◆ 【翻訳】チャネル・ファイアーボール・チーム・パンテオンの使ったジャンド
The Pantheon Deck Tech: Jund
By Reid Duke 2016年2月日
http://www.channelfireball.com/articles/the-pantheon-deck-tech-jund/
昔ながらの手堅いデッキ。
もう長いこと、モダンのジャンド(黒赤緑)に手ごたえを感じられない日々を過ごしていた。《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》と《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》が禁止されて以来、ジャンドはモダンのデッキらしい、単純な強さを失ってしまっていた。依然として十分戦うことはできるし、対策すれば特定の相手には勝つことができる。しかしここ数か月ジャンドを使っていて思ったのは、一つのトーナメントに限定しても、あまりに多様な戦略への対処を求められるということで、ジャンドは今や、いつ完全に凋落してもおかしくない、苦しい状況だと感じていた。
そのような状況とはいえ、モダンジャンドはもう創業何年も経つ老舗だ。モダン環境に激震が走るたび、もう一度検討する価値のあるデッキといえるだろう。《欠片の双子/Splinter Twin》デッキはジャンドにとって有利なことが多かったので、今回の禁止改訂がジャンドにとって福音になるとは思えなかったが、とにかく試してみることにした。
そしてなんと、こんなに驚いたことはないと言っていいくらい驚嘆する結果となった。ジャンド有利のゲームはとても多く、特にプロツアーの仮想敵と定めたデッキの多くに対して有利だったのだ。なぜ、《欠片の双子/Splinter Twin》と《花盛りの夏/Summer Bloom》の禁止が、ジャンドにとって有利に働いたのか?考えてみたところ、4つほど理由を思いついた。
・ジャンドにとって、アミュレット・ブルーム(Amulet Bloom)相手の対戦は超不利だった。
・禁止によって、多少なりとも環境全体のカードパワーが低くなった。
・双子デッキは一般的に、他のコンボ相手に強く、まっとうな戦略で攻めてくる「フェアデッキ」が苦手だった。双子がいなくなった以上、アブザンやグリクシスコントロールなどを選択する旨味が薄くなり、結果ジャンドにとって骨の折れる相手だった、これらコントロールが減った。
・ジャンドが一番輝くのは、環境でどんなデッキと相対するかを完璧に予測できて、それに合わせたデッキ構築をできるとき。モダンからアミュレットと双子が消え、バーンや親和といった既存のデッキに対象を絞ることができるようになった。
上の理由と、経験値があるという理由で(それに重要な要因として、使っていて楽しかったし)、私とチームメイトのシャハール・シェンハー(Shahar Shenhar)は、プロツアー・ゲートウォッチの誓いにジャンドを持ち込むことにした。
大きく変わった点は、《ゲトの裏切り者、カリタス/Kalitas, Traitor of Ghet》を採用したこと。カリタスは消耗戦、相手のカードを全部除去するジャンドのために生まれてきたようなカードだ。除去を握りしめながらカリタスを出してターンが返ってきたら、流れは完全にこっちのもの。相手は相当苦しい戦いを強いられることになるだろう。殺戮の契約、炎の印章、ヴェールのリリアナなどがあれば、唱えたターンのうちに除去することも可能だ。
特にアブザン《集合した中隊/Collected Company》に対しては劇的な強さを発揮する。《シルヴォクののけ者、メリーラ/Melira, Sylvok Outcast》絡みのコンボは完全に止まる上、除去されやすいタフネスが1や2のクリーチャーは、カリタスが出てしまうと不安要素以外の何でもない。3/4絆魂というサイズはバーンに対して強烈だし、《電結の荒廃者/Arcbound Ravager》や《コラガンの命令/Kolaghan’s Command》に対しても有効だ。
《ゴブリンの先達/Goblin Guide》、《信号の邪魔者/Signal Pest》、《ぎらつかせのエルフ/Glistener Elf》などが走ってくるモダンは高速環境なので、1マナの除去を追加で1枚取りたかった。
炎の印章は、タルモゴイフの餌になることを買ってと、序盤に置いておいてカリタスを着地させてから使う目的で採用した。マナを先行投資しておくのは、各種コンバットトリックを擁する感染、またインスタントタイミングで《頭蓋囲い/Cranial Plating》の装備を狙ってくる親和に対しても有効だ。他にもちらほら嬉しいことはあって、例えばグリクシスコントロールコントロールが出してくる、高タフネスの《グルマグのアンコウ/Gurmag Angler》を焼く用途に最適。グリクシスはよく、1枚目の稲妻を通して2枚目の稲妻を打ち消してくるが、《炎の印章/Seal of Fire》を先置きしておくと、1枚目の稲妻を消さざるを得ない。結果、除去を2枚も無駄撃ちさせられるリスクを軽減することができる。
