【翻訳】タルキール覇王譚より独占カードプレビュー 《Siege Rhino》 by LSV
 ◆ 【翻訳】タルキール覇王譚より独占カードプレビュー 《Siege Rhino》 by LSV
 
 Exclusive Channelfireball Preview Card - Siege Rhino
 
 Luis Scott-Vargas, 2014年9月8日
 
 http://www.channelfireball.com/articles/exclusive-channelfireball-preview-card-siege-rhino/
 
 先週は公式でイカれた3マナ4/4をプレビューしたけど、今週も違う3色の怪物を紹介するよ。そうすれば5色全部制覇できたことになるしね。
 http://magic.wizards.com/en/articles/archive/td/savage-beatings-2014-09-05
 どちらのプレビューカードも、共通して緑ってのがミソでね。どちらも同コスト帯の平均以上の性能だが、こいつは厳しい色拘束の見返りになってる部分が大きい。現状判明している色安定要素だけで考えても、3ターン目や4ターン目にマナを使い切りながら3色のカードを出せる。そう言い切ってもあながち誇張でもない。わくわくしないか?3、4、5と巨大クリーチャーを叩きつけるのが現実味を帯びてきたなんて、個人的には大いに歓迎したい。カードパワー溢れる環境で、面白いカードも多いとか最高だな。そんな新環境に、今日はこんなカードが参戦だ。
Siege Rhino (1)(白)(黒)(緑)
クリーチャー - サイ(Rhino)
トランプル
Siege Rhinoが戦場に出たとき、各対戦相手はそれぞれ3点のライフを失い、あなたは3点のライフを得る。
4/5

 《アーナム・ジン/Erhnam Djinn》と見比べると隔世の感があるね。ジンだって、黎明期のマジックでは構築で暴れるだけの力があるカードだったんだけどさ。Siege Rhinoは4マナ4/5で、唱えにくいマナコストがくっついてるけど、その分見返りとしてトランプルと、3点ドレインまでおまけについてくる。実際、適切な比較対象は《ロクソドンの教主/Loxodon Hierarch》なんだと思うよ。俺は教主にも随分お世話になったから、こいつは今回の独占プレビュー候補としてサイ的、いや最適と言っていいだろう。トランプルとドレイン能力がついているから、攻撃サイドにもいける。アブザン(白黒緑)ビートダウンなんてデッキが作れたら、マナカーブのトップを飾るのに最適任だ。3点のライフゲインは、ビートダウン対策のカードとしても資質十分。その観点ではミッドレンジやコントロール御用達だろうから、かなりのオールラウンダーなことが分かるだろう。前のめりなデッキでも、他のアグロデッキに対して有用なカードが入っていることは素晴らしい。実に多才なやり手なのが分かるだろう。サイドボードにだって居場所があるかもしれない。前のめりなデッキに対して最も有効ななのは、少しばかり大胆にどっしりした奴を投入することだったりもするからね。しっかり仕事をしてくれるはずさ。
 
 前ブロック構築のプロツアー覇者はアブザン(白黒緑)カラーのデッキだった。優勝デッキを見れば、都合のいいことにタルキール覇王譚が出たときに使える、前ブロックからの注目所が大体分かる。Siege Rhinoはミッドレンジにもアグロにもぴったりなカードだから、こちらの《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》に続いて展開するクリーチャーとしても、相手の狩猟者の返しに展開するクリーチャーとしても完璧だろう。勿論、《羊毛鬣のライオン/Fleecemane Lion》や《オレスコスの王、ブリマーズ/Brimaz, King of Oreskos》と並べても素晴らしい。となると、マナ基盤はちょっと考えておきたいね。3色土地がとても強そうだし、3マナ~4マナを重視するデッキを構築するときは、タップインの土地で落ちる速度は最小限に抑えたい。
 
 3色の超強力カードの時代が到来だ。Siege Rhinoは間違いなくその一角だろう。
 
 
 
 LSV
 基本セット2015ドラフトについて思うこと20
 
 記事の〆として、環境について思うことをつらつらと書いていくよ。
 
 1.基本セット2015のドラフトでは、タフネス1のクリーチャーは少々弱めだ。《夜の子/Child of Night》、《オレスコスの速爪/Oreskos Swiftclaw》といったカードは、《サテュロスの道探し/Satyr Wayfinder》、《炉の小悪魔/Forge Devil》、《急報/Raise the Alarm》、《珊瑚の障壁/Coral Barrier》、《爛れ暗がり/Festergloom》、《黒猫/Black Cat》といった面々に対して非常に苦しい。特に速爪は、元いたテーロスブロックドラフトから評価がかなり下がっているけれど、これはタフネス1なだけでなく、白により使いやすく競合する2マナクリーチャーが多いため。
 
 2.重たい召集呪文をいくつもデッキに入れるなら、弱いクリーチャーでも入れる価値が出てくる。《包囲ワーム/Siege Wurm》が複数枚あるなら、《鋳造所通りの住人/Foundry Street Denizen》や《魂癒し人/Soulmender》を入れて何の問題もない。
 
 3.アドバンテージよりはテンポ中心に動く環境なので、後手より先手を取った方がいい。60ゲームばかり、先手と後手のどちらが勝つか記録を取ってみたところ、先手34勝:後手26勝で先手が有利という結果だった。
 
 4.プロツアーに向けての練習で、8人ドラフト卓をやったんだが、ピックが終わったら4人ずつチームになるようにした。チームに分かれるってのは結構いい感じで、チームメイトのデッキ構築を手伝えるし、一没したら応援する楽しみもあるしね。ただ、チームを作るのはピックが終わってからだ。普通より酷いカットが横行したりしないようにね。リミテッドを練習するならお勧めしたい。
 
 5.リミテッドの新環境を手探りで遊んでいるときは、ちょいと実験・冒険してみるといいと思う。迷ったらコモンよりはレアを取ろう。レアを使ってみられる機会は少ないからね。
 
 6.《落とし子の守り手/Brood Keeper》はまあまあ強いながら、大半の赤いデッキにとって目を見張るようなカードではない。ただし《業火の拳/Inferno Fist》が2枚取れたなら、強さが劇的に変わってくる。《名誉の印/Marked by Honor》、《神聖なる好意/Divine Favor》、《ヘリオッドの巡礼者/Heliod’s Pilgrim》などとの噛み合いも良いの、白をやっているなら高目に見ていいだろう。
 
 7.《彼方の管理人/Warden of the Beyond》は、戦闘中《光の柱/Pillar of Light》を当ててやることでインスタントタイミングで強くなれる。実戦で決められるとかなり強烈だが、《光の柱/Pillar of Light》自体、メインデッキに搭載するには対象の範囲が狭すぎるというのが私の考えだ。確かに、魂サイクルのような神話レアに対する回答としては優秀だが、コモンで倒せるクリーチャーがあまりに少なすぎる。《突進するサイ/Charging Rhino》、《氷河の壊し屋/Glacial Crasher》、《腐敗喰いの蛆/Rotfeaster Maggot》、《包囲ワーム/Siege Wurm》、《心鍛のゴーレム/Will-Forged Golem》とか、そんな程度だ。とはいえ、《剛力化/Titanic Growth》と一緒に使うとか、あるいは相手が剛力化を使ってきたときに合わせられるのはいいね。
 
 8.割と忘れられてると思うのが、《加護織りの巨人/Boonweaver Giant》は墓地からエンチャントを拾ってこれる。《サテュロスの道探し/Satyr Wayfinder》で《光波の護法印/Spectra Ward》が落ちても、絶望するにはまだ早いよ。《光波の護法印/Spectra Ward》といえば、この手の強力なエンチャントがあるなら、《ヘリオッドの巡礼者/Heliod’s Pilgrim》はかなり早めに取りたいカードに化けるね。
 
 9.相手が1ターン目、平地から《無私の聖戦士/Selfless Cathar》と動いてきたとしよう。続いて2ターン目、相手は平地を置いて攻撃してきた。そこで《炉の小悪魔/Forge Devil》を引いた場合、手なりでプレイすると裏目になる可能性があるのに注意しよう。ここで炉の小悪魔を唱えて、相手が聖戦士を生贄に捧げると、炉の小悪魔は自分を焼かないといけなくなってしまう。そんな場面に出くわしたら、相手がフルタップするまで待とう。
 
 10.赤緑で終盤アドバンテージを稼ぐ手段が欲しければ、《かき回すゴブリン/Rummaging Goblin》と《蔦織り/Vineweft》の2枚コンボを狙ってみよう。ゆっくりだし微妙だし、蔦織りのような弱いカードを入れるには他の理由が欲しいところ(《落とし子の守り手/Brood Keeper》や《サテュロスの道探し/Satyr Wayfinder》あたりがパッと思いつくところか)。でも、アドバンテージ源にはなってくれるはずだ。
 
 11.《下生えのゴミあさり/Undergrowth Scavenger》はどんなデッキでも強いわけじゃないが、実力を過小評価されているカードかもしれない。《かき回すゴブリン/Rummaging Goblin》、《サテュロスの道探し/Satyr Wayfinder》、《屍術士の助手/Necromancer’s Assistant》、それに相討ち狙いの接死クリーチャーとかを詰め込んだ、使うべきデッキで使えば、4マナ8/8くらいにはすぐなってくれるだろう。
 
 12.メインデッキには入れたくなくても、サイドボードに置いておきたいカードはいくつかある。《生命の遺産/Life’s Legacy》は《硬化/Encrust》に対する素晴らしい回答になってくれる。《暴君の機械/Tyrant’s Machine》は、《光波の護法印/Spectra Ward》に対する美しい回答だ。《脱走魔術師/Fugitive Wizard》は、超前のめりなデッキの、タフネス1を止めるのに役立つし、《打ち寄せる水/Hydrosurge》は《民衆の好意/Crowd’s Favor》を台無しにするのにうってつけだ。
 
 13.《スズメバチの巣/Hornet Nest》が見えたら、《巨大戦車/Juggernaut》はデッキに入れるなよ。いいか、絶対だぞ!!リスクに見合わないからね。
 
 14.《アジャニの群れ仲間/Ajani’s Pridemate》は、工夫が必要なものの、うまくいけば単体でゲームを支配するカードだ。《光輝の泉/Radiant Fountain》、《神聖なる好意/Divine Favor》、《魂癒し人/Soulmender》とかがあるけど、中でも《天麗のペガサス/Sungrace Pegasus》がイチオシだ。泉と好意は、《侵入する生物種/Invasive Species》とも好相性なので覚えておこう。
 
 15.《青銅の黒貂/Bronze Sable》は見た目よりずっと強い。《クレンコの処罰者/Krenko’s Enforcer》と《呪われたスピリット/Accursed Spirit》をブロックできるし、《飛空士の修繕屋/Aeronaut Tinkerer》と《屑鉄場の雑種犬/Scrapyard Mongrel》を強化してくれる。《ファイレクシアの破棄者/Phyrexian Revoker》はそんな黒貂の上位互換なわけだから、ほぼ確実にデッキに入るね。事前情報が全く無いとして、相手が赤なら《業火の拳/Inferno Fist》、緑なら《エルフの神秘家/Elvish Mystic》、白なら《無私の聖戦士/Selfless Cathar》、青なら《アンフィンの抜け道魔道士/Amphin Pathmage》、黒なら《ゾフの影/Zof Shade》を指定するのがいいだろうか。
 
 16.《不屈の河川司令官/Dauntless River Marshal》のために、何も考えず島を置くのは危険。環境には島渡りを持っているクリーチャーがいるのをお忘れなく(《珊瑚の障壁/Coral Barrier》から出てくるイカ・トークンとかだ)。
 
 17.ちょっとした裏技として、《発生器の召使い/Generator Servant》から出たマナは、2体のクリーチャーに分けて使うことができる。勿論、両方とも速攻がつくよ。
 
 18.《変身術士の戯れ/Polymorphist’s Jest》や《蛙変化/Turn to Frog》は、《爛れ暗がり/Festergloom》や《炉の小悪魔/Forge Devil》と組み合わせることで、戦闘外でもクリーチャーをしとめられることを覚えておこう。相手が《テーロスの魂/Soul of Theros》を中々戦闘に送り出してこないときとか、一考の価値がある。戯れと爛れ暗がりを組み合わせたら、相手は死ぬ。後、自分を対象にして《垂直落下/Plummet》をかわしたり、《刺し傷/Stab Wound》を落とすこともできる。
 
 19.《スリヴァーの巣/Sliver Hive》と《束縛スリヴァー/Constricting Sliver》が揃うと、終盤手を付けられなくなる。出てくるトークンは無色だから、《光波の護法印/Spectra Ward》すら対処が可能だ。
 
 20.《スズメバチの巣/Hornet Nest》は、自分でつついたっていい。《熱光線/Heat Ray》を全力で撃ちこんで、相手の顔を歪ませよう!
◆ 【翻訳】フランクに考えよう 基本セット2015、ピック順位表
 
 Frank Analysis - A Pick Order List for M15 Draft
 
 By Frank Karsten 2014年8月19日
 
 http://www.channelfireball.com/articles/frank-analysis-a-pick-order-list-for-m15-draft/
 
 新しい基本セットが出て早数週間。ピック優先順位表をお見せする頃合いかな。
 
 表を見るとき、いくつか覚えておいてほしいことがあるので目を通してくれ:
 
 1.このリストは、基本セット2015×3のドラフトで、1パック目の1ピック目で取る際、基本セット2015の全カードを高評価順に並べたもので、ゲーム中の強さに基づいた順位表だ。金銭的価値は計算に入ってない。
 
 2.多色のカード(《頂点捕食者、ガラク/Garruk, Apex Predator》、ペインランド、アンコモンの友好色土地で強化されるクリーチャーサイクル)は、取ったとしてもその2色が必ずできるわけではないので、評価は低めにしてある。多色カードを取ることによって嬉しい見返りがあるとしても、単色のカードを取っておいた方が、堅実だし高い柔軟性が得られる。
 
 3.無色のカード(アーティファクトや《進化する未開地/Evolving Wilds》)は気持ち高目に評価してある。どんなデッキにでも入れられるから、色を決めなくて済むので。
 
 4.黒コモンの5マナ以上のマナ域に、使用に堪えるカードがあまりに多い(《腐敗喰いの蛆/Rotfeaster Maggot》、《影外套の吸血鬼/Shadowcloak Vampire》、《肉は塵に/Flesh to Dust》、《血の誓約/Covenant of Blood》)。重いカードばかりデッキに入れることはできないので、優先的に集めるべきではない。結果的に《肉は塵に/Flesh to Dust》でなく、《呪われたスピリット/Accursed Spirit》が黒の最強コモンになった。
 
 5.基本セット2015のドラフトでは、個人的に絶対やりたい色とか、反対にこれだけはやりたくないという色はない。多分、青が最弱で白と赤が強いと思うから、ピックで迷ったときは色の強さを理由にすることもあるけど、決め打ちはしない。上がやらせてくれるものをやることにしている。
 
 6.2色でやってはいけないという色の組み合わせはない。友好色で組むと、アンコモンのクリーチャーサイクルが使えるのが嬉しいところだが、敵対色の場合は強力なシナジーが得られる。たとえば、青赤のアーティファクトデッキなどは、パーツがふんだんに取れたらおそらく環境最強だろう。《飛空士の修繕屋/Aeronaut Tinkerer》、《屑鉄場の雑種犬/Scrapyard Mongrel》、《ダークスティールの城塞/Darksteel Citadel》、《アーティファクトの魂込め/Ensoul Artifact》、《羽ばたき飛行機械/Ornithopter》、《幻影の天使/Illusory Angel》、《爆片破/Shrapnel Blast》などを使うデッキだ。
 
 そんな前置きを書いたところで、お待ちかねの順位表だ。今回は分かりやすいよう、いくつかのカテゴリーに分類してみた。でも連続した表として見てもらっても構わないよ。

  (訳注:DNの仕様でテキストになっています。リストを参照するのみであれば、ChannelFireball掲載の元記事にカード画像があるので、そちらがお勧めです http://www.channelfireball.com/articles/frank-analysis-a-pick-order-list-for-m15-draft/ )
 
最強格のレア・神話レア
 
 《テーロスの魂/Soul of Theros》
 《火炎放射/Cone of Flame》
 《光波の護法印/Spectra Ward》
 《女王スズメバチ/Hornet Queen》
 《世界を目覚めさせる者、ニッサ/Nissa, Worldwaker》
 《寛大な拷問者/Indulgent Tormentor》
 《シャンダラーの魂/Soul of Shandalar
 《ラヴニカの魂/Soul of Ravnica》
 《ゼンディカーの魂/Soul of Zendikar》
 《霊魂の絆/Spirit Bonds》
 《溜め込むドラゴン/Hoarding Dragon》
 《守護天使アヴァシン/Avacyn, Guardian Angel》
 《燃え盛る怒り/Burning Anger》
 《不動のアジャニ/Ajani Steadfast》

 
 《テーロスの魂/Soul of Theros》がセット中最強のカードだ。《火炎放射/Cone of Flame》は、いってみれば神話アンコモンみたいなものかな。凄まじいまでのテンポとカードアドバンテージをたったの5マナで得られる。あまりに強力すぎるのでレア・神話レアに含めてしまったくらい。私なら、火炎放射は《テーロスの魂/Soul of Theros》以外の全てに優先してピックするね。
 
 
最強コモン・アンコモン
 
 《三つぞろいの霊魂/Triplicate Spirits》
 《かき立てる炎/Stoke the Flames》
 《刺し傷/Stab Wound》
 《稲妻の一撃/Lightning Strike》
 《貪る光/Devouring Light》
 《密林の酋長/Kird Chieftain》

 
 4ターン目に唱えられる《三つぞろいの霊魂/Triplicate Spirits》はアドバンテージの塊だし、白の呪文との相性も良く、セット内最強のコモンだ。霊魂以外でこのカテゴリーに入るのは、良質な除去と《密林の酋長/Kird Chieftain》だ。
 
 《密林の酋長/Kird Chieftain》は全く文句のつけようのない初手級だ。最悪、緑ができなくても《丘巨人/Hill Giant》として赤いデッキに入れてしまっていいし、《進化する未開地/Evolving Wilds》と森が入れられれば更に良い。都合よく赤も緑もできたなら、単体でゲームを支配するぶっ壊れの4マナクリーチャーが手に入ったことになる。これだけメリットが大きくて大外れがないのなら、早めに確保してしまって構わないね。
 
 
最強格のコモン・アンコモンには劣るレア
 
 《紅蓮の達人チャンドラ/Chandra, Pyromaster》
 《包囲ドラゴン/Siege Dragon》
 《イニストラードの魂/Soul of Innistrad》
 《窮地の主/Master of Predicaments》
 《変身術士の戯れ/Polymorphist’s Jest》
 《小走り破滅エンジン/Scuttling Doom Engine》
 《地割れ潜み/Chasm Skulker》
 《頂点捕食者、ガラク/Garruk, Apex Predator》
 《放浪の吟遊詩人、イーサーン/Yisan, the Wanderer Bard》

 
 ここで挙げたカードはどれもが単体でゲームに勝てるカードだが、大量のマナが必要だったり、押している盤面で真価を発揮したりする、使いどころを選ぶカードでもある。除去よりも爆弾レアを取るというのは多くの場合正解だが、その爆弾レアが何も考えずに使えるものでなく、除去が優秀なら、法則が当てはまらないことだってある。私的には、上のような強いとき強いレアより、どんなゲームでも強い《稲妻の一撃/Lightning Strike》のようなカードの方が好みだ。
 
 
初手でとって嬉しいカード
 
 《幻影の天使/Illusory Angel》
 《潰瘍化/Ulcerate》
 《熱光線/Heat Ray》
 《リリアナ・ヴェス/Liliana Vess》
 《スズメバチの巣/Hornet Nest》
 《エルフの神秘家/Elvish Mystic》
 《ゴブリンの熟練扇動者/Goblin Rabblemaster》
 《夜火の巨人/Nightfire Giant》
 《解き放たれし者、オブ・ニクシリス/Ob Nixilis, Unshackled》
 《国境地帯の匪賊/Borderland Marauder》

 
 どれもデッキに喜んで入れたいカードだけれど、手放しで強いわけではないカードたちだね。重かったり、唱えるのに条件が必要だったり、相手を選ぶカードだったりする。
 
 
色を決めずに使え、強力なアーティファクト
 
 《新たなるファイレクシアの魂/Soul of New Phyrexia》
 《巨大戦車/Juggernaut》
 《憑依された板金鎧/Haunted Plate Mail》
 《ガーゴイルの歩哨/Gargoyle Sentinel》

 
 最初に言った通り、アーティファクトは色を決めなくて済むのがいい。
 
 
まずデッキに入るが、初手で取っても嬉しくはないカード
 
 《原野の霊/Geist of the Moors》
 《包囲ワーム/Siege Wurm》
 《衆生の熾天使/Seraph of the Masses》
 《カロニアのツイングローブ/Kalonian Twingrove》
 《急報/Raise the Alarm》
 《業火の拳/Inferno Fist》
 《弱者狩り/Hunt the Weak》
 《ジョルベイの闇潜み/Jorubai Murk Lurker》
 《炉の小悪魔/Forge Devil》
 《呪われたスピリット/Accursed Spirit》
 《清められた突撃/Sanctified Charge》
 《起源のハイドラ/Genesis Hydra》
 《落とし子の守り手/Brood Keeper》
 《グレイブディガー/Gravedigger》
 《天空のアジサシ/Welkin Tern》
 《霜のオオヤマネコ/Frost Lynx》
 《肉は塵に/Flesh to Dust》
 《ギルドパクトの体現者、ジェイス/Jace, the Living Guildpact》
 《不屈の河川司令官/Dauntless River Marshal》
 《屍気を飛ばすもの/Necrogen Scudder》
 《虚空への突入/Into the Void》
 《新たな夜明けの模範/Paragon of New Dawns》
 《網投げ蜘蛛/Netcaster Spider》
 《蛙変化/Turn to Frog》
 《生きているトーテム像/Living Totem》
 《クイックリング/Quickling》
 《陽刃のエルフ/Sunblade Elf》
 《無私の聖戦士/Selfless Cathar》
 《屍食いカラス/Carrion Crow》
 《腐敗喰いの蛆/Rotfeaster Maggot》
 《血の誓約/Covenant of Blood》
 《天麗のペガサス/Sungrace Pegasus》
 《アジャニの群れ仲間/Ajani’s Pridemate》
 《残酷なサディスト/Cruel Sadist》
 《クレンコの処罰者/Krenko’s Enforcer》
 《発生器の召使い/Generator Servant》
 《諸島の雨雲/Nimbus of the Isles》
 《嵐潮のリバイアサン/Stormtide Leviathan》
 《ゴブリンの荒くれ乗り/Goblin Roughrider》
 《ジェイスの創意/Jace’s Ingenuity》
 《再利用の賢者/Reclamation Sage》
 《キンズベイルの散兵/Kinsbaile Skirmisher》
 《サテュロスの道探し/Satyr Wayfinder》
 《霊気渦竜巻/AEtherspouts》
 《アルタクの求血者/Altac Bloodseeker》
 《チフス鼠/Typhoid Rats》
 《かき集める勇気/Gather Courage》
 《秀でた隊長/Preeminent Captain》
 《ザスリッドの隠し刃/Xathrid Slyblade》
 《激情のゴブリン/Frenzied Goblin》
 《オナッケの古きもの、クルケッシュ/Kurkesh, Onakke Ancient》
 《咆哮するプリマドックス/Roaring Primadox》
 《飛空士の修繕屋/Aeronaut Tinkerer》
 《年経たシルバーバック/Ancient Silverback》
 《屑鉄場の雑種犬/Scrapyard Mongrel》
 《進化する未開地/Evolving Wilds》
 《心鍛のゴーレム/Will-Forged Golem》
 《剛力化/Titanic Growth》
 《夜の子/Child of Night》
 《墓穴の模範/Paragon of Open Graves》
 《激しい抵抗の模範/Paragon of Fierce Defiance》
 《静翼のグリフ/Hushwing Gryff》
 《侵入する生物種/Invasive Species》
 《現実からの剥離/Peel from Reality》
 《下生えのゴミあさり/Undergrowth Scavenger》
 《ゾフの影/Zof Shade》
 《屍噛み/Necrobite》
 《影外套の吸血鬼/Shadowcloak Vampire》
 《草タイタン/Phytotitan》
 《かき回すゴブリン/Rummaging Goblin》
 《民衆の好意/Crowd’s Favor》
 《ゴブリンのドカーン物取扱者/Goblin Kaboomist》
 《ヘリオッドの巡礼者/Heliod’s Pilgrim》
 《毅然たる大天使/Resolute Archangel》
 《シヴの浅瀬/Shivan Reef》
 《戦場の鍛冶場/Battlefield Forge》
 《ラノワールの荒原/Llanowar Wastes》
 《コイロスの洞窟/Caves of Koilos》
 《ヤヴィマヤの沿岸/Yavimaya Coast》

 
 あまり付け足すことがない。あ、各色のトップコモン上位2位はこんなんです。
 
 白 《三つぞろいの霊魂/Triplicate Spirits》、《急報/Raise the Alarm》
 緑 《エルフの神秘家/Elvish Mystic》、《包囲ワーム/Siege Wurm》
 赤 《稲妻の一撃/Lightning Strike》、《国境地帯の匪賊/Borderland Marauder》
 黒 《呪われたスピリット/Accursed Spirit》、《肉は塵に/Flesh to Dust》
 青 《天空のアジサシ/Welkin Tern》、《霜のオオヤマネコ/Frost Lynx》
 
 トップコモン同士を比べると青と黒は見劣りするので、序盤、青と黒が敬遠される事態がたまに起きる。
 
 
取ってもデッキに入るとは限らない微妙なカード
 
 《春のシャーマン/Shaman of Spring》
 《爛れ暗がり/Festergloom》
 《毒牙スリヴァー/Venom Sliver》
 《カミソリ足のグリフィン/Razorfoot Griffin》
 《ファイレクシアの破棄者/Phyrexian Revoker》
 《束縛スリヴァー/Constricting Sliver》
 《立ちこめる霧の模範/Paragon of Gathering Mists》
 《集団の石灰化/Mass Calcify》
 《珊瑚の障壁/Coral Barrier》
 《青銅の黒貂/Bronze Sable》
 《名誉の印/Marked by Honor》
 《ルーン爪の熊/Runeclaw Bear》つめ
 《オレスコスの速爪/Oreskos Swiftclaw》
 《突進するサイ/Charging Rhino》
 《深夜の護衛/Midnight Guard》
 《召喚の調べ/Chord of Calling》
 《研究助手/Research Assistant》
 《カプショ海の飛行魚/Kapsho Kitefins》
 《レインジャーの悪知恵/Ranger’s Guile》
 《永遠の荒野の模範/Paragon of Eternal Wilds》
 《アンフィンの抜け道魔道士/Amphin Pathmage》
 《彼方の管理人/Warden of the Beyond》
 《魔女の使い魔/Witch’s Familiar》
 《光の柱/Pillar of Light》
 《硬化/Encrust》
 《練達の変身術士、ジャリラ/Jalira, Master Polymorphist》
 《松明の悪鬼/Torch Fiend》
 《轟きの巨人/Thundering Giant》
 《終わりなき従順/Endless Obedience》
 《アーティファクトの魂込め/Ensoul Artifact》
 《隕石/Meteorite》
 《危険な櫃/Perilous Vault》
 《鉱夫の破滅/Miner’s Bane》
 《虚空の罠/Void Snare》
 《霜の壁/Wall of Frost》
 《鋳造所通りの住人/Foundry Street Denizen》
 《ひどい荒廃/Crippling Blight》
 《儚き盾/Ephemeral Shields》
 《根囲いの壁/Wall of Mulch》
 《狩人の待ち伏せ/Hunter’s Ambush》
 《残忍な実体化/Feral Incarnation》
 《予言/Divination》
 《血の署名/Sign in Blood》
 《抑圧的な光線/Oppressive Rays》
 《好戦スリヴァー/Belligerent Sliver》
 《爆炎の稲妻/Blastfire Bolt》
 《氷河の壊し屋/Glacial Crasher》
 《垂直落下/Plummet》
 《苛性タール/Caustic Tar》
 《血の宿主/Blood Host》
 《屍術士の備蓄品/Necromancer’s Stockpile》
 《黒猫/Black Cat》
 《再供給/Restock》
 《魂癒し人/Soulmender》人
 《気紛れな詐称者/Mercurial Pretender》
 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》
 《圧倒/Overwhelm》
 《軍事情報/Military Intelligence》
 《雲散霧消/Dissipate》
 《否認/Negate》
 《主任技師/Chief Engineer》
 《精神腐敗/Mind Rot》
 《初期対応/First Response》
 《ならず者の手袋/Rogue’s Gloves》

 
 
何だって使おうと思えば使えるもんだ……二線級

 《加護織りの巨人/Boonweaver Giant》
 《爆片破/Shrapnel Blast》
 《墓損ない/Unmake the Graves》
 《人喰い苔野獣/Carnivorous Moss-Beast》
 《時間づまり/Chronostutter》
 《新緑の安息所/Verdant Haven》
 《槌手/Hammerhand》
 《堕ちたる者の饗宴/Feast on the Fallen》
 《神聖なる好意/Divine Favor》
 《喧嘩屋の板金鎧/Brawler’s Plate》
 《溶岩の斧/Lava Axe》
 《帰化/Naturalize》
 《永遠の口渇/Eternal Thirst》
 《精油の壁/Wall of Essence》
 《炎の壁/Wall of Fire》
 《暴君の機械/Tyrant’s Machine》
 《力こそ正義/Might Makes Right》
 《生命の遺産/Life’s Legacy》
 《否定の法典/Statute of Denial》
 《研磨時計/Grindclock》
 《ウルドのオベリスク/Obelisk of Urd》
 《聖なる武器庫/Sacred Armory》
 《化身の盾/Shield of the Avatar》
 《熱いスープ/Hot Soup》
 《不屈の宣教師/Tireless Missionaries》
 《スリヴァーの巣/Sliver Hive》
 《ガラクの目覚め/In Garruk’s Wake》
 《戦列への復帰/Return to the Ranks》
 《ニッサの探検/Nissa’s Expedition》
 《蔦織り/Vineweft》
 《光輝の泉/Radiant Fountain》
 《羽ばたき飛行機械/Ornithopter》
 《炎の円/Circle of Flame》
 《真面目な捧げ物/Solemn Offering》
 《衝動的な行動/Act on Impulse》
 《強引な採掘/Aggressive Mining》
 《集い/Congregate》
 《強欲の護符/Avarice Amulet》
 《ダークスティールの城塞/Darksteel Citadel》
 《脱走魔術師/Fugitive Wizard》
 《熟達した戦い/Battle Mastery》
 《血吸いスリヴァー/Leeching Sliver》
 《拡散スリヴァー/Diffusion Sliver》
 《打ち寄せる水/Hydrosurge》
 《肢体の壁/Wall of Limbs》
 《屍術士の備蓄品/Necromancer’s Stockpile》
 《巣主スリヴァー/Sliver Hivelord》
 《精神刻み/Mind Sculpt》
 《自然に帰れ/Back to Nature》

 
 
貧弱、貧弱ゥ

 《不可視/Invisibility》
 《障害排除/Clear a Path》
 《瞑想パズル/Meditation Puzzle》
 《死の大魔術師の杖/Staff of the Death Magus》
 《炎の大魔術師の杖/Staff of the Flame Magus》
 《精神の大魔術師の杖/Staff of the Mind Magus》
 《太陽の大魔術師の杖/Staff of the Sun Magus》
 《野生の大魔術師の杖/Staff of the Wild Magus》
 《トーモッドの墓所/Tormod’s Crypt》
 《不敬な遺品/Profane Memento》
 《無駄省き/Waste Not》
 《精神染み/Stain the Mind》
 《火のるつぼ/Crucible of Fire》
 《鎖のヴェール/The Chain Veil》

 
 《テーロスの魂/Soul of Theros》から始めて、思えば遠くへ来たもんだ。セット最弱のカードは《鎖のヴェール/The Chain Veil》に決まり。プレインズウォーカーが3枚入ってる上に、アーティファクトの魂込めまであったとして、それでも尚、対戦相手を助けるカードだねこれは。
 
 カンペ用 呪文まとめ表
 
 ブロックで悩んだら下の票を見て、普通に使われるカードの中から、インスタントタイミングでどれが飛んでくる可能性があるか確認しよう。
コモンのコンバットトリック
 ・《清められた突撃/Sanctified Charge》
 ・《儚き盾/Ephemeral Shields》
 ・《屍噛み/Necrobite》
 ・《民衆の好意/Crowd’s Favor》
 ・《剛力化/Titanic Growth》
 ・《レインジャーの悪知恵/Ranger’s Guile》
アンコモンのコンバットトリック
 ・《蛙変化/Turn to Frog》
 ・《かき集める勇気/Gather Courage》
コモンのインスタント除去・バウンス
 ・《光の柱/Pillar of Light》
 ・《現実からの剥離/Peel from Reality》
 ・《時間づまり/Chronostutter》
 ・《肉は塵に/Flesh to Dust》
 ・《爆炎の稲妻/Blastfire Bolt》
 ・《垂直落下/Plummet》
 ・《帰化/Naturalize》
 ・《稲妻の一撃/Lightning Strike》
アンコモンのインスタント除去・バウンス
 ・《貪る光/Devouring Light》
 ・《潰瘍化/Ulcerate》
 ・《熱光線/Heat Ray》
 ・《かき立てる炎/Stoke the Flames》
 ・《爆片破/Shrapnel Blast》

 

【翻訳】チャネル・ファイアーボール チーム・パンテオンによる、基本セット2015リミテッド統計
【翻訳】チャネル・ファイアーボール チーム・パンテオンによる、基本セット2015リミテッド統計
◆ 【翻訳】チャネル・ファイアーボール チーム・パンテオンによる、基本セット2015リミテッド統計
 
 Pantheon Testing – Magic 2015 Limited Stats
 
 By Matt Costa 2014年8月7日
 
 http://www.channelfireball.com/articles/pantheon-testing-magic-2015-limited-stats/
 
 大きなチームに所属してプロツアー調整をすることで得られるもっとも貴重な側面の一つに、世界最強のプレイヤーたちとドラフト練習ができるということがある。チーム・パンテオンでは毎日、カバレッジ記者を悔しがらせるようなドラフト卓が立っていた。
 
 ジョン・フィンケル(Jon Finkel)、リード・デューク(Reid Duke)、ウィリアム・「ヒューイ」・ジェンセン(William "Huey" Jensen)、ジェイミー・パーク(Jamie Parke)、オーウェン・ツァーテンウェルド(Owen Turtenwald)、サム・ブラック(Sam Black)、ポール・リーツェル(Paul Rietzl)、トム・マーテル(Tom Martell)
 
 身内ドラフト14回目の面々だ。そうそうたる面々だろう?
 
