◆ 【翻訳】イニストラードを覆う影 リミテッドレビュー 青 (by LSV)
 
 Shadows over Innistrad Limited Set Review – Blue
 
 Luis Scott-Vargas, 2016年3月29日
 
 http://www.channelfireball.com/articles/shadows-over-innistrad-limited-set-review-blue/
 
 
《秘密の解明者、ジェイス/Jace, Unraveler of Secrets》
 リミテッド4.5点
 ジェイスの秘密をバラすと、実はリミテッドでも強いんだ。高い初期忠誠値と、強力な能力2つを兼ね備えてる。プラス能力の占術&ドローは、使われる側からすると絶対に止めなきゃならないが、出てすぐにプラスしたら忠誠値はなんと6。この堅牢さを何とかするのは容易い事ではない。バウンスはジェイスが身を守るのに役立つし、高い初期忠誠値から2連発すればかなり勢いをそぐことができる。ジェイスを出して厄介なのをバウンス、次ターン5~6マナのクリーチャーを展開しつつまたバウンスとかませば、その間にこちらの盤面が構築できる。相手が再展開してきたなら、カードを引きに行けばいい。そうなったらもう後は、相手を好きに料理するだけ。忠誠値が上がったらまたバウンスするか考えてみてもいい。
《ジェイスの精査/Jace’s Scrutiny》
 リミテッド2.5点
 青いデッキならとりあえず1枚入れたい。とはいうものの、急いで手を出す必要はないよ。コンバットトリックとしては優秀なものの、キャントリップとしては重いし、複数枚入れて強いカードじゃない。戦闘とは無縁で盤面が平和そのものだったら、サイクリングしてしまってもいいというのは強みだね。あと、2:1交換も狙いやすい。
《ただの風/Just the Wind》
 リミテッド3.0点
 バウンスもまた、稼いだテンポ・アドバンテージをうまく利用しないと、カード消費的に痩せ細っていく効果だ。今回のはディスカードと一緒に使うと、カード消費的にお得な計算だね。とはいえマッドネスで軽くなるのはたった1マナなので、呪文なんかのコストの一部として、捨てるのが強制なときに捨てたい。《目録/Catalog》でこれを捨てたらなんと、往年の名カード《予言/Divination》と《送還/Unsummon》を撃ったかのような感動!アドとテンポが合わさり最強に見える。
《セルホフのランプ灯し/Lamplighter of Selhoff》
 リミテッド2.0点
 能力が1回限定になった《塵の予言者/Oracle of Dust》ってところか。青いデッキはブロッカーが欲しいことが多いし、ちょっとしたメリットもあって使いやすそう。
《躁の書記官/Manic Scribe》
 リミテッド1.0点
 本気でライブラリー破壊を狙わない限り、2マナ0/3で、相手に墓地アドを差し出すデメリット能力持ちのクリーチャーということになる。考えなしに使えるカードではないのでしっかり戦略を練ろう。《束の間の記憶/Fleeting Memories》と違って、昂揚という前提条件を満たしつつ生存してないと誘発しない能力だから、あまり期待はしてない。いったん削り始めたら早いから、ターボ昂揚コントロールデッキに2枚くらいいたら楽しいかもしれない。半年くらい付き合えば1回くらいはそんなデッキが組めることもあるだろ。
《収まらぬ思い/Nagging Thoughts》
 リミテッド1.5点
 他のマッドネスや昂揚関連のカードの例に漏れず、昂揚なんかのメカニズムを追求するデッキでは使うけど、そうでないなら不要。素のままでは2マナ相当の価値はないよ。でもマッドネスで使ったり、昂揚を達成する手段としては使えるかな。
《ネファリアの月ドレイク/Nephalia Moondrakes》
 リミテッド2.5点
 6マナだったらなと思わずにはいられない。7マナ5/5飛行にささやかなメリット能力くらいじゃ、重さの割にイマイチ。場に出たとき全軍を飛ばすだけじゃ力不足だから、墓地から使う能力がキモということになるだろう。手札から捨てるなりライブラリーから墓地に落とすなりすることで、全軍を飛ばして一撃必殺叩き込むのが有力だ。でも青くて7マナクリーチャーを採用するようなデッキは、そもそもそんなにクリーチャーを並べない。第一青いクリーチャーは元から飛んでるのも多い。コントロールでフィニッシャーを務めるだけの器はあるけど、過度に期待しない方がいいかもしれない。
《薄暮のニブリス/Niblis of Dusk》
 リミテッド3.0点
 割と3点ずつパンチを入れていけるし、工夫次第ではもっとダメージが出せそう。かなり強いと思う。素のままでも2/1飛行と十分なスペックだから、果敢をどの程度誘発できるかは関係なく採用できる。複数取れたらキャントリップを優先して、殴れるようにしてやろう。マッドネス環境だから、普通の環境より複数の呪文を唱えることが多そうというのも追い風だ。実際に使ったら評価が上がることも十分考えられる。
《継続する調査/Ongoing Investigation》
 リミテッド1.5もしくは3.5点
 緑マナが出なくても、回避能力持ちが多ければアドバンテージ源として使える。ただ普通にやったんじゃ、3回殴った後6マナも支払わないと黒字にならないわけでかなり悠長だ。真骨頂は別にある。
 