《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》は、バーンに対する5枚目のライフゲインカードだ。《強情なベイロス/Obstinate Baloth》や《スラーグ牙/Thragtusk》ほど、即時に回復できる量は多くないものの、《アタルカの命令/Atarka’s Command》や《頭蓋割り/Skullcrack》に対しては狩猟者の漸次的な回復の方がずっと有効だ。《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》は電撃戦をしかけてくるような相手以外には大概強い。メインデッキの中で相手に対してあまり有用でないカードを、より効果的なカードを入れ替えるという、ジャンドのサイドボードの性質を考えると、クルフィックスの狩猟者は枚数を調整するのに役立つ、丸いカードとしての役割があるのだ。
ジャンドの組み方は無数にあって、どんな敵が相手でも、組み方次第で有利をつける構築が可能だ。今週末、バーン、親和、感染、他クリーチャーデッキを当たるのを楽しみにしている。アブザン、ランプ系のマナ加速デッキ、それにコンボ相手は、今の組み方だと、そういった相手に刺さるカードも入っているから、いい手札が来るようにお祈りするしかない。といっても、1ターン目思考囲い、2ターン目タルモゴイフという流れを一笑に付すことのできる相手は、今のモダンでもそうそういないはずだ。
The Pantheon Deck Tech: Jund
By Reid Duke 2016年2月日
http://www.channelfireball.com/articles/the-pantheon-deck-tech-jund/
昔ながらの手堅いデッキ。
もう長いこと、モダンのジャンド(黒赤緑)に手ごたえを感じられない日々を過ごしていた。《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》と《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》が禁止されて以来、ジャンドはモダンのデッキらしい、単純な強さを失ってしまっていた。依然として十分戦うことはできるし、対策すれば特定の相手には勝つことができる。しかしここ数か月ジャンドを使っていて思ったのは、一つのトーナメントに限定しても、あまりに多様な戦略への対処を求められるということで、ジャンドは今や、いつ完全に凋落してもおかしくない、苦しい状況だと感じていた。
そのような状況とはいえ、モダンジャンドはもう創業何年も経つ老舗だ。モダン環境に激震が走るたび、もう一度検討する価値のあるデッキといえるだろう。《欠片の双子/Splinter Twin》デッキはジャンドにとって有利なことが多かったので、今回の禁止改訂がジャンドにとって福音になるとは思えなかったが、とにかく試してみることにした。
そしてなんと、こんなに驚いたことはないと言っていいくらい驚嘆する結果となった。ジャンド有利のゲームはとても多く、特にプロツアーの仮想敵と定めたデッキの多くに対して有利だったのだ。なぜ、《欠片の双子/Splinter Twin》と《花盛りの夏/Summer Bloom》の禁止が、ジャンドにとって有利に働いたのか?考えてみたところ、4つほど理由を思いついた。
・ジャンドにとって、アミュレット・ブルーム(Amulet Bloom)相手の対戦は超不利だった。
・禁止によって、多少なりとも環境全体のカードパワーが低くなった。
・双子デッキは一般的に、他のコンボ相手に強く、まっとうな戦略で攻めてくる「フェアデッキ」が苦手だった。双子がいなくなった以上、アブザンやグリクシスコントロールなどを選択する旨味が薄くなり、結果ジャンドにとって骨の折れる相手だった、これらコントロールが減った。
・ジャンドが一番輝くのは、環境でどんなデッキと相対するかを完璧に予測できて、それに合わせたデッキ構築をできるとき。モダンからアミュレットと双子が消え、バーンや親和といった既存のデッキに対象を絞ることができるようになった。
上の理由と、経験値があるという理由で(それに重要な要因として、使っていて楽しかったし)、私とチームメイトのシャハール・シェンハー(Shahar Shenhar)は、プロツアー・ゲートウォッチの誓いにジャンドを持ち込むことにした。
ジャンド
土地
3:《怒り狂う山峡/Raging Ravine》
1:《森/Forest》
2:《沼/Swamp》