 プロツアーに向けての準備だけど、新たな試みとして、ドラフトの記録をExcelに記録して集計してみることにした。ドラフトを大きな視点で捉えて全体像をつかみたかったのだ。記録したのは、個人の勝率、色別の勝率、どの色の組み合わせが選択されたか、それにデッキのとった戦略だ。
 
 特に重要なのは、色の「密度」だ。要はどの色が最も選択されるかで、40%なら4割のプレイヤーがその色を選択したと思ってほしい。これを算出することで、特定の色に平均して何人のプレイヤーが参入するかを推定することができる。色の密度と勝率を合わせると、色の人気を織り込んでの強みが浮き上がってくる。たとえば、緑の勝率が良くて、緑が不人気だったのなら、勝っているのは許容人数以下の人しか緑をやっていなかったので、強いパーツがふんだんにとれたから、という可能性が高い。また、一色が人気でかつ勝率も高ければ、その色は他の色より単純に強い確率が高い、というようなことがわかる(色が強いというのは、その色のカードの質が高かったり、使用に堪えるカードが多かったりするということ)
 
 マジックで統計を取る常として、標本数は重要な問題だ。チームパンテオンでは数字を絶対的な金科玉条とは捉えていなくて、指針というか、論点として使っていた。今日話す数字のほとんどは、チームで考察したアーキタイプや色の強みと合致していたので、試みとしては成功したと思う。
 
 今回の記事では、チーム内でやった16回のドラフトについて筆者が集めた数値をお見せして、各色とアーキタイプについて、観察したところを述べようと思う。

    勝ち   負け   勝率    密度   ドラフト1回あたりの使用率
 緑   79    74   52%    40%   3.19
 青   61    70   47%    34%   2.73
 白   83    67   55%    39%   3.13
 黒   72    81   47%    40%   3.19
 赤   75    74   50%    39%   3.10

 
 
 チーム内で白は一番人気な色の一つで、かつ最も勝率の高い色だった。記録に現れた数値を見るにつけ、基本セット2015のドラフトでは、白が最強色なだけでなく、卓で複数のプレイヤーが取ろうとしても枯れない色だと確信するに十分なものだった。
 
 白最強のコモンは《三つぞろいの霊魂/Triplicate Spirits》だが、三つぞろいの霊魂は大概のアンコモンやレアよりも強いカードだ。霊魂は面白いカードで、色拘束が結構きつく(白白のダブルシンボル)、戦略性も要求される(召集のために軽いクリーチャーを多くしたい)。結果的に、山と適度な色サポートでもあればどんなデッキにでも入り得る《稲妻の一撃/Lightning Strike》のようなカードとは対照的に、三つ揃いの霊魂は白をかなりガッツリやる人用になる。各色の最強カードは、しばしばタッチで使ってやろうというプレイヤーの餌食になるものだが、三つぞろいの霊魂に限ってはそういうことが起きづらい。霊魂に関しては、序盤中盤終盤いかに隙がないとか、はたまた押されてるときや押しているとき、このカードがいかに強いか、いくらでも続けられそうだけれど、まあ言わんとすることはわかるよね。
 
 他の白い優良コモンは、《清められた突撃/Sanctified Charge》(どんなデッキで使っても強いが、白の濃いデッキで使うのが一番)や、《急報/Raise the Alarm》や《キンズベイルの散兵/Kinsbaile Skirmisher》のような軽いカードなど枚挙にいとまがない。
 
 
 一方で、青は基本セット2015のリミテッドで最弱色だと思う。チーム内でも青は比較的人気がなく、旗色も悪かった。青は人数過剰で沈んだわけではない。単純に色として強くなかったのが原因だろう。基本セット2015のリミテッドにおいて、青はいつもの自分を見失った感がある。アイデンティティ・クライシスって奴だね。強いコモンの上から2枚である、《天空のアジサシ/Welkin Tern》と《霜のオオヤマネコ/Frost Lynx》は前のめりなテンポデッキで使うのが一番輝くけど、その次と次の次に来るコモンはおそらく《珊瑚の障壁/Coral Barrier》と《予言/Divination》になる。こちらはどちらも守備的なコントロール戦略に合致したカードだ。
 
 強いコモンの性質が割れているため、青は立ち位置が微妙になってしまっている。青は殴りに行きたいのに、アジサシやオオヤマネコのような素晴らしいカードを活かすには軽量クリーチャーが不足している。《現実からの剥離/Peel from Reality》も、単純にテンポを奪うカードではないので、前のめりなデッキにとって癖がある。青を絡めたコントロールにとっても、今度はアジサシやオオヤマネコのようなカードがそれほど欲しいわけではないというのが厄介だ(とはいえ、オオヤマネコは守る目的で使ってもまあまあ強いが)。
 
 結果的に、基本セット2015の青の一番いい使い方は、赤いビートダウンデッキのサポートか、黒を中心としたコントロールのお供ということになりそうだ。
 
 
 黒の統計を見ると面白いことになっている。勝率は47%と低めだが、色の人気的には上位と並んでいる。このことから、黒は若干、許容人数を越えて取られる傾向にあるのだと思う。その理由は、黒はコモンに、《肉は塵に/Flesh to Dust》と《血の誓約/Covenant of Blood》という優良除去を2種も抱えているからだろう。加えてアンコモンには、《潰瘍化/Ulcerate》、《刺し傷/Stab Wound》、《グレイブディガー/Gravedigger》と強力なカードがひしめいている。これだけ強力なカードが目白押しだと、パックを開けたときに一番強いカードが黒、というのが高頻度で起きることになる。すると結果として、多くのプレイヤーが最初は黒を中心に取ることになる。そしてあまりに黒継続路線でいくプレイヤーが多いと、弱いデッキしかできないという事態になりがちだ。特に黒の場合危険なのは、沼が多いデッキでないと活躍しづらいカードが多い。《肉は塵に/Flesh to Dust》や《血の署名/Sign in Blood》などがそうだ。
 
 
 緑はメインカラーに据えるのに最適だ。戦力としてあてにできるカードがたくさんあるし、強力なコモンもある。それにどの色と組んでも相性がいい(とはいえ個人的に、青緑はやりたくないところだ)。コモンでは、《包囲ワーム/Siege Wurm》、《エルフの神秘家/Elvish Mystic》、《網投げ蜘蛛/Netcaster Spider》あたりが逸品だ。
 
 チームパンテオンでは、特に包囲ワームの評価がとても高かった。しかし後で分かったことだが、包囲ワームは誰しもが高く評価していたわけではなかったらしい。プロツアーのドラフトでは、結構遅くまで包囲ワームが残っていることが多かった。チームパンテオンのメンバーは、それを美味しくいただいた模様だ。召集については、後でもう少し詳しく話したい。
 
 
 赤は基本、攻める色だ。そして攻めることに関して、赤の右に出る色は無い。赤は立ち位置的に黒の真逆で、《稲妻の一撃/Lightning Strike》やアンコモン数種を除いて、早い段階から取りたいカードがほとんどない。結果的に、序盤から中盤に赤へ参入したプレイヤーが一番恩恵に預かれることになる。色の密度的な話をすれば、口を開けて待っていれば赤いカードが取れるほどではないにせよ、それほど頑張らなくてもカードは集まるといった感触だ。
 
 それぞれの色を単体で理解するのは、ドラフトの側面の一つに過ぎない。それぞれの色が、他の色と組んだときどの程度成果を出しているかも考えなくていけないだろう。
 
 下が2色の組み合わせを表にしたものだ(それに赤単も。赤単はドラフトでよく目にしたので)。

 色   勝ち  負け  勝率
 白緑  30   15   67%
 赤白  16   11   59%
 青赤  16   13   55%
 黒緑  19   20   49%
 赤緑  13   14   48%
 赤単  10   11   48%
 白黒  17   19   47%
 青白  16   20   44%
 青黒  13   17   43%
 青緑  11   16   41%
 赤黒  13   20   39%


 色     ドラフト1回あたりの発生率
 白緑    0.94
 黒緑    0.81
 青白    0.75
 白黒    0.75
 赤黒    0.69
 青黒    0.63
 青赤    0.60
 赤白    0.56
 赤緑    0.56
 青緑    0.56
 赤単    0.44

 
 一つ一つの詳細には立ち入らないけど、紙面を割くだけの価値がある組み合わせがあるので少し触れたい。
 
 白緑
 
 白緑が今回一番の勝ち組だ。その驚異的な勝率は、なんと67%にもなる。更に白緑は、2色の組み合わせの中で、最も選択されることが多かった色だ。強いカードに恵まれており、使用に堪えるカードの多い色でもある。それに白緑は他のどの色よりもシナジーが多い。白緑の一番いい組み方は、クリーチャー密度を濃くして召集にデッキを寄せることだ。白緑にはたくさんの軽いクリーチャーがコモンにいて、《三つぞろいの霊魂/Triplicate Spirits》、《包囲ワーム/Siege Wurm》、《衆生の熾天使/Seraph of the Masses》、《清められた突撃/Sanctified Charge》といったカードを活かすのにうってつけなのだ。
 
 中でも今尚通用する法則として、クリーチャーの多いデッキほど勝率も高かった。《剛力化/Titanic Growth》、《儚き盾/Ephemeral Shields》、それに《かき集める勇気/Gather Courage》でさえ、チーム内のドラフトでは高評価されていなかった。とっても抜けていくことすらしばしばだったのだ。一方で、《無私の聖戦士/Selfless Cathar》、《魂癒し人/Soulmender》、《青銅の黒貂/Bronze Sable》といった、普通の環境ならお声がかからないような有象無象のクリーチャーが、基本セット2015では非常に強いのだ。
 
 《清められた突撃/Sanctified Charge》は、一見わかりにくいがデッキ最大の強みになる。この手の全体強化は過去の環境だと微妙なものだったが、突撃は白最強のコモンの一つで、基本セット2015全体で見ても指折りの強カードといえるだろう。
 
 超弱そうな白緑でも、チームパンテオンのドラフトで見る限り、見た目よりずっと強いことが常だった。
 
 赤黒
 
 一方で、赤黒は2色の組み合わせの中で最も勝率の低い組み合わせだったが、人気はある組み合わせだった。先にも述べたとおり、基本セット2015のリミテッドは色の密度とクリーチャーが強いところで、層の厚さもクリーチャーも赤と黒の得意分野ではないのだ。一般的に、基本セット2015で呪文の多いデッキは勝ちにくいようで、これは一般に呪文が強い、赤と黒が共通してこの環境で抱える弱点でもある。私自身を含めて、赤黒で除去をたくさん詰め込んだ強そうに見えるデッキを作っても、思ったほど上手くいかないことが多々あった。
 
 赤単
 
 赤単はほとんど超前のめりになることが多かったが、上で話した赤黒と同じ問題を抱えていた。しかしながら、アーティファクトをテーマに据えた赤単はかなり好成績を残している(《屑鉄場の雑種犬/Scrapyard Mongrel》とか《爆片破/Shrapnel Blast》を採用するやつだ)。アンドリュー・クネオ(Andrew Cuneo)が、《発生器の召使い/Generator Servant》4枚と6マナ圏4枚、エレメンタル指定する《ウルドのオベリスク/Obelisk of Urd》(召使いと《鉱夫の破滅/Miner’s Bane》もエレメンタルだ!)というデッキを組んで3-0していたことがあった。
 
 総論
 
 基本セット2015は、過去の基本セットと比べてやりがいのある濃い環境だ。この実態は直感的には分かりにくい。主に比較的弱めな呪文と、適当な1/1クリーチャーの強みが中心となって、この特殊な実態を作り上げている。デッキ内のクリーチャー密度が濃いということは、《現実からの剥離/Peel from Reality》や《槌手/Hammerhand》のようなテンポを取るカードが、普通の環境より弱いということでもある。バウンスやブロック不可を作り出すようなテンポ呪文は、守るクリーチャーが1,2体しかいないときに有効で、盤面に生物がひしめいているような状況では効果が薄い。一方で《清められた突撃/Sanctified Charge》は、前のセットで《鼓舞する突撃/Inspired Charge》のようなカードはぼんやりした数合わせ要員だったのに対し、この環境の清められた突撃は、ゲームを決める威力のある《踏み荒らし/Overrun》だ。
 
 基本セット2015では一見、前のめりなデッキを組むのが難しい。《松明の悪鬼/Torch Fiend》のような、適当なパワー2のクリーチャーを並べてコンバットトリックで押し込む戦略を取っても上手くいかないことが多い。この環境の殴るデッキは、早くに盤面を埋め尽くして、回避能力で勝つか《三つぞろいの霊魂/Triplicate Spirits》、《天空のアジサシ/Welkin Tern》、《クレンコの処罰者/Krenko’s Enforcer》など)、押して《清められた突撃/Sanctified Charge》や《溶岩の斧/Lava Axe》を使って一撃でゲームを決められるよう心を砕いている。
 
 基本セット2015のコントロールは反対に、横に広がる相手を捌かなくてはならない。その用途でいくと、初見では貧弱に見えるだろうが、《爛れ暗がり/Festergloom》は黒の最強コモンだ。《爛れ暗がり/Festergloom》は三つぞろいの霊魂に対処できる数少ないカードの一つで、盤面で後手に回っていても押し返せる可能性すら生まれる。珊瑚の障壁や爛れ暗がりのようなカードこそが強くて、1:1交換として弱い《硬化/Encrust》のようなカードは、コントロールですら少々手が出しづらい。
 
 序盤のクリーチャーをいなしておくと、三つぞろいの霊魂や包囲ワームといった終盤出てくるカードが唱えられるのを1,2ターン遅らせることができるということを覚えておいてほしい。この数ターンの差は非常に大きいことが多い。
 
 基本セット2015のリミテッドは爆弾レアによって勝敗の決まるゲームがしばしばある。基本セットだとそれ自体は珍しいことでないが、今回は特に明言しておく必要があるだろう。結果的に、《雲散霧消/Dissipate》、《肉は塵に/Flesh to Dust》、《光の柱/Pillar of Light》といったカードには、ゲームを決めかねないレアや神話レアへの保険という側面が新たに生まれることとなる。《現実からの剥離/Peel from Reality》や《虚空の罠/Void Snare》を使うことで時間を稼いで、爆弾レアでゲームが支配されてしまう前に殴り倒すことも視野にいれていいだろう。使う側からすると、黒緑で墓地を利用するデッキが、最も早く確実にデッキ内の爆弾レアへアクセスしやすい。
 
 今回とった統計手法を改良して、今後のプロツアーに役立てたい。チーム内でもかなり有用なデータという見解が出ているものの、もっとしっかりした構造にして、有用そうなところを掘り下げられるようにしたい。タッチ色と土地の枚数を調べるのが、さしあたって次の課題だろうか。アイディアは大歓迎だから是非投下してくれ。
 
 読んでくれてありがとう。
 
 
 
 Matt Costa
 @mattccosta
◆ 【翻訳】チャネル・ファイアーボール チーム・パンテオンの使った迷路の終わりコントロール……と諸々
 
 #TeamCFBP Deck Tech – Maze’s End and More
 
 By Gabriel Nassif 2014年8月6日
 
 http://www.channelfireball.com/articles/teamcfbp-deck-tech-mazes-end-and-more/
 
 今回のプロツアーで、私は平常心を失っていた。ポーカーでいうティルトの状態だった。本当に最後の土壇場になって、他に申し分ない選択肢が2つもあったにも関わらず、私は調整していない《迷路の終わり/Maze’s End》を使うことに決めた。チームのデッキであるオルゾフコントロールに乗っておくべきだったのに、どうも好きになれなかったのだ。
 
 プロツアー調整前の直前数日間、私は白緑ビートダウンをいじってみることにした。《ワームの到来/Advent of the Wurm》は魅力的だったものの、軽い部分をもっと多くしたかったのでワームはほとんど抜いて、同じ理由で《加護のサテュロス/Boon Satyr》もごっそり抜いてしまった。1ターン目から攻撃の手を展開していくことこそ、黒単のようなデッキにとっては喉元に刃を突き付けることになる。4ターン目のワームは強いかもしれないけれど、1ターン目に展開できなかった穴を埋め合わせできるほどではなかった。下にあるのが私の作ったリストだ。オレゴンのガバメント・キャンプ(Government Camp, Oregon)でやった集中合宿で、うっかり眠ってしまって正気を失わなかったら、私はこのデッキを使っていたはずだ。
 
 
 土地
 8:《平地/Plains》
 7:《森/Forest》
 4:《マナの合流点/Mana Confluence》
 4:《寺院の庭/Temple Garden》
 
 クリーチャー
 4:《実験体/Experiment One》
 4:《万神殿の兵士/Soldier of the Pantheon》
 3:《陽刃のエルフ/Sunblade Elf》
 2:《ドライアドの闘士/Dryad Militant》
 4:《羊毛鬣のライオン/Fleecemane Lion》
 4:《復活の声/Voice of Resurgence》
 4:《ロクソドンの強打者/Loxodon Smiter》
 
 呪文
 1:《議事会の招集/Call of the Conclave》
 1:《ワームの到来/Advent of the Wurm》
 3:《群れの統率者アジャニ/Ajani, Caller of the Pride》
 1:《巨大化/Giant Growth》
 4:《セレズニアの魔除け/Selesnya Charm》
 2:《払拭の光/Banishing Light》
 
 
 サイドボード
 4:《狩人狩り/Hunt the Hunter》
 4:《セテッサ式戦術/Setessan Tactics》
 2:《払拭の光/Banishing Light》
 2:《静翼のグリフ/Hushwing Gryff》
 2:《鬼斬の聖騎士/Fiendslayer Paladin》
 1:《根生まれの防衛/Rootborn Defenses》

 
 今になって思うと、私はコントロールや《生命散らしのゾンビ/Lifebane Zombie》入りのデッキ相手にテストをしすぎていたかもしれない。プロツアーで白緑を使っていた人は皆、加護のサテュロスやワームの到来を好んで使ってるようだった。
 
 デッキの内容はともかく、一つ助言をしたい。何度もマリガンするべし。白と緑が両方でないのならマリガンするべきだし、1マナ、2マナのクリーチャーが無いときは、よほどぶっ飛んだ手札でない限りキープするべきでない。
 
 さて、白緑に代わって私が使ったのはこちら。
 
 
 土地
 10:ギルド門各種
 4:《迷路の終わり/Maze’s End》
 4:《繁殖池/Breeding Pool》
 4:《ヤヴィマヤの沿岸/Yavimaya Coast》
 1:《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
 1:《寺院の庭/Temple Garden》
 1:《森/Forest》
 1:《島/Island》
 
 クリーチャー
 4:《森の女人像/Sylvan Caryatid》
 2:《根囲いの壁/Wall of Mulch》
 
 呪文
 4:《濃霧/Fog》
 4:《暴動鎮圧/Riot Control》
 4:《予言/Divination》
 4:《都の進化/Urban Evolution》
 2:《スフィンクスの啓示/Sphinx’s Revelation》
 4:《再供給/Restock》
 3:《霊気渦竜巻/AEtherspouts》
 1:《危険な櫃/Perilous Vault》
 2:《今わの際/Last Breath》
 
 
 サイドボード
 3:《家畜化/Domestication》
 3:《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》
 2:《否認/Negate》
 2:《反論/Gainsay》
 2:《神討ち/Deicide》
 1:《霊異種/AEtherling》
 1:《突然の衰微/Abrupt Decay》
 1:《ジェイスの創意/Jace’s Ingenuity》

 
 実は全除去10枚以上とドローを詰め込んだ《迷路の終わり/Maze’s End》を考えたものの、そちらはプロキシーを作ってる最中に没にしたもので、結局一回もゲームしないまま終わった。
 
 没にした理由は、デッキがタップインする土地まみれで、重たい呪文を必要な時に唱えられる気がしなかったからだ。しかし、木曜日に自宅からポートランド(Portland)へ向かう最中、トム(Tom Martell)がマジックオンラインの2人構築で当たった《濃霧/Fog》版の話を聞いて、使ってみようという気になった。
 
 1本目のゲームはかなり上手く運べるように思えた。何せスタンダードのアーキタイプは、そのほとんどがこちらのゲーム展開を妨害することができないのだ(《アスフォデルの灰色商人/Gray Merchant of Asphodel》ですら、少々遅く威力が足りない)。でも、サイドボード後は対戦相手が腐る除去を《強迫/Duress》、《ラクドスの復活/Rakdos’s Return》、打消しなどに取り換えてきて、無残な結果になることもわかった(前に色々な形のバントコントロールを使った経験から、そうなるんじゃないかなと思ってはいたんだがね)。
 
 サイドボード後は、受けるよりもこちらから仕掛けていく必要があると感じた。青単信心や黒単信心からすれば、濃霧系のカードだけ弾いてやれば、相手はクリーチャーを無視できなくなるのだから。迷路の終わりはティア1のデッキにはならないと思うけれど、もう少し(あるいはかなり)手を加えてやれば、競技レベルにはなると思う。サイドボード後のゲームでは、絶対に全体除去がもっと必要だ。安牌だと《至高の評決/Supreme Verdict》になるか。あと、カードを選択するときに《夜帷の死霊/Nightveil Specter》におびえすぎたと思う。とはいえサイドボードに仕込んだ《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》はとても良かった。
 
 変形サイドボードが上手くいったのもあって、すんなり二日目に進むのに必要な2勝も勝ち取ることができた。とはいえ、その2勝も運が良かったから取れたのだと思う。
 
 一日目の成績は4-4で、2回目のドラフトも上手くいかなかったものの、何とかするだけの手はあった。残念ながら、1ラウンド目でミスプレイをやらかして、2ラウンド目は酷いドローに見舞われ、6敗したところでスタンダードをもうプレイしたくなくなったのでドロップした。3 on 3のチームドラフトをしたり、チームメイトの野次馬になろうかとね。
 
 白黒や白緑を使っていればどんな結果になっていたかと考えを巡らせて、かなり後悔している。こういう間違いをしたのは今回が初めてじゃない。願わくばこれが最後と思いたいね。ワールド・マジック・カップ予選も近づいてきているから、参戦するかもしれない。私が住んでいるパリ(Paris)のやつには絶対出るつもりだし、リヨン(Lyon)のにも多分行くだろう。リヨンなら電車で2時間だし。もう少し白緑を磨き上げたいけど、迷路の終わりももう1回は試したいと思っている。とはいえ、ティア1のデッキに挑むにはすこし厳しいかもしれない。
 
 リストはこんな感じのを試してみようかと考え中
 
  
土地
 10:ギルド門各種
 4:《迷路の終わり/Maze’s End》
 4:《繁殖池/Breeding Pool》
 4:《ヤヴィマヤの沿岸/Yavimaya Coast》
 4:《寺院の庭/Temple Garden》
 1:《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
 
 クリーチャー
 4:《森の女人像/Sylvan Caryatid》
 
 呪文
 4:《濃霧/Fog》
 4:《暴動鎮圧/Riot Control》
 4:《予言/Divination》
 3:《荒ぶる波濤、キオーラ/Kiora, the Crashing Wave》
 4:《都の進化/Urban Evolution》
 2:《至高の評決/Supreme Verdict》
 4:《再供給/Restock》
 1:《次元の浄化/Planar Cleansing》
 3:《スフィンクスの啓示/Sphinx’s Revelation》
 
 
 サイドボード
 3:《ニクス毛の雄羊/Nyx-Fleece Ram》
 3:《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》
 4:《否認/Negate》
 2:《至高の評決/Supreme Verdict》
 1:《霊異種/AEtherling》
 1:《突然の衰微/Abrupt Decay》
 1:《危険な櫃/Perilous Vault》

 
 他にも《森の女人像/Sylvan Caryatid》と《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》の2枚を核にしたデッキをいくつか試したいと思っているものの、デッキテストの段階ではレイド・デューク(Reid Duke)と一緒に頑張ってみて、どれも上手くいかなかった。女人像と狩猟者を使うデッキも、迷路の終わりと同じ問題を抱えることになってしまう。つまり、1ゲーム目は非常に強いものの、サイドボード後黒系のデッキに対して非常に辛いということ。
 
 それと、新しいデッキを一つ公開しようと思う。ティア1に仕上げるのは少し難しそうだから、お披露目しても構わないだろうということでね。読者の中にこの手のデッキが性に合う人がいたら、楽しさは保障するよ。相手との駆け引きもかなりある。
 
 
土地
 3:《神秘の神殿/Temple of Mystery》
 4:《啓蒙の神殿/Temple of Enlightenment》
 3:《豊潤の神殿/Temple of Plenty》
 4:《繁殖池/Breeding Pool》
 4:《寺院の庭/Temple Garden》
 1:《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
 4:《ヤヴィマヤの沿岸/Yavimaya Coast》
 1:《島/Island》
 2:《平地/Plains》
 
 クリーチャー
 4:《森の女人像/Sylvan Caryatid》
 3:《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》
 1:《霊異種/AEtherling》
 
 呪文
 4:《アゾリウスの魔除け/Azorius Charm》
 2:《思考を築く者、ジェイス/Jace, Architect of Thought》
 3:《荒ぶる波濤、キオーラ/Kiora, the Crashing Wave》
 3:《至高の評決/Supreme Verdict》
 4:《都の進化/Urban Evolution》
 3:《スフィンクスの啓示/Sphinx’s Revelation》
 4:《拘留の宝球/Detention Sphere》
 1:《払拭の光/Banishing Light》
 2:《太陽の勇者、エルズペス/Elspeth, Sun’s Champion》
 

 
 そうそう、プロツアーで優勝したイヴァン・フロック(Ivan Floch)の青白コンも試してみないといけないな。《急かし/Quicken》4枚はかなり素敵だと思う。
◆ 【翻訳】チャネル・ファイアーボール チーム・パンテオンの使った白黒アグロ
 
 #TeamCFBP Deck Tech – White/Black Aggro
 
 By Zvi Mowshowitz 2014年8月5日
 
 http://www.channelfireball.com/articles/teamcfbp-deck-tech-whiteblack-aggro/
 
 チャネル・ファイアーボール チーム・パンテオンで調整する最大のメリットの一つが、サム・ブラック(Sam Black)特製の最新デッキを味わい、また制作側に入れることだ。サムは思いもよらないようなカードを取り上げて、活躍させる方法を見つけてくるんだよ。そして誰も考え付か鳴ったような戦略を一流の戦略にしてみせるんだ。初期段階では、実際に使うときのデッキよりずっとぶっ飛んだ構成なんだけどね。今日紹介するデッキは、もともと《ザスリッドの屍術師/Xathrid Necromancer》と《カルテルの貴種/Cartel Aristocrat》を、《戦列への復帰/Return to the Ranks》と《ヘリオッドの指図/Dictate of Heliod》で強化する人間デッキだった。そのままでも凄いことは色々できたけど、苦労が報われたと思ったのは、人間デッキを考えたことで、スタンダード現環境を相手どるための骨格をサムが見出せたときだ。そのときのデッキには、スタンダードで必要なことをしないカードがたくさん入っていた。それはつまり、単体で、かつ速やかにゲームに勝利するということ。速さと支配力がないと《群れネズミ/Pack Rat》、《海の神、タッサ/Thassa, God of the Sea》、《スフィンクスの啓示/Sphinx’s Revelation》に飲み込まれてしまう。
 
 今日紹介するデッキのテーマは、軽くて単体でゲームを終わらせられるカードを使うこと。群れネズミが対処されなければ、唱えるのはその1枚だけでゲームに勝てるというのは周知の事実だね。《オレスコスの王、ブリマーズ/Brimaz, King of Oreskos》や《管区の隊長/Precinct Captain》はネズミ並みではないものの、見た目より相当やり手だ。ブリマーズや隊長の効果は累積するから、速やかに巻き返しの不可能な盤面になるし、コントロールに対しては後続をさほど追加しなくても解答を迫ることができる。《幽霊議員オブゼダート/Obzedat, Ghost Council》は典型的な重量級アタッカーだ。《ヴィズコーパの血男爵/Blood Baron of Vizkopa》の方が好みでも、このデッキは自分のクリーチャーを対象にとりたいことがままあるので、オブゼダートを採用している。《冒涜の悪魔/Desecration Demon》や《万神殿の兵士/Soldier of the Pantheon》はマナカーブを埋めつつ、デッキによっては悪夢のようなカードだ。
 
 単体で強いクリーチャーを入れてはいるものの、手助けが必要なこともある。《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》や《森の女人像/Sylvan Caryatid》に対しては、こちらのクリーチャーが素のままでは小粒すぎることが多い。それが《群れの統率者アジャニ/Ajani, Caller of the Pride》や《責め苦の伝令/Herald of Torment》を入れている理由だ。オブゼダートがいれば群れネズミ無しでも十分最後の一押しを決められるし、群れネズミだけで押し勝てるゲームも相変わらず存在する。それに《儚き盾/Ephemeral Shields》でクリーチャーを守ることだって可能だ。管区の隊長やブリマーズのトークンを使えば、大体マナを使わずに唱えられるだろう。
 
 デッキの残りの部分は、標準的な《思考囲い/Thoughtseize》と除去パッケージだ。群れネズミを相手にするため、《胆汁病/Bile Blight》は外せない。胆汁病は加えて他の用途でも何かと役に立ってくれる。《英雄の破滅/Hero’s Downfall》はスタンダードで最も信頼でき、かつ柔軟な除去だ。《思考を築く者、ジェイス/Jace, Architect of Thought》や《太陽の勇者、エルズペス/Elspeth, Sun’s Champion》、それにサイドボード後は《テューンの大天使/Archangel of Thune》や《夜帷の死霊/Nightveil Specter》と、コントロールデッキ相手でも引いて悪くない除去の部類だね。除去、手札破壊に優秀なクリーチャー、群れネズミとマナを使わずにネズミを守る呪文と、マナさえきちんと出れば、最高のネズミゲーができるよ。
 
 このデッキを成立させた立役者こそ、マナ基盤だ。《コイロスの洞窟/Caves of Koilos》と《マナの合流点/Mana Confluence》が、《静寂の神殿/Temple of Silence》と《神無き祭殿/Godless Shrine》を補完する形で、白白の要求されるカードも黒黒の要求されるカードも回していくことができる。そして群れネズミと《変わり谷/Mutavault》があることで、マナフラッドのリスクも緩和することができる。まあ綺麗なマナベースではないし、結構痛い。試合によっては土地からダメージをくらい続けてライフが一桁にまで落ち込むこともあるだろう。しかし、こちらのカードはとても強力なので、一度も攻撃を受けずにゲームを終わらせられたりすることもしばしば起きるし、必要な時は手を休めてダメージを喰らわないようにすることもできる。
 
 このデッキはサイドボードも素晴らしい。デッキには核となる、絶対に抜かない部分もあるけれど、他のカードと入れ替えて質を高める枠も存在する。《儚き盾/Ephemeral Shields》、《群れの統率者アジャニ/Ajani, Caller of the Pride》、《責め苦の伝令/Herald of Torment》は、相手を妨害するための手札破壊や除去にすることがよくあるし、除去をより効果的な除去や手札破壊にすることもあるね。青単信心は《放逐する僧侶/Banisher Priest》と《貪る光/Devouring Light》、それに《神討ち/Deicide》が苦手で、《波使い/Master of Waves》と《海の神、タッサ/Thassa, God of the Sea》でゲームを押していきづらくなる。コントロール相手には《強迫/Duress》が刺さるし、《ヴィズコーパの血男爵/Blood Baron of Vizkopa》はたいていオブゼダートと交換で参戦するけど、現環境最強の貫録を見せつけてくれる。たまにどちらも入れずマナカーブを低めに寄せることもあるたとえば対青単信心戦とか)。両方抜いてしまっても大丈夫なときはね。《生命散らしのゾンビ/Lifebane Zombie》は相手の血男爵を撃ち落とすし、クリーチャーをまっとうに展開してくる白や緑のデッキに対しては、特に工夫の必要もなくカードアドバンテージをむしり取っていく。《貪る光/Devouring Light》の採用は、相手の展開に追いつく目的と、マナカーブを低くするためだけど、管区の隊長もブリマーズも盤面を押さえつけるという点では、サイドの手を借りなくとも優秀だ。
 
