◆ 【翻訳】戦乱のゼンディカー リミテッドレビュー 白 (by LSV)
 
 Battle for Zendikar Limited Set Review – White
 
 Luis Scott-Vargas, 2015年9月21日
 
 http://www.channelfireball.com/articles/battle-for-zendikar-limited-set-review-white/
 
 《群れネズミ/Pack Rat》と《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》は、リミテッド凶悪カード殿堂入りだ。なので点数表の例には違うカードをつけることにしたよ。
 
 
 5.0点 強すぎる神いわゆるゴッド。《城塞の包囲/Citadel Siege》、《風番いのロック/Wingmate Roc》、《龍王アタルカ/Dragonlord Atarka》
 
 4.5点 素晴らしい爆弾レアだが、対処できなくはない。《悲劇的な傲慢/Tragic Arrogance》、《つむじ風のならず者/Whirler Rogue》、《氷瀑の執政/Icefall Regent》、《搭載歩行機械/Hangarback Walker》

 4.0点 優秀なレアや、それに比肩し得るアンコモン。《ケラル砦の修道院長/Abbot of Keral Keep》、《ジェスの盗人/Jhessian Thief》、《究極の価格/Ultimate Price》

 3.5点 最強コモンや優良アンコモン。《分離主義者の虚空魔道士/Separatist Voidmage》、《焦熱の衝動/Fiery Impulse》、《勇壮な対決/Epic Confrontation》

 3.0点 ほぼデッキに入る良カード。《死橋のシャーマン/Deadbridge Shaman》、《空荒らしの巨人/Skyraker Giant》、《狩漁者/Watercourser》

 2.5点 まず抜けることのないカード。《骨読み/Read the Bones》、《シルムガルの解体者/Silumgar Butcher》、《龍傷負いの熊/Dragon-Scarred Bear》

 2.0点 数合わせでデッキに入る。でもたまに抜けるカード。《投げナイフ/Throwing Knife》、《チャンドラの憤怒/Chandra’s Fury》、《巧みな機動/Artful Maneuver》

 1.5点 頭数の水増し。入るかどうかは半々くらい。《巨森を喰らうもの/Vastwood Gorger》、《飛空士志願者/Aspiring Aeronaut》、《暴れ玉石/Cobblebrute》
 
 1.0点 数合わせとしても役不足。ほぼ入らない。《茨弓の射手/Thornbow Archer》、《深海の恐怖/Deep-Sea Terror》、《アクロスの看守/Akroan Jailer》

 0.5点 ギリギリデッキに入るかどうかなカード。もしくはサイドボード用カード。《汚損破/Vandalblast》、《蔦の罠/Vine Snare》、《集い/Congregate》

 0.0点 役立たず。《陶酔/Fascination》、《無限の抹消/Infinite Obliteration》


レビューの前にちょっとだけ。満点の5点に関して、多少甘めに5点をつけるけど理解してほしい。厳格に候補を審査して絶対に5点をつけない、なんてやり方がリミテッドレビューに役立つとは思えないからね。確かに《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》や《群れネズミ/Pack Rat》は別格の強さだったけれど、《城塞の包囲/Citadel Siege》や《龍王アタルカ/Dragonlord Atarka》だって、5点の面々に名を連ねていいだけのカードだ。だから他のレビューより満点のカードが多くなるかもしれない。それでもセット中最強なら5点、というようにはつけないけどね。セットの中で最強でも、5点には及ばないなんてこともあるよ。