 青緑デッキでは、クリーチャーカード1枚をライフ2点に変換できるから生き延びる手段としては上々。ライフで稼いだ時間で、手がかりをドローに変換しよう。カードを引けばクリーチャーが引けて、クリーチャーが手に入れば殴って手がかりを生産したり、死んでからライフにしたりと自給自足的なことができる。2色合うならかなり強力なエンジンになりそうだから、是非調査を継続してくれたまえ。
《パズルの欠片/Pieces of the Puzzle》
 リミテッド1.0点
 そうそうパズルと戯れるようなデッキは作れないはずだから、真面目にやれば2・3枚は平気で集まるだろう。使うならインスタントとソーサリーが合わせて14枚以上は欲しい。とはいえ昂揚や墓地肥し目的で使うなら、呪文の占める割合が低いまま使っても用は足りるよ。
《熟読/Pore Over the Pages》
 リミテッド3.5点
 久々に元祖ラヴニカドラフトを楽しんだ後だから自信をもって言えるけど、《強迫的な研究/Compulsive Research》にはとても及ばない。だが5マナに到達しないと唱えられないとはいえ、3ドロー1ディスカードは素晴らしい。強迫的な研究と違って、土地が詰まり気味のときの助けにはならないけど、早くにとっていいし、是非お世話になりたいな。
《回答の強要/Press for Answers》
 リミテッド1.5点
 ソーサリーか。残念だな。それでも手がかりは手に入るし、前のめりなデッキでも需要はあるんじゃなかろうか。ただ攻撃クリーチャーをいなす場合、1ターンしかごまかせないのは痛いな。
《鎖鳴らし/Rattlechains》
 リミテッド3.5点
 《次元潜入者/Dimensional Infiltrator》同様、ほぼ2/1飛行・瞬速で、たまにもうちょい偉い。そんなカード。しかし呪禁をつける能力が噛み合ったときに除去をかわせるのはでかいし、スピリットをインスタントで出せるのも悪くない。スピリット中心の構築でなくても採用できるけど、こいつを取ったらスピリットは気持ち優先していいかもね。
《無謀な識者/Reckless Scholar》
 リミテッド4.0点
 それを 捨てるなんて とんでもない!今回のルーターはマジで強い。土地事故を和らげてデッキを回転させるいつもの仕事に加えてマッドネスを唱えたり昂揚を狙ったりと大忙しだろう。
《潮からの蘇生/Rise from the Tides》
 リミテッド1.0もしくは3.5点
 これぞまさにデッキの核になるカード。歯ごたえがありそうだぜ(腐肉を噛むのはゾッとしないが。しかも塩辛そう)。色々頑張って組み立ててスペルまみれのデッキにしてやれば、これだけで容易にゲームに勝てるだろう。ゾンビを5体以上出せば盤面制圧も簡単だ。タップ状態で出るせいでブロックできないのが欠点だが、是非使ってみたいね。
《海墓のスカーブ/Seagraf Skaab》
 リミテッド1.0点
 選択肢がないなら、ブロッカーとして使えなくもない。こんなのでもゾンビだから、その方面で役に立つことがあるかも。
《シルブールリンドのカミツキガメ/Silburlind Snapper》
 リミテッド1.5点