 さてこのデッキだが、柔軟に入れ替えて調整のできる枠が存在する。プレイヤーによっては間違いなく、儚き盾をリストラして除去を入れたいと思うだろう。もっとビートダウンを相手に調整してみれば、問題なく除去と入れ替えられるかどうか分かるだろう。トドメになるカードや除去もまた、枚数を増減したり、あるいはもっと大胆に変えてみてもいい。赤や緑のデッキも、一戦一戦が重要なプロツアーでかなり目にしたから、他の相手を想定して入れているカードを入れ替えれば有利に戦えることも多そうだ。
 
 他のサムが作ったデッキの例に漏れず、サイドボードには特定のデッキへの対策カードより、デッキの調整をするためのカードが多い。サイドボードを行うときは、マナカーブをいじったり、相手に合わせた適切なクリーチャー、除去、手札破壊を入れたり、相手に対してより有利に働くよう、カードを入れ替える。サイドボードは相手がどうゲームを展開してくるかが鍵だね。白黒アグロは、相手が何であれ料理する道具を持っている。2ゲーム目、相手がこちらのカードに対してノーケアで動いてきたら、3ゲーム目その意識されなかったカードを入れてみるといい。相手がケアして動いてきたら、他のカードが突き刺さるだろう。特に《儚き盾/Ephemeral Shields》と《貪る光/Devouring Light》は、対戦相手の警戒次第で全く価値が変わってくる。
 
 
 土地
 4:《神無き祭殿/Godless Shrine》
 4:《静寂の神殿/Temple of Silence》
 4:《コイロスの洞窟/Caves of Koilos》
 2:《マナの合流点/Mana Confluence》
 4:《平地/Plains》
 2:《沼/Swamp》
 1:《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》
 4:《変わり谷/Mutavault》
 
 クリーチャー
 4:《万神殿の兵士/Soldier of the Pantheon》
 4:《管区の隊長/Precinct Captain》
 4:《群れネズミ/Pack Rat》
 4:《オレスコスの王、ブリマーズ/Brimaz, King of Oreskos》
 1:《責め苦の伝令/Herald of Torment》
 2:《冒涜の悪魔/Desecration Demon》
 2:《幽霊議員オブゼダート/Obzedat, Ghost Council》
 
 呪文
 3:《英雄の破滅/Hero’s Downfall》
 3:《胆汁病/Bile Blight》
 4:《思考囲い/Thoughtseize》
 2:《儚き盾/Ephemeral Shields》
 2:《群れの統率者アジャニ/Ajani, Caller of the Pride》
 
 サイドボード
 4:《放逐する僧侶/Banisher Priest》
 2:《貪る光/Devouring Light》
 3:《強迫/Duress》
 1:《神討ち/Deicide》
 2:《ヴィズコーパの血男爵/Blood Baron of Vizkopa》
 3:《生命散らしのゾンビ/Lifebane Zombie》

 
 
青単信心へのサイドボーディング
 IN
 4:《放逐する僧侶/Banisher Priest》
 2:《貪る光/Devouring Light》
 1:《神討ち/Deicide》
 OUT
 2:《儚き盾/Ephemeral Shields》
 2:《群れの統率者アジャニ/Ajani, Caller of the Pride》
 1:《責め苦の伝令/Herald of Torment》
 2:《幽霊議員オブゼダート/Obzedat, Ghost Council》
 

 
黒単信心へのサイドボーディング
 IN
 2:《ヴィズコーパの血男爵/Blood Baron of Vizkopa》
 OUT
 2:《幽霊議員オブゼダート/Obzedat, Ghost Council》
 

 
白黒へのサイドボーディング
 IN
 2:《ヴィズコーパの血男爵/Blood Baron of Vizkopa》
 3:《生命散らしのゾンビ/Lifebane Zombie》
 OUT
 2:《幽霊議員オブゼダート/Obzedat, Ghost Council》
 2:《儚き盾/Ephemeral Shields》
 1:《群れの統率者アジャニ/Ajani, Caller of the Pride》
 

 
青白系コントロールへのサイドボーディング
 IN
 3:《強迫/Duress》
 3:《生命散らしのゾンビ/Lifebane Zombie》
 2:《ヴィズコーパの血男爵/Blood Baron of Vizkopa》
 OUT
 3:《胆汁病/Bile Blight》
 1:《英雄の破滅/Hero’s Downfall》
 1:《万神殿の兵士/Soldier of the Pantheon》
 2:《儚き盾/Ephemeral Shields》
 1:《オレスコスの王、ブリマーズ/Brimaz, King of Oreskos》
 

◆ 【翻訳】チャネル・ファイアーボール チーム・パンテオンの使った青白コントロール
 
 #TeamCFBP – U/W Control
 
 By Andrew Cuneo 2014年8月4日
 
 http://www.channelfireball.com/articles/teamcfbp-uw-control/
 
 ダブリンのプロツアー・テーロス以来、スタンダードの環境はほとんど変わっていないというのに、デッキテストをするなんて不思議な話だ。基本セット2015のカードもまた、環境に大きく影響しそうなものはなかった。環境が変わらないのなら、ダブリン以来ずっと使い続けているデッキでいく決心もつくというもの。そう、青白コントロールだ。デッキリストはこちら。
 
土地
 7:《島/Island》
 6:《平地/Plains》
 4:《啓蒙の神殿/Temple of Enlightenment》
 3:《アゾリウスのギルド門/Azorius Guildgate》
 4:《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
 2:《変わり谷/Mutavault》
 
 呪文
 1:《急かし/Quicken》
 1:《不死の霊薬/Elixir of Immortality》
 2:《中略/Syncopate》
 4:《アゾリウスの魔除け/Azorius Charm》
 1:《今わの際/Last Breath》
 4:《解消/Dissolve》
 4:《予言/Divination》
 3:《思考を築く者、ジェイス/Jace, Architect of Thought》
 2:《太陽の勇者、エルズペス/Elspeth, Sun’s Champion》
 4:《スフィンクスの啓示/Sphinx’s Revelation》
 4:《至高の評決/Supreme Verdict》
 4:《拘留の宝球/Detention Sphere》
 
 サイドボード
 1:《テューンの大天使/Archangel of Thune》
 2:《否認/Negate》
 1:《記憶の熟達者、ジェイス/Jace, Memory Adept》
 1:《神討ち/Deicide》
 1:《真髄の針/Pithing Needle》
 2:《反論/Gainsay》
 2:《漸増爆弾/Ratchet Bomb》
 2:《今わの際/Last Breath》
 2:《鬼斬の聖騎士/Fiendslayer Paladin》
 1:《ジェイスの創意/Jace’s Ingenuity》

 コントロールに慣れていない読者のために解説すると、これは典型的なコントロールデッキだ。デッキのあらゆるカードが、生き残ることに徹するようになっている。ゲームが長引けば長引くほどこちらが有利になっていって、最終的に相手は何もできなくなって、こちらがゲームに勝利する。こんな戦略が上手くいく主な理由は《スフィンクスの啓示/Sphinx’s Revelation》のおかげだ。啓示は単体でとにかく強すぎる。啓示が通るとまた、引いてくるあらゆるカードがゲームを膠着させるのにいい仕事をするんだ。
 
 個々のカードについて
 
 《急かし/Quicken》:少数入れておくと幸せになれるカード。《至高の評決/Supreme Verdict》と組み合わさると壊滅的な一撃をお見舞いすることができる。でも枚数を増やそうとは思わない。増やしてもサイクリングするのが主になってしまうし、序盤はサイクリングするのに使えるマナも限りがあるからね。
 
 《不死の霊薬/Elixir of Immortality》:コントロールデッキにおいて、決着をつけるのに最適な手段。軽いし、気の抜けないゲームにも勝てるので、《霊異種/AEtherling》より優れている。
 
 《アゾリウスの魔除け/Azorius Charm》:素晴らしいカードで、実に柔軟性に富んでいる。青白コンを使っているときに最もありがちな間違いなのが、ドローを進めるのでなくて相手のクリーチャーをライブラリーの一番上に戻すことだ。私ならクリーチャーを戻すモードを使うのは、手札に十分土地があって、4ターン目から6ターン目くらいまで、満足のいくマナの使い道があるときだけかな。中盤にうまい手がないのなら、グダらせるよりドローを進める方がよほど良い。
 
 《今わの際/Last Breath》:単なる譲歩の産物。《変わり谷/Mutavault》がスタンダードの名役者すぎるので。
 
 《予言/Divination》:あらゆるコントロールデッキが使うカードではないが、デッキの中で最も重要なカードの一つだと思う。デッキテストの段階では同じ役割で《ジェイスの創意/Jace’s Ingenuity》を試したんだけど、ガッカリだったよ。3マナで土地や至高の評決を求めてデッキを掘れるというのは、デッキに安定性をもたらしてくれる。
 
 《拘留の宝球/Detention Sphere》:《突然の衰微/Abrupt Decay》の人気次第で、浮き沈みのあるカード。《次元の浄化/Planar Cleansing》も拘留の宝球の枠で試してみたんだが、この2枚のカードパワーの差は圧倒的だった。《突然の衰微/Abrupt Decay》のないマッチアップにおいて、拘留の宝球はあまりに強すぎる。たまに裏目があるとしても採用するに足るよ。
 
 《思考を築く者、ジェイス/Jace, Architect of Thought》:3枚しか入っていないのは奇妙に思えるかもしれないが、ジェイスのマイナス2してカードを引くモードはあまり効率が良くないので、複数枚引きたくないんだ。デッキの中でも使うのが難しいカードの一つで、色々な状況でどうすべきなのか、細かに説明するにはちょっと紙面が足りないけど、2つばかり方針を紹介したい。まず、マイナス2の能力で必要なカードを探しにいく場合、ジェイスがすぐに落ちるのを恐れないこと。ジェイスを攻撃させることを強制させてゲームを長引かせつつ、カードを引くというのはデッキの基本戦略だ。もう一つは、マイナス8の能力はゲームに勝つ手段としてきちんと機能するということ。こちらが優勢だがゲームを終わらせる手段がないとういときは、ジェイスの奥義を狙ってみよう。
 
 サイドボード
 
 《テューンの大天使/Archangel of Thune》:使うの初めて。青単信心や赤系のデッキに入れるつもりだ。
 
 《否認/Negate》:私の考えでは、マジックのカードとして最も美しく優雅にデザインされたものの一つだ。否認を使わずに《払拭/Dispel》を使う人は、縛りプレイでもしているのかと思ってしまうよ。何せ否認は、プレインズウォーカーへの強烈な解答となるんだから。コントロール、バーン、黒系のデッキ、緑のプレインズウォーカーデッキなどにサイドインするよ。サイドボードの中でも最も便利なカードだ。
 
 《記憶の熟達者、ジェイス/Jace, Memory Adept》:こちらのジェイスもまた、個人的に大好きなカード。勝ち手段であり、カードを引くこともできる。テストプレイをしていて、マイナス0のライブラリー破壊の能力をペンで塗り潰そうか、なんて冗談を言ったことがあったが、マイナス0はそのくらいまず使わない能力だった。このカードの一番いい使い方は、プラス1を連打して忠誠度を7までもっていくことだ。7まで忠誠度がたまったら、カードを20枚引くか、相手をライブラリーアウトさせるか決めよう。コントロール相手や黒系のデッキ相手に入れる。
 
 《神討ち/Deicide》:コントロールで必要以上に使われているカードだと思う。あまりに対象が限られ過ぎているのではなかろうか。黒系のデッキからすると《強迫/Duress》でこちらの手札を覗いた後、ケアして立ち回るのが簡単すぎるので、一枚だけに抑えてある。青単信心や黒単信心相手にサイドインする。
 
 《真髄の針/Pithing Needle》:プレインズウォーカーには素晴らしい解答となるが、他に相手はイマイチ。サイドからプレインズウォーカーや霊異種を入れてくる、緑のプレインズウォーカーデッキや青単信心に対して入れる。黒相手に針を入れるのは好きになれない。あまりに多くのカードに対して中途半端な解答でしかないからだ。《死者の神、エレボス/Erebos, God of the Dead》にとっては、3つの能力のうち1つを封じられるだけだし、《群れネズミ/Pack Rat》は変わり谷のおかげで元気だし、変わり谷は変わらずマナを供給してしまう。
 
 《反論/Gainsay》:使い方は明らか。ミラーマッチで打消しの増量を図ったり、青単信心相手に解消と交換して質の向上を狙う。
 
 《ジェイスの創意/Jace’s Ingenuity》:テストプレイでも長いこと2枚目の《神討ち/Deicide》だったが、神討ちは黒単信心相手に2枚引いたときの弱すぎるのでこちらになった。サイドボード後の黒単信心を倒すには、追加でカードを引くのが鍵だ。他のコントロールデッキ相手にもいい。コントロールミラーではインスタントのドローが偉すぎるからね。
 
 《漸増爆弾/Ratchet Bomb》:これも私のお気に入りだ。解答としては遅すぎるので悪評もあるが、覚えておいてほしいのは、漸増爆弾はマナアドバンテージにつながるということ。序盤押されていて、鍵となるターンに盤面を固定して支配する、そんなコントロールの織り出すパターンと実によく噛み合っているんだ。ほとんど用途は軽いクリーチャーデッキ相手だが、《霧裂きのハイドラ/Mistcutter Hydra》にも効果的だ。それに、トーナメントでは予期しないものを相手にすることが良くあるけど、そんな手合いに対しての潜在的な解答でもある
 
 《今わの際/Last Breath》:これもまたわかりやすいサイドボード。小型のクリーチャーデッキに対して効果は抜群だ。サイドボード後の青単信心に対してもとても重要だ。相手がサイドボードから投入してきた打消し呪文にしてやられないよう、盤面であまり押されるわけにはいかないからね。
 
 《鬼斬の聖騎士/Fiendslayer Paladin》:目を見張るようなカードではないが、1マナ2マナのクリーチャーで押してくるデッキを黙らせるのに効果的だ。
◆ 【翻訳】チャネル・ファイアーボール チーム・パンテオンの使ったオルゾフミッドレンジ
 
 #TeamCFBP Deck Tech – Orzhov Midrange
 
 By Paul Rietzl 2014年8月3日
 
 http://www.channelfireball.com/articles/teamcfbp-deck-tech-orzhov-midrange/
 
 俺の考えだけれど、《群れネズミ/Pack Rat》と《思考囲い/Thoughtseize》を使わないっていうのは、運搬にうってつけの滑車があるのに、ピアノを敢えて手で抱えて階段を登るようなものだと思う。ダイエットの運動になるだろうし、ある程度賞賛も受けるかもしれないけど、多分ピアノを落っことして壊してしまうのがオチだろう。こちらがポートランドのプロツアー・基本セット2015で使ったリストだ(メインデッキは完璧。サイドボードは1,2枚変えるかもしれない)。
 
 土地
 8:《沼/Swamp》
 1:《平地/Plains》
 1:《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》
 4:《神無き祭殿/Godless Shrine》
 4:《静寂の神殿/Temple of Silence》
 4:《変わり谷/Mutavault》
 4:《コイロスの洞窟/Caves of Koilos》
 クリーチャー
 4:《群れネズミ/Pack Rat》
 3:《冒涜の悪魔/Desecration Demon》
 3:《ヴィズコーパの血男爵/Blood Baron of Vizkopa》
 1:《幽霊議員オブゼダート/Obzedat, Ghost Council》
 3:《生命散らしのゾンビ/Lifebane Zombie》
 呪文
 4:《思考囲い/Thoughtseize》
 3:《肉貪り/Devour Flesh》
 3:《胆汁病/Bile Blight》
 1:《究極の価格/Ultimate Price》
 3:《地下世界の人脈/Underworld Connections》
 2:《払拭の光/Banishing Light》
 2:《英雄の破滅/Hero’s Downfall》
 2:《太陽の勇者、エルズペス/Elspeth, Sun’s Champion》
 
 サイドボード
 3:《強迫/Duress》
 3:《破滅の刃/Doom Blade》
 2:《悲哀まみれ/Drown in Sorrow》
 1:《死者の神、エレボス/Erebos, God of the Dead》
 1:《神討ち/Deicide》
 1:《払拭の光/Banishing Light》
 1:《罪の収集者/Sin Collector》
 1:《今わの際/Last Breath》
 1:《地下世界の人脈/Underworld Connections》
 1:《ファリカの療法/Pharika’s Cure》

 はっきりさせておきたい事だが、これは黒単信心に白をタッチしたデッキではない。これは全く別物のアーキタイプ、オルゾフミッドレンジというデッキだ。パトリック・チャピン(Patrick Chapin)と俺が去年の秋ダブリンで使って大成功した、あのデッキを基にした。今回のデッキはあれから大幅に進化して、黒単の定番カードである《群れネズミ/Pack Rat》や《冒涜の悪魔/Desecration Demon》が加わった。デッキのコンセプトとしては、まずこちらのリソースを使って初動をいなして、そこから5マナや6マナの強烈なカードで相手を沈めるんだ(もしくは《群れネズミ/Pack Rat》ですり潰す)。特に、《ヴィズコーパの血男爵/Blood Baron of Vizkopa》は、黒単やその亜種、白緑ビートダウン、それに《拘留の宝球/Detention Sphere》を使うデッキが多いと読んだメタゲーム的にとてもよく合致していると思った。それに《太陽の勇者、エルズペス/Elspeth, Sun’s Champion》は、スタンダードであまり見ないのが犯罪的なくらい強いカードだ。
《肉貪り/Devour Flesh》 《胆汁病/Bile Blight》 《究極の価格/Ultimate Price》

 除去について少し話そうか。メインデッキは決まっていて、それと別にサイドボードがあるという考え方がある。メインの除去はこれこれで、サイドには入らないとか、まあそんな考えだ。ミッドレンジデッキにとって、その考えは必ずしも当てはまらない。ミッドレンジの除去は、「丸く」全てに対処できるよう汎用性を最大まで高めること。まず当たる相手を想定して、それから全てに有効になるよう枚数を調整していくんだ。だから《肉貪り/Devour Flesh》のような除去は、ほとんどのマッチアップで最高の除去とはならないものの、非常に重要な役割がある。《夜帷の死霊/Nightveil Specter》、《群れネズミ/Pack Rat》、《森の女人像/Sylvan Caryatid》全てに対応できるからね。それにマナカーブでは低マナを支えるし、バーン相手には《冒涜の悪魔/Desecration Demon》を生贄に捧げるようなこともやってのける。《胆汁病/Bile Blight》は単純にカードとして強い。《群れネズミ/Pack Rat》に効果的だし、ビートダウンに良し、変わり谷に撃って良し、青単信心に良し。《究極の価格/Ultimate Price》は除去に多様性を持たせるためで、《世界を喰らう者、ポルクラノス/Polukranos, World Eater》、《嵐の息吹のドラゴン/Stormbreath Dragon》、《冒涜の悪魔/Desecration Demon》のような面々を処理してくれる。これら全ての除去が《群れネズミ/Pack Rat》への対処になっているんだ。偶然じゃないぜ。何せ俺は《群れネズミ/Pack Rat》はスタンダードで2番目に強いカードだと思ってるからな。
《思考囲い/Thoughtseize》

 そう、押しも押されぬスタンダード最強カードは《思考囲い/Thoughtseize》だ。プロみたいな腕のあるプレイヤーの手にかかれば、《思考囲い/Thoughtseize》は恐ろしい武器になる。まあ思考囲いの強さについては言い尽くされてるだろうから、ここで繰り返そうとは思わないが、特定のカードが生み出すシナジーに依存するデッキは、思考囲いを撃たれると非常に苦しい。加えて、多彩な除去と厄介な脅威が織り交ぜられたデッキで(今回のオルゾフミッドレンジがまさにそれだが)使う思考囲いは、相手の手札でこちらのゲームプランに唯一邪魔になりそうなカードを引っこ抜いてくれることが多々ある。
《冒涜の悪魔/Desecration Demon》 《生命散らしのゾンビ/Lifebane Zombie》

 大切なことだが、《冒涜の悪魔/Desecration Demon》と《生命散らしのゾンビ/Lifebane Zombie》は、《アスフォデルの灰色商人/Gray Merchant of Asphodel》のいないこのデッキだと、黒単信心で使うよりも少し弱い。生命散らしのゾンビはただただ強いのでどのみち入れたと思うが、冒涜の悪魔は何か別の除去とか妨害とか、あるいは違うクリーチャーになることもあり得ると思った。
 
 黒単信心はお客様。勿論、是非当たりたいと思っていたね。こちらには核兵器みたいに強力な《ヴィズコーパの血男爵/Blood Baron of Vizkopa》がいるし、《地下世界の人脈/Underworld Connections》や《死者の神、エレボス/Erebos, God of the Dead》を使った面でも、《神討ち/Deicide》に《払拭の光/Banishing Light》を持ってるこちらが戦いを制することができる。それに、コントロール全般にも有利なはずだ。1ゲーム目は腐ってしまう除去を引きすぎると苦しいだろうが、サイドボードのドローと手札破壊は非常に効果的。ミッドレンジ系にも有利なはず。《思考囲い/Thoughtseize》と《群れネズミ/Pack Rat》が基本となるものの、ミッドレンジには《太陽の勇者、エルズペス/Elspeth, Sun’s Champion》が輝く。何せエルズペスみたいなプレインズウォーカーは、スタンダードで他に存在しないからね。
 
 スライ型の赤単と青単信心が一番苦手な相手だ。赤単はこちらの除去をかいくぐって速度で圧倒してくるし、青単は《タッサの二叉槍/Bident of Thassa》、《海の神、タッサ/Thassa, God of the Sea》、《波使い/Master of Waves》に《夜帷の死霊/Nightveil Specter》と、非常に危険な奴らが潜んでいる。とはいえどちらも絶望的ではない。まず中盤まで生き延びてから、赤単相手には恒久的なライフ回復手段、青単相手にはエルズペスか冒涜の悪魔が通って対処されなければ勝てる。
 
 このデッキが素晴らしいのは、構成するカード一枚一枚が単体でスタンダード最強クラスなので、ある状況で本領を発揮できないカードがあったとしても、十分な性能を発揮できるというところだ。
 
 総合してやはり、腕のあるプレイヤーにとって、オルゾフはかなりいいデッキといえる。占術、群れネズミ、生命散らしのゾンビ、地下世界の人脈のもたらすドローに、多様であり効果的な除去パッケージと、プレイング要素や判断を問われる場面のかなり多いデッキだ。サイドボード後は、どんな釘でも撃ちつけるハンマーになってのける。上手いプレイヤーが常に情報をほぼ完ぺきに把握できれば、相手のあらゆる動きを潰しながら速やかに勝つ流れを作りだせるだろう。
 
 ここまで読んでくれてありがとう。
 
 
 
 ポール・リーツェル
◆ 【翻訳】基本セット2015 リミテッドレビュー 緑、アーティファクト、多色、土地 (by LSV)
 
 Magic 2015 Limited Review – Green, Artifact, Multicolored, and Lands
 
 Luis Scott-Vargas, 2014年7月10日
 
 http://www.channelfireball.com/home/magic-2015-limited-review-green-artifact-multicolored-and-lands/
 
 
《年経たシルバーバック/Ancient Silverback》
 リミテッド3.5点
 3.0か3.5点か、じっくり考えてみた結果、シルバーって名前に入ってるけど金賞をあげることにした。再生がついてるから止まらないだろうってね。マナを食うのは間違いないにしても、マッチアップによってはキチガイ性能を発揮するだろう。マーシャル・サトクリフ(Marshall Sutcliffe)が証明してくれると思うけどね。かつて強レアだったカードが、今や良アンコモンとして君臨してるのも好意的に見れるところだと思うよ(ま、こいつがレアだったときは《黒死病/Pestilence》がコモンだったわけだが、それでもね)。リミテッドだって変わるものさ。
《自然に帰れ/Back to Nature》
 リミテッド0.5点
 サイドボードに帰れ。
《人喰い苔野獣/Carnivorous Moss-Beast》
 リミテッド1.5点
 緑的にはデッキに1枚か2枚、6マナのカードが欲しいんじゃないかと思うんだ。こいつはどんくさく見えるけど、まあ及第点といっていいだろう。起動型能力は酷い性能だけど、6マナ4/5のままでも中々大きいし、暇な時に成長させられる選択肢があれば使えるだろう。
《突進するサイ/Charging Rhino》
 リミテッド3.0点
 緑の不器用な回避能力はこんな感じだよな。とはいえサイズに問題なし、能力良し、地上で突進するなら間違いないんじゃないかい?
《召喚の調べ/Chord of Calling》
 リミテッド2.0点
 構築への影響はともかく(《全能なる者アルカニス/Arcanis the Omnipotent》が帰ってこればなー)、リミテッドで強いカードじゃないね。呼び出すクリーチャーが強いならそれに応じて強くなるけど、それでも大量にマナがかかるし、色シンボルもキツい。点数に出てる通り緑なら入る可能性が高いが(特に緑を使うデッキは緑が濃くなりがちだからね)、でも取ったら必ず入るってカードでもない。
《エルフの神秘家/Elvish Mystic》
 リミテッド3.5点
 マナを出すエルフが緑の最良コモンでなかったらおかしい。特に何も言われていない以上、基本セット2015も普通のリミテッド環境だから、緑で取らないのは間違いだ。
《残忍な実体化/Feral Incarnation》
 リミテッド2.0点
 そうそうこれこれ。これぞまさに、俺がリミテッドでやりたいことそのものだ(そしてベン・スターク(Ben Stark)が全力で止めようとしてくることでもある)。クリーチャーを2体ばかりタップして6ターン目に唱えられたら実に素晴らしいし、召集デッキでお供が取れてたらかなり優先して取りたいカードじゃないかな。こういうカードがあると、直線的に上を目指すようなデッキを組むのが奨励されるけど、召集デッキのいいところは、特別なものが必要ないところ。クリーチャーがたくさん入ってさえいればどんなデッキでも使えるんだ。普通に強カードとして取られたとしても驚かないな。
《かき集める勇気/Gather Courage》
 リミテッド3.0点
 こいつが最初に刷られたときから、俺も宗旨替えしたのでね。使用に足るどころか強い部類のコンバットトリックだと思い始めた。アンタップ状態の土地が無くても唱えられるのは実にいい。相手が緑だと、どんな時でもケアしてプレイしなきゃならないと思うと頭痛がしてくるけどね。
《起源のハイドラ/Genesis Hydra》
 リミテッド3.5点
 サイズ的には1マナばかり余分に払うことになるけれど、追加で何か手に入るならそれもお目こぼししようというもの(大体Xは3以上で唱えると仮定してね)。終盤に唱えるにもぴったりだ。マナを伸ばして唱える先としてはピッタリ。他にもデッキに強いカードがあるなら、教示者的な役割すら果たしてくれる。
《スズメバチの巣/Hornet Nest》
 リミテッド3.0点
 フレイバー5.0点
 フレイバーの王様だ。こうまでの傑作には滅多に出会えない。この賞賛は軽いものじゃないよ。それにリミテッドでも中々使える。出された相手からしたら地上で殴るのがかなり辛いものになるし、除去を使うか、痛みを承知で3:1交換をするしかなくなってしまう。自分が前のめりなデッキでも、攻撃を実に効果的に止めてくれるだろうから使うだろうし、完全に守りを捨ててるビートダウンデッキでない限り、守勢に回ることってのはままあるものさ。こいつに火力を撃ちこむのも悪くないってことを覚えておこう。《稲妻の一撃/Lightning Strike》をかまして接死持ちの蜂を発生させたりしたら、まさにハチの巣をつついたような大騒ぎになるよ。
《女王スズメバチ/Hornet Queen》
 リミテッド4.0点
 7マナという俺が愛してやまないマナ域であることを覗いても、素晴らしいカードだ。襲われたミツバチのようにてんてこ舞いになっても、この危険生物にかかればイチコロよ。
《弱者狩り/Hunt the Weak》
 リミテッド1.5点
 基本セットだからって弱者を入れていい理由にはならんよ。相手と同じくらいのサイズのクリーチャーを用意して、さらに4マナをソーサリーで使わなきゃならないとはね。どっちが弱者だ?
《狩人の待ち伏せ/Hunter’s Ambush》
 リミテッド2.0点
 コンバットトリックでもあり《濃霧/Fog》でもある。更に両方の特性を発揮することもある、驚くべき柔軟性を備えたカードだ。3マナかかってしまうのが若干気になるし、相手が緑の場合効果が薄いが、他に関しては名前に恥じない性能だ。おっと、勿論緑で殴れるクリーチャーは必要だけどさ、言わなくてもわかるよな?
《侵入する生物種/Invasive Species》
 リミテッド3.0点
 こういうカード好きだねえ。まず、3マナ3/3のデメリットとして使えるだろ。それだけでも十分だ。3マナ3/3ならちょっとくらいデメリットがあったっていい。それだけでもまあ不満じゃない。素晴らしいのは、構築次第でこいつは3マナ3/3のかなり嬉しい能力持ちになり得るってことだ。戦場に出たときに素敵なことがおきるものでも取れば、イカすコンボが仕込めるし、両方を揃って引けなくても色々とできることがある。マイナス効果のつくオーラを剥がすとか、攻撃したクリーチャーを戻して疑似警戒として使うとかね。他にも、土地をまだ出してないなら回収してプレイすることでマナ加速っぽい芸当もできる。
《カロニアのツイングローブ/Kalonian Twingrove》
 リミテッド3.5点
 能力に振り回されて、緑単専用とか思いこまないこと。そりゃ確かに6/6が2体出る方がいいに決まってるけれど、カード1枚でクリーチャーを2体出せるんだ。どのくらい大きければ使う気が起きると思う?俺の考えでは、3/3くらいだと思う。こいつを唱えるときに、戦場の土地が半分森ならいいんだ。それならまあまあといったところ。欲を言えば森が10枚以上入るようなデッキにしたい。そうすればずっと巨大になる確率がぐっと上がるからね。それに、場に出た後だって大きくなるんだぜ。素敵じゃないか?
《生命の遺産/Life’s Legacy》
 リミテッド1.5点
 カードを引くことが大好きな俺ですら、盤面が重要なことくらい知ってるさ。こいつでアドバンテージを稼ごうとするなら、パワーが4以上のクリーチャーを生贄にしなきゃ割に合わないところだが、そんなに大きいクリーチャーを出して、除去や戦闘で生き残らせて、せっかく作った盤面を捨て去りたいってかい?俺は御免だね。カードを引くならもっと簡単でいいやり方があるだろうに。まあパッと見強そうだけどさ。《硬化/Encrust》に対して入れるのはいいね。硬化されたクリーチャーを利用すれば、まさに生命の遺産ってカード名にぴったりでもあるし。
《生きているトーテム像/Living Totem》
 リミテッド3.0点
 これ自身を対象にできないとはいえ、ほぼ4マナ3/4みたいなもので、しかも4マナより軽くプレイできる。明快な良クリーチャーだ。
《帰化/Naturalize》
 リミテッド0.5点
 ここはミラディンの傷跡ですか?
 → いいえ、違います。
 ではサイドボードへ(シールドでカードが足りないならメインに入れてもいいけれど、できればサイドボードに落としておきたいな)。
《網投げ蜘蛛/Netcaster Spider》
 リミテッド3.0点
 3ターン目に出すクリーチャーとして、こいつ以上の役者はいないだろう。そんな理由もあって、ほとんど3.5点をあげてもいいくらいだと思った。地上のクリーチャーに対してはそこまで有効でないから3.5点には惜しいながら及ばなかったけど、空中はこれでビタ止まりにしておける。緑にとっては何枚でも欲しいカードだろう。コモンの蜘蛛枠を立派に果たす奴だよ、こいつは。
《世界を目覚めさせる者、ニッサ/Nissa, Worldwaker》
 リミテッド4.0点
 6ターン目に出して、すぐ4/4を作って守れるのは素晴らしい。しかも生きてターンが返ってきたら、生きてる限り4/4軍団を作れる。最終的には4/4で戦場を埋め尽くしたり、他にもっといいものがあれば、凄まじいマナ加速もやってのける。プレインズウォーカーの中じゃちょっとばかり重いが、それでも信じがたい強さだ。飛行に少しばかり弱いのが唯一の欠点かな。《網投げ蜘蛛/Netcaster Spider》を確保しておけばバッチリだ。
《ニッサの探検/Nissa’s Expedition》
 リミテッド1.5点
 俺はマナ加速が好きだけど、5マナも支払って土地を伸ばすのは何か違う。召集すれば3マナか4マナで済むとはいえ、それでも《耕作/Cultivate》する旨味が感じられない。もっと上を目指すならってとこかな。
《圧倒/Overwhelm》
 リミテッド2.0点
 《踏み荒らし/Overrun》には敵わないものの、しかるべきデッキで運用すればきちんとフィニッシュ手段にはなる。《三つぞろいの霊魂/Triplicate Spirits》を何枚も叩きつけた後に撃てばまさに《圧倒/Overwhelm》。普通の緑のデッキに入るカードじゃないとだけ覚えておけば平気だろう。
《永遠の荒野の模範/Paragon of Eternal Wilds》
 リミテッド2.0点
 他の色の模範と比べるとパッとしないかな。もっとも、サイズに優れる緑のクリーチャーとしては、サイズ修正よりもトランプル付与のが重要ってのは面白いけどね。緑のクリーチャーは8、9体もいれば十分かな。素晴らしいとはいかなくもね。
《草タイタン/Phytotitan》
 リミテッド3.5点
 倒せない7/2とか、草を生やしてる場合じゃない。もっともこいつの場合、相手のクリーチャーと相討ちし始めてからも相当ゆっくりだけれども。その間に殺されてしまうことさえなければ、最後は草タイタンで勝てるだろう。6マナとしては十分な性能だ。
《垂直落下/Plummet》
 リミテッド2.0点
 垂直落下の評価も地に落ちたと思う人がいるかもしれないが、もともと天井を突き抜けるほど高評価じゃなかったからね。デッキの対空性能が低ければ、メインに一枚は差すと思うけど、2枚以上は絶対にない。サイドボードとしてはセット内でもかなり優秀で、そこそこ早めにとってもいいと思う。
《レインジャーの悪知恵/Ranger’s Guile》
 リミテッド2.5点
 コンバットトリックであり、《破滅の刃/Doom Blade》系の除去から身を守ることもできるから、まあまあなこともあれば超優秀なこともあるだろう。こういうコンバットトリックばかりとってもダメだが、一枚持っておくととてもいい。
《再利用の賢者/Reclamation Sage》
 リミテッド3.0点
 最良のアドバイスになるといいんだがね。物事には機会費用ってものがあって、つまり普通に《帰化/Naturalize》を入れると、それはデッキに入れる他のカードが一枚減るってことでもあるわけだが、こいつの場合は割る対象が出てこなかったときにも2/1で損失が起きにくい。つまり強い。
《再供給/Restock》
 リミテッド2.5点
 5マナでカードを2枚引くのも悪くないな。何せ引いてくる2枚が強いことが保障されてるわけだし(少なくともまあ、土地でない実であることは決まってるわけだし)。長期戦を見越した呪文ばかり入れても仕方ないといういつもの穴はあるけど、《再供給/Restock》はその中でも上等な部類だ。他の呪文が強いときには特にね。平凡なクリーチャーと漫然と使っても強くないけど、優良除去とかと合わせるとデッキが引き締まる。
《咆哮するプリマドックス/Roaring Primadox》
 リミテッド1.5点
 《侵入する生物種/Invasive Species》に強烈なメリット能力がついたのか、はたまた強烈なデメリットがついたのか。面白いパズルだ。《咆哮するプリマドックス/Roaring Primadox》は、こいつに合わせた構築をするカードだ。コンボ要素がないときのデメリットが痛すぎるから、入るデッキも自然と限られてくるというもの。戻して嬉しいところが2枚ばかりあるとか、でなくても1マナや2マナクリーチャーが少しばかりあるだけでも、かなり使える奴になるよ。
《ルーン爪の熊/Runeclaw Bear》
 リミテッド2.5点
 ただの熊がどのくらい活躍できる環境かわからないけど、そこまでどうしようもないクリーチャーではないと思うね。2マナは大切だから、こういう大したことない奴から、涙ぐましい努力をしてカーブを埋めようじゃないか。
《サテュロスの道探し/Satyr Wayfinder》
 リミテッド3.0点
 普通のデッキなら土地がめくれない可能性はかなり低いから、別にコンボ要素がなくたって入れていいし、墓地を弄繰り回す手段があるなら問答無用で入れられるね。
《春のシャーマン/Shaman of Spring》
 リミテッド3.0点
 俺が1:2交換を取れるカードを流すわけないな。とはいえ、デッキを春のシャーマンだらけにしても仕方ない。代わりに2マナも入れないとな。別に喜んでそうしてるわけじゃないんだが、自制はしないとね。
《包囲ワーム/Siege Wurm》
 リミテッド3.5点
 ついに召集デッキの目玉であり主戦力を紹介だ。《包囲ワーム/Siege Wurm》の強さはホンモノで、まっすぐ上のマナ域を目指す召集デッキにとって、《マイアの処罰者/Myr Enforcer》みたいな存在だ。5マナくらいで唱えられないなら、デッキの完成度が酷いか、それとも素晴らしいのどちらかだろう。普通の緑デッキでも欲しいカードだと思うけど、トークンをばらまいて召集するデッキにとってはもっと欲しいことだろう。
《ゼンディカーの魂/Soul of Zendikar》
 リミテッド4.5点
 到達は飛行と違うけれど、守りに徹するなら同じようなものだよね。次々ビーストを産む機械になってるだけ、他に何もしなくていいってのが評価高い(こいつのいた次元は2マナ2/2の熊だらけの超高速環境だったのが皮肉だけど)。とにかく3/3を作るのは素敵。総合的に、6マナの爆弾レアとしてまさにこういうカードは最高だね。
《陽刃のエルフ/Sunblade Elf》
 リミテッド3.5点
 白緑のデッキなら、序盤から攻めていけるのがいい。それに重要な点として、終盤のゲームプランにもなる。全体強化をチラつかせるのはかなり堪えるから、いつプレイしても素晴らしい。軽いから中盤から終盤にかけて、出してすぐに能力を起動もできる。2面性を備えたできる奴だよ。
《剛力化/Titanic Growth》
 リミテッド2.5点
 《レインジャーの悪知恵/Ranger’s Guile》もそうだけど、ゲームが進行するにつれ、強化呪文の価値は下がっていく。前のめりなデッキならたくさんいれたいところだが、中速のデッキなら少なくて構わないし、コントロールなら無くても構わない。剛力化の場合、大ダメージを追加できるところはいいんだが、2マナかかるというのが気に食わない。どちらかというとレインジャーの悪知恵の方が好みだが、どちらも強みがあってかなり近い評価だよ。
《下生えのゴミあさり/Undergrowth Scavenger》
 リミテッド3.0点
 4マナに見えて、実は4マナのカードじゃない。とはいえ出る頃にはかなりのサイズになると思うよ。早くは5ターン目か6ターン目くらいに唱えるだろうけれど、その頃には数回相手のクリーチャーと相討ちが起きてるんじゃないかな。たくさんありすぎるのも困りものだけど、1枚は終盤強いカードとして入れていいと思ってる。クリーチャーの戦闘を仕掛けていくデッキや、除去を詰め込んだデッキでも明らかに採用できるね(勿論除去コンより、クリーチャー密度が高くて戦闘が起きるデッキのがこいつを使いたいだろうけどね)。
《毒牙スリヴァー/Venom Sliver》
 リミテッド3.0点
 劣化《チフス鼠/Typhoid Rats》だとしても、2マナ1/1接死というだけで使用には堪える。他にもスリヴァーがいれば嬉しいが、別になくたって構わないよ。
《新緑の安息所/Verdant Haven》
 リミテッド1.0点
 3色以上でない限り、使うに値しないと思う。多色で使っても驚嘆するようなことは無いだろう。
《蔦織り/Vineweft》
 リミテッド1.0点
 凄まじく重たくて使いにくい《レオニンの円月刀/Leonin Scimitar》と思ってくれれば大体合ってる。
《根囲いの壁/Wall of Mulch》
 リミテッド2.5点
 決して誇張でなく、こういうカードこそまさに俺の求めている奴だよ。堅い守りになる2マナ域で、好きなときにカードへ変換できる。自分がビートダウンのときは歓迎されないかもしれないけれど、召集があるから、前のめりなデッキでも《包囲ワーム/Siege Wurm》のために低マナ域のクリーチャーを使いたいと思うかもね。
《放浪の吟遊詩人、イーサーン/Yisan, the Wanderer Bard》
 リミテッド3.5点
 3マナ2/3というだけで弱いはずがない。それにこいつが優秀なクリーチャーを場に呼び出すまで、長い時間はかからない。イーサーンを確保したら、1マナ域の価値も特に上がる。とはいえ、こいつのためだけに役立たずな1マナ域は入れないけどね。

