な理由で上にきているものもあるが、《焦熱の衝動/Fiery Impulse》に関しては、赤でない色だったとしても最強コモンの座は譲らなかったろう。赤の3マナ域はどれも強力なものの、複数種類存在するので、3マナばかり膨れ上がらないよう気を付けてピックしないと、3マナ域ばかり6枚とか、過剰な数が集まってしまいかねない。《地底の斥候/Subterranean Scout》が比較的上に来ているのは、私が唯一積極的に採用したいと思う赤い2マナ域だったため。《魔道士輪の暴漢/Mage-Ring Bully》も《ドラゴンの餌/Dragon Fodder》も微妙だった。
《葉光らせ/Leaf Gilder》と《閉所恐怖症/Claustrophobia》は、どちらも他環境ならもっと高評価されるべきカードだが、マジック・オリジンの環境を加味しての順位で低くなっている。緑には《エルフの幻想家/Elvish Visionary》、《葉光らせ/Leaf Gilder》、《森林群れの狼/Timberpack Wolf》と優秀な2マナ域が3種類もあるので、葉光らせを少しだけ低めにみても、マナカーブが十分整うことが多い。青はコモンやアンコモンに強いカードが少ないので、島の枚数を絞ったサポートカラーになりやすい。その場合、《閉所恐怖症/Claustrophobia》が唱えづらくなるので、それを見越して少し下げた。
それと最後に、強いながらリスキーなカードについて。
・《魂の貯蔵者、コソフェッド/Kothophed, Soul Hoarder》は6/6飛行で他にテキストがない方が多分強かった。能力が強制なので死にかねない。
・《強欲なドラゴン/Avaricious Dragon》は終盤引くと協力なものの、4ターン目に出すとあっさり自滅できる。6マナクリーチャー、そう、能力のついた《黄金造りの歩哨/Gold-Forged Sentinel》ぐらいに考えておくとちょうどいい。
・《飛行機械の諜報網/Thopter Spy Network》はデッキ次第でぶっ壊れにも紙屑にもなり得る。結構デッキを寄せないといけないので、アーティファクトや飛行機械トークンを出す手段が最低5枚はないと使わないことにしている。
・7マナのレア連中は、どれも単体でゲームに勝利できるカードばかりだが、7マナに届かせるのは環境柄結構大変。なので個人的には、強コモンやアンコモンをさしおいては取らないようにしている。
多色アンコモン・他
《猛火のヘルハウンド/Blazing Hellhound》
《ゼンディカーの具現/Zendikar Incarnate》
《イロアスの勇者/Iroas’s Champion》
《ならず者の道/Rogue’s Passage》
《鋳造所の隊長/Chief of the Foundry》
《白蘭の騎士/Knight of the White Orchid》
《ロウクスのやっかいもの/Rhox Maulers》
《大群の力/Might of the Masses》
《包み込む霧/Enshrouding Mist》
《剛力化/Titanic Growth》
《進化する未開地/Evolving Wilds》
《精霊信者の剣/Sword of the Animist》
《投げナイフ/Throwing Knife》
《森林群れの狼/Timberpack Wolf》
《前線の僧侶/Cleric of the Forward Order》
《霊気への抑留/Anchor to the AEther》
《輪の信奉者/Disciple of the Ring》
《瘡蓋族の狂戦士/Scab-Clan Berserker》
《ファリカの信奉者/Pharika’s Disciple》
《エルフの幻想家/Elvish Visionary》
《異臭のインプ/Fetid Imp》
《ラノワールの共感者/Llanowar Empath》
《天界のほとばしり/Celestial Flare》
《死橋のシャーマン/Deadbridge Shaman》
《意志を砕く者/Willbreaker》
《跳ねる混成体/Bounding Krasis》
《雷鳴のワイヴァーン/Thunderclap Wyvern》
《取り憑かれたスカーブ/Possessed Skaab》
《城塞の主/Citadel Castellan》
《隠棲した工匠/Reclusive Artificer》
《群れのシャーマン/Shaman of the Pack》
多色のアンコモンの評価は大体このくらい。赤の強い奴らが上位で、確かに強力なカードではあるものの、初手から2色決めることを考えての評価だ。
ここにある2色のカードを見ると、その色の組み合わせをやる際に、優先して取っていいカードが分かるようになっている。たとえば赤黒なら、《猛火のヘルハウンド/Blazing Hellhound》とシナジーを形成する《反逆の行動/Act of Treason》は他の組み合わせで使うより強い。同様に、《蘇りしケンタウルス/Returned Centaur》は《取り憑かれたスカーブ/Possessed Skaab》のある青黒で使うといい感じだし、《飛空士志願者/Aspiring Aeronaut》は《雷鳴のワイヴァーン/Thunderclap Wyvern》のある青白で使いたい。といった具合だ。その色でどんな戦略が有効かざっと理解するのに最適。
土地は無色で色を決めなくていいので、比較的高評価になっている。《ならず者の道/Rogue’s Passage》は、ダブルシンボルの無いデッキで使うならかなり強いし、マナ基盤の安定のために《進化する未開地/Evolving Wilds》も1~2枚入れられるとかなり心強い。