 昨今、コモンで6/6とか立派なサイズのクリーチャーが刷られるのはいい傾向だと思う。点数1.5点とかつけておいてなんだけど、多分、俺は随分お世話になると思う。ブロックには普通に参加できるし、いつも非クリーチャー呪文を多く採用するからね。そこまで需要があるカードとは思えないので、意識しなくても拾えるだろう。2枚は要らんし。
《沈黙の観察者/Silent Observer》
 リミテッド3.0点
 飛行にしてこの固さ、小躍りしたくなったよ。イニストラードを覆う影ドラフトで、さて何回唱えられるだろうか。ちくちく殴りにいくこともできるし、スピリットであることが役立つこともあるだろう。殴るデッキじゃ声がかからなそうだけど、一応回避能力は持ちだから論外というわけでもない。
《金縛り/Sleep Paralysis》
 リミテッド3.5点
 簡潔にして強力。青でここまで優秀な除去があるのは珍しい。先輩の《閉所恐怖症/Claustrophobia》はそういやイニストラードが初出だったね。元からマナ重くなってはいるが、シンボル的にはむしろ唱えやすくなってる。強化された面すらあるとか凄くない?
《驚恐の目覚め/Startled Awake》//《絶え間ない悪夢/Persistent Nightmare》
 リミテッド3.5点
 まず、なぜこれが《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》と対比されるか少し語りたい。問題は単純なカードとしての強さじゃなく、使われる側が指をくわえて見ていることしかできないのがダメなんだ。相手がこれを唱えてきたら、まあまず負けるだろう。止める手段はほとんどない。ライブラリーを13枚も削られたら、ガチで削りにこられなくても大体負けてしまうだろう。1発でゲームが終わらなかったとしても、1/1潜伏と止めにくいクリーチャーに襲われて、通ってしまえば確定で負け。バウンスで回収されても負けだ。こういう対話拒否系のカードは好きじゃないんだが、まあ神話レアに設定されてることでもあるし、そう頻繁に見かけないで済むことを祈ろう。こっちが使う分には超強力だから、早めにとったらうまく使えるよう、デッキを組んでやろう。コントロール風に組んで、これと数枚のライブラリー破壊カードで勝ちを狙うとかどうだろう。
《縫合の刻み獣/Stitched Mangler》
 リミテッド2.0点
 上から順に読んでいくと面白い。上の段落だけ見ると、出たターンにはブロックに参加できないと読める一方、続けて下の段落を見ると、実質ブロックしてるようなもんなのが分かる。ついでにブロッカー排除もこなすよ。攻めるデッキでもコントロールでも嬉しい。あとゾンビデッキにも奉公してくれるはずさ。
《縫い翼のスカーブ/Stitchwing Skaab》
 リミテッド3.5点
 実に強力かつ厄介なクリーチャーだ。4マナ3/1飛行だけでもパッとしないものの十分使える範囲だが、そんな飛行クリーチャーが後半土地が余り出した頃、不要な土地と引き換えに場に戻ってくと考えると実に厄介。しかも帰ってくる過程でマッドネスや昂揚まで狙えてしまう。1枚マッドネスできたとすると、たったの手札1枚で3/1飛行が帰ってくることになる。凄い!マッドネスと書いたカードが皆無でも、少し勿体ない気はするかもしれないが十分使える。色さえ合えば大体のデッキには入るだろう。
 