 
 緑のコモントップ3
 5.《生きているトーテム像/Living Totem》
 4.《春のシャーマン/Shaman of Spring》
 3.《網投げ蜘蛛/Netcaster Spider》
 2.《包囲ワーム/Siege Wurm》
 1.《エルフの神秘家/Elvish Mystic》
 
 緑コモンのラインナップは素晴らしい。《エルフの神秘家/Elvish Mystic》も《包囲ワーム/Siege Wurm》も初手になり得るカードだ。
 
 
《頂点捕食者、ガラク/Garruk, Apex Predator》
 リミテッド4.5点
 まさに頂点捕食者。相手が何であっても、そう、プレインズウォーカーであっても食べてしまう。3/3を作って身を守ることもできるし、奥義でゲームに勝利することもできる。7マナは重たいけれど、支払うマナ以上の価値はある。
《巣主スリヴァー/Sliver Hivelord》
 リミテッド1.0点
 まず唱えるためのマナを出します。でも古風に言うと、「それが厄介」なんだよなぁ。《彩色マンティコア/Chromanticore》の系譜を継ぐものか……。
《強欲の護符/Avarice Amulet》
 リミテッド1.0点
 相手が除去を持っていないのが決定的でない限り、こんなカードを使うのは強欲すぎるだろう。果てしなくゆっくりだし、装備対象を守ってもくれないし、奪われてしまうことすらある。
《喧嘩屋の板金鎧/Brawler’s Plate》
 リミテッド1.5点
 装備しようと所詮は青銅聖闘士よ。
《青銅の黒貂/Bronze Sable》
 リミテッド2.0点
 2マナが大切とはいえ、2マナなら何でも小躍りして喜ぶとはいかんのよな。
《ガーゴイルの歩哨/Gargoyle Sentinel》
 リミテッド3.0点
 あまりに攻撃しか考えないデッキならともかく、普通はかなりいい仕事をしてくれるよ。序盤はブロックに回るし、終盤ゲームを決めてくれる。しかも状況によっては飛行すらブロックにいけるんだ。
《研磨時計/Grindclock》
 リミテッド2.5点
 止めるのが難しい勝ちにつながるカードだけど、どんなデッキにでも入るカードじゃない。削るなら本気でいおう。守りをガチガチに固めて除去も入れて、何とか生き延びよう。サイド後は除去が投入されるだろうから、ちょいと割られやすくなるかな。
《憑依された板金鎧/Haunted Plate Mail》
 リミテッド3.5点
 置いたはいいが何もできないということもあるかもしれないが、他にクリーチャーがいて、装備をする余裕もないって状況だけだからね。そんなよくある事態じゃないだろう。
《熱いスープ/Hot Soup》
 リミテッド0.5点
 名前0.0点
 盤面が膠着しがちなマッチアップで持ち込んでもいいけれど、メインに入れるつもりは全くもって毛頭ない。
《巨大戦車/Juggernaut》
 リミテッド3.5点
 流石ジャガーノートだ、評価も変わらず何ともないぜ。
《隕石/Meteorite》
 リミテッド2.5点
 5マナ以上のカードが入ってなくても2点ダメージを飛ばせるし。除去的な使い道もあれば、まあ普通のデッキなら余剰のマナの使い道もあるだろうから、及第点。
《ウルドのオベリスク/Obelisk of Urd》
 リミテッド1.5点
 ターボ《三つぞろいの霊魂/Triplicate Spirits》デッキなら爆弾レア級の扱いだ。限定的な全体強化にいっぱいマナを注ぎ込むってのはあまり好きじゃないんだけどね。
《羽ばたき飛行機械/Ornithopter》
 リミテッド0.0点
 《アーティファクトの魂込め/Ensoul Artifact》がプールにあれば0.0点
 どんなコンボや召集があるにしても、頼むから飛行機械をデッキに入れるとかよしてくれよ。
《危険な櫃/Perilous Vault》
 リミテッド3.0点
 こいつが名前負けしないくらいキケンかどうかは別にして、舐めてかかるのは危ない。9マナあれば即座にリセットできるし、1ターン遅れてもいいなら分割払いもできる。リセットボタンを持っておくのは中々悪くないし、マナコストを考えても入れてよさげだ。
《ファイレクシアの破棄者/Phyrexian Revoker》
 リミテッド2.5点
 《青銅の黒貂/Bronze Sable》涙目。でも、相手のデッキに止めなきゃならないヤバい奴がいるのでない限り、出し惜しみは良くない。基本2マナ2/1で、たまにちょっとした嫌がらせができる、くらいに思っておけば満足できるはず。
《不敬な遺品/Profane Memento》
 リミテッド0.0点
 わたしは なにを ちまよったか いきなり《不敬な遺品/Profane Memento》を デッキにいれた
 どうして こんなことを させるんだ!!
 わたしは わたしの いしに はんしてじさつこういを はかった。
 ざんねん!!
 わたしの ぼうけんは これで おわってしまった!!
《ならず者の手袋/Rogue’s Gloves》
 リミテッド3.0点
 軽い回避能力持ちのクリーチャーが多い、しかるべきデッキで使えばまさに濡れ手に粟。逆に言うとどんなデッキにでも入るわけじゃないが、強いときはひたすら強いだろう。
《聖なる武器庫/Sacred Armory》
 リミテッド1.5点
 戦闘をややこしくするにはうってつけ。でもちょいと重い。もっと他にマナの使い道はありそうなものだ。
《小走り破滅エンジン/Scuttling Doom Engine》
 リミテッド3.5点
 ごてごてと奇妙な能力がついてるもので、結局こいつがどんなことをするのか理解してる自信がないんだが、6マナ6/6でチャンプブロックを許さず、死んだときに6点当てるって素晴らしいじゃないか。それだけで十分に思えるね。
《化身の盾/Shield of the Avatar》
 リミテッド2.0点
 少なくとも1点はダメージを軽減するし、装備したクリーチャーはほぼ死ななくなることも珍しくない。マナコストを考えると妥当なところだから、クリーチャーがたくさん入ったデッキなら喜んで使うよ。
《新たなるファイレクシアの魂/Soul of New Phyrexia》
 リミテッド3.5点
 能力でアドバンテージを取りづらいので、他の魂と比べると少し劣るけど、それでも優秀だ。他の魂と比べて見劣りするってだけだからね。
大魔術師の杖サイクル
 リミテッド0.5点
 前のめりなデッキ同士がぶつかりあうなら入れることもあるかもしれない。多分。きっと。メイビー。
《鎖のヴェール/The Chain Veil》
 リミテッド-5.0点
 デッキに入れたら敗北が近づく。今までリミテッド視点でカードをレビューしてきた中で、一番酷いカードかもしれない。何もしないどころか、置くだけでデメリットがあるだなんて!
《トーモッドの墓所/Tormod’s Crypt》
 リミテッド0.5点
 サイドボードから投入するとかなり嫌がらせになる可能性が微粒子レベルで存在するとか何とか(微粒子ってどのくらい小さいか知ってる?)。
《暴君の機械/Tyrant’s Machine》
 リミテッド1.0点
 遅いし重いながらも、クリーチャーを抑え込むことはできる。除去をこれに頼らなければいけないなら、まあ使ったっていいじゃないか。
《心鍛のゴーレム/Will-Forged Golem》
 リミテッド3.0点
 さしづめ《マイアの処罰者/Myr Enforcer》ってところか。召集も嬉しいし、トークンを多用しないとしてもいい。どんなデッキに入れても中々のものだろう。召集を特に意識しない人もゴーレムはつまむから、召集デッキをドラフトするのは少し難しくなるかもしれない。惑わされないようにね。
対抗色ペインランド
 リミテッド3.0点
 2色とも合ってるとか、色をタッチするならどうぞどうぞ。でも序盤にとるカードじゃないよ。
《ダークスティールの城塞/Darksteel Citadel》
 リミテッド0.0点
 《アーティファクトの魂込め/Ensoul Artifact》がプールにあれば0.0点
 《アーティファクトの魂込め/Ensoul Artifact》とか《爆片破/Shrapnel Blast》が大量に投入されてる、例外的なデッキ以外には居場所ないかな。
《進化する未開地/Evolving Wilds》
 リミテッド3.0点
 マナ基盤安定は重要。《進化する未開地/Evolving Wilds》があれば色のタッチも見えてくる。いいことだ。
《光輝の泉/Radiant Fountain》
 リミテッド1.0点
 大体のデッキだと、マナ基盤的にリスクを冒す余裕などないものだけれど……単色なら使ってどうぞ。
《スリヴァーの巣/Sliver Hive》
 リミテッド1.0点
 スリヴァーが2体いるなら使うよ。仮に1枚でも、マナ基盤が十分だと感じたら入れるね。ほとんど無色しか出ないというのは難点だけど、機能したときの効果はデメリットを承知で使う価値がある。
《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》
 リミテッド3.0点
 相手を助けてしまうことがあるかもしれないにしても、2色で黒のダブルシンボルがあるなら迷いなく使うべき。マナ基盤は大切。

 
 
 来週は構築のレビューだ。それまでプレリリースを楽しもう!
 
 
 
 LSV
◆ 【翻訳】基本セット2015 リミテッドレビュー 赤 (by LSV)
 
 Magic 2015 Limited Review – Red
 
 Luis Scott-Vargas, 2014年7月9日
 
 http://www.channelfireball.com/articles/magic-2015-limited-review-red/
 
 
《衝動的な行動/Act on Impulse》
 リミテッド2.0点
 かなーり後半にもつれ込むまで劣化《予言/Divination》だから、予言とはかなり違う位置付けのカードだと思う(《予言/Divination》はマナカーブに沿った展開をしやすくしてくれるし、4枚目の土地を置くのに役立つ。衝動的な行動は終盤のフィニッシャー)。個人的には、5マナ自由に使える状況になるまで我慢して、土地を置かずに唱えるって感じかな。重めのデッキならもっと待った方がいいかもしれない。これが2枚くらい取れたなら、かなり軽めにデッキを作ってみてもいいと思うけど、さて上手くいくかどうか。
《強引な採掘/Aggressive Mining》
 リミテッド2.5点
 後半まで待たなきゃならないというのは《衝動的な行動/Act on Impulse》と似ているけれど、使い方は大分違う。これを使うまで待てば待つほど強くなる。土地8枚で使えば、カードを引いた上で何ターンも唱える時間があるわけだ。強く使うには土地7枚が最低ラインだろうか。でも前のめりに行くなら6枚、5枚でだっていいかもしれない。鉱山を掘るみたいにカードが手に入るけど、使い切るにはボトルネック的に苦しく、必要に迫られて土地を切ってカードをひくようなことになると、抜け出すことは不可能だ。とても面白いカードだと思うし、凄まじい強さを秘めているとも思うけど、この原動力を使いこなすには軽いカードがたくさん必要だと思う。もしくは全く違うやり方として、こいつを処理する方法を2枚ばかり入れておくのもいいかもしれない。どんな具合なのか早めに確保して使ってみたいね。俺の直観では、とても強力だけどデッキを選ぶ、そんなカードのはずさ。
《アルタクの求血者/Altac Bloodseeker》
 リミテッド3.0点
 何もしなくても2マナの優良クリーチャーで、相手からしたらこいつがいるだけで怖くて仕方ない。こいつが戦闘に出てきて、ブロッカー以外にもクリーチャーがいるとしたら、流血沙汰どころか大惨事になりかねない。後半に出して、相手のクリーチャーを除去してすぐ4点叩き込むのもいい。序盤中盤終盤隙が無い理由の一つとして、判断力のある対戦相手なら、何もなくてもしばしば通してくれそうだしね。
《好戦スリヴァー/Belligerent Sliver》
 リミテッド2.0点
 2/2でブロックしづらいクリーチャーは前のめりデッキなら3マナの価値があるし、他にもスリヴァーが取れることだってあるだろう。
《爆炎の稲妻/Blastfire Bolt》
 リミテッド2.5点
 除去を遠慮しておけるほど飽食はしてないと思うんだが、6マナかかるというのはちょっと困った。除去したいものは大体何でも倒せると思うし、装備を一緒に割ることもできるだろうけど、6マナだと複数枚喜んで入れるというわけにはいかないかな。本体にも5点入るというのなら優秀なんだが、クリーチャーにしかいかないとなるとあまり嬉しくはないね。
《国境地帯の匪賊/Borderland Marauder》
 リミテッド3.0点
 赤いデッキは殴るもの。ブロッカーとしてショボいかもしれないが、殴ってるとき強いから十分埋め合わせになっている。
《落とし子の守り手/Brood Keeper》
 リミテッド2.0点
 オーラがあるなら中々の脅威になってくれる。こいつを念頭においた構築をしていいくらい強力だが、オーラには単体で強いものを選びたい。オーラが2,3枚入るのでなければ、遠慮しておきたいかな。ただ、こういうカードは避雷針になるね。相手はこちらが能力を使えないとも知らず、優先的にこいつを除去するだろうからさ。
《燃え盛る怒り/Burning Anger》
 リミテッド3.5点
 5マナもかかるオーラとはいえ、超強力だ。相手に回答がなければ数ターンでゲームに決着がつくだろうし、1発でも入れられれば2:2交換にはなるわけだし。パワーが3以上のクリーチャーにつけたいところだけれど、2/1くらいのにつけても相手のクリーチャーを薙ぎ払うには十分だろう。
《紅蓮の達人チャンドラ/Chandra, Pyromaster》
 リミテッド4.5点
 カードを引け、1/1みたいな小粒を燃やし、大きいクリーチャーに対してはブロック不能にする。そしてその奥義は……無いようなものだけど。でも3打数2安打というのは悪くないよね。巨大クリーチャーから自分を守る術は持たないものの、稼いでくれる追加のカードが役立つはず。しかも軽いから、手の付けられないクリーチャーが出る前に着地できる。チャンドらは素晴らしいね。リミテッド最強のプレインズウォーカーの一枚じゃないかな。アドバンテージを稼いで、すぐに倒れない。場に残ってる限り負けることはなさそうだ。
《炎の円/Circle of Flame》
 リミテッド1.5点
 対戦相手のデッキがタフネス1だらけだと判明してるのでもない限り、役に立ちはしないよ。守るデッキなら、2/2で3/3を討ち取ったりできるようになるからそこそこだけど、そういうのは赤いデッキの夢ではないね。
《障害排除/Clear a Path》
 リミテッド0.5点
 生涯サイドボードからメインに昇格することは無いだろう。
《火炎放射/Cone of Flame》
 リミテッド4.5点
 5ターン目に撃つ。相手が壊滅する。マジック簡単。5ターン目以降のゲームでも全然弱いことない。あまりに柔軟なので、ケアして戦うのは容易でない。流さないと思うな。一方的な全体除去って凄いものだけど、こいつはその中でも軽い部類だからね。欠点らしい欠点と言えば、まあタフネスの高い連中ばかりのときは、せいぜい1:2交換を取るくらいに留まるかもしれないが、滅多にあることじゃないだろう。
《民衆の好意/Crowd’s Favor》
 リミテッド3.0点
 召集がついてなくても、赤いデッキなら普通に入る。よく見ることになりそうな一枚。それにマナを使わずに唱えられることが多いのは大きな利点。軽くて使い勝手がよくて、そしてやっぱり軽い。コンバットトリックはこうありたいものだ。
《火のるつぼ/Crucible of Fire》
 リミテッド0.0点
 これで強化したくなるくらいドラゴンが取れてる?そうかそうか。火のるつぼを入れずにゲームをして勝てばいいと思うよ。
《炉の小悪魔/Forge Devil》
 リミテッド3.0点
 セットをレビューするたびに言ってる気がするけれど、未だこれは当てはまるのでもう一度。1点ダメージ除去は優良だが、複数枚あっても強くない。傾向として2枚以上、1点ダメージで倒れるクリーチャーを入れてるデッキは多くない。とはいえ最初の1,2枚は強いんだけどね。これをサイドボードで入れるのも、あるいは抜くのも、積極的に行うこと。どれくらい効果的かは最初のゲームで分かるだろう。
《鋳造所通りの住人/Foundry Street Denizen》
 リミテッド2.0点
 赤いビートダウンデッキなら《サバンナ・ライオン/Savannah Lions》ばりに活躍するいい奴だが、誰も手を付けようとしないおかげで取り放題だ。赤いクリーチャーが12体以上いない限り手は出さないけどね。
《激情のゴブリン/Frenzied Goblin》
 リミテッド3.0点
 怪しげな点数がついてるけど、、だからこそ解説があるってものだろう(解説ならジョークも書けるし)。激情のゴブリンは殴るデッキで輝くけど、他では出番がない。とはいえ特筆するだけの強さを持ってる。1ターン目こいつを出してからの2ターン目クリーチャーを出せば、相手はまともにブロックできるようになる前にかなりのダメージをもらうことになるだろう。その上こちらに除去でもあろうものなら、事態は更に悪くなる。
《発生器の召使い/Generator Servant》
 リミテッド3.0点
 実にいいカードだ。ほとんどの場合2マナ2/1で、他のクリーチャーと相討ちだろうけれど、それはそれでいいし、たまに5マナ6マナのクリーチャーへ渡りをつけた上にすぐ攻撃できる。あまりに魅力的な選択肢だから、使えるときにすぐ使ってしまおうと急ぐ人も出てくると思うけど、必ずしも使わないでもいい、ということは覚えておく。3つも使い道のある優秀な奴だ。2/1の平凡なクリーチャー、《暗黒の儀式/Dark Ritual》、そして終盤に速攻をつける用途にもなる。どれもが優秀で、組み合わさることで優秀なカードに仕上がっている。
《ゴブリンのドカーン物取扱者/Goblin Kaboomist》
 リミテッド4.0点
 少なくとも《ショック/Shock》1枚分にはなる(地上でしかも攻撃してくる奴にしか使えないショックだが)。そこからは使う人の運次第。LSV並みか、もしくはシャハール(Shahar Shenhar)並みの運の持ち主か、運がよければたくさん地雷が手に入る。タフネスを伸ばしてやれば無限地雷。素晴らしいね。たった2マナというのもいい。見た目は間抜けだが、強力な奴だ。地雷一枚はほとんどカードを一枚引いてるようなものだよ。
《ゴブリンの熟練扇動者/Goblin Rabblemaster》
 リミテッド4.0点
 毎ターン攻撃しなきゃならんもので、《苦花/Bitterblossom》とはいかないが、それでもかなりのやり手だ。相手にブロッカーがいなければすぐに手の付けられない事態になるし、ブロッカーがいたとしても、除去か強化呪文を引くまで座って悠然と待てばいい。全体強化と相性がいいし、扇動者本体を通す手段とも相性がいい。何せこいつもかなりのパワーで殴りに行けそうだしね。
《ゴブリンの荒くれ乗り/Goblin Roughrider》
 リミテッド3.0点
 3マナ3/2はブロッカーとして優秀だし、相手が序盤に何も展開してこなければ荒ぶってくれるだろう。優良リミテッドカードだ。
《槌手/Hammerhand》
 リミテッド1.5点
 使うなら大打撃になるよう、かなり前のめりなデッキにしたい。ああ、あとカード名の読みを間違えないようにね。
《熱光線/Heat Ray》
 リミテッド3.5点
 マナはかかったとしてもインスタントで何でも除去できるのはいつでも強い。しかもたった2マナか3マナで使えることもあるとくれば尚更だ。《熱光線/Heat Ray》は素晴らしい。いざとなればタッチで使ってもいいね。
《溜め込むドラゴン/Hoarding Dragon》
 リミテッド4.0点
 こいつがいるからって躍起になってアーティファクトを取る必要はないけれど、あるなら入れてみよう。何も持ってこれなくても5マナ4/4飛行だ。そのスペックだけでデッキの中で最強のカードだったりしないかい?
《業火の拳/Inferno Fist》
 リミテッド3.0点
 驚くかもしれないけど、3マナで2点ダメージを飛ばせる時点で十分採用に値する。しかもダメージを飛ばすまでの間、戦闘で追加ダメージまで稼いでくれる。唯一の欠点と言えば、クリーチャーが場に出てなきゃいけないところ。クリーチャーが7体くらいしか入っていないようなコントロールだと使えないかな。
《密林の酋長/Kird Chieftain》
 リミテッド4.0点
 5ターン目にパワー4で殴り掛かれて、しかも戦闘しづらいというのは、相手からするとまさにゴール下は戦場だ。こいつの面白い話といえば、イラストを見たパット・コックス(Pat Cox)が《密林の猿人/Kird Ape》再録じゃないかってわくわくしてたんだぜ。
《クレンコの処罰者/Krenko’s Enforcer》
 リミテッド2.5点
 少し唱えるのが難しい代わり、毎ターン2点で殴れるというのは大体のデッキで妥当なところだけど、たまにうまくないこともあるだろう。ブロック性能も劣るから、取ったら絶対使うというのとはちょっと違うかな。
《オナッケの古きもの、クルケッシュ/Kurkesh, Onakke Ancient》
 リミテッド3.0点
 4マナ4/3というだけで《低地の巨人/Lowland Giant》だから、サイズだけで使うに足るクリーチャーだよ。アーティファクト云々は飾り。とはいえ他の何かと組み合わせられたら、実利もついてくる。
《溶岩の斧/Lava Axe》
 リミテッド1.5点
 投げつけたいデッキで弱いというわけじゃない。でも《溶岩の斧/Lava Axe》は採用する前に、本当にデッキに入れたいかよく考えてほしい。大体の赤いデッキでは採用できないと思う。あと、自分が《溶岩の斧/Lava Axe》を入れたいと思うようなとき、周りのプレイヤーは溶岩の斧とか無用じゃないかな。
《稲妻の一撃/Lightning Strike》
 リミテッド3.5点
 極めて教科書的な「一番いいコモン」なので、点数でもお手本として3.5点をつけることにするよ。テーロスのときからそこんところは変わっちゃいない。環境に当てはまらなかったらびっくりするね。
《力こそ正義/Might Makes Right》
 リミテッド2.0点
 ちょっとばかり期待を込めた評価かもしれない。条件を満たしたら確かに素晴らしいが、ほとんどのデッキには入らないんじゃないだろうか。こういうカードがあるからこそリミテッドが面白くなるというものだが、大体のデッキでは用無しでツボに入ったデッキだとぶっ壊れた性能を見せるだろう。かなり点が揺れるカードということだ。使うならまず、パワーが4とか5のクリーチャーを詰め込みたい。あと、マッチアップによってはサイドに落とすことになるのも忘れないで。
《鉱夫の破滅/Miner’s Bane》
 リミテッド1.5点
 3マナと相討ちになる6マナというのは普通上位コモンに入らないんだが、見るべきところもあるように思える。第一に、トランプルと効率の悪い火吹き能力がついてるから、弱いカードと相討ちになってしまうにしても、ダメージを押し込むのには良い。相討ちになった時に4,5点ダメージをもぎ取ってくれるなら、そう悪くはないからね。2つ目の理由は、《民衆の好意/Crowd’s Favor》みたいなコンバットトリックを潜ませていれば、安直なブロックを咎めにいけるというのがある。コンバットトリックを使ってやれば、戦闘で生き延びるだけでなくトランプルでダメージも通る。何枚もトリックがあれば急速にダメージは積み重なるしね。ここまで語ったけれど、優先的に取ろうとは思わない。そして、今言ったようなコンボ的要素無しに、始終お世話になりたいカードでもない。鉱夫とか英雄とか色々破滅してる世界観だが、比較は興味深いね。
《激しい抵抗の模範/Paragon of Fierce Defiance》
 リミテッド2.5点
 赤は攻勢に出たい色だから、全体強化も速攻も他の模範と比べて実に色と合っている。4ターン目までにクリーチャーを展開できるようなら、長所がいっそう引き立つだろう。
《かき回すゴブリン/Rummaging Goblin》
 リミテッド2.0点
 赤に青より有能なルーターがいるってどういうことなの。ルーターの価値は、環境がどのくらい前のめりで、あと自分のデッキがどれくらい前のめってるかによる。ああ勿論、攻撃的でないデッキで使う方がいいんだよ。勿論ビートダウンで入れて息切れしないようにするのも悪くないんだけれど、殴るデッキならかき回すよりダメージを狙いたいよね。
《屑鉄場の雑種犬/Scrapyard Mongrel》
 リミテッド2.5点
 3マナ3/2と違って、《丘巨人/Hill Giant》はデッキから抜けることもある(おっと勘違いしないでくれよ。こいつはできる《丘巨人/Hill Giant》だ)。昔の癖で、雑種犬という単語を聴くだけで、なんだか早めに確保しなきゃならないような気もするがね。アーティファクトがあるなら、こいつを中心に据えた構築というより、たまに偶然強くなるくらいで考えた方がいい。パワーがちょっとばかり上がっても、それに頼って全力疾走するものではないからね。
《爆片破/Shrapnel Blast》
 リミテッド1.0点
 軽めのアーティファクトが6~7枚くらいあるならどうぞ。そうでないなら手を出さない方が無難かな。
《包囲ドラゴン/Siege Dragon》
 リミテッド4.0点
 《紅蓮地獄/Pyroclasm》的な場に出た時の効果もいいし、5/5飛行はかなりの脅威だ。唯一の問題といえばマナコストで、場に出たとき何もしないのが困りもの(そうだね壁は壊せるけどね)。満足できないなら、模範で速攻をつけてスティーヴン・セガールばりに対戦相手を急襲しよう。
《シャンダラーの魂/Soul of Shandalar》
 リミテッド4.5点
 6マナ6/6先制攻撃な上、やられても《焼尽の猛火/Searing Blaze》をかましてやれるって?旧枠時代の奔放なカードみたいな奴だな。魂は強いわ。
《かき立てる炎/Stoke the Flames》
 リミテッド3.5点
 召集がついてなくても興味をかきたてられるというのに、召集で軽く唱えられる可能性まであるとくれば、かなり強力なカードなことがわかるだろう。召集デッキで使う必要もないし、クリーチャーすらいなくても構わない。どんな赤いデッキでも入るだろう。
《轟きの巨人/Thundering Giant》
 リミテッド3.0点
 殴り始められるのが1ターン早くなるなら、タフネス1くらい速攻のために差し出しても構わない。中速からコントロール風味のデッキでも喜んで使うよ。ライフをきっちりつめないデッキだと少し価値が下がるけど、それでも中々驚き轟きの巨人だ。
《松明の悪鬼/Torch Fiend》
 リミテッド3.0点
 何度も言ってるけど、2マナ2/1が弱いはずないし、アーティファクトが地味にセットのテーマとしてちらほら使われてるから、普通の2/1より優秀ってことになるかな。序盤展開できつつ後半になっても使い道があるというのは、デッキを安定して強く仕上げるのに最良の方法だ。
《炎の壁/Wall of Fire》
 リミテッド1.5点
 包囲ドラゴンがセットにいる!もうダメだ!!
 (真面目にいえば、赤は前のめりな色で壁と食い合わせが悪いし、中速デッキだとダブルシンボルの3マナを入れたいかという問題がね。)