《回生の天使/Angel of Renewal》
 リミテッド3.5点
 最近は高速環境が多かったけれど、依然6マナ4/4飛行はリミテッドで強力だ。回生の天使のいいところは、最低1点のライフゲインが保証されているところ。大体は3~4点くらい見込めるんじゃないかと思うけど、活躍するだけの時間を自分で稼いでくれそう。重たいカードの弱さとして、バウンスや除去に弱いことが挙げられると思う。ライフ回復はとても頼もしい。こいつがバウンスされたからといって、ゲーム展開上圧倒的不利になるわけではないし、除去を喰らってもライフがあればすぐ窮地に陥ることはないだろう。それにデッキによっては6点以上とか回復できるかもしれない。ビートダウン相手のフィニッシャーとして適任だろう。あとこっちのデッキがエルドラージ・末裔がわらわらするようなら、タッチで使っても悪くないと思うよ。
《天使の贈り物/Angelic Gift》
 リミテッド2.0点
 名前の割に贈り物の中身は大したことないみたいだけど、軽い気持ちで受け取れるね。仲の良い同僚に贈るプレゼントみたいな。軽いデッキに喜んで入れたい一枚だけど、あまり早くから貼っていけるようでなければ抜けると思う。本体に通したいクリーチャーがいれば価値は上がるけど、白には多くないんだよね。相手のクリーチャーに貼ってサイクリングもできるけど、できれば遠慮しておきたい。
《絶壁の見張り/Cliffside Lookout》
 リミテッド1.5点
 1マナ1/1とか目を見張りかねない弱さだと思うけど、能力は中々だ。クリーチャーがぎっしり詰まったような、前のめりなデッキだと活躍できると思うけど、そんな肉の多いデッキでももっと良いフィニッシャーがいそうな気がする。良い点として、他のプレイヤーもそんなに急いで取らないだろうから、横に並べて攻めるデッキになったときに備えて、1,2枚労せずに取れるだろう。この手の専用デッキでだけ非常に強力なカードは、実力以上に評価してしまいがち。個人的にはこういうカード、歓迎したい。使うべきときとそうでないときをはっきり理解することで報われるって嬉しいよね。
《グリフィンの急使/Courier Griffin》
 リミテッド3.0点
 嬉しいサイズ、場に出たときの能力、攻めても守ってもいい、求心力のあるイケメンだ。
《エメリアの番人/Emeria Shepherd》
 リミテッド3.5点
 番人の強さだけど、環境がどのくらい早いかがカギになると思う。おっと、こいつだけじゃなく他の6マナ以上のカード評価もね。超高速環境なら、いかに強力でも6マナ生物の評価は下げることになるだろう。実際のところ番人は強力だし、コントロールデッキの核になるくらいの力はある。しかしどうもエルドラージ覚醒のときほどゆっくりな環境ではなさそうなのが気になってね。前回ゼンディカーでは、上陸クリーチャーによる猛攻であっさりゲームが終わることが多かったし、マナ加速も《草茂る胸壁/Overgrown Battlement》や《コジレックの捕食者/Kozilek’s Predator》に並ぶようなのはいなかった。優秀なマナ加速が多かったのも、エルドラージ覚醒で8マナ以上がぽんぽん唱えられた理由の一つだね。エルドラージ覚醒と普通のリミテッド環境の速さには随分差があるから、前ほど遅く見えなくても重いカードを堪能することはできるかもしれない。
 
 パッと見た印象だと、普通の環境よりは重たいクリーチャーを出すためのカードが多いように見える。エメリアの番人みたいなカードは、専用デッキを組んでこそ強い。組むためのパーツはちらほらある模様だ。2マナから始まる強襲デッキを無視してかかれるとか、7マナ以上のカードを何も考えずに入れていいとか、そういうことじゃない。単に、前2つのセットと見比べてみて、重たいところを出すためのカードが多いってことだね。
 