《意志を砕く者/Willbreaker》は結構面白くて、《秘儀術師の掌握/Grasp of the Hieromancer》、《アクロスの看守/Akroan Jailer》、《錬金術師の薬瓶/Alchemist’s Vial》、《眼腐りの暗殺者/Eyeblight Assassin》、《イェヴァの腕力魔道士/Yeva’s Forcemage》といった好相性な相方が存在するものの、そのどれもが単体で強いと言い切れるカードでないし、コンボ要素のない《意志を砕く者/Willbreaker》は使用に堪えない。ベンチを温めてることが多いとしても、ここら辺のカードとの比較でピックしておく分にはいいかもね。
デッキに入る、まあまあのカード
《アンプリンの戦術家/Ampryn Tactician》
《眼腐りの暗殺者/Eyeblight Assassin》
《タイタンの力/Titan’s Strength》
《力強い跳躍/Mighty Leap》
《ガイアの復讐者/Gaea’s Revenge》
《反逆の行動/Act of Treason》
《血による聖別/Consecrated by Blood》
《狩漁者/Watercourser》
《肉袋の匪賊/Fleshbag Marauder》
《眼腐りの虐殺/Eyeblight Massacre》
《破衝車/Ramroller》
《ルーンの苦役者/Runed Servitor》
《黄金造りの歩哨/Gold-Forged Sentinel》
《秘儀術師の掌握/Grasp of the Hieromancer》
《心酔させる勝者/Enthralling Victor》
《イェヴァの腕力魔道士/Yeva’s Forcemage》
《スカーブの大巨人/Skaab Goliath》
《護輪のフクロウ/Ringwarden Owl》
《突進するグリフィン/Charging Griffin》
《飛空士志願者/Aspiring Aeronaut》
《溶鉄の渦/Molten Vortex》
《金切り声のスカーブ/Screeching Skaab》
《巡礼者の道の騎士/Knight of the Pilgrim’s Road》
《果樹園の霊魂/Orchard Spirit》
《骨読み/Read the Bones》
《錬金術師の薬瓶/Alchemist’s Vial》
《炎魔の精霊/Firefiend Elemental》
《トゲイノシシ/Prickleboar》
《屑肌のドレイク/Scrapskin Drake》
《領事の鋳造所/Foundry of the Consuls》
《エレボスのタイタン/Erebos’s Titan》
《ニッサの天啓/Nissa’s Revelation》
《臨海の護衛/Maritime Guard》
《荒廃唱え/Blightcaster》
《血に呪われた騎士/Blood-Cursed Knight》
《万神殿の伝令/Herald of the Pantheon》
《ドラゴンの餌/Dragon Fodder》
《魔道士輪の暴漢/Mage-Ring Bully》
《聖なる鋳造所/Sacred Foundry》
《ヤヴィマヤの沿岸/Yavimaya Coast》
《シヴの浅瀬/Shivan Reef》
《ラノワールの荒原/Llanowar Wastes》
《コイロスの洞窟/Caves of Koilos》
《屍術的召喚/Necromantic Summons》
《分散/Disperse》
《ミジウムの干渉者/Mizzium Meddler》
《絡み爪のイトグモ/Hitchclaw Recluse》
《天使の墳墓/Angel’s Tomb》
《武勇の印章/Sigil of Valor》
《隠れ潜む自動機械/Lurking Automaton》
《ヴリンの翼馬/Vryn Wingmare》
《蘇りしケンタウルス/Returned Centaur》
ここら辺までが、デッキには入れるものの初手では取りたくないカード。
いくつかコメントをば。
・この環境の《骨読み/Read the Bones》はあまり好きになれない。勿論デッキに入れられる強さではあるものの、3マナとライフ2点を支払って盤面に何も影響しないカードを使うというのは、テンポ環境において自殺行為にすらなり得る。
・《荒廃唱え/Blightcaster》と《血に呪われた騎士/Blood-Cursed Knight》が低めなのは、白黒が罠っぽい組み合わせだから。この2枚はエンチャントに依存することになるものの、そもそもエンチャントの数が少ないし、事が都合よく運んだとしても、それだけで圧倒できるようなシナジーではない。更にそもそも上手く回ってくれないことも多く、できれば白黒は避けた方がいいと思う。
・2色合っているなら、ペインランドはかなり優先して取りたい。安定したマナ基盤は大切。だけど2色のカードみたいなものなので、初手的には低評価。
・《臨海の護衛/Maritime Guard》など、見ていてかなり悲しくなってくるが、この環境では1度ならずデッキに入れた。とにかく2マナが大切なので。
・《ヴリンの翼馬/Vryn Wingmare》は強そうに見えるものの、飛行機械トークンがそこかしこにいる関係で、タフネス1の飛行が活躍するのは難しい。
DNの字数制限に引っかかったので分割します。
後編
http://misdirection.diarynote.jp/201508130012592448/
コメント
本文中の《不純な飢え/Vicious Hunger》ですが、不浄な飢え/Unholy Hungerではないでしょうか?
読みに来ていただいてありがとうございました。
修正しました。ご指摘ありがとうございます。