 
 赤のコモントップ3
 5.《ゴブリンの荒くれ乗り/Goblin Roughrider》
 4.《民衆の好意/Crowd’s Favor》
 3.《国境地帯の匪賊/Borderland Marauder》
 2.《業火の拳/Inferno Fist》
 1.《稲妻の一撃/Lightning Strike》
 
 他のセットより、赤で戦力になるカードが多いじゃないの。上位5位のコモン(更に他にも2枚ばかり使えるのがある)は、どれも恥ずかしくないどころか強いと胸を張って言える。攻撃的なカードが多いというのは大して驚きじゃないと思うけれど、《かき回すゴブリン/Rummaging Goblin》や火力などは、中速からコントロールデッキでもいい仕事をしてくれるだろう。単に相手を焼き尽くすという、いつもの赤以外にも選択肢があるのはとても良いと思う。他の色のデッキに《稲妻の一撃/Lightning Strike》やら《熱光線/Heat Ray》をつまみ食いされてしまうにしてもね(これも今に始まったことじゃないけど)。
 
 
 
 LSV
◆ 【翻訳】基本セット2015 リミテッドレビュー 黒 (by LSV)
 
 Magic 2015 Limited Review – Black
 
 Luis Scott-Vargas, 2014年7月8日
 
 http://www.channelfireball.com/articles/magic-2015-limited-review-black/
 
 
《呪われたスピリット/Accursed Spirit》
 リミテッド3.0点
 パワー3の回避能力は優秀。威嚇と除去が合わさったらまさに呪いたくなる強さ。
《黒猫/Black Cat》
 リミテッド1.5点
 何かイカすコンボでもない限り、サイドボード安定だろう(とはいえタフネス1相手にはかなり有効なサイド要員だ)。これを倒すタイミングは相手が選んでくるだろうし、ドローと違って手札破壊は終盤かなり弱くなるからね。
《血の宿主/Blood Host》
 リミテッド3.5点
 クリーチャー美味しいです(^q^)。こいつはライフも稼いでくれるから、他のサクり台よりずっと強力だ。餌が十分あれば、ビートダウンの猛攻を生き延びる助けになるはず。パーティーの盛り上げ役だ。こちらの命をつないで、5/5以上のサイズになって攻撃できるのは素晴らしい。こいつを念頭に置いたデッキを組むに足るカードだね。
《屍食いカラス/Carrion Crow》
 リミテッド3.0点
 出したターンにブロックできないとはいえ、《風のドレイク/Wind Drake》だ。まず抜けないだろう。何枚もあれば、簡単に相手を屍にできることだろう。
《苛性タール/Caustic Tar》
 リミテッド3.5点
 これだけ重たいカードにしては、かなり前向きな評価といっていいだろう。でも記憶が正しければ、オデッセイブロックでは対抗手段がほとんどなかった気がする。ブロック不能かつ速攻持ちで、非常に除去しづらい上に、前のめりなデッキのマナカーブの一番上に、あるいはコントロールのフィニッシャーにぴったり。今の評価より上がるのも全然ありそうだし、除去されづらいことを鑑みて3.5点をあげようかと思ったくらいだ(重たさを考えてやめておいたんだよ。マナコストで評価を変えたのは史上初かも)。
《夜の子/Child of Night》
 リミテッド3.0点
 輝かしい活躍をすることは滅多にないが、安定した強さで決して弱くない。リミテッドはこういうカードが中心の戦いだ。サイズを上げるオーラでもあるようなら、活躍するのは滅多にないって評価は取り下げるよ。
《血の誓約/Covenant of Blood》
 リミテッド2.5点
 クッソ重たいとはいえ、柔軟な除去だし1ターンの戦闘に相当するくらいのライフは稼いでくれる。だからクリーチャーをタップしてコストを支払う埋め合わせになるってものだ。5マナの除去としても使いづらい部類だから、何枚も入れたいとは思わないけれど、召集にうまく寄せれているなら強いまであるだろう。
《ひどい荒廃/Crippling Blight》
 リミテッド2.0点
 予想以上に使えるカードだったのを覚えてるよ。序盤2/1を除去したり、後半ブロッカーを排除したりできるんだよな。たくさん欲しいカードではないが、ビートダウンでもコントロールでも1枚は持っておきたい(ビートダウンでは、終盤に使いたいけどね)。
《残酷なサディスト/Cruel Sadist》
 リミテッド4.0点
 終盤、ライフが減ってから引くと残酷なまでにカードパワーが落ちるものの、1マナとして出たらゲームを支配できる。サイズの上がる1/1としてでも脅威だし、縮むけれど除去にも使えるというのが相手にしてみればとてもやりづらい。
《終わりなき従順/Endless Obedience》
 リミテッド2.0点
 相手の墓地から釣れたとしても、《ゾンビ化/Zombify》大好きとはいかないな。こういう使う場面を選ぶカードは、終盤いかに強力かということを考えても、毎回使うというわけにはいかない。それに、召集デッキだといつも釣る先があるわけじゃないから、釣るカードを相手に依存するというのはバクチになってしまう。
《永遠の口渇/Eternal Thirst》
 リミテッド1.0点
 セットで一番過大評価されてるカードじゃないかと思う(もう1枚は《アーティファクトの魂込め/Ensoul Artifact》な)。うまくいったときに強いカードが好きな人は多いよね。そういう気持ちいいことがあったりするのが、このゲームが面白いと思うんだけど、いつでも最大のパフォーマンスを想定して点数をつけるのは厄介だ。+1/+1カウンターが載るというのはそれだけを頼って何とかなるものではないし、そもそもサイズのあるクリーチャーにつけないといけないから、及び腰になるね。他の強力なオーラ同様、サイドボードから投入するなら申し分ないと思うけど、大体の相手はこれをメインに入れたいと思わない程度に除去は持ってるんじゃないかな。
《堕ちたる者の饗宴/Feast on the Fallen》
 リミテッド1.5点
 君がッ 泣くまで! 殴るのをやめないッ!回避能力のあるデッキなら結構うまくいくかもしれない。でもこの手のカードには、期待を裏切られるってオチだ。機能させるために上手いこと運んでやる必要があるというのは《永遠の口渇/Eternal Thirst》と同じ。+1/+1カウンターが載ってもそこまでぶっ壊れではないしね。白黒か青黒の飛行デッキだったら使ってみたいな。
《爛れ暗がり/Festergloom》
 リミテッド3.0点
 《林間隠れの斥候/Gladecover Scout》殺すマン5.0点
 デッキが黒でないタフネス1のクリーチャーだらけでもない限り、暗がりに置いとくのは勿体ない。サイドアウトするのは躊躇せずにした方がいいと思うけど、メインにも入れられるくらい強力だ。特に今回、セットにトークンを生成するカードが多いからね。
《肉は塵に/Flesh to Dust》
 リミテッド3.0点
 《破滅の刃/Doom Blade》とはいかないが、まあ今では《破滅の刃/Doom Blade》もアンコモンだしな。5マナもかかるんじゃあこれ以上高い点数はつけられないが、どんなデッキでも2枚くらいは喜んで使うね(マナカーブの上の方という、特権階級的な位置をこいつにとられるにしてもだ)。
《グレイブディガー/Gravedigger》
 リミテッド3.5点
 《ボトルのノーム/Bottle Gnomes》を戻してたテンペストの頃から《グレイブディガー/Gravedigger》は大好き。リミテッドが様変わりしないしない限り、今後もお世話になりそうだ。最小限といってもいい労力で2:1交換が取れるし、しかもカードを引くのとかに比べて必ず実が手に入る。しかも戻すのは強い奴だろうからね。それに序盤で取れたら、2枚でぐるぐる回すって夢もぐっと現実に近くなる。
《ガラクの目覚め/In Garruk’s Wake》
 リミテッド1.5点
 声を大きくして好きだといいたいところなんだが、9マナは重いって事実に目覚めさせられてね。それに相手がプレインズウォーカーを出してるなんてどれだけあると思う?プレインズウォーカーも出されてないのに目覚めを使うのって勿体なくない?
《寛大な拷問者/Indulgent Tormentor》
 リミテッド4.0点
 タフネス3ってのが脆くてちょいと遺憾だ。でも、毎ターン5点か8点ライフを削れるのはデカい。寛大にも3つの選択肢から選べるってのが、強制されるのに比べて拷問にしては手緩いけども、どれも相手にとってみれば選びたくないものだから、悪くはないはずだ。
《血吸いスリヴァー/Leeching Sliver》
 リミテッド1.0点
 こんなの使ったら勝率が吸い取られるだけだよ。感謝の一万回ドラフトすればスリヴァーデッキが微粒子レベルで存在するかもしれないが、それにしたってこいつの能力に心動かされることはないだろう。
《リリアナ・ヴェス/Liliana Vess》
 リミテッド3.5点
 5マナもかかるし盤面にも影響しないが、守りきることさえできれば強力だ。相手のハンドを削って奥義をちらつかせられるし、他にも強力なカードがあるならサーチすることすらできるんだからね。
《精神腐敗/Mind Rot》
 リミテッド2.5点
 諸君、私はアドバンテージが好きだ(それも普通の人よりかなり)。そんな俺でも考えなく《精神腐敗/Mind Rot》は突っ込まない。殴られてる時には文字通り腐るカードだし、殴りにいってるときに役立つカードでもない。中速系のデッキでは中々の活躍をするカードだし、他の中速~コントロールデッキ相手に差してもいい。こういうカードは、自分のゲーム運びをよく考えて入れよう。
《屍噛み/Necrobite》
 リミテッド2.5点
 ことコンバットトリック合戦にかけては、《屍噛み/Necrobite》を持ってる方に軍配が上がる。他のコンバットトリックをやり込められるし、除去からクリーチャーを守ることもできる。それに1/1で8/8を打ち倒すことも可能だ。勿論、使うためには3マナも立ててなければならないわけで、コンバットトリックとしては重い部類だ。それに《屍噛み/Necrobite》は対戦相手にダメージを追加できない。小型クリーチャーがあまりいないとか、クリーチャー数が少ないなら、無闇に入れるカードではないね。
《屍気を飛ばすもの/Necrogen Scudder》
 リミテッド3.0点
 ライフを3点失うのは結構痛いけど、3/3飛行を2マナばかり軽く呼べるのは、コントロールにしてみればまあまあ嬉しいし、前のめりなデッキにとってはとても素晴らしい。どんなデッキにでも入るけれど、こいつを使うなら前のめりでライフ損失が気にならないデッキに仕上げたいかな。バウンスにとても弱いから、相手がバウンスを2枚くらい見せてきたらサイドアウトも考えるよ。
《屍術士の助手/Necromancer’s Assistant》
 リミテッド3.0点
 タフ1が特別に弱い環境だったら入らないこともあるかもしれないが、3マナパワー3は入れておきたい。能力の方も何らかのアドバンテージになることがあるだろう。ライブラリーを墓地に落とすのはほとんどデメリットになりえないし(ライブラリーアウトさえされなければ)、墓地を参照するカードもそこそこある。
《屍術士の備蓄品/Necromancer’s Stockpile》
 リミテッド2.0点
 ゾンビでないクリーチャーをサイクリングできるのは大したことじゃない。ルーター能力のキモは、土地を捨ててクリーチャーを備蓄しておくことであって、逆ではないんだ。コモンにゾンビが3体いるようだから、かき集めれば5~6枚くらいゾンビが集まることも期待できそう。《屍術士の備蓄品/Necromancer’s Stockpile》があれば、ゾンビが《シマクマ/Striped Bears》になるよやったね!シマクマといえばクリーチャーの頂点に立つドロー生物だから、安定してゾンビを捨てられれば中々のカードになるかもな。
《夜火の巨人/Nightfire Giant》
 リミテッド3.5点
 5マナ5/4で2マナ火力を飛ばすというのは凄い。しかもこっちにやることが無いときですら、対戦相手からするとこいつの能力をケアして戦わなきゃならないせいで、かなりプレイが歪められてしまう。多色カードについてお決まりの警告はこいつにもあてはまるものの、サイクルの他の面々と同じく、タッチで使う価値があるよ。
《解き放たれし者、オブ・ニクシリス/Ob Nixilis, Unshackled》
 リミテッド4.0点
 一番下についてる能力がなくても3.5点の実力はあるし、他のクリーチャーが死んだら+1/+1カウンターが載るというのは驚異的だ。ライブラリーを探すことはほとんどないにしても、悠々と地上クリーチャーを飛び越えてダメージを叩き込めるし、安易にチャンプブロックで凌がせることもしない。それに、ライブラリーを探すって文があまりに空気なもので、相手がうっかりやらかしたりするかもしれない。おっと、使う側はくれぐれも忘れないようにね。
《墓穴の模範/Paragon of Open Graves》
 リミテッド2.5点
 《黒猫/Black Cat》に接死がついたりしたら、相手は驚いて墓穴へ足を滑らせて落っこちるかもしれない。マナを立てておく価値がある模範だ。貧弱な黒のクリーチャーが突然やる気を出して、戦闘でも相討ちを取りにいく。結構いいんじゃない?
《腐敗喰いの蛆/Rotfeaster Maggot》
 リミテッド3.0点
 中村修平に言わせると、《スレイベンの純血種/Thraben Purebloods》は比肩し得るもののないリミテッドの頂点捕食者だから、それにライフを得る能力までついたとしたら手が付けられない怪物といっていい。そこまでいうのは冗談としても、5マナとしてはかなりのやり手だ。サイズも申し分ないし、墓地のカードを食べて
《影外套の吸血鬼/Shadowcloak Vampire》
 リミテッド3.0点
 コモンのパワー4の飛行クリーチャーとか、黒でそんなのが出るとは思わなかった。毎ターン飛行をつけたとしても、たったライフ2点で飛ぶことができるというのは特筆に値するし、守る側からするとかなりの脅威だから、ライフ2点分を取り戻すのは簡単だろう。聞かれる前に言っておくけど、パワーが1高いというのは本当に強いんだ。代償としてライフを数点払わなきゃならないにしてもね。
《血の署名/Sign in Blood》
 リミテッド3.0点
 相手に向けて撃つのがせいぜい10回に1回だとしても、選択肢があるというのはとても強い。それに序盤だと、ライフ2点はカード2枚分の価値が間違いなくある。
《イニストラードの魂/Soul of Innistrad》
 リミテッド4.0点
 実に素晴らしい、リミテッドの魂とでも呼びたいね。素敵だし、強力だし、かといって全く手も足も出ないわけじゃない(どうにもならないカードはテーロスの魂でどうぞ)。イニストラードの魂は、止めるのが困難な上に、対処されようがされるまいが、殉職したクリーチャーを回収してのける。実にいい。それに、クリーチャーが次々墓地から蘇ってくるなんて、まさに闇の隆盛って感じじゃないか。
《刺し傷/Stab Wound》
 リミテッド3.5点
 ラヴニカへの回帰の最強コモンが戻ってきた。しかもアンコモンに昇格してね。《刺し傷/Stab Wound》はぶっ壊れた強さだったし、つけられる側からしたら不快極まりないから、単に悲しいとは言えないな(フレイバー的には正しいカードになってるともいう)。《刺し傷/Stab Wound》はかなり早い上に取り除くのが難しいクロックで、それが気に食わないときには単なる除去として使ったっていい。理想的な使い方としては、無視できる何かに適当に刺して放置しておくことかな。2/3とかいい対象だね。
《精神染み/Stain the Mind》
 リミテッド0.0点
 相手のデッキに7枚《三つぞろいの霊魂/Triplicate Spirits》があったりでもしない限り、リミテッドでは存在感なし。
《チフス鼠/Typhoid Rats》
 リミテッド3.0点
 1マナ1/1接死で悪いはずがない。この環境でタフネス1が特に弱いことでもない限り、その法則は変わらないだろう。光りもので集めてみよう。
《潰瘍化/Ulcerate》
 リミテッド3.5点
 ライフを払うカードって強いことが多いけど、支払うライフは積み重なるわけで。個々で強いカードでも(実際強いが)、ドラフトではデッキを作るのであって、カードを集めるわけじゃないからね。これはライフを支払うお仲間の中でも強い方だが、こいつを使うということは他のライフを支払うカードが弱くなるということは覚えておこう。《潰瘍化/Ulcerate》とか《屍気を飛ばすもの/Necrogen Scudder》とか詰め込まれたデッキだと、貴重なリソースを奪い合うことになるからね。
《墓損ない/Unmake the Graves》
 リミテッド2.0点
 《立ち上がるアーボーグ/Urborg Uprising》とはいかないが、そもそもあれに匹敵するようなカードなんてあるだろうか。盤面に影響しないものに召集を使うのは好みでないのだけれど、クリーチャーが多めのデッキなら入れても間違いが起きるカードじゃない。アドバンテージはアドバンテージなんだから。
《肢体の壁/Wall of Limbs》
 リミテッド1.0点
 へんじがない、ただのしかばねのようだ
《無駄省き/Waste Not》
 リミテッド0.0点
 コミュニティがデザインしたってことだし、このカード自体が無駄とは言いたくないんだが、リミテッド向けに作られたカードではないよね。カード1枚を取り返すのにだって、手札破壊をたくさん入れておかないとならないし、その上で相手が土地以外を捨ててくれないとならない。入れ込む価値があるとは思えない。
《魔女の使い魔/Witch’s Familiar》
 リミテッド1.5点
 3マナ2/3だから、まあ如才ない奴じゃないかね。
《ザスリッドの隠し刃/Xathrid Slyblade》
 リミテッド3.0点
 対象にとられずブロックもしづらい2/1が3マナな上、オーラをつけてみてもいいというのは中々使い出がある。フレイバーもかなりいいと思うから、ベン・スターク(Ben Stark)に聞いてみよう。宛先はTwitterの @BenS8528 まで。
《ゾフの影/Zof Shade》
 リミテッド2.5点
 終盤のマナの使い道としてはまあまあ。凄い入れたいカードではないけど、地味に仕事するよ。

 
 黒のコモントップ5
 5.《血の署名/Sign in Blood》
 4.《夜の子/Child of Night》
 3.《屍食いカラス/Carrion Crow》
 2.《影外套の吸血鬼/Shadowcloak Vampire》
 1.《肉は塵に/Flesh to Dust》
 
 最初の2枚以降はかなり団子だ。どれも素晴らしいとは言い難いが強力だから、どれを優先するかは環境がどんなものになるかによるかな(2/1が強いのか、それともカードを2枚引くのが重要な環境かとかね)。それに、自分のデッキをどんなものに仕上げるか、他にどんなカードが取れてるかとかも考えたいところだ(特にマナカーブを考えるとね)。順位にしてはふんわりしてるけど、まあ点数とか順位表とかでできるのはその程度で、特に今回は強さが団子状になってるから、個々のカードの強さと弱点を説明して、どう取るのが一番いいか考えてもらうのが、まあ現実的なところかな。
 
 
 
 LSV
◆ 【翻訳】基本セット2015 リミテッドレビュー 青 (by LSV)
 
 Magic 2015 Limited Review – Blue
 
 Luis Scott-Vargas, 2014年7月7日
 
 http://www.channelfireball.com/articles/magic-2015-limited-review-blue/
 
 基本セット2015のレビューへようこそ!週末はプレリリースだから、今週は各カードをリミテッド視点で見ていくよ。構築は来週予定。
 
 白編を見てなかったらこちらからどうぞ:
 http://www.channelfireball.com/articles/magic-2015-limited-review-white/
 http://misdirection.diarynote.jp/201407152035429260/(拙訳)
 
 
《飛空士の修繕屋/Aeronaut Tinkerer》
 リミテッド2.5点
 アーティファクト皆無でも採用できるし、2枚くらいアーティファクトが入ってたら引く手あまた。予想してないところからダメージを与えられるのは大きいし、そうするためにしなきゃならないこともささやかだ。
《霊気渦竜巻/AEtherspouts》
 リミテッド3.5点
 空までぶっ飛ぶ衝撃だけど、5マナも立てなきゃいけないからケアされやすそう。相手も一回は千切れ飛んでくれそうだが、その後は使いにくくなりそうだ。そうはいっても、1体戻すだけでも強いし、2体3体と吹き飛ばしたら、まともな勝負に復帰するのが困難になるくらいだ。
《アンフィンの抜け道魔道士/Amphin Pathmage》
 リミテッド3.0点
 2マナをブロックできない4マナの男の人って……。でもこいつは打点が3あるし、後半引いたときの脅威はヤバい。こういう終盤の有用性と引き換えに、若干序盤弱目なカードは、採用してしまって全く申し分ない。でも入れ過ぎには注意だ。抜け道魔道士を1枚あたり、2体は正面からの戦闘が得意なクリーチャーを追加したい。そうすればデッキも強くなるってものさ。
《地割れ潜み/Chasm Skulker》
 リミテッド4.0点
 変なカードだけど(しかも奇妙さは潜んでない)、強力そのもの。後半トップから引いてくるカードとしてこそ理想的でないかもしれないが、3ターン目に出して数ターン生き延びたりしてみろよ。まず速やかに巨大なクリーチャーになる上、バウンスや追放以外の手段で処理されたら、軍隊さながらの集団の誕生だ。それにこいつを取ったら、《予言/Divination》取り得になるじゃないか!!!!(ktkr)
《主任技師/Chief Engineer》
 リミテッド1.5点
 2マナ1/3が欲しければどうぞ。それ以上でもそれ以下でもない。主任としての仕事は構築でどうぞ。
《時間づまり/Chronostutter》
 リミテッド2.5点
 どんなクリーチャーでも戻せるのは良いんだけど、6マナの呪文を何度も唱えるのはちょっと。1枚は入れてもよさそうだけど、たくさん採用する気にはなれないかな。
《珊瑚の障壁/Coral Barrier》
 リミテッド3.0点
 守備的なデッキでなかったとしても、採用にあたって障壁になりそうなことはあまりない。コストに見合っただけのサイズが手に入るし、相手次第で攻めにも守りにも使える1枚だ。召集とも好相性だから、こういうシナジーが積み重なるのはいいね。
《拡散スリヴァー/Diffusion Sliver》
 リミテッド1.5点
 他に守りたくなるスリヴァーがいない限り、能力はついてないも同然だ。ただの1/1は対象にされたりしないし、後半になったら追加2マナとか支払うのは難しくないしね。
 
 思い出すなあ。マット・ナス(Matt Nass)がGPポートランド(Portland)で8-0してたときにね、基本セット2011のシールドだったんだが、マットが《霜のタイタン/Frost Titan》を出したら、対戦相手が3ターン連続でタイタンの能力を忘れて打ち消され続けた、なんて場面を見た。思い出すにつけ、まったく信じられない光景だったよ。相手はまず、5マナで《精神の制御/Mind Control》を唱えて、2マナ払えず打ち消された。次ターン、相手は《雲の精/Cloud Spirit》を出した後、《平和な心/Pacifism》をタイタンにつけようとして打ち消されてた。3ターン目に相手は、タイタンを《クローン/Clone》して、それ自体は目論見通りうまくいったんだけど、誘発でマットのタイタンをタップさせようとして、また打ち消されてた。このスリヴァーからはそんなドラマが生まれそうにはないけど、話さずにはいられなかったんだ。
《雲散霧消/Dissipate》
 リミテッド3.0点
 基本セットのリミテッドで3マナ打消しとか、好きやから。追放云々はあまり意味がないだろうけど、まあオマケはありがたく。
《予言/Divination》
 リミテッド3.0点
 俺もドローに対する愛は不変だが、正直に言えばリミテッドの《予言/Divination》は1.5点から3.0点くらい。普通はドラフトよりシールドで強い。基本セット2014は《予言/Divination》の強い環境だったけど、ドラフトの数をこなさないうちに、基本セット2015でも予言が強い、とは言い難い。俺に言えるのは、基本セットは普通のエキスパンションよりも遅めのことが多くて、予言は遅い環境でこそ輝くってことだ(そして俺は毎回、予言が強いくらい遅くあってほしいと思ってるんだけどね)。
《硬化/Encrust》
 リミテッド2.5点
 青い《暗殺/Assassinate》みたいなもの。アンタップ状態のクリーチャーに着けてもうまくいかないからね。条件付きの除去ではあるけれど、青いデッキなら1枚くらい普通に入れていいかな。
《アーティファクトの魂込め/Ensoul Artifact》
 リミテッド1.5点
 1対2交換を差し出すのに飽きたらず、唱えることすら叶わないことが多いとは。先にも言ったかもしれないが、できることならアーティファクト前提のカードは手を出さない方がいいよ。
《霜のオオヤマネコ/Frost Lynx》
 リミテッド3.0点
 《コーの鉤の達人/Kor Hookmaster》はゼンディカーだと素晴らしい活躍だった。とはいえその強さの大部分は、環境の狂気じみた速度のせいだったわけだけど。それでも念願の青単色のネコでもあるし、前のめりなデッキで嬉しいだろう。コントロール的なデッキでも攻勢を凌ぐのに悪くないだろう。何枚も入れたくはないけど、1枚はいていいし、2枚3枚とあっても全く悪くないだろう。
《脱走魔術師/Fugitive Wizard》
 リミテッド0.5点
 出、出~裏面無秘密掘下者奴~。
《氷河の壊し屋/Glacial Crasher》
 リミテッド2.0点
 フレイバー4.0点
 青赤で使わない限りほぼただの壁だが、コントロールを使ってると壁が欲しくなることもまあまあある。それにサイドボード要員一辺倒かと思いきや、実はそうでもない。全く出番なしということはほとんどないだろうし、サイズは他のどの青クリーチャーよりも大きい。でも欲しければいつでも拾えるだろうから、急いで確保する必要はない。取れなくても大したことはないしね
《打ち寄せる水/Hydrosurge》
 リミテッド1.0点
 いくらコンバットトリックに飢えてても、水じゃ腹は満たせないぞ。
《幻影の天使/Illusory Angel》
 リミテッド3.5点
 自身のほかに2マナクリーチャーを要求する5マナ4/4飛行だって強いし、4ターン目に1マナ呪文と一緒に出せることすらあるだろう。こいつを場に出せるメリットは決して幻じゃないから、マナカーブが極端に後ろに偏ってでもない限り、強いカードだよ(マナカーブは重い方に寄せない方がいいぞ!おじさんとの約束だ)。
《虚空への突入/Into the Void》
 リミテッド2.5点
 テンポデッキではこの上なく素晴らしいカードだが、デッキによっては上手に扱えないこともあるから3.0点はつけないことにした。速いデッキなら3.5点の仕事はするけどね。速めに確保してもいいけど、殴らないデッキだとソーサリーの使い道は限られるってことを覚えておこう。
《不可視/Invisibility》
 リミテッド1.0点
 勝ち筋がないときには入れてみてもいいかも。フカシと思われない程度にはゲームが終了するよ。もっとも真面目に青いデッキをやってれば、回避能力くらいあるものだから、お世話になることがあるかどうか。あと、パワー3以上のクリーチャーがそこそこいて、除去の薄いデッキを相手にしてるときにもいいかもね。
《ギルドパクトの体現者、ジェイス/Jace, the Living Guildpact》
 リミテッド4.0点
 今回はジェイス無双にならないようだが、それでも十分強い。盤面で押しているなら、相手の一番強いところをバウンスしてやるのがいい。盤面が均衡状態なら、奥義を目指すのも現実的だろう。ただ今回のジェイスは、押されてる時に逆転する力が無い。相手のクリーチャーが単騎ならいい仕事をするんだが。初手にジェイスがいて流すことはないと思うんだが、実際使ってみたら、アンコモンの中にはジェイスより優先して取りたい面々が出てきても驚かないかな。
《ジェイスの創意/Jace’s Ingenuity》
 リミテッド3.5点
 5マナで盤面に触れないカードってのは弱いのが普通だが、カードを3枚引くって書いてあれば話は別だ。基本セット2014で《好機/Opportunity》は最強格だった。創意にも1マナ足すからもう1枚引かせてほしいところだが、それほど大きな差があるわけではないだろう。4.0点を上げない理由は、基本セット2015が2014より速そうだからってくらいかな(とはいえ基本セット2014はかなりの遅さだったから、どれだけのものかわからないけどね)。
《練達の変身術士、ジャリラ/Jalira, Master Polymorphist》
 リミテッド2.5点
 普通に使ったら、クリーチャーを変身させてくれるわけだけど超重い。じゃあどう使ってやればいいかといえば、トークンでしょう。今回トークンを出すカードがたくさんあるから、《急報/Raise the Alarm》で2回ルーレットを回せるとか、かなり面白いね。時間がかかるけれど、トークンを生成するカードもまた時間を稼ぐのに向いてるから、中々相性は良さそうに見える。ジャリラとトークンと1体の巨大で愉快な仲間、ってほどぶっ飛んだことはしない方がいいとおもうが、小さめのクリーチャーを抜いてトークン呪文に置き換えたりするのは素敵かも。
《ジョルベイの闇潜み/Jorubai Murk Lurker》
 リミテッド3.5点
 青黒マルチカラーのカードとしての評価だけど、こいつは凄い。3マナ2/4というだけで強いのに、どんなクリーチャーにでも絆魂がつけられるとか、相手からしたらダメージレースが極端に困難になってしまう。こいつは沼を大量に入れなくてもタッチ先として優秀だから、序盤にとってもいいと思う。
《カプショ海の飛行魚/Kapsho Kitefins》
 リミテッド2.0点
 6マナのカードにしちゃ前のめりな奴だ。少し噛み合ってない。青はビートダウン筆頭の色じゃないし、6マナかかるんじゃあな。飛行クリーチャーとしては中々のサイズだが、殴りにいってるのでない限り、能力は大したことないだろう。どちらかというと、空中で攻めるより地上で押す戦略に向いている能力だよね。実に奇妙。こういう変なところの多い奴だが、面白いとはいえ引っ張りだこになるカードではなさそうだ。
《窮地の主/Master of Predicaments》
 リミテッド4.0点
 《大気の精霊/Air Elemental》にメリット能力がついている、つまり強い。しかも能力はまさに《Black Lotus》!!!!こんなカードのどのあたりが窮地なのか。使える機会があったら遠慮なくどうぞ。
《気紛れな詐称者/Mercurial Pretender》
 リミテッド2.5点
 あまりの強さに高い点をつけようとしたところで、「あなたのコントロールするクリーチャー」と書いてあるのに気付いた。相手のクリーチャーがコピーできないとは、《クローン/Clone》の面汚し。こっちに強いクリーチャーが既に出てる前提になるわけだけど、そういうときはそのまま強いクリーチャーを使えばいい。手札に戻る能力は強力だけど、これで戦場に出た時の能力を使いまわせるってのは、巧妙な詐称だからダマされないように。
《軍事情報/Military Intelligence》
 リミテッド2.5点
 名前的にも内容的にも好みのカードだが、青的にはクリーチャーを2体集めるのが大変なこともあるだろう。強力なカードだから、早めに取りたい。こいつを使うデッキが組めれば簡単にアドバンテージが得られるからね。2体で攻撃するのってそんなに難しくないぜ。それにご褒美のドローは素晴らしい。
《精神刻み/Mind Sculpt》
 リミテッド1.0点
 2年前のワールド・マジック・カップでブラジルチームを刻み切ったけど、ありゃ最高だった。それでも本気でLOを組まない限り、強いとは言い難い。
《否認/Negate》
 リミテッド1.5点
 隙をなくすために、遅いデッキなら《否認/Negate》もメイン一枚くらい入れてもいいけど、前のめりなデッキなら不要だろう。否認はサイドボードでこそ輝くカードだから、1枚取っておくようにはしてるよ。
《諸島の雨雲/Nimbus of the Isles》
 リミテッド3.0点
 現代マジックは《エイヴンの風読み/Aven Windreader》を通過したはずなのに……それでも使えなくはない奴だよ。
《立ちこめる霧の模範/Paragon of Gathering Mists》
 リミテッド2.5点
 白と比べると、能力はこちらの方に軍配が上がるものの、強さは劣る。白はコモンにトークンを出すカードが複数あるものの、青には《珊瑚の障壁/Coral Barrier》があるだけ。珊瑚の障壁自体は強いんだが、相手が恐れおののくようなカードじゃない。空を飛ばす能力の方は優秀だから、飛ばしたい奴がいるなら、青いクリーチャーが少なくても入れていいかなと思うよ。
《現実からの剥離/Peel from Reality》
 リミテッド3.0点
 色々コンボ要素がなくても柔軟だし優秀だよ。現実と戦うには強いカードが要るからな。
《変身術士の戯れ/Polymorphist’s Jest》
 リミテッド3.5点
 冗談みたいな効果だけど、シャレにならない効果。1体を討ち取るだけでも十分だし、相手の盤面を一掃できるようなこともあるだろう。
《クイックリング/Quickling》
 リミテッド3.5点
 除去をかわしながら2/2飛行が場に出るとか最高だ。ドローの調子が良ければ3ターン目とか4ターン目に出すこともできる。少なくともチャンプブロックしながらクリーチャーを手札に戻せるし、2マナにこれだけのものが詰め込まれてるのはバーゲンセールと言っていいだろう。
《研究助手/Research Assistant》
 リミテッド2.0点
 おお《マーフォークの物あさり/Merfolk Looter》よ、劣化してしまうとは情けない。
 こいつはどちらかというと《ルーメングリッドの管理人/Lumengrid Warden》。使えないわけではないんだけど、どうしても比較されて見られてしまうね。むしろ能力がついていたばかりに、哀れな奴よ。1/3が欲しいときに使うと思う。ルーター能力がついてるのも嬉しいおまけだ。
《ラヴニカの魂/Soul of Ravnica》
 リミテッド4.5点
 6/6飛行は対処されなければ速やかにゲームを終わらせてくれるし、除去されたら除去されたでカードを1,2枚引けるのも無為ではない。他の魂と違って盤面に影響を与えづらいけど、それでも強力だ。環境が速ければ、こういうカードの評価は下がるものだけれど、ここ1,2年環境がゼンディカー並みに速いということはなかったから大丈夫じゃないかな。
《否定の法典/Statute of Denial》
 リミテッド1.5点
 打消しが3マナと4マナじゃかなりの差がある。たまにルーターできてもその差が埋まるほどじゃない。遅い相手用のサイドかな。
《嵐潮のリバイアサン/Stormtide Leviathan》
 リミテッド1.5点
 8マナは依然8マナ、遅い環境でも非現実的な重さだよ。少なくとも相手が攻撃してくるのを防いだりできるし、8マナまで生き延びてこいつを出せたならそれ以降も何とかなるだろう。。
《蛙変化/Turn to Frog》
 リミテッド3.0点
 青にはいつでも良質なコンバットトリックがあるわけじゃないが、これは中々だ。1/3で相手の5/5を倒せるのは嬉しいし、相手の飛行を飛び越えてダメージを取りにいけたりするのもいい感じ。
《虚空の罠/Void Snare》
 リミテッド1.5点
 前のめりなデッキでない限り、ソーサリー速度のバウンスは酷評するんだが、中でもこいつの評価はデッキによってかなりと特に変わってきそうだ。マナカーブに合わせて展開してこれを1,2枚差し挟んでやれば遅いデッキは倒せそう。俺はそういうデッキドラフトしないと思うけどね。
《霜の壁/Wall of Frost》
 リミテッド2.5点
 固ーい説明不要!!
《天空のアジサシ/Welkin Tern》
 リミテッド3.5点
 随分な点数に思えるかもしれないけれど、《天空のアジサシ/Welkin Tern》はアグロデッキの先陣を切るカードだ。こいつを2体ほど出せば簡単に勝てたりね。どのくらい前のめりにデッキを組めてるかで点数は変わるけれど、殴るデッキならこの上ない相方だ。