 番人だけど、こいつは8マナの呪文として扱った方がいい。唱えてすぐ平地を出せばとっても幸せ。平地でなくても上陸できればアドバンテージになる。対処できなければ速やかにゲームが終わる類のカードだし、出してすぐに上陸を使えるまで耐えられれば、まず損はしないよ。
《取り囲む地割れ/Encircling Fissure》
 リミテッド3.0点
 純粋にコンバットトリックとして評価すると、最初の5~6ターンの間に3マナ使ってやることとしては、せいぜい許してもいいかな、くらいのものだろう。しかし終盤になったら凄いぜ。単体でも奇襲のチャンスだけど、場合によっては戦局をひっくり返すことすら可能だろう。簡単に2,3人は地割れに引きずり込める。ただ露骨だと相手にケアされるし、用心深く攻めてくる相手には効果が薄い。特に環境理解が進んだ後は警戒されるだろうね。
《探検隊の特使/Expedition Envoy》
 リミテッド2.5点
 口を酸っぱくしていつも言ってるけど、1マナクリーチャーは過大評価されがちだ。2マナがぎっしり詰まったデッキでもない限り、こいつは1ターン目に出そうが2ターン目に出そうが大差ない。構築では1ターン目からマナカーブに沿った展開できるから、1マナが真価を発揮するのは構築だ。色々言ったけど、2/1が欲しいデッキで使うなら申し分なし。白ければ何も考えず入るようなカードではないよ。
《フェリダーの仔/Felidar Cub》
 リミテッド2.5点
 2マナ2/2な上にメリット能力持ち。模範的な良クリーチャーだね。オリジンのときと比べてそこまでオーラは多くなさそうだから、取ったら無条件で投入できるというわけにはいかなそうだけど、アンコモンのエンチャントには、こいつをぶつけたくなるような顔ぶれが結構あるぞ。
《フェリダーの君主/Felidar Sovereign》
 リミテッド4.0点
 君子は豹変すというが、確かにこいつは猫科のビーストだ。テキストのうち下の行はフレーバーテキストみたいなものだとしても、そんなことは歯牙にもかけぬ強さ。除去がなければダメージレースをするのは不可能に近いし、壁として立ちはだかることだろう。典型的な6マナの爆弾レアだが、こいつを平然と超える生物のいるセットだと、ちょっぴり見劣りすることがあるかもしれない。フェリダーの君主のいいところとしては、マナ加速するデッキでなくても無理なく唱えられるってのは長所だね。ドラフト序盤で見かけたらとにかくすぐ確保したい。
《城砦化した塁壁/Fortified Rampart》
 リミテッド1.5点
 ブロッカーに関してはマニアなことを自負する俺だが、ブロック専門とはいえちょっとでいいからパワーはついててほしかった。確かにこいつは地上クリーチャーを止めてくれるけど、パワー0だと1体ブロックできても、横に並んだ連中への抑止力にはならないね。守るデッキで2マナが必要になったら、相応の働きはするだろうけれど、期待を上回るような堅牢さとかはないと思う。

コメント

osa
2015年9月24日22:18

翻訳お疲れ様です!
英語弱い勢として、今回も楽しみにさせていただきます。
どうか無理のないペースで進めていってください。

5点の価値変更は、あんまり点数を渋めにつけると「地味セット」の印象を与えるから、そのへんからの脱却を図って、でしょうかね?

Taku
2015年9月25日23:24

> osaさん

コメントありがとうございます!
前回久々に頓挫してしまったので、今回は完走するぞっと。

5点の価値基準ですが、かつてファミ通のクロスレビューが、長い間頑なに40点満点をつけなかったのに近いかもしれません。
「まだだ、これはまだ満点じゃない」と、まだ見ぬゲームたちに期待を託し、もしかすると後の時代に評価すれば満点をつけたかもしれないゲームたちに、敢えて満点をつけなかったような……。
翻ってカード評価でいうと、例えば龍王アタルカの場合「でももっと強いクリーチャーが今後刷られるかもしれないよね。だから4.5点」といったように、どんなカードに対しても5点をつけず4.5点くらいにしておくこともできます。そんな風に5点の座を敢えて空位にしておいても、リミテッドレビュー的にそれはあまり意味がないよね、というのがLSVの文章の本意です。

ちょっと長い上分かりにくくてすみません。
より分かりやすい訳を目指して精進!ですね。

nophoto
2015年9月26日9:33

点数表を作ろうとして、絶対評価にこだわるあまり全然10点がつかなくて
結局ほとんどのプレイアブルが6〜7点に収まってしまう、みたいな。
様々なところで似た問題を見ますが、プロが単独でやってるレビューでも発生するというのは
なんだか根深い、深層心理に基づいた何かを感じずにはいられませんね。

nophoto
あるプレイヤー
2015年9月26日9:54

いつも翻訳ありがとうございます!
今回の殿堂入りはこれまで十手とネズミが目の上のたんこぶだったんだなー、という感じがひしひしと伝わってきますね・・・

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