 マッドネスされるのを防ぐには、こいつを生かしておかなきゃならないってのが変わってて面白いね。普通は逆で、マッドネスのタネにされるから生かしておけないものだが。
《嵐乗りの精霊/Stormrider Spirit》
 リミテッド2.5点
 5マナ3/3飛行瞬速のコモンは、過去にも何種類かいた。経験則的には、今回もすんなり使えるかなと思うよ。重たいからピック序盤から張り切って集めなくていい。頑張って集めたのに抜けてしまうこともあるだろう。速さが足りない!と感じた諸兄は《鎖鳴らし/Rattlechains》と一緒に使って、瞬速中の瞬速を目指して実績解除しよう。
《氷の中の存在/Thing in the Ice》//《目覚めた恐怖/Awoken Horror》
 リミテッド1.0もしくは3.5点
 こいつを目覚めさせるには、デッキ内に10枚は呪文が必要だろう。是非起こしてみたいけどね。俺はこういうの好きだから、チャンスが来次第狙ってみるつもりだよ。青のコントロールが成立するなら、勝ち手段として中々良さそうだ。
《証拠の痕跡/Trail of Evidence》
 リミテッド2.0点
 どのくらい、手がかりを虱潰しに調べられるかまだ分からないのがネック。もし環境がゆっくりで調査しまくることが許されるなら、喜んで評価を上げるとも。使うにはそれなりの数、インスタントやソーサリーが必要だけど、呪文を唱えては調査、調査で引いた呪文を唱えてはまた調査と、連鎖していくのが気持ちよさそう。
《招かれざる霊/Uninvited Geist》//《阻み難い侵入者/Unimpeded Trespasser》
 リミテッド2.5点
 大切な事なのではっきり言っておきたい。この名前を考えた人はセンスある。何も工夫なしに変身させるのは難しいと思うけど、何とかして通してやりたい。変身さえしてしまえば相当厄介になるから、青白でコンバットトリックなんかを使って押していくデッキとかどうだろう。何せ相手からすればこいつは絶対に通せない。ブロックされたら順に、コンバットトリックの餌食にしていけばいい。
《健忘の器/Vessel of Paramnesia》
 リミテッド1.5点
 用があるのはライブラリー破壊デッキより、むしろ昂揚デッキだろう。手札を消費せず、エンチャントと3枚のカードを墓地に落とすことができる計算だからね。何の考えもなしに使っていいカードじゃないけど、何か普通じゃないことをするには色々と役立ってくれそう。昂揚達成にはかなり効果的だと思うので、もし昂揚が強くてしかも安定するようなら、点数を上げることになるかもしれない。
《教団の歓迎/Welcome to the Fold》
 リミテッド4.0点
 普通に唱えるだけでも強いと思うんだけど、マッドネスで使えたらそれはもう痺れること請け合い。たとえ一工夫必要でも、《支配魔法/Control Magic》は偉大だよ。とにかく強さは保証するから、何とかしてマッドネスで唱えたいね。

 
 青のコモントップ5
 1.《金縛り/Sleep Paralysis》
 2.《薄暮のニブリス/Niblis of Dusk》
 3.《ただの風/Just the Wind》
 4.《沈黙の観察者/Silent Observer》
 5.《溺墓の探検者/Drownyard Explorers》
 
 青のテーマの可能性はいくつか見えたものの、そのどれもが安定して追求できるテーマかどうかはまだ分からない。《金縛り/Sleep Paralysis》だけはデッキを問わず入ると思うんだけど、正直それ以外は分からない。薄暮のニブリスは順当に強いとは思うけど、攻めにしか使えないから、デッキによっては真面目に《沈黙の観察者/Silent Observer》を優先することがあると思う。同様に《ただの風/Just the Wind》も、デッキがマッドネスや攻撃と無縁だと、枠を譲ることがありそうだ。手がかり、スピリット、マッドネスや昂揚、その他諸々が青の中で交錯している。今回も退屈しなくてすみそうだ。
 
 
 
 LSV

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