 
 青のコモントップ5
 5.《予言/Divination》
 4.《諸島の雨雲/Nimbus of the Isles》
 3.《珊瑚の障壁/Coral Barrier》
 2.《現実からの剥離/Peel from Reality》
 1.《天空のアジサシ/Welkin Tern》
 
 基本セット2015の青は2通り組めそうだ。バウンスに飛行クリーチャーとビートダウン用の優秀カードがあるのと、守備的なクリーチャー、打消し、ドローもある。どちらを選ぶかはまだ決めてないけれど、どちらも中々やりやすそう。ビートダウン向けのカードの方がマナレシオ高く見えるし優先するつもりだけど、急いで殴らなくてもいいことがわかったら、《予言/Divination》を差し置いて《天空のアジサシ/Welkin Tern》を取ることはしないぜ。どんな青をドラフトしようか考えるのは楽しいね。早くドラフトしたいぜ。
 
 
 
 LSV
◆ 【翻訳】基本セット2015 リミテッドレビュー 白 (by LSV)
 
 Magic 2015 Limited Review – White
 
 Luis Scott-Vargas, 2014年7月6日
 
 http://www.channelfireball.com/articles/magic-2015-limited-review-white/
 
 
 基本セット2015のレビューへようこそ!週末はプレリリースだから、今週は各カードをリミテッド視点で見ていくよ。そして来週は構築と。いつも通り、点数付けはこんな具合だ:

 5.0点 強すぎる神いわゆるゴッド。《群れネズミ/Pack Rat》、《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》、《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》
 
 4.5点 素晴らしい爆弾レアだが、対処不能というほどでもない。《世界を喰らう者、ポルクラノス/Polukranos, World Eater》、《超音速のドラゴン/Hypersonic Dragon》

 4.0点 優秀なレアや、それに比肩し得るアンコモン。《密集軍の指揮者/Phalanx Leader》、《ヴィトゥ=ガジーのギルド魔道士/Vitu-Ghazi Guildmage》、《混沌のインプ/Chaos Imps》

 3.5点 トップコモンや強力なアンコモン。《稲妻の一撃/Lightning Strike》、《雨雲のナイアード/Nimbus Naiad》、《屑肉の刻み獣/Dreg Mangler》

 3.0点 ほぼデッキに入る良カード。《葉冠のドライアド/Leafcrown Dryad》、《本質の散乱/Essence Scatter》

 2.5点 まず抜けることのないカード。《国境地帯のミノタウルス/Borderland Minotaur》、《死の歓楽者/Dead Reveler》

 2.0点 数合わせでデッキに入る。でもたまに抜けるカード。《蛮族の血気/Savage Surge》、《前兆語り/Omenspeaker》、《武器庫の護衛/Armory Guard》

 1.5点 頭数の水増し。入るかどうかは半々くらい。《鋤引きの雄牛/Yoked Ox》、《長屋壊し/Tenement Crasher》

 1.0点 数合わせとしても役不足。ほぼ入らない。《迷宮での迷子/Lost in a Labyrinth》、《無視/Pay No Heed》

 0.5点 ギリギリデッキに入るかどうかなカード。もしくはサイドボード用カード。《瓦礫の調査/Survey the Wreckage》、《天界の粛清/Celestial Purge》

 0.0点 役立たず。《市内捜査/Search the City》、《伏魔殿のピュクシス/Pyxis of Pandemonium》

 
 
《不動のアジャニ/Ajani Steadfast》
 リミテッド4.5点
 アジャニの強さの大部分は他のプレインズウォーカーの強化だからな……ピックしてプレインズウォーカーがこいつしか取れないとリスクが高いな……そんな悪夢のような展開でも使う価値はありそうだが……。
 (強いから見たら取ろう。欠点らしい欠点といえば、クリーチャーがいないときには何もできないことだけれど、大した工夫をしなくても十分強い。)
《アジャニの群れ仲間/Ajani’s Pridemate》
 リミテッド3.0点
 熊環境だと思いたくはないが(熊環境ってのは2マナ2/1とか2/2が強い環境のことね)、2/2にメリットがついてれば大体入る。群れ仲間が仲間外れになるのはかなり奇妙な環境で、例えばエルドラージ覚醒や基本セット2014みたいな環境でないと、まず抜こうとは思わない。それに、比較的容易に+1/+1カウンターを載せられるともなれば、かなり優秀だろう。こいつ中心でデッキを組むほど強力ではないが、1,2枚あればライフゲインも少し価値を上げてみてもいい
《守護天使アヴァシン/Avacyn, Guardian Angel》
 リミテッド4.5点
 何で5点じゃないの?って聞かれることは避けられないんだろうな。勘違いしないでくれ。アヴァシンは素晴らしい強さだよ。5マナ5/4飛行警戒という時点で強いし、クリーチャーやプレイヤーを死ににくくするのも実にいい。アヴァシン唯一の欠点といえば、本気の5マナ域がやってのける、かなり押された状態からゲームに勝ちうるとか、除去耐性があるとか、あるいはその両方みたいな特性だ。色シンボルもきついけれど、それだけの価値はある。最強ではないかもしれないが、パックの中で比肩しうるものはないだろう(FOILレアとかは別にしてもね)。
《熟達した戦い/Battle Mastery》
 リミテッド1.0点
 オーラはあまり好きじゃないんだよな。つけるクリーチャーも強くなきゃダメとか尚更だ。何かコンボできないと入れる価値はなさそうだ(念のため言っておくけど、この下にいる巨人がいるとかは理由にならないからな)。
《加護織りの巨人/Boonweaver Giant》
 リミテッド1.5点
 見るからに条件付きで強くなるカードだけど、強いオーラがあっても7マナだからね。《オーラ掠りの魔道士/Auratouched Mage》とどこで差がついた。サイズが1上がったからって、重さに見合う価値じゃないんだよなぁ。
《集い/Congregate》
 リミテッド0.5点
 ビートダウン相手にサイドインするのは悪くないと思うけど、ライフゲインデッキはドラフトしない方がいいぞ。
《束縛スリヴァー/Constricting Sliver》
 リミテッド3.5点
 ああ、《放逐する僧侶/Banisher Priest》って強かったんだな。スリヴァーが大していなくても、6マナ3/3の《顔なしの解体者/Faceless Butcher》って流すスペックじゃないからな。それに加えて、他にも単体で有用なスリヴァーが取れていたら、序盤のピックとしては優秀だ。スリヴァーデッキが組めたらかなりものだけれど、基本セット2014と比べてものになるかどうか。
《不屈の河川司令官/Dauntless River Marshal》
 リミテッド3.5点
 青白のマルチカラーとして評価してるけど、実際は島が一枚でもデッキに入っていたら、大体2マナ2/1としてでも入れていいだろう。2マナ3/2で終盤有用な能力が付いているとくれば、2マナの性能としてはかなり奮戦しているといえる。2ターン目に出して良し、10ターン目に出しても良しだ。2色のカードを早めに取るのは、デッキに入る確率が単色のカードに比べてずっと低いという、いつものリスクがあるけれど、期待に応えるだけの実力者だ。
《貪る光/Devouring Light》
 リミテッド3.0点
 《神聖なる評決/Divine Verdict》系のカードは痒いところに手の届かない除去ではあるけれど、この《貪る光/Devouring Light》は3マナかつ召集がついているおかげでかなりその点を克服してきた。構えておいて唱えなかったときのロスを埋め合わせてくれる。この手のカードにつきものなのは、効果自体は相応の価値があるものの、相手が賢くもホイホイ除去に飛び込んでくれないとき、2倍も3倍もマナを立てておく必要があって、評価の時にそれを計算に入れなきゃならないという厄介さだ。これについてる召集はかなり曲者で、フルタップから召集でコンバットトリックや除去を撃ったら相手はびっくりするだろう。ま、少なくとも最初の2,3週間はね。
《神聖なる好意/Divine Favor》
 リミテッド1.5点
 普通に使っても苦肉の策というほどじゃないが、こういった呪文は遠慮願いたいな。過去の基本セットで、対ビートダウンとしてならまあまあ使えたし、ちょっとしたコンボもあったりして、そういう良さが出ると想像以上の働きをしてくれた。
《儚き盾/Ephemeral Shields》
 リミテッド2.5点
 パワーの上がらないコンバットトリックはまず疑ってかかるんだが、除去を交わせるしマナを支払わずに撃てることもままありそうだからね。強そう。こればかり入れ過ぎてしまう、というような贅沢な状況には中々ならないだろうが、クリーチャーの質が良ければ良いだけ欲しくなるし、除去多めのコントロールデッキに対してのサイドボードとしても素晴らしい(特にソーサリーだったり重い除去に対して)。構築ですら使われる可能性があると思っているよ。0マナで除去をかわせるのはそれだけの価値がある。でもそのあたりの評価は来週まで取っておこうか。
《初期対応/First Response》
 リミテッド2.0点
 俺のこのカードに対する初期対応としてレビューしてみるが、序盤に出せば4体くらいは兵士がでそうだし、悪くないんじゃないだろうか。ビートダウンで使うと出づらそうだけど、コントロールでなら良さそう。ライフゲインすと組み合わせれば、もっとたくさん兵士が出てちょっと嬉しいかも。
《原野の霊/Geist of the Moors》
 リミテッド3.0点
 軽くてパワーが2以上ある飛行クリーチャーは自動的にデッキに入る。タフネス1がネックになることもありそうだけどね。
《ヘリオッドの巡礼者/Heliod’s Pilgrim》
 リミテッド2.5点
 《加護織りの巨人/Boonweaver Giant》は酷評したけど、こちらは結構いいんじゃないだろうか。デッキに入れるなら、探す先として優秀なのが1枚は欲しい。理想的には2枚あれば外すこともなくなる。3マナと7マナはかなり違うし、こいつはオーラをつける先も選べるからね。ピック中~終盤になれば、こいつがどのくらい強いかよりはっきり見えてくるだろうね。それでも序盤にとるほど強いとは思わないが。
《静翼のグリフ/Hushwing Gryff》
 リミテッド2.5点
 3マナ2/1飛行瞬速の時点で抜けるとは思わないが、残りのテキストに意味があるとはあまり思えない。どちらがより大きな被害を蒙るかすらわからない。デッキによっては、自分側の場に出た時の効果が素晴らしいあまり、こいつを入れないことすらあるだろう。
《キンズベイルの散兵/Kinsbaile Skirmisher》
 リミテッド3.0点
 地味に嬉しい能力が付いてる熊だから、相応に扱おう。
《名誉の印/Marked by Honor》
 リミテッド3.0点
 オーラは普通嫌いなんだけど、こいつは悪くない。タフネスに依存しないバウンスや除去を使ってくる相手には分が悪いが、警戒がついていて守っても固いクリーチャーを作り出すと有利になる試合も数多くあることだろう。中型クリーチャーや火力に頼るデッキなら、《丘巨人/Hill Giant》を5/5にして殴りつつ壁として立ちはだかったらかなりもの。噛み合った時にそんな活躍をしてほしい。メインに入れても十分やれると思うけれど、恐れずにサイドアウトしていこう(実際にこの環境で使ってみて評価を改めるかもしれないけどね)。
《集団の石灰化/Mass Calcify》
 リミテッド2.0点
 環境が7マナの呪文でも現実的に唱えられる程度にゆっくりなら、まあ悪くない。《疫病風/Plague Wind》は強力なカードだった。疫病風程度には検討していいカードだろう。このカードに関しては面白い思い出があるんだけど、グランプリインディアナポリス(Grand Prix Indianapolis)で、PV(Paulo Vitor Damo da Rosa)がこいつを持ってるとき(シャドウムーアシールドだったんだ)、相手が《絵描きの召使い/Painter’s Servant》を白指定で出してきてね。対戦相手的には、《血印の導師/Bloodmark Mentor》のことを考えて赤を指定するべきだったんだけど、白は適当に選んだんだってさ。でもそのせいでPVがしてやられたって寸法さ。
《瞑想パズル/Meditation Puzzle》
 リミテッド0.5点
 迷走しないようにサイドボードに突っ込んどこう。
《深夜の護衛/Midnight Guard》
 リミテッド2.0点
 何かコンボでもできない限り、《ハールーン・ミノタウルス/Hurloon Minotaur》に警戒がついたくらいなもの。まあまあ使えるか。
《抑圧的な光線/Oppressive Rays》
 リミテッド1.5点
 テーロスブロックでもそんな強いと思わなかったから、M15が超速環境でもないかぎり、良く扱えてもたかが知れてるんじゃない?
《オレスコスの速爪/Oreskos Swiftclaw》
 リミテッド3.0点
 2マナパワー3は3点。分かりやすいな。
《新たな夜明けの模範/Paragon of New Dawns》
 リミテッド2.5点
 白のクリーチャーがあまりいなければ見どころはほとんどないが、8体以上白の優秀どころがいるのであれば話は変わってくる(俺並みの運なら、こいつがデッキ内で最強ってこともあるかもしれない)。警戒が与えられるのは驚くほどの有用性ではないものの、他にやることがないなら使っていい。平均してどのくらい採用に値するカードが取れるかまだ分からないけど、もしデッキに入るカードがふんだんにとれる環境なら、序盤に模範を確保して単色気味にいってもいいかもしれない。
《光の柱/Pillar of Light》
 リミテッド3.0点
 1枚は絶対に入れるし、2枚目もまず抜かないだろう。3枚目もまあ、入れることがあるかもしれない。最初の1枚を確保することはかなり価値があるとしても、普通のデッキ相手なら撃つ対象はかなり限られてくるからね。
《秀でた隊長/Preeminent Captain》
 リミテッド3.0点
 リミテッドで強い兵士デッキを作るのは、鍛えられたプレイヤーでも難しいから、タダツヨとまではいかない優良クリーチャー止まりだろう。2/2先制攻撃はいつだって偉い。それにコストを踏み倒せることもたまにはあるだろう。
《急報/Raise the Alarm》
 リミテッド3.0点
 何らかの理由で1/1が特に弱いということでもない限り、いつでも普通にデッキに入れたいカードだろう。マナコストに見合った効果だし、ボディががら空きと見せかけて2/1を奇襲することもできるし、色々なカードとシナジーもある。終盤でも戦闘の計算を狂わせられる。2マナには十分すぎる働きさ。
《カミソリ足のグリフィン/Razorfoot Griffin》
 リミテッド2.0点
 4マナ2/2飛行は、今じゃ昔ほど強くないんだなぁ。悪くはないんだが嬉しくもないね。
《毅然たる大天使/Resolute Archangel》
 リミテッド3.5点
 これこそ7マナ域の推しメンだ。7マナのダメなところとして、唱えられる頃には押し込まれ過ぎてるというのがあるけれど、こいつはそれを何とかするだけじゃない。ライフを20点に戻しながら4/4飛行を出すというのは、まさに俺がドラフトしたいデッキ。それにこいつがいればもっと7マナを入れられるな!!
《戦列への復帰/Return to the Ranks》
 リミテッド1.5点
 こいつが強いようなデッキを組むこともあるかもしれないが、序盤からこれに賭けるようなカードじゃない。他のプレイヤーがアーキタイプに割り込んでくることもないだろう。初手でこれを取って2マナをかき集めるって案が強いといいなとは思うんだけど、2マナは他のプレイヤーもこぞって集めるマナ域だから、それほど集まらないんじゃないかと思うのよね。
《清められた突撃/Sanctified Charge》
 リミテッド2.0点
 白単待ったなし。白単で使えたら中々のものだろう。重たいから数は入らないと思うけど、ね。
《無私の聖戦士/Selfless Cathar》
 リミテッド1.5点
 イニストラードの白い人間デッキで使うと強かったなぁ。でも基本セット2015だとあまり入れる理由が思いつかない。白でビートダウンを組むなら入れてもいいけれど、白系のビートダウンを組んでも、イニストラードのときほど無視できない強さとはいかないかな。
《衆生の熾天使/Seraph of the Masses》
 リミテッド2.0点
 白にも《包囲ワーム/Siege Wurm》がいたらしい。とはいえこちらは全力で突っ込むカードか。序盤に召集して呼び出せたらバケモノだし、ドローが弱ければ大した力にはならない。こういう直球系のカードは嫌いじゃない。テーマのあるデッキを作る理由になるしね。
《真面目な捧げ物/Solemn Offering》
 リミテッド0.5点
 真面目な話、サイドボード要員だと思う。
《テーロスの魂/Soul of Theros》
 リミテッド4.5点
 元から絆魂までついてたら5点をあげても良かった。ついてなくても、凄まじいサイズだし、生きてターンが返ってきたらそのまま勝てるだろう(とはいえ即除去されて、こちらの盤面にフラッシュバックをしても十分なクリーチャーが残ってない、なんて場面もあるだろうけどね)。
《魂癒し人/Soulmender》
 リミテッド0.5点
 M16がお前にとって癒しの場になるといいな。
《光波の護法印/Spectra Ward》
 リミテッド4.0点
 1.まず、相手がフルタップするのを待ってこれをつけます
 2.北斗有情破顔拳。
 これがつけば、デカい。止められない。対象にもできない。そんな簡単マジック。エンチャントによる除去以外、相手からしたら何もできない。相手が構えてるところに突っ込まなければいいだけだ。
《霊魂の絆/Spirit Bonds》
 リミテッド4.5点
 ゲームが長引いたら手が付けられないことになる。こちらのクリーチャー全部にキッカー(白)で1/1飛行が出てくるようなものだからね。しかもそれだけでなく、1/1飛行が身代わりにもなってくれるときたもんだ。見たら取ろう。そしてクリーチャーを十分確保できたらアド・ソ・ノモノだ。
《天麗のペガサス/Sungrace Pegasus》
 リミテッド2.0点
 ライフ2点分の戦闘能力だけで十分使用に堪えるけれど、強化系の効果との相性の良さは特筆ものだ。サイズを上げる手段が皆無ならぬいてもいいけど、普通のデッキなら入れただけの仕事はするよ。2枚とか取れればオーラも強く使えるから、優先度を上げていい。
《不屈の宣教師/Tireless Missionaries》
 リミテッド1.0点
 ビートダウン相手のサイド要員にしても、戦況を変えるには重すぎて不向き。コントロール相手とか戦慄モノ。
《三つぞろいの霊魂/Triplicate Spirits》
 リミテッド3.5点
 軽いところが少ないデッキででも(重いデッキは任せろ~バリバリ)、6マナとしてそこまで悪くない。クリーチャーが1,2体いて4ターン目とかに撃てたら、凄さがわかるぜ。
《精油の壁/Wall of Essence》
 リミテッド2.0点
 コントロールが越えなきゃいけない壁は、序盤を生き延びることだ。こいつはそこんところをよく分かってる。殴りたいデッキではピンとこないが、長期戦を見越しているなら役立ってくれるだろう(あとは、地上を止めて空から殴る、古典的青白飛行なんかなら悪くないと思うよ)
《彼方の管理人/Warden of the Beyond》
 リミテッド2.5点
 お前こそ真の《ハールーン・ミノタウルス/Hurloon Minotaur》の後継者だ。たまに《光の柱/Pillar of Light》をかまして、殺意の波動に目覚めることもあるだろう(コンバットトリックみたいなタイミングでできたらもうゲームに勝てそう)。

 
 
 白のコモントップ5
 5.《儚き盾/Ephemeral Shields》
 4.《急報/Raise the Alarm》
 3.《光の柱/Pillar of Light》
 2.《オレスコスの速爪/Oreskos Swiftclaw》
 1.《三つぞろいの霊魂/Triplicate Spirits》
 
 《三つぞろいの霊魂/Triplicate Spirits》がコモンではぶっちぎりだ。しかも他の6マナと違って、複数枚あっても有用だ。何せ2枚目3枚目とどんどん唱えやすくなるからね。でも霊魂と一緒に軽いところを集めよう。《光の柱/Pillar of Light》も優良除去だけど、《オレスコスの速爪/Oreskos Swiftclaw》の方が安定して実力を発揮できると思う。それに召集の枚数次第ではあるけど、《急報/Raise the Alarm》が《光の柱/Pillar of Light》より優先して取りたくなるようなデッキもあると思う。白は攻撃的な色だね。でもコントロールで使って嬉しいカードもちらほらあるな。
 
 次は青だ。嬉しいことに今回も《予言/Divination》があるぞ!
 
 
 LSV
◆ 【翻訳】フランクに考えよう ニクスへの旅、ピック優先順位表
 
 Frank Analysis – A Pick Order list for Journey into Nyx Draft
 
 By Frank Karsten 2014年5月29日
 
 http://www.channelfireball.com/articles/frank-analysis-a-pick-order-list-for-journey-into-nyx-draft/
 
 テーロスと神々の軍勢でもやったのに則って、今日はニクスへの旅のピック優先順位表をお見せするよ。
 (テーロス)http://www.channelfireball.com/articles/frank-analysis-a-pick-order-list-for-Theros-draft/
 (神々の軍勢)http://www.channelfireball.com/articles/frank-analysis-a-pick-order-list-for-born-of-the-gods-draft/
 (神々の軍勢拙訳)http://misdirection.diarynote.jp/201403281618455117/
 
 優先順位表だから、ニクスへの旅・神々の軍勢・テーロスの3つでやる普通のテーロス・ブロックドラフトで1パック目初手で何を取るかの指針として、全てのカードを順位付けすることになる。カードの金銭的価値は考慮されてないよ。あと、多色のカードの順位は比較的低めになっている。柔軟性が失われるのと、2色を決めてしまう危険があるからね。
 
 チャネル(ChannelFireball)を含め、色々な人との議論から影響を受けている表だけど、僕の好み、経験、そして考えに基づいている表だ。特に、青緑をドラフトするのが個人的にかなり好みでなもので、青と緑は評価が高いかもしれない。特訓でやったドラフトでは、デッキはパッとしないことばかりだったものの、青緑は勝率70%という強烈な数値を叩きだしたんだ。そんなわけで、「青緑紙束は負けない」とか言われたりしてたよ。
 
 でもこれは、ある意味的を得てもいるんだ。緑のファッティと、青のバウンス呪文にはシナジーがある。緑のマナ加速に青の巨大飛行クリーチャーも良いコンビだね。だからデッキが強くなりやすいんだ。それに青も緑も、ブロックの全パックを通じて戦力になるカードがとても多い。だから仮に隣の人と色の組み合わせが2色被っていても、まあまあのカードが手に入るんだ。特に緑で顕著だね。だから僕はテーロス・ブロックだと緑が一番だと思ってる。決め打ちするのはお勧めしないけど、表を見たら青や緑のカードが、考えてるより高評価だって思うだろう。その2色が一番やりたい組み合わせなものでね。
 
 もう一つ覚えておいてほしいのが、軽いところを早めに取るって僕の信念に影響されてる表だってこと(軽いってのは4マナ以下のクリーチャーのことだ)。だから軽量クリーチャーは高評価。コンバットトリックやバウンス、5マナ以上のカードは限られた数しか入れられない。特にテンポで押す戦略を取るときはね。それにニクスへの旅のコモンには、授与クリーチャーの代わりに奮励付きのコンバットトリックが入っているから、クリーチャーを十分確保しておくことで最大限に強さを引き出せる。最初のパックで少なくとも5体、2パック目で10体、3パック目で15体は取っておきたいね。たとえばクリーチャーが足りなくて、インスタント速度で使えるカードが揃っているなら、喜んで《撤回のらせん/Retraction Helix》を流して《ケンタウルスの武芸者/Swordwise Centaur》を取るさ。クリーチャーの頭数が足りないデッキは、何をするにしても苦しいからね。
 
 そんなところを心に留めておいて、こちらがピック優先順位表だ:
 (訳注:DNの仕様でテキストになっています。リストを見るなら元記事で画像を眺めるのがお勧めです http://www.channelfireball.com/articles/frank-analysis-a-pick-order-list-for-journey-into-nyx-draft/ )

《信者の沈黙/Silence the Believers》
《黎明運びの戦車兵/Dawnbringer Charioteers》
《ヘリオッドの指図/Dictate of Heliod》
《セテッサ式戦術/Setessan Tactics》
《予言の炎語り/Prophetic Flamespeaker》
《難局/Hour of Need》
《力による操縦/Harness by Force》
《黄金の呪いのマカール王/King Macar, the Gold-Cursed》
《破滅喚起の巨人/Doomwake Giant》
《ハイドラの繁殖主/Hydra Broodmaster》
《払拭の光/Banishing Light》
《果敢な泥棒/Daring Thief》
《黄金の雌鹿/Golden Hind》
《英雄の導師、アジャニ/Ajani, Mentor of Heroes》
《英雄たちを破滅させるもの/Heroes’ Bane》
《開花の幻霊/Eidolon of Blossoms》
《ネシアンの猟区管理者/Nessian Game Warden》
《モーギスの軍用犬/Mogis’s Warhound》
《惑乱のセイレーン/Hypnotic Siren》
《フィーリーズ団の戦長/Pheres-Band Warchief》
《急流のナイアード/Whitewater Naiads》
《速羽根のコカトリス/Fleetfeather Cockatrice》
《樫心のドライアド/Oakheart Dryads》
《トガリトゲ/Spirespine》
《復仇/Reprisal》
《饗宴の主/Master of the Feast》
《悪魔の皮の石化使い/Felhide Petrifier》
《悪夢のような末路/Nightmarish End》
《傲慢/Hubris》
《擬態するセイレーン/Cloaked Siren》
《神送り/Godsend》
《戦争翼のセイレーン/War-Wing Siren》
《サテュロスの木立ち踊り/Satyr Grovedancer》
《印章持ちのヒトデ/Sigiled Starfish》
《マグマのしぶき/Magma Spray》
《夢の饗宴/Feast of Dreams》
《貪欲なるレウクロッタ/Ravenous Leucrocota》
《壮大な英雄譚/Colossal Heroics》
《印章持ちのスキンク/Sigiled Skink》
《アクロスの猛犬/Akroan Mastiff》
《節くれの傷皮持ち/Gnarled Scarhide》
《補給線の鶴/Supply-Line Cranes》
《エレボスの指図/Dictate of Erebos》
《刃牙の猪/Bladetusk Boar》
《トリトンの騎兵部隊/Triton Cavalry》
《炉生まれのオリアード/Forgeborn Oreads》
《オレスコスの速爪/Oreskos Swiftclaw》
《大歓楽の幻霊/Eidolon of the Great Revel》
《船団の災い魔/Scourge of Fleets》
《アジャニの存在/Ajani’s Presence》
《テツモスの大神官/Tethmos High Priest》
《戦場の秘術師/Battlefield Thaumaturge》
《収穫守りのアルセイド/Harvestguard Alseids》
《自然からの武装/Nature’s Panoply》
《塵への回帰/Consign to Dust》
《空中隊形/Aerial Formation》
《石識の防衛者/Stonewise Fortifier》
《ファリカに選ばれし者/Pharika’s Chosen》
《盲いた喧嘩屋/Sightless Brawler》
《厳かな守護者/Grim Guardian》
《血に狂った重装歩兵/Bloodcrazed Hoplite》
《バサーラ塔の弓兵/Bassara Tower Archer》
《トラクシーズの落とし子/Spawn of Thraxes》
《大地への縫い付け/Pin to the Earth》
《闇への投入/Cast into Darkness》
《キオーラの放逐/Kiora’s Dismissal》
《水晶オウムガイ/Crystalline Nautilus》
《凱旋の間/Hall of Triumph》
《警備隊の鷲/Eagle of the Watch》
《アクロスの戦線砕き/Akroan Line Breaker》
《レオニンの偶像破壊者/Leonin Iconoclast》
《脳蛆/Brain Maggot》
《空槍の騎兵/Skyspear Cavalry》
《戦慄運びのランパード/Dreadbringer Lampads》
《サテュロスの重装歩兵/Satyr Hoplite》
《神討ち/Deicide》
《疾病の神殿/Temple of Malady》
《天啓の神殿/Temple of Epiphany》
《死の国の造幣工/Underworld Coinsmith》
《嵐の神、ケラノス/Keranos, God of Storms》
《悪意ある一撃/Spiteful Blow》
《ニクス毛の雄羊/Nyx-Fleece Ram》
《群衆の決起/Rouse the Mob》
《眩しい炎/Blinding Flare》
《稲妻の謎/Riddle of Lightning》
《全希望の消滅/Extinguish All Hope》
《勝利の神、イロアス/Iroas, God of Victory》
《ニクスの注入/Nyx Infusion》
《苦悶の神、ファリカ/Pharika, God of Affliction》
《フィーリーズ団の戦長/Pheres-Band Warchief》
《船団の出航/Launch the Fleet》
《ニクスの織り手/Nyx Weaver》
《採石場の巨人/Quarry Colossus》
《嵐追いのキマイラ/Stormchaser Chimera》
《啓示の解読/Interpret the Signs》
《欺瞞の信奉者/Disciple of Deceit》
《豊穣の泉/Font of Fertility》
《通行の神、エイスリオス/Athreos, God of Passage》
《定命の者の強情/Mortal Obstinacy》
《鷲の飛翔/Rise of Eagles》
《双角の連続襲撃/Flurry of Horns》
《腐敗した大男/Rotted Hulk》
《激浪のキマイラ/Riptide Chimera》
《名高い織り手/Renowned Weaver》
《倒れし神の宴/Revel of the Fallen God》
《落星/Starfall》
《押し潰すヒル/Squelching Leeches》
《黄金皮の雄牛/Goldenhide Ox》
《黄金造りの歩哨/Gold-Forged Sentinel》
《変身体の殺到/Polymorphous Rush》
《悲しげなミノタウルス/Pensive Minotaur》
《運命の泉/Font of Fortunes》
《定命の者の大敵/Humbler of Mortals》
《抑圧的な光線/Oppressive Rays》
《ラゴンナ団の先駆者/Lagonna-Band Trailblazer》
《神々の神盾/Aegis of the Gods》
《ニクスの武装/Armament of Nyx》
《精神感化のラミア/Thoughtrender Lamia》
《燎原の火のケルベロス/Wildfire Cerberus》
《永遠憤怒のサイクロプス/Cyclops of Eternal Fury》
《脱走兵の間/Deserter’s Quarters》
《ダクラの神秘家/Dakra Mystic》
《残忍な食餌/Cruel Feeding》
《捨て身の抵抗/Desperate Stand》
《彼方の神、クルフィックス/Kruphix, God of Horizons》
《冒涜の疫病/Desecration Plague》
《ゴルゴンの血/Aspect of Gorgon》
《トリトンの岸忍び/Triton Shorestalker》
《密集軍の隊形/Phalanx Formation》
《暴食するサイクロプス/Gluttonous Cyclops》
《群れ生まれの巨人/Swarmborn Giant》
《タッサの貪り食い/Thassa’s Devourer》
《稲妻の髪飾り/Lightning Diadem》
《蘇りし者の儀式/Ritual of the Returned》
《奔放なる遊戯/Rollick of Abandon》
《弁論の幻霊/Eidolon of Rhetoric》
《イロアスの武器庫/Armory of Iroas》
《回帰の泉/Font of Return》
《炎語りの意志/Flamespeaker’s Will》
《蘇りし歓楽者/Returned Reveler》
《マナの合流点/Mana Confluence》
《双つ身の炎/Twinflame》
《神狩りの大ダコ/Godhunter Octopus》
《勝利の戦車/Chariot of Victory》
《時の賢者/Sage of Hours》
《タッサの激憤/Thassa’s Ire》
《撤回命令/Countermand》
《クルフィックスの洞察力/Kruphix’s Insight》
《苛まれし思考/Tormented Thoughts》
《知識と力/Knowledge and Power》
《激憤の泉/Font of Ire》
《蘇生の旋律/Reviving Melody》
《英雄たちの結束/Solidarity of Heroes》
《倒れた者からの力/Strength from the Fallen》
《市場の祝祭/Market Festival》
《モーギスの悪意/Spite of Mogis》
《深海からの引き寄せ/Pull from the Deep》
《エレボスの代行者/Agent of Erebos》
《双子神の指図/Dictate of the Twin Gods》
《最悪の恐怖/Worst Fears》
《天を支える者/Bearer of the Heavens》
《空封じ/Skybind》
《クルフィックスの指図/Dictate of Kruphix》
《活力の泉/Font of Vigor》
《ケイラメトラの指図/Dictate of Karametra》