1:《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
2:《草むした墓/Overgrown Tomb》
1:《血の墓所/Blood Crypt》
4:《新緑の地下墓地/Verdant Catacombs》
4:《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》
1:《樹木茂る山麓/Wooded Foothills》
4:《黒割れの崖/Blackcleave Cliffs》
1:《黄昏のぬかるみ/Twilight Mire》
クリーチャー
4:《タルモゴイフ/Tarmogoyf》
4:《闇の腹心/Dark Confidant》
4:《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》 (※原文ママ)
2:《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》
2:《ゲトの裏切り者、カリタス/Kalitas, Traitor of Ghet》
2:《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
呪文
4:《コジレックの審問/Inquisition of Kozilek》
2:《思考囲い/Thoughtseize》
1:《炎の印章/Seal of Fire》
4:《稲妻/Lightning Bolt》
2:《終止/Terminate》
2:《突然の衰微/Abrupt Decay》
1:《コラガンの命令/Kolaghan’s Command》
1:《大渦の脈動/Maelstrom Pulse》
1:《殺戮の契約/Slaughter Pact》
サイドボード
2:《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》
1:《強迫/Duress》
1:《思考囲い/Thoughtseize》
1:《見栄え損ない/Disfigure》
2:《古えの遺恨/Ancient Grudge》
2:《粉砕の嵐/Shatterstorm》
2:《渋面の溶岩使い/Grim Lavamancer》
2:《大爆発の魔道士/Fulminator Mage》
1:《塵への崩壊/Crumble to Dust》
1:《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》
大きく変わった点は、《ゲトの裏切り者、カリタス/Kalitas, Traitor of Ghet》を採用したこと。カリタスは消耗戦、相手のカードを全部除去するジャンドのために生まれてきたようなカードだ。除去を握りしめながらカリタスを出してターンが返ってきたら、流れは完全にこっちのもの。相手は相当苦しい戦いを強いられることになるだろう。殺戮の契約、炎の印章、ヴェールのリリアナなどがあれば、唱えたターンのうちに除去することも可能だ。
特にアブザン《集合した中隊/Collected Company》に対しては劇的な強さを発揮する。《シルヴォクののけ者、メリーラ/Melira, Sylvok Outcast》絡みのコンボは完全に止まる上、除去されやすいタフネスが1や2のクリーチャーは、カリタスが出てしまうと不安要素以外の何でもない。3/4絆魂というサイズはバーンに対して強烈だし、《電結の荒廃者/Arcbound Ravager》や《コラガンの命令/Kolaghan’s Command》に対しても有効だ。
《ゴブリンの先達/Goblin Guide》、《信号の邪魔者/Signal Pest》、《ぎらつかせのエルフ/Glistener Elf》などが走ってくるモダンは高速環境なので、1マナの除去を追加で1枚取りたかった。
《炎の印章/Seal of Fire》
炎の印章は、タルモゴイフの餌になることを買ってと、序盤に置いておいてカリタスを着地させてから使う目的で採用した。マナを先行投資しておくのは、各種コンバットトリックを擁する感染、またインスタントタイミングで《頭蓋囲い/Cranial Plating》の装備を狙ってくる親和に対しても有効だ。他にもちらほら嬉しいことはあって、例えばグリクシスコントロールコントロールが出してくる、高タフネスの《グルマグのアンコウ/Gurmag Angler》を焼く用途に最適。グリクシスはよく、1枚目の稲妻を通して2枚目の稲妻を打ち消してくるが、《炎の印章/Seal of Fire》を先置きしておくと、1枚目の稲妻を消さざるを得ない。結果、除去を2枚も無駄撃ちさせられるリスクを軽減することができる。