 僕の意見だと、レア最強は《信者の沈黙/Silence the Believers》で、アンコモン最強は《難局/Hour of Need》。最優秀コモンは《黄金の雌鹿/Golden Hind》かな。
 
 テーロス・ブロックドラフトについて思うこと20
 
 1.《水晶オウムガイ/Crystalline Nautilus》は、《統率の取れた突撃/Coordinated Assault》やら《アクロスの猛犬/Akroan Mastiff》やらであっさり対象にとられてガッカリすることが多い。でも《樫心のドライアド/Oakheart Dryads》や《収穫守りのアルセイド/Harvestguard Alseids》みたいな星座と合わせるとかなり強くなる。相手のクリーチャーに授与して、誘発した星座ですぐ対象にとれば、《火炎舌のカヴー/Flametongue Kavu》の出来上がりだ。
 
 2.環境は《フィーリーズ団の戦長/Pheres-Band Warchief》で強化されるケンタウルスが結構いる。コモンで目につくところだと、《ラゴンナ団の長老/Lagonna-Band Elder》、《ラゴンナ団の先駆者/Lagonna-Band Trailblazer》、《ネシアンの狩猟者/Nessian Courser》、《ナイレアの信奉者/Nylea’s Disciple》、《フィーリーズ団のケンタウルス/Pheres-Band Centaurs》、《フィーリーズ団の雷鳴蹄/Pheres-Band Thunderhoof》、《フィーリーズ団の精鋭兵/Pheres-Band Tromper》、《蘇りしケンタウルス/Returned Centaur》、《ケンタウルスの武芸者/Swordwise Centaur》。戦長を取ったら優先度を上げてみよう。
 
 3.《戦場の秘術師/Battlefield Thaumaturge》はいつでもまずまず強いけど、デッキ次第で《黄金の雌鹿/Golden Hind》並みに強くなる。特に《航海の終わり/Voyage’s End》、《鞭の一振り/Lash of the Whip》、《壮大な英雄譚/Colossal Heroics》なんかで埋め尽くされたデッキがいい。特に壮大な英雄譚は、秘術師と合わせるのに最適だ。追加の対象を取るのがたったの1マナになるんだからね。戦闘中に使ったら、ドしゃくりできることだろう。
 
 4.《名高い織り手/Renowned Weaver》から出るのはクリーチャー・エンチャントだから、インスタントタイミングで星座が誘発できる。《樫心のドライアド/Oakheart Dryads》を2枚とか取れていたら、織り手の評価もかなり上げるね。それに神々の軍勢にいる、《高巣の崇拝者/Aerie Worshippers》をはじめとしたアンコモンの神啓クリーチャーサイクルも評価を上げるね。出てくるクリーチャーはエンチャントだからさ。
 
 5.《欺瞞の信奉者/Disciple of Deceit》をデッキに入れるなら、最初のゲームが始まる前に、全カードを覚えておくこと。カードを捨ててデッキを見たら、持ってこれるカードが何もないってならないようにね(経験談)。
 
 6.《空中隊形/Aerial Formation》があって地上クリーチャーがそこそこいるなら、《気高き獲物/Noble Quarry》による致死ダメージを芸術的に防げることがある。相手の獲物を飛ばして、気高く優雅に逆転してみよう。
 
 7.青赤は依然最弱の組み合わせだ。特訓ドラフトでの勝率も最低だった。青赤だとデッキがうまくまとまらないんだ。青も赤も補助向けだからってのが理由なんだと思う。青も赤もガラ空きとか、《嵐の神、ケラノス/Keranos, God of Storms》でも流れてこない限り、やめておいた方がいいと思うな。
 
 8.もし何らかの理由で青赤になるなら、シナジーを追及しよう。占術を繰り返しできるカードを集めるのは骨だから、《知識と力/Knowledge and Power》はちょっと冒険すぎるにしても、《激浪のキマイラ/Riptide Chimera》なんていいだろう。青赤でいい成績を残せた唯一のデッキが、2枚の《激浪のキマイラ/Riptide Chimera》と《伝書使の素早さ/Messenger’s Speed》を使ったデッキだった。たまにはマニア向けの戦略もいいもんだ。
 
 9.あまりやることはないが、アンコモンのデメリット付き授与クリーチャーは、相手にもつけられる。《アクロスの猛犬/Akroan Mastiff》に毎ターン巨大クリーチャーを寝かされるくらいなら、《トガリトゲ/Spirespine》を犬につけて討ち取った方がいい。
 
 10.期待していたことができなかったり、思いもよらぬことがあったりすることというのはあるものだ。特にあるあるなのが、《捨て身の抵抗/Desperate Stand》が実はソーサリーとか、《節くれの傷皮持ち/Gnarled Scarhide》がミノタウロスだとかね。《捨て身の抵抗/Desperate Stand》と《統率の取れた突撃/Coordinated Assault》は同じ使い方をできないってのと、傷皮持ちが《怒血のシャーマン/Rageblood Shaman》で強くなるってのを、僕は辛い思いをして覚えた。これを読んでる人は痛い思いをしないでくれ。
 
 11.《刃牙の猪/Bladetusk Boar》と《戦慄運びのランパード/Dreadbringer Lampads》が両方コモンなもので、《青銅の黒貂/Bronze Sable》や、アーティファクト・クリーチャーの価値が少し上がった。少なくとも、威嚇に対する優秀なサイドボード要因になった。
 
 12.《果敢な泥棒/Daring Thief》がいると、色々とニッチナ戦略がとれる。まず、《アクロスの猛犬/Akroan Mastiff》や《太陽神の一瞥/Glimpse the Sun God》あたりで泥棒を寝かせる。そしたらオーラを相手のクリーチャー・エンチャントと交換しよう(《ヘリオッドの選抜/Chosen by Heliod》あたりがいいな)。こうすれば実質タダでクリーチャーが手に入ったようなものだ。更に、《果敢な泥棒/Daring Thief》、《撤回のらせん/Retraction Helix》、《記憶の壁/Mnemonic Wall》の3枚が揃うと、まず負けないようなコンボが成立する。まず記憶の壁を相手に押し付けて、相手の一番強いクリーチャーを奪うだろ。らせんを泥棒に使って記憶の壁を戻す。記憶の壁を出してらせんを回収する。無限ループって怖くね?
 
 13.《蘇りし者の儀式/Ritual of the Returned》と《回帰の泉/Font of Return》はどちらも弱いカードだけど、《サテュロスの道探し/Satyr Wayfinder》か《神々との融和/Commune with the Gods》が2枚以上取れてれば中々悪くない使い勝手になる。黒緑で強いデッキは墓地を利用するデッキだ。
 
 14.相手が2/3を2体並べて、こちらの2体いる3/3に攻撃を仕掛けてきたら要注意だ。以前は《統率の取れた突撃/Coordinated Assault》と《不屈の猛攻/Dauntless Onslaught》を警戒するだけでよかったけど、今ではコモンから奮励が出まくるパックが丸々1パックもあるんだ。上みたいな状況で、《自然からの武装/Nature’s Panoply》で盤面崩壊したくはないはず。最善のブロックは、2/3の片方を3/3でブロックすることだろう。《屍噛み/Necrobite》が怖くないなら、奮励のコンバットトリックをかわす手段として一番いいのは、2/3を2体の3/3でブロックすることだろう。
 
 15.《夢の饗宴/Feast of Dreams》は《解消の光/Ray of Dissolution》と似たようなものだと思う。インスタント速度でエンチャントを除去できる強力な呪文だけど、手札で腐るカードが溜まるのは避けたい。だから、《解消の光/Ray of Dissolution》にしろ《夢の饗宴/Feast of Dreams》にしろ、あまりたくさんは入れないようにしたい。2枚くらいまでだろうか。幸いなことに、《夢の饗宴/Feast of Dreams》は相手がエンチャントを全く使わないデッキでも使い道がなくはない。相手に《災いの印/Scourgemark》や《ニクス生まれの幻霊/Nyxborn Eidolon》をつけてやれば、対象にとることができるからね。
 
 16.《空封じ/Skybind》は普通、デッキに入れちゃいけない類のカードだ。でも《闇への投入/Cast into Darkness》、《大地への縫い付け/Pin to the Earth》付け、《恐るべき気質/Fearsome Temper》のようなエンチャントがたくさん入った相手に対して、サイドボードとして入れるといいことがある。オーラの付いたクリーチャーをブリンクしてやろう。《霧裂きのハイドラ/Mistcutter Hydra》や《宿命的介入/Fated Intervention》への確定除去にもなるぞ。当てが外れても、《サテュロスの木立ち踊り/Satyr Grovedancer》や《前兆語り/Omenspeaker》をブリンクだってできる。弱いカードが強く使える場面を逃さないよう、注意しよう。
 
 17.授与や試練の出るパックが1つ減ったから、バウンスは少し弱くなった。とはいえ、《傲慢/Hubris》とかは依然早く確保したいカードだし、取ったら大体デッキに入る。《傲慢/Hubris》の場合、自分のクリーチャーを対象にとって嬉しいこともある。未だに覚えてるのが、初手に《惑乱のセイレーン/Hypnotic Siren》、《層雲歩み/Stratus Walk》、《傲慢/Hubris》とあって、セイレーンを出して、層雲歩みでドローを進めながら数点打点を稼いで、7ターン目にはセイレーンを戻して、相手のクリーチャーを奪ったりしたゲームがあった
 
 18.青緑に次いで好きなのは赤単。《ドラゴンのマントル/Dragon Mantle》や《トラクシーズの落とし子/Spawn of Thraxes》は単色で組む見返り十分な強さだし、赤は空いていることが多い。初手で強い赤のカードが取れたなら、頑張ってパックから赤を枯らすようにしたい。単色ができるといいことはたくさんあるし、何より神々の軍勢の赤は眩暈がするような強さだ。下家に赤を一切流さなければさぞかし収穫が期待できるだろう。
 
 19.安定したマナベースをこよなく愛する僕でも、《マナの合流点/Mana Confluence》を2色のデッキで使うのは尻込みしてしまう。リミテッドはしばしばダメージレースになるものだけど、初手に《マナの合流点/Mana Confluence》があったら、4点くらいのダメージはもらってしまう。これは大きい。でもドラフトがうまくいかなくて3色でデッキを組むようなときとか、ライフなしで合流点が使えるようになる《ナイレアの存在/Nylea’s Presence》を使うなら、《マナの合流点/Mana Confluence》を入れることもあるかもしれない。
 
 20.授与クリーチャーが減って英雄的を誘発させるのが難しくなったとはいえ、《トリトンの騎兵部隊/Triton Cavalry》は嬉しいカードだ。騎兵部隊は授与以外のオーラとも相性抜群。《層雲歩み/Stratus Walk》を2枚とか取って、2マナ1ドローとか回りだしたら簡単マジックだ。
◆ 【翻訳】ニクスへの旅 リミテッドレビュー 黒・赤 (by LSV)
 
 Journey into Nyx Limited Review - Black and Red
 
 Luis Scott-Vargas, 2014年4月23日
 
 http://www.channelfireball.com/articles/journey-into-nyx-limited-review-black-and-red/
 
 
 
《アクロスの戦線砕き/Akroan Line Breaker》
 リミテッド2.0点
 前のめりな3マナ域は歓迎だが、もう少し手のかからない奴がいいな。かなりのダメージを叩き込めると思えるんだけど、次々とこいつを対象にとれないと微妙だ。デッキによってはクセがありすぎて扱いかねるだろう。
《天を支える者/Bearer of the Heavens》
 リミテッド1.0点
 フレイバー4.5点
 フレイバーは素晴らしい。だがほとんどのデッキでは入らないだろう。カードが足りなくてこいつを使わざるを得なくても、空が落ちてくるほどの衝撃じゃないだろうが、まあ進んではやらない方がいいよ。
《刃牙の猪/Bladetusk Boar》
 リミテッド3.0点
 刃牙といえばグラップラーが一番面白かったと言うんだが、俺は結構現行のも通用すると思っててね。当然、猪も喜んで採用するさ(もっとも、サイドアウトするのを躊躇わないこと。これこそまさに、相手次第で強弱が揺れるカードだ)。
《眩しい炎/Blinding Flare》
 リミテッド2.0点
 どんなデッキにでも入るとはいかないが、採用したくなるようなデッキ使えば、素晴らしい活躍をしてくれることだろう。殴りデッキでなら嬉しい一枚だが、半端なまま入れたらすぐに後悔するだろう。英雄的を誘発させるために検討するデッキもあるかもしれないから、そこは覚えておこう。
《永遠憤怒のサイクロプス/Cyclops of Eternal Fury》
 リミテッド3.5点
 唱えてすぐに、5点で殴り掛かれるってのは嬉しいね。タフネスが比較的低めなのを補ってくれている。大体1回は殴り得で殴れるし、その後もデカブツを出して大ダメージを与えにいくのを匂わせれば、相手からすればかなりプレイを変えざるを得ない。赤いデッキだと重いカードの数は必要ないが、数少ないうちの1枚として気に入ったよ。
《双子神の指図/Dictate of the Twin Gods》
 リミテッド1.0点
 《倍化の立方体/Doubling Cube》のダメージ版だ。やめとけ。強そうに見えるかもしれないけど、かなりリスクもあるし、そもそもこちらの有利に働くかどうかも分からないカードに大量のマナをつぎ込むのはちょっと。
《大歓楽の幻霊/Eidolon of the Great Revel》
 リミテッド2.5点
 赤赤がほぼ2ターン目に出る前提なら悪くない。出すなら早めに出したい。パーティーを始めるならやはり序盤でないとね。こっちが《ショック/Shock》を2,3回受けてもどうってことない。攻撃に行けないときの性能は酷いものだが、赤が前環境から変わっていないなら、攻撃に行けない時点で負けているだろう。
《炎語りの意志/Flamespeaker’s Will》
 リミテッド1.5点
 《定命の者の強情/Mortal Obstinacy》と比べてなんだいこの格差は。軽くて英雄的を誘発させられるけど、アドバンテージにはつながらないオーラだ(サイドボードとして入れるなら勿論事情が変わるけどね)。
《双角の連続襲撃/Flurry of Horns》
 リミテッド2.5点
 5マナとしては及第点。これより弱いカードはたくさんある。2/3ミノタウロスが量産されまくってて面白いけど、部族としては冷遇気味だよね。ゴブリン並みになろうと頑張ってるみたいだけどさ。
《激憤の泉/Font of Ire》
 リミテッド1.5点
 前のめりな赤いデッキでも、これほど大量のマナをつぎ込んで《溶岩の斧/Lava Axe》ってのは使いたくないな。星座を誘発させられるというささやかなメリットがあるけれど、埋め合わせには足りない。起動するまで場に居座るというのも良くない。相手がライフを大切にし出すじゃないか(溶岩の斧は、手札に置いておくことで警戒されにくいのがいいのにさ)。
《炉生まれのオリアード/Forgeborn Oreads》
 リミテッド3.5点
 他にエンチャントが一枚もなくても、こいつは中々魅力的だ。単体でも《火炎舌のカヴー/Flametongue Kavu》で、ちょっと手を貸してやれば《戦慄をなす者ヴィザラ/Visara the Dreadful》にもなるってね。まあヴィザラは言い過ぎかもしれないが、リミテッドならいつでも歓迎だ。
《暴食するサイクロプス/Gluttonous Cyclops》
 リミテッド1.5点
 いい人止まり。6マナはそんなに要らないんだよね。マナレシオの割に抜けていくと思う。
《力による操縦/Harness by Force》
 リミテッド3.5点
 デッキは選ぶけれど、《脅しつけ/Threaten》は強い。脅しつけを唱えたら、次に欲しいものって考えたことあるかい?2枚目の《脅しつけ/Threaten》って答えた人は正解だ。実際、脅しつけが2枚あれば、2倍以上の効果が得られる。凄まじい高ダメージを叩きだせるし、相手のブロッカーを全部どかせば、普通ブロックされる、最もパワーの高いクリーチャーがブロックされなくなるからね。こいつはかなりイカれ性能のフィニッシャーだから、十分性能を引き出せるよう、前のめりなデッキをつくるうようにだけ気をつけよう。
《知識と力/Knowledge and Power》
 リミテッド1.5点
 残念ながらこれは《稲妻の裂け目/Lightning Rift》じゃあない。出すのに5マナというのは重すぎだね。貧弱、貧弱ゥ。
《稲妻の髪飾り/Lightning Diadem》
 リミテッド2.0点
 6マナ2/2速攻で、場に出たときに2点ダメージを与えるクリーチャーがいたら、多分採用する。この髪飾りはそれよりもう少し強い。英雄的を誘発させられるし、回避能力と組み合わせることもできるからね。複数はいらないけど、マナカーブの一番上に置いておくには良さそうだ。
《マグマのしぶき/Magma Spray》
 リミテッド3.5点
 追放云々に意味が無くても、このコストパフォーマンスは無視できない。相手次第で《ショック/Shock》は使い出が無かったりするから、温存しすぎて使いどころを失わないようにしたいね。
《モーギスの軍用犬/Mogis’s Warhound》
 リミテッド3.0点
 素出しはちょっと怖いが、授与して使えばデメリットはほとんど気にならない。授与で強化したクリーチャーがいれば、早くに授与をつけられることもあって、殴らない理由がわからないくらいだ。授与が外れたら犬死にするだろうけど、それでも強いカードだよ。
《悲しげなミノタウルス/Pensive Minotaur》
 リミテッド1.5点
 出、出~完全下位互換生物刷奴~。
《予言の炎語り/Prophetic Flamespeaker》
 リミテッド4.0点
 覚えておいて欲しいことがあるんだが、この高評価は、こいつを十分サポートできるデッキを組むという前提でつけてるからね。最小限のサポートでも驚嘆すべき仕事をしてくれるだろうけれど、輝くためには支援が必要だ。必要なのはパワーを上げるカード。それに《液態化/Aqueous Form》なんてあれば、特に嬉しいね。
《稲妻の謎/Riddle of Lightning》
 リミテッド3.0点
 謎かけを一つ。4マナの呪文を積めば相手の3/3を倒せるが、4マナの呪文はショボいから下に送りたい。そんなことがどれほどあるだろうか?答えは「そんなことはまず起きない」だ。2007年のプロツアーサンディエゴで、俺とポール・チェオン(Paul Cheon)は、スペルを下に送ったなあ(俺が主張したんだけどね。双頭巨人戦だったから)。《稲妻の謎/Riddle of Lightning》は、自制心を働かせられるならいいカードだよ。ちょっとばかり重すぎるきらいはあるけどね。
《奔放なる遊戯/Rollick of Abandon》
 リミテッド3.0点
 赤に小型クリーチャーが結構いるのは残念だが、ミノタウロスが殺戮兵器になる。それに悪くとも《紅蓮地獄/Pyroclasm》だからね。こいつを拾ったら、ドラフト中意識しておくようにしよう。とはいえこれだけのためにデッキを歪めるのはやめた方がいい(使われてもどうってことないデッキも多いからね)。
《群衆の決起/Rouse the Mob》
 リミテッド2.5点
 奮励のついてるコモンのフィニッシャー格は確かに多い。だから奮励がついているというだけで急いで取る必要は薄い。無理せずとも、一枚くらい拾えるだろう。しかし、奮励がついているカードって強そうに見えるから、ついつい取りたくなってしまうんだよなあ。山が入っているときは、これが入れたくなるように前のめっていこう。
《サテュロスの重装歩兵/Satyr Hoplite》
 リミテッド3.0点
 乗りこめー!ピックが成功した赤いデッキなら何枚でも欲しいことだろう。でも赤ければ無条件で入れたいカードというわけでもないと思う。強い場面でとことん強いから3点をつけてるけど、以前のレビューで英雄的カードを過小評価してた反動で、今度は過大評価かもしれない。
《印章持ちのスキンク/Sigiled Skink》
 リミテッド2.5点
 2マナ2/1をとにかくたくさん入れたいなら、こいつは印象に残る方だろう。盤面を作りつつ、タダで占術できるのは嬉しいオマケだ。
《トラクシーズの落とし子/Spawn of Thraxes》
 リミテッド4.0点
 夜のニュースです。巨大なドラゴンが現れて、火を噴きました。
《モーギスの悪意/Spite of Mogis》
 リミテッド1.5点
 それほど苦労しなくても2点くらいは飛ばせるんじゃない。大きな見返りのないカードを中心にドラフトするのは、危険だと思う。これで3/3や5/5を倒せることもあるだろうけれど、手札の中で腐ってるときの方が多いだろう。強く使えるデッキでなら手が付けられない強さだと思うけど、そんなことはまず起こらないだろうね。
《落星/Starfall》
 リミテッド3.0点
 5マナで稲妻だとしても使うし、たまに《とげの稲妻/Barbed Lightning》となるともなれば嬉しいボーナスだ。《稲妻の謎/Riddle of Lightning》みたいに、あまり重くても困るけど、前のめりなデッキにもマナカーブの一番上に1,2枚くらい重いところがあっていいものさ。
《双つ身の炎/Twinflame》
 リミテッド2.0点
 ぶっ壊れな場面を作ることもできるだろうけれど、普通の赤いデッキに入れても凄いことになるとは思わない。同じクリーチャーを3回コピーできないのに、マナをつぎ込んでどうしろと?普通にいれて普通に使えるだろうけど、フィニッシャーとして毎回安定して頼れるわけじゃない。特にこの環境では、コピーされないオーラや+1/+1カウンターのせいで強くなってることがほとんどだからね。
《燎原の火のケルベロス/Wildfire Cerberus》
 リミテッド3.0点
 この怪物化はいいね。でも《石殴りの巨人/Stoneshock Giant》の劣化だし、サイズも小型だ。毎回《石殴りの巨人/Stoneshock Giant》が手に入るわけじゃないから、居場所が無いわけじゃないけど、誘発能力は《炎の波/Flame Wave》と比肩しうる性能ではないよ

 
 赤のコモントップ3
 3.《落星/Starfall》
 2.《サテュロスの重装歩兵/Satyr Hoplite》
 1.《マグマのしぶき/Magma Spray》
 
 上位3枚だが、どれも接戦だ。《サテュロスの重装歩兵/Satyr Hoplite》が、ツボに嵌ったときの強さは一番だが、ドラフトの序盤では《マグマのしぶき/Magma Spray》を優先したい。《落星/Starfall》は複数枚あっても弱い上、マナカーブ的に溢れてしまいそうだ。赤は攻撃の色って前提になるけど、色々な道具が手に入った。全体として、赤は戦力になるカードの少ない色だから、今回新たに入ったカードが層の薄さを埋めてくれるといいね。
 
 最後に緑で〆だ。緑が終わったら構築の評価をするよ!
 
 
 
 LSV
◆ 【翻訳】ニクスへの旅 リミテッドレビュー 黒・赤 (by LSV)
 
 Journey into Nyx Limited Review - Black and Red
 
 Luis Scott-Vargas, 2014年4月23日
 
 http://www.channelfireball.com/articles/journey-into-nyx-limited-review-black-and-red/
 
 というわけでニクスへの旅レビュー、中盤戦だ。今週はリミテッドの評価をして、それが終わったら来週構築の評価をしていくよ。こうすればプレリリースまでにレビューを出せるし、構築にどんな影響があるかも考えられるからね。
 
 前回のレビューを見逃していたら、こちらからどうぞ
 白・青
 http://www.channelfireball.com/articles/journey-into-nyx-limited-review-white-and-blue/
 (上記記事拙訳)
 http://misdirection.diarynote.jp/201404232200146217/
 http://misdirection.diarynote.jp/201404242012351917/
 
 前回同様、点数付けはこんな具合だ:

 5.0点 強すぎる神いわゆるゴッド。《群れネズミ/Pack Rat》、《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》、《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》
 
 4.5点 素晴らしい爆弾レアだが、対処不能というほどでもない。《世界を喰らう者、ポルクラノス/Polukranos, World Eater》、《超音速のドラゴン/Hypersonic Dragon》

 4.0点 優秀なレアや、それに比肩し得るアンコモン。《密集軍の指揮者/Phalanx Leader》、《ヴィトゥ=ガジーのギルド魔道士/Vitu-Ghazi Guildmage》、《混沌のインプ/Chaos Imps》

 3.5点 トップコモンや強力なアンコモン。《稲妻の一撃/Lightning Strike》、《雨雲のナイアード/Nimbus Naiad》、《屑肉の刻み獣/Dreg Mangler》

 3.0点 ほぼデッキに入る良カード。《葉冠のドライアド/Leafcrown Dryad》、《本質の散乱/Essence Scatter》

 2.5点 まず抜けることのないカード。《国境地帯のミノタウルス/Borderland Minotaur》、《死の歓楽者/Dead Reveler》

 2.0点 数合わせでデッキに入る。でもたまに抜けるカード。《蛮族の血気/Savage Surge》、《前兆語り/Omenspeaker》、《武器庫の護衛/Armory Guard》

 1.5点 頭数の水増し。入るかどうかは半々くらい。《鋤引きの雄牛/Yoked Ox》、《長屋壊し/Tenement Crasher》

 1.0点 数合わせとしても役不足。ほぼ入らない。《迷宮での迷子/Lost in a Labyrinth》、《無視/Pay No Heed》

 0.5点 ギリギリデッキに入るかどうかなカード。もしくはサイドボード用カード。《瓦礫の調査/Survey the Wreckage》、《天界の粛清/Celestial Purge》

 0.0点 役立たず。《市内捜査/Search the City》、《伏魔殿のピュクシス/Pyxis of Pandemonium》

 
 
 
《エレボスの代行者/Agent of Erebos》
 リミテッド1.0点
 相手が墓地でこねくり回してるようなら、サイドボードしてはまあまあ使えるだろう(効果てきめんではないにしろね)。メインデッキに採用するほど見るものはないし、とってもサイドボードが豪華になるわけじゃない。
《ゴルゴンの血/Aspect of Gorgon》
 リミテッド1.5点
 ことオーラに関しては、ちょいと食傷気味でね。テーロスブロックでは、どいつもこいつも授与できるクリーチャーになってるか、もしくはキャントリップがついている。というわけでそのどちらでもない《ゴルゴンの血/Aspect of Gorgon》はどうしても比較すると霞んでしまう。カード自体の効果は強いんだけど、他のアドバンテージを失わないカードを差し置いて採用しなければならないわけだ。デッキ内でのこういうカードの枠は激しい競争に晒されているからね。他の環境よりも厳しめにならざるを得ないってわけさ。しかも、この手のカードこそまさに、戦闘中剥がされると危険な奴だ。みんながメインからエンチャント除去を入れている環境だから、その手の大参事が起きやすいのさ。
《血に狂った重装歩兵/Bloodcrazed Hoplite》
 リミテッド3.5点
 単体で強いだけでなく、相手への干渉手段としても実に有効だ。どんな英雄譚にも立ちはだかる敵が必要なものだろう。こいつはさぞかし名悪役になりそうだ。
《脳蛆/Brain Maggot》
 リミテッド3.0点
 一時的な《思考囲い/Thoughtseize》みたいなものだが、構築と比べると「一時的」の長さが違う。どんなデッキも即除去を使えるというわけにはいかないから、こいつが一切死ぬこともないってゲームも多いだろう。もっともその間戦闘はあんまりできないだろうけど。インスタントを引っこ抜くときは注意しよう。相手が嫌なタイミングで蛆を割ってきそうだからね。
《闇への投入/Cast into Darkness》
 リミテッド2.0点
 何回も言った気がするけど、相手のクリーチャーが小粒であることを前提にした除去は、この環境だと当てにしづらい。これを使えば少なくともブロックはできなくなるから、前のめりなデッキでは採用する理由として足るかもね。
《残忍な食餌/Cruel Feeding》
 リミテッド2.0点
 《殺し屋の行動/Cutthroat Maneuver》は決して強くなかったが、少なくともタフネスが上がった。ダメージレースには大きく貢献するし、1マナで唱えられるから英雄的を誘発させるのも現実的だが、青や白の奮励と比べるとちょっとね。
《エレボスの指図/Dictate of Erebos》
 リミテッド4.5点
 《墓穴までの契約/Grave Pact》と比べてみて、瞬速がついたのはかなりの強化だ。もとの《墓穴までの契約/Grave Pact》からして超強力なカードなのにね。どんなクリーチャーでも、相手のクリーチャーと交換になるのは素晴らしい。しかも無数の1:2交換を取りつづけられるだろう。クリーチャーが貧弱だとかで評価を下げざるを得ないときもあるだろうけれど、初手これを取ったら、クリーチャーが弱いとか起きそうにないもんだ。開けたパックにこれがあったら、軽いクリーチャーを数多く確保するだけで簡単マジック。そう難しくはないはずだ。
《破滅喚起の巨人/Doomwake Giant》
 リミテッド4.5点
 《虐殺のワーム/Massacre Wurm》(リミテッドで5.0点がつく奴といえば、こいつもいた)とまではいかないけれど、こいつは実際大したものだ。マナレシオもいいし、場に出た時の能力も無視できない。星座はゲームが展開するに従って誘発し続けるしね。
《戦慄運びのランパード/Dreadbringer Lampads》
 リミテッド2.5点
 コストの割にガタイは貧弱だが、まあ使えなくはないかな。場に出たときにクリーチャーをブロックされにくくして、その後のゲーム中も、疑似回避能力を付与し続けられる。あまり誘発しなさそうと思ったら抜いていいけれど、エンチャントが2,3枚あれば5マナ圏として十分だよ。
《全希望の消滅/Extinguish All Hope》
 リミテッド4.0点
 普通、重たい《神の怒り/Wrath of God》は、リミテッドだと構えているのがバレやすいもんで好きじゃないんだが、こいつに限ってはこちらが得になる全体除去として使えるんじゃないかと希望を持ってる。クリーチャー・エンチャントをマナカーブに沿って展開すれば、相手に悟られず戦線を構築できて、理想的には6ターン目に相手だけ盤面を更地にしてしまうことが可能だ。
《夢の饗宴/Feast of Dreams》
 リミテッド3.5点
 まず間違いのない除去。絶対確実ではないから、夢にまで見た除去というわけにはいかないけどね(《ネシアンのアスプ/Nessian Asp》の前でもじもじしそう)。サイドアウトすることもあるだろうけど、メインデッキに入れて十分強いと思う。相手のデッキ内容がよく分かってから考えるくらいでいい。
《悪魔の皮の石化使い/Felhide Petrifier》
 リミテッド3.0点
 他のミノタウロスに接死がつかなくても、3マナのミノタウロスとしては標準的なスペックだ。接死をつけるものの例に漏れなく、戦闘中に除去られないように気をつけよう。単なる3マナ2/3として扱ってもまあまあ嬉しいかな。
《回帰の泉/Font of Return》
 リミテッド2.5点
 中速~遅い黒のデッキなら1枚は入れたいと思えるカードだ。カードを3枚引いてるようなものだからね。遅いし、消耗戦の後でないといけないけど、こういうカードで終盤戦のプランを持っておくのは好きだな。
《節くれの傷皮持ち/Gnarled Scarhide》
 リミテッド3.5点
 普通に出して良し、授与に良し、つまり強い。君が死ぬまで殴るのをやめないといった面持ちだ。最序盤から殴りに行けるなら、ブロックできないとか気にすることはないしね。それに、後半授与することでブロックさせない効果を作れるのも、ささやかながら嬉しい。実際たまに相手につけることはあると思う。
《厳かな守護者/Grim Guardian》
 リミテッド2.5点
 勝ちにつながる能力のついた《角海亀/Horned Turtle》だって?乗った!学者と違って勉強不足なのか、こちらのライフは増えないけど、それでも地上をガッチリとめながらプレッシャーをかけれるのは中々結構だ。
《黄金の呪いのマカール王/King Macar, the Gold-Cursed》
 リミテッド3.5点
 フレイバー1.0点
 まず大切な話をしよう。ミダース王の寓話がどれだけ再現されているかって話ね。物語のキモは、王の触れるもの全てが黄金に変わるが、その力を止めることができず、食物、家族、友人などを黄金に変えてしまうというところだった。パッと見、マカール王も同じ能力がついているように見える。でもよく見ると、「~てもよい(may)」という一節がついているんだ。王様自身を含めて、自分のクリーチャーを強制的に黄金にしなくて済む方がゲーム的に有利じゃないか、とかそういうことを言ってるんじゃない。事実、強制だったら酷いことになるけど、フレイバー的には減点だ(元ネタがポップスとかならともかくね)。
 
 ゲーム的には、黄金のように輝く強さ。死なないように戦闘をさせるのは少し骨だけど、2/3なら序盤の数ターンは生き延びられるだろう。後半は色々使ってやればいい。マカール王が取れたら、タップ用に何か入れてみるだけの理由になるだろう。これだけのために《バネ葉の太鼓/Springleaf Drum》を入れるとまではいかないが、《撤回のらせん/Retraction Helix》なんか申し分ないね。
《饗宴の主/Master of the Feast》
 リミテッド3.5点
 こいつは凄まじい性能だけれど、殴りデッキに適当にて入れて、大暴れしてくれるのを期待するのはやめた方がいいだろう。強力なカードではあるけれど、比較的速やかに相手を倒せないのなら、こいつのデメリットはかなり危険が伴う。15点くらいダメージを当てた後、《解呪/Disenchant》されてしまったら、そこから何とかできるような殴りデッキでない限り、かなり不利に立たされてしまうだろう。抜いたほうがいいゲームもある。そうは言ってみたものの、3ターン目に5/5飛行を出せるのは抗いがたいし、使っているデッキが弱いなら、こういう上手くいった時の強さが凄いカードを入れておくといいものさ。
《悪夢のような末路/Nightmarish End》
 リミテッド3.5点
 -3/-3修正を与えられればかなり満足。心配しなきゃならない相手は大体何でも倒せるだろう。効果が頼りなくなる後半戦こそ、巨大なクリーチャーに立ち向かうことを強いられるんだよな。まったくおかしい。でもデッキに1,2枚これが入っているなら、土地を出さずに手札に抱えておくことを真剣に考えるべきだろう。
《ニクスの注入/Nyx Infusion》
 リミテッド3.0点
 プラスもマイナス修正も、そう能率は良くないが、最大の欠点はそこじゃない。除去したい相手が除去できなかったり、強化したいクリーチャーを強化できないときがあるってことだ。もっとも、全く使い道がないなんてゲームはないと思うけどね。あまり自軍につける先が無いようなら、相手が出してくるカードを覚えておこう。サイドボードに下げることも検討する必要のあるカードだからね。
 
 サイドボードについて
 
 リミテッドにおけるサイドボーディングの重要性は、いくら強調してもし足りない。前にも話したと思うけど、もう1回話しておくことにするよ。明らかな「飛行クリーチャーに対して《垂直落下/Plummet》を入れる」とかに加えて、相手のクリーチャーに対してこちらの除去がどう刺さるかも見極めなくちゃならない。除去の中でも限定的な《ニクスの注入/Nyx Infusion》みたいなカードは、抜けることも十分あり得るのに、抜くことを考えもしない人が多い。また一方で、滅多にないことではあるけど、相手の使ってくる特定の除去に特に弱いクリーチャーがいれば、サイドアウトすることもある。《破滅の刃/Doom Blade》がきくクリーチャーが3体しかいないなら、全部サイドに落とすとか、決まると痛快だぜ。仮にその3枚が優秀だったとしてもね(悪くとも、採用に値する入れ替え先があるって前提だよ)。使わないカードはたくさんあるんだ。特にシールドではね。黒に除去が2枚、赤に除去が3枚とかあったとき、相手のクリーチャーを最初のゲームで見てから完全に色を変えるとかちょいちょいやるよ。
《ファリカに選ばれし者/Nyx Infusion》
 リミテッド3.0点
 デカいクリーチャーを叩きつけるという、壮大な計画を練る緑……もとい黒は、軌道に乗るまでちょっとした支えが必要だ。こいつはまさにぴったり。攻撃性能は大したことがないし、飛行にも無力だけど、1マナに何でもかんでも求めることはできないからね(《菅草の蠍/Sedge Scorpion》は過小評価だったかもしれない。奴はテーロスの《剣を鍬に/Swords to Plowshares》と呼ばせてもらおう)。緑の蠍ほど重要じゃないけど、序盤の抑止力があるのはいつだって嬉しい。
《蘇りし歓楽者/Returned Reveler》
 リミテッド1.5点
 《ルーメングリッドの管理人/Lumengrid Warden》が必要なら、こいつを入れてみても。ライブラリーを3枚ずつ削るのはそこまで意味のある能力じゃないけど、《死者再生/Raise Dead》的な効果があれば、相手より微有利に立てるかもしれない。それだけをあてにして使ったりはしないけど。
《蘇りし者の儀式/Ritual of the Returned》
 リミテッド2.0点
 でっかいクリーチャーが入っていれば、4マナで4/4以上になるけれど、まずそのデカいクリーチャーを引いて、そのクリーチャーが死ぬ必要があるんだよね。かなり状況を選ぶし、しかも別にマナコストが軽いわけじゃない。相手の攻撃してきたクリーチャーを待ち伏せするのが、正しいこれの使い方だと思う。少なくとも3/3以上のサイズが期待できて、カード1枚を奇襲で刈り取れるなら、使ってみようという気になるよ。デッキは選ぶけどね。
《腐敗した大男/Rotted Hulk》
 リミテッド1.5点
 この大男は出来損ないだ。食べられないよ(腐敗してるし)。
《信者の沈黙/Silence the Believers》
 リミテッド4.5点
 入信待ったなし。どんなクリーチャーでも授与ごと綺麗に除去してしまえる上、たったの3マナを気が済むまで追加で払えば、相手の陣営を薙ぎ払ってしまうことができる。7マナで使われるのが一番多いんじゃないかと想像してるけど、4マナでも7マナでも10マナでも、あるいはもっと非現実的な数値でも、とにかく唱える側でいたいものだね。
《悪意ある一撃/Spiteful Blow》
 リミテッド3.0点
 《一口の草毒/Sip of Hemlock》で2点のダメージを与えるより、土地をぶっ壊す方がいいな。どちらにせよ、使いやすい除去だし、イラストの選択も中々イカしてる。環境によって間に合っていないこともあるけど、テーロスでは巨大な怪物たちを倒さないといけないから困らないね。
《押し潰すヒル/Squelching Leeches》
 リミテッド2.5点
 同じ点数のカードと比べて採用頻度は低いと思うけど、こいつを入れるようなデッキで使えば、かなり強いだろう。採用するなら沼が10枚以上は欲しい。そして当然、デッキの沼の数は多ければ多いほどいい。デッキによってはデッキ内最強のカードがこれということもあるだろう。遅めにとれたなら、黒単を目指して壮大な夢を見るのもいい。
《精神感化のラミア/Thoughtrender Lamia》
 リミテッド1.5点
 後半になってからカードを1,2枚捨てさせるのはそれほど嬉しくはない。6マナ5/3というサイズも感激するものではない。カードとして見ると悪くはないけど、あっさり抜けるね。
《苛まれし思考/Tormented Thoughts》
 リミテッド1.0点
 《機知の終わり/Wit’s End》さながらに、相手の手札を空にできるようなクリーチャーがいる頃には、効果がどれだけあるか疑わしいものだ。全てがご都合的に展開すればぶっ壊れだが、こちらに巨大なクリーチャーがいて相手は手札をたんまり抱えているってのは、ちょっと限定的すぎやしないか。遅いデッキ相手のサイドボードとしては結構いいと思うんだが、メインに入れるカードではないね。
《最悪の恐怖/Worst Fears》
 リミテッド1.5点
 強力この上ない効果とはいえ、これが強く使えるような状況は、躊躇いなく8マナのカードを投入できるほど多くお目にかかれない(俺の上限は7マナだ)。相手の攻撃クリーチャーを倒せるような盤面を構築してあればいいけど、それならわざわざこれを使わずとも、盤面に加えて6マナくらいの呪文があれば十分に勝てるだろう。もしくは、相手の手札に除去が温存してあれば使う気が起きるかも。どちらもよくあることじゃない。なんちゃってね。皆きっと使いたがるだろうし、手札で腐ったり、単なる《濃霧/Fog》だったりするときよりも、これを使って勝ったゲームが強烈に印象に残るだろう。後半を意識するマッチアップでは強いけど、どうせなら確率の高い場合を考えるべき。軽いところと違って、8マナのカードを投入するなら、かなり強固な正当化が必要になるからね。

 
 黒のコモントップ3
 3.《ファリカに選ばれし者/Pharika’s Chosen》
 2.《夢の饗宴/Feast of Dreams》
 1.《血に狂った重装歩兵/Bloodcrazed Hoplite》
 
 黒は中々いいコモンに恵まれてるね。《破滅の刃/Doom Blade》にかなり近い除去が2番手、とても前のめりな英雄的クリーチャーと僅差での2位だ(そして3位には《剣を鍬に/Swords to Plowshares》が)。新しいセットが出るにつれ、《アスフォデルの灰色商人/Gray Merchant of Asphodel》の枚数も減るから、黒は弱くなってるけど、それでも踏みとどまっていると思う。
◆ 【翻訳】ニクスへの旅 リミテッドレビュー 白・青 (by LSV)
 
 Journey into Nyx Limited Review - White and Blue
 
 Luis Scott-Vargas, 2014年4月22日
 
 http://www.channelfireball.com/articles/journey-into-nyx-limited-review-white-and-blue/
 
 
《空中隊形/Aerial Formation》
 リミテッド3.5点
 これぞまさに、ゲーム終了のお知らせを告げるカードだ。大量のクリーチャーが突然空を飛びだして、しかもパワーも上がるとくれば、かなりのゲームが終了することだろう。特に青緑で使うといいね。青緑はテーロスブロックでは有力な組み合わせだったし。結構、使った時の強さの幅が大きいカードだから、全く使う気になれないデッキもあるだろう。でもカードパワーは高いから、早めに取られるカードだろうね。青1マナで、序盤のコンバットトリックとして使ったり、クリーチャーを守ることもできる。つまり強い。
《戦場の秘術師/Battlefield Thaumaturge》
 リミテッド3.0点
 《落岩/Boulderfall》待ったなし!!ドラフトで取れたら是非岩を落としたい。でも、バウンスや《突然の嵐/Sudden Storm》みたいな呪文のコストが減るのだけでも素敵だよね。自分自身を守る能力もあるし、こんな色々な能力がついているのに、2マナ2/1と中々のマナレシオなのもいい。
《擬態するセイレーン/Cloaked Siren》
 リミテッド3.5点
 イラスト的に飛んでいると勘違いされまくった《水跳ねの海馬/Breaching Hippocamp》に、何と本当に飛んでいるライバルが出現した!というわけでこいつは飛行がついているから、青いデッキなら実にすんなりデッキに入るだろう。青にとって嬉しい一枚。
《撤回命令/Countermand》
 リミテッド1.0点
 呪文を打ち消すの後に、何やらフレイバーテキストがついてるみたいだぞ?でもただの打消しに4マナ支払うのはちょっとね。個人的には別に、打消しに4マナ払ったっていいんだけど、本当は良くないってわかってるんだ。サイドインするのが正しいマッチアップもあると思うけど、メインに入れるべきカードじゃない。
《水晶オウムガイ/Crystalline Nautilus》
 リミテッド3.5点
 何やら格好いいことができそうな俺のイチオシだ。こいつを相手のクリーチャーに授与して対象にとってやれば、相手のクリーチャーを除去った上にこちらに4/4が残るんだから。やり方も色々あるしね。別に3ターン目に単体で出しても悪くないけど、《レオニンの投網使い/Leonin Snarecaster》で漁業されないよう気をつけよう。
《ダクラの神秘家/Dakra Mystic》
 リミテッド3.0点
 ダカラ俺は言ったんだよ、まじまじと眺めてみて、こいつはリミテッドでも構築でも強いカードじゃないかって。1マナ1/1をデッキに入れるというハンデを背負うことにはなるが、代わりにできるのが、お互いどちらのトップが強いか見て、こっちが損をしそうだったら取りやめられるって?明らかに「青(T):カードを一枚引く」という能力とまではいかないが、単純に各プレイヤーがカードを引くより、実質こちらだけがカードを引けるのに近い。実際に使ってみたら、評価が更に上がったとしても驚かないよ。
《果敢な泥棒/Daring Thief》
 リミテッド3.0点
 タップさえさせてくれたなら、泥棒は空を飛ぶ事だって、湖の水を飲み干すことだってできるのに!盗みたいものが魅力的であればあるほど、盗んでのけるのは難しいというのが逆説的で面白いね。盤面がほとんどまっさらなときは、強い能力でない。戦場が混雑してきたら、今度は誘発させるのにコンバットトリックか何か必要になるだろう。強力なカードではあるけれど、曲芸的な使い方が必要になるね。授与を差し出す場合、授与がついてるクリーチャーが死ぬまでは、相手にコントロールを渡しても特に何が変わるわけでもないことは覚えておこう。
《クルフィックスの指図/Dictate of Kruphix》
 リミテッド1.0点
 ライブラリー破壊の試練に挑戦するか、大量のバウンスがあるのでもない限り、使っても凡庸極まりないと思う。マナカーブが極端に低マナに寄っていれば活用しやすいと思うけど、それでも懐疑的と言わざるを得ない。
《運命の泉/Font of Fortunes》
 リミテッド2.5点
 どんなに俺が《予言/Divination》や《急使の薬包/Courier’s Capsule》を愛しているといっても、エンチャントを出すこと自体に意味があるのでない限り、少しばかり効率が悪い。デッキに入らないほどマナ効率が悪いわけじゃないんだが、いつでもデッキに入るカードではないね。
《神狩りの大ダコ/Godhunter Octopus 》
 リミテッド2.0点
 大量のマナをつぎ込んで5/5が欲しければ、こいつなんかいいんじゃないかな。それより酷いのは、《圧倒的な波/Whelming Wave》で相手のクリーチャーを洗い流したら、せっかくこのタコは流れないのに、殴りに行けないって事実だ。フレイバーってものを考えてほしいね。
《難局/Hour of Need》
 リミテッド3.5点
 《ドラゴン化/Dragonshift》と同じ轍は踏まないぜ。見かけ倒しってことが中々あってね(おかげでプロツアーサンディエゴで、某チームメイトが《ドラゴン化/Dragonshift》を初手で取ってしまった)。でもこいつの場合、出てきた4/4は残るって書いてあるな。あれ、《ドラゴン化/Dragonshift》とは全然違うカードなんじゃないか?多少使いづらいリスクがあってもそれに見合う強カードっぽいな。しかもインスタントで奇襲もかけられるとくれば、かなり強そう。
《傲慢/Hubris》
 リミテッド3.5点
 カードとして凄いだけでなく、何とも素敵な名前をつけてくれたのが嬉しいね。テーロスブロックでは、バウンス呪文が青の最強コモンだったり2番目に強いコモンだったりしてたんだから、急激に評価が変わるということはないだろう。安易な授与を咎められる数少ないカードだから、とにかく授与して殴ってればほぼ間違いない、なんて風潮に歯止めをかけられるのは嬉しいね。、
《惑乱のセイレーン/Hypnotic Siren》
 リミテッド4.0点
 巨大なクリーチャーがそこかしこにいる環境の《支配魔法/Control Magic》というだけで強いのに、コントロール奪取したクリーチャーが死んだら1/1飛行が残るというの素晴らしい。たくさんマナは必要だけど、それだけの価値があるよ。
《啓示の解読/Interpret the Signs》
 リミテッド4.5点
 これは6マナでカードを6枚引けという神の啓示だろう。他ならぬ俺に、それ以外どんな解読をしろと!?《タッサの褒賞/Thassa’s Bounty》の例があるから、ぶっ壊れでないのはわかると思う。だからって、俺がこいつに本来の点数である3をつけるとでも思ったかい?(3点でも結構高く見積もってるくらいだ)
《キオーラの放逐/Kiora’s Dismissal》
 リミテッド3.5点
 毎回相手が授与を使ってくるとは限らないにしても、すぐこいつを却下するのは考え物。環境はエンチャント・クリーチャーで溢れてるし、剥がれた授与を回収して付け直すこともできる。相手の重いカードを何枚も戻せる可能性があるというだけで強そう。ついでに自分のエンチャントも戻せるとくれば尚更だ。
《大地への縫い付け/Pin to the Earth》
 リミテッド2.5点
 これさえあれば何でも止められるというわけにはいかないが、2マナとしてはかなり確定除去っぽく使えるだろう。ところでこれ、何で飛行クリーチャーが飛んだままでいられるの?名前もそうだし、イラストを見れば一目瞭然。縫い付けられた状態で空が飛べるとでも?
《変身体の殺到/Polymorphous Rush》
 リミテッド3.5点
 他環境なら間違いなく壊れだけど、この環境だと、場にいる最強のクリーチャーはエンチャントで強くなっていることがほとんどで、完全にコピーするのが不可能なことが多い。とはいえ英雄的デッキに合った効果だし、英雄的なんかで乗る+1/+1カウンターの強みを最大限に引き出せる。盤面次第では即ゲームが終了することもあるだろう。強いとき弱いときの差が激しい呪文だから、単純に強いときのことだけを考えて評価しない方がいいけどね。
《深海からの引き寄せ/Pull from the Deep》
 リミテッド1.5点
 ドラフトで一生懸命頑張ると、1:2交換が取れるんだって?真価を引き出すのはプロに任せるとしようや。
《激浪のキマイラ/Riptide Chimera》
 リミテッド3.0点
 デッキによっては、維持の大変なブロッカーにしかならなくって使い物にならないこともあるだろう。またあるときは、タダツヨ生物として使えることもあるだろう。授与を付け替えることもできるし、キャントリップのエンチャントを再利用してもいい。そして何よりもまず、こいつはサイズの大きい飛行クリーチャーだ。《エスパーゾア/Esperzoa》はいつ使っても強かった。アーティファクトと比べて軽いエンチャントは多くないが、カードパワー的にはエスパーゾアに負けちゃいない。
《鷲の飛翔/Rise of Eagles》
 リミテッド3.0点
 2/2飛行が2体出るのと、4/4飛行が1体出るのには結構差があるけれど、それでも使うかな。重たいカードの常として、枚数があっても嬉しくないんだが、マナカーブの一番上に1枚くらいあるのはいい感じだ。
《時の賢者/Sage of Hours》
 リミテッド2.5点
 これで追加ターンを得まくることはないと思うけど、英雄的デッキにとっては、英雄的がついているクリーチャーだからね。こいつが取れたら夢を見てみたいが、ゲームに勝つだけならもっと賢いやり方があるよ。
《船団の災い魔/Scourge of Fleets》
 リミテッド4.0点
 これこそまさに、7マナを支払う価値のあるカードだ!相手のクリーチャーを全部手札に戻した上、6/6が残る。これがたったの7マナなんだぜ。《サイクロンの裂け目/Cyclonic Rift》を喰らって持ち直せることはそうそうないだろう。戻せないクリーチャーがいることもあるだろうけど、バウンスもできないし6/6でも止まらないクリーチャーが相手の場にいるなら、厳しいのに変わりはないよね。
《印章持ちのヒトデ/Sigiled Starfish》
 リミテッド3.0点
 マナ不要で繰り返し占術が使えて、ブロックもできるって?俺がインビテーショナルで勝ったら、こういうカードをデザインしたいなって思ってたんだ。こんなことを思ったのは《礼儀正しい識者/Civilized Scholar》以来だね(イラストも識者並みにキメるぜ)。
《タッサの貪り食い/Thassa’s Devourer》
 リミテッド1.5点
 ライブラリー破壊は、削りきるまで何もしていないのと変わらない。そして削りきれないゲームの方が多いと思う。タフネスが6のブロッカーが欲しければ、その役割は果たしてくれると思うけど、それ以上に期待はしない方がいい。
《タッサの激憤/Thassa’s Ire》
 リミテッド1.0点
 警戒をつけるのに4マナも注ぎ込むのは馬鹿げてる。相手のクリーチャーを寝かせるのにも、4マナは重い。こんなんで本当におこなの?
《トリトンの騎兵部隊/Triton Cavalry》
 リミテッド3.0点
 《大クラゲ/Man-o’-War》のようであり、コンボ要員としても使えそう。軽いマナコストの割に、色々な角度で使っていける。気に入ったよ。どんな英雄的デッキでも、何かしら使い道がありそうだ。
《トリトンの岸忍び/Triton Shorestalker》
 リミテッド1.5点
 特に理由がなければ採用しない。実質止めることが不可能とはいえ、1ターンに1点のダメージを与えるというだけでは、デッキに入らない。パワーの上げるオーラ、打点を上げる授与なんかがあれば、入れる理由になるかもね。
《戦争翼のセイレーン/War-Wing Siren》
 リミテッド3.0点
 英雄的でサイズの育つクリーチャーは手軽で強い。一回は英雄的を誘発させられるものとして評価してもいいくらいだ。2/4として見ると中々の実力、主力として育ててやる価値があるってものだ。
《急流のナイアード/Whitewater Naiads》
 リミテッド3.5点
 自軍のクリーチャーをブロックされなくしつつ、4/4を追加するというのは実に攻撃的だ。しかも、何度もブロック不能を誘発させる見込みがあるときたもんだ。この圧倒的な攻め性能、まさに前のめりなデッキで5ターン目に出したいカードだ。

 
 青のコモントップ3
 3.《空中隊形/Aerial Formation》
 2.《擬態するセイレーン/Cloaked Siren》
 1.《傲慢/Hubris》
 
 一位はもう、《傲慢/Hubris》で決まりでしょう。全く疑問を差し挟む余地がない。《擬態するセイレーン/Cloaked Siren》が、ピックとしては手堅いところだけど、強いときの《空中隊形/Aerial Formation》は本当に強いからね(《巨体の狐/Vulpine Goliath》が空を飛んでる光景とか、考えるだにゾッとしないだろ?)。いずれにせよ、青は進んでドラフトしたい色だね。最初の数手で取りたいものがたくさんあるし、ゲームプランも堅実だ。青を使うなら、良質な飛行クリーチャーや英雄的クリーチャーを出して、道を阻むものはバウンスする。ニクスへの旅のカードは、まさにそれができる。
 
 明日は黒と赤をレビューするよ。色の組み合わせ的に、2/3のミノタウロスをひたすら評価し続けるような感じなんだろうな。
 
 
 
 LSV
◆ 【翻訳】ニクスへの旅 リミテッドレビュー 白・青 (by LSV)
 
 Journey into Nyx Limited Review - White and Blue
 
 Luis Scott-Vargas, 2014年4月22日
 
 http://www.channelfireball.com/articles/journey-into-nyx-limited-review-white-and-blue/
 
 ニクスへの旅のセットレビューへようこそ!前回同様、今週はそれぞれのカードがリミテッドでどうなのか見ていくよ。その後来週構築の評価だ。こうすればプレリリース前にレビューができるし、今回のカードで構築がどのように影響されるか、考える時間もできるからね。
 
 ああそう、前回同様、点数付けはこんな具合だ

 5.0点 強すぎる神いわゆるゴッド。《群れネズミ/Pack Rat》、《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》、《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》
 
 4.5点 素晴らしい爆弾レアだが、対処不能というほどでもない。《世界を喰らう者、ポルクラノス/Polukranos, World Eater》、《超音速のドラゴン/Hypersonic Dragon》

 4.0点 優秀なレアや、それに比肩し得るアンコモン。《密集軍の指揮者/Phalanx Leader》、《ヴィトゥ=ガジーのギルド魔道士/Vitu-Ghazi Guildmage》、《混沌のインプ/Chaos Imps》

 3.5点 トップコモンや強力なアンコモン。《稲妻の一撃/Lightning Strike》、《雨雲のナイアード/Nimbus Naiad》、《屑肉の刻み獣/Dreg Mangler》

 3.0点 ほぼデッキに入る良カード。《葉冠のドライアド/Leafcrown Dryad》、《本質の散乱/Essence Scatter》

 2.5点 まず抜けることのないカード。《国境地帯のミノタウルス/Borderland Minotaur》、《死の歓楽者/Dead Reveler》

 2.0点 数合わせでデッキに入る。でもたまに抜けるカード。《蛮族の血気/Savage Surge》、《前兆語り/Omenspeaker》、《武器庫の護衛/Armory Guard》

 1.5点 頭数の水増し。入るかどうかは半々くらい。《鋤引きの雄牛/Yoked Ox》、《長屋壊し/Tenement Crasher》

 1.0点 数合わせとしても役不足。ほぼ入らない。《迷宮での迷子/Lost in a Labyrinth》、《無視/Pay No Heed》

 0.5点 ギリギリデッキに入るかどうかなカード。もしくはサイドボード用カード。《瓦礫の調査/Survey the Wreckage》、《天界の粛清/Celestial Purge》

 0.0点 役立たず。《市内捜査/Search the City》、《伏魔殿のピュクシス/Pyxis of Pandemonium》

 
 じゃあ早速取り掛かろう!
 
 
《神々の神盾/Aegis of the Gods》
 リミテッド2.0点
 単体で2マナ2/1だから、何とか紙、戦力外通告を免れてるようだ。プレイヤーを対象にとるもの自体がそう数を見ない上、《アスフォデルの灰色商人/Gray Merchant of Asphodel》すら止めることができない。エンチャントでもある《青銅の黒貂/Bronze Sable》が欲しいのでもない限り、流して差し支えの無いカードだろう。
《アジャニの存在/Ajani’s Presence》
 リミテッド3.0点
 コンバットトリックで奮励と書いてあればとにかく強い。《アジャニの存在/Ajani’s Presence》も例外じゃない。基本となる白の1マナでクリーチャーを守れるというところからして優秀だし、2対1以上の交換を取れる可能性があるのは嬉しい。耳にタコができるくらい言ってるけど、柔軟かつ強力なカードこそ是非使いたいというもの。こいつは柔軟性もカードパワーも素晴らしい。
《アクロスの猛犬/Akroan Mastiff》
 リミテッド2.5点
 普通、これくらいの性能なら2.5点より2点ってところなんだが、テーロスは授与や怪物化、たまに神もいたりして、とにかく巨大な怪物たちが跋扈してる環境だ。機能し始めるのが遅いタッパーは数を入れたくないが、一枚目はもう健闘間違いなしだ。
《ニクスの武装/Armament of Nyx》
 リミテッド2.5点
 《口輪/Muzzle》と《熟達した戦い/Battle Mastery》の分割カードとは何とも面白い。もっとも、口輪をかましてやりたい奴が偶然エンチャントだったりして、噛み合わないことはまあまああるだろう。カードとしては好きだけど、除去がこれしかなくて依存する、なんてのはやめた方がいいかもね。
《払拭の光/Banishing Light》
 リミテッド4.0点
 何でも忘却の彼方に放り込んでしまえるのは依然強力だ。もっとも、《忘却の輪/Oblivion Ring》3枚でやったみたいに、マジックオンラインをクラッシュさせられないのは残念だけどね。取れることがあれば何を差し置いても取るのをお勧めするけれど、ミラディンブロックのアーティファクトみたいに、普通の環境よりエンチャントを破壊する手段が多いのは覚えておきたい。攻撃宣言のとき、相手が土地をたくさん立てていたら気をつけよう。
 参考動画:LSV Breaks MTGO
 https://www.youtube.com/watch?v=AGXG5rNe_tI
《黎明運びの戦車兵/Dawnbringer Charioteers》
 リミテッド4.5点
 見た目よりずっと《悪斬の天使/Baneslayer Angel》に近い性能だよ。こいつが対象にとられ始めたら?レースができるといいね。たまたま相手が対象にとる手段を持っていなかったとしても、依然2/4飛行絆魂だ。軽視できる性能じゃないぜまったく。
《神討ち/Deicide》
 リミテッド2.5点
 構築で高評価なカードはリミテッドでも高評価なもんだが、これに限っては例外だ。神討ちは申し分のない性能だけど、他のエンチャント除去と大差ない。構築の強さに目がくらんで、実際より高い評価をしたりしないようにね。
《ヘリオッドの指図/Dictate of Heliod》
 リミテッド4.5点
 永続する《踏み荒らし/Overrun》がインスタントタイミングで出せるって?永続するか、瞬速で出せるかのどちらかだけでも素晴らしいカードなのに、その両方がついているとなると手が付けられない。指図させてもらうけど、どんな状況でもこれを流したらいかんよ。
《警備隊の鷲/Eagle of the Watch》
 リミテッド3.0点
 タフネス1のクリーチャーに警戒がついているってのは変な感じだけど、こいつを巨大なサイズに育て上げる方法が行く通りもあるとくれば、中々警戒も存在感がある。大きく育てられなくても、3マナでパワー2の飛行持ちだから、果敢に討死にする前に何回かは殴れることが多いだろう。。
《弁論の幻霊/Eidolon of Rhetoric》
 リミテッド2.0点
 《角海亀/Horned Turtle》に首ったけならこいつをどうぞ(俺は好きだよ)。弁が立つだけでなく、物理的にも人を守れる。能力はリミテッドだとフレイバーテキストみたいなもんだが、たまにプレイヤーを苦しめることがある。もっとも苦しむのは相手じゃなくて自分のこともあるわけだが。
《活力の泉/Font of Vigor》
 リミテッド0.5点
 全く使い道がないわけではないが、唱えることがあったら驚きだね。ライフを得るだけのカードを使うのには反対だと喝を入れておきたい。回復の効率も良くないしね。
《神送り/Godsend》
 リミテッド4.0点
 名前4.5点
 最高にイカす名前のせいで一点くらいおまけしてやりたい。今回のセットで一番わくわくするカードの一枚だ。性能もいいよ。どんなクリーチャーでもこいつをつければ強力な殴り手、あるいは守り手に変貌する。それにエンチャントじゃないのも嬉しいオマケだ。相手からすれば、こちらのクリーチャー全てを処理するか、さもなくば死ぬかの2択を迫られる上、5点以上のダメージを喰らわせた後でブロッカーに付け替えることすらできてしまう。《撤回のらせん/Retraction Helix》や《航海の終わり/Voyage’s End》でテンポを大きく失ってしまうことは気をつけたい。装備したりすると普段よりマナを使うからね。
《収穫守りのアルセイド/Harvestguard Alseids》
 リミテッド2.5点
 瞬速で出せるエンチャントが山ほどあるとかでもない限り、前のめりな能力と防御的なサイズが同居しているちぐはぐなカードということになる。能力もサイズも悪くないから使うけど、攻勢に回った白の攻め方は回避能力を使うから、この能力の必要性はちょっぴり薄れるかな。
《ラゴンナ団の先駆者/Lagonna-Band Trailblazer》
 