《見栄え損ない/Disfigure》サイドボードを見ると、火力を使えるデッキで見栄え損ない?と疑問に思われるかもしれないが、「赤くない」見栄え損ないでなければならない理由がある。プロテクション(赤)の《波使い/Master of Waves》や《ファイレクシアの十字軍/Phyrexian Crusader》といったクリーチャーを除去することができるというのが理由の一つ。しかしより重要な点として、見栄え損ないが初手にあると、1ターン目に走ってくる《ゴブリンの先達/Goblin Guide》に対して、《血の墓所/Blood Crypt》や《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》にライフを支払わず、沼で対処することができるのだ。バーンをいなす展開としてよくあるのは、1ターン目のゴブリンの先達を見栄え損ないで迎撃し、返すターンで《コジレックの審問/Inquisition of Kozilek》や《強迫/Duress》を撃ちつつ、ショックランドをタップインするという流れだ。
《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》プロツアー・『ゲートウォッチの誓い』のメタゲームを見据えて、台所の嫌がらせ屋を多めに採用した。モダンにおいて、バーンやナヤブリッツといったデッキはいつも強敵だと思っているが、プロツアーでもやはり多くの人が使用するだろう。《野生のナカティル/Wild Nacatl》や《大歓楽の幻霊/Eidolon of the Great Revel》といったカードを使う相手にとって、台所の嫌がらせ屋は最も有効なカードの一つ。メインサイド合わせて上限まで取ることにした。
《渋面の溶岩使い/Grim Lavamancer》やっと拘りのカードについて話せる段まできた!1つは《渋面の溶岩使い/Grim Lavamancer》。《荒廃の工作員/Blighted Agent》、《鏡割りのキキジキ/Kiki-Jiki, Mirror Breaker》、《族樹の精霊、アナフェンザ/Anafenza, Kin-Tree Spirit》といったクリーチャーを使うコンボを使うプレイヤーに渋い顔をさせられるカードだ。親和やマーフォークに対しても強く、アブザンやZooといった、膠着しやすいマッチアップでも強い。
《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》
《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》は、バーンに対する5枚目のライフゲインカードだ。《強情なベイロス/Obstinate Baloth》や《スラーグ牙/Thragtusk》ほど、即時に回復できる量は多くないものの、《アタルカの命令/Atarka’s Command》や《頭蓋割り/Skullcrack》に対しては狩猟者の漸次的な回復の方がずっと有効だ。《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》は電撃戦をしかけてくるような相手以外には大概強い。メインデッキの中で相手に対してあまり有用でないカードを、より効果的なカードを入れ替えるという、ジャンドのサイドボードの性質を考えると、クルフィックスの狩猟者は枚数を調整するのに役立つ、丸いカードとしての役割があるのだ。
ジャンドの組み方は無数にあって、どんな敵が相手でも、組み方次第で有利をつける構築が可能だ。今週末、バーン、親和、感染、他クリーチャーデッキを当たるのを楽しみにしている。アブザン、ランプ系のマナ加速デッキ、それにコンボ相手は、今の組み方だと、そういった相手に刺さるカードも入っているから、いい手札が来るようにお祈りするしかない。といっても、1ターン目思考囲い、2ターン目タルモゴイフという流れを一笑に付すことのできる相手は、今のモダンでもそうそういないはずだ。
コメント
でもちゃんと結果出してるってことは、これで普通にさばけるってことなのかな。
ちゃんとカバレッジ見るか。
通りすがりですがリンクさせて頂きました!
ジャンドと無色エルドラージのマッチアップはほぼ五分だそうです
トップ8こそ極端でしたが、プロツアー全体には、ターゲットにしていた層も結構いたみたいですので……。
> --さん
昇華者を使った黒単は前からいましたが、チャネル勢の持ち込んだ黒単エルドラージがそこまで大勢力だとは思わなかったため、既存のデッキを想定したということではないかと思います。
> kikさん
どうもありがとうございます!
コメント&リンク励みになります!
> 通りすがりさん
む、そうでしたか。
再度見てみたのですが発見できませんでした。でもご指摘ありがとうございます。
> NoNameさん
除去コンとしての本領を発揮できれば……といったところでしょうか。
予見者や砕くものを連発されると厳しそう。
でもジャンドもちゃんと戦えるというのは面白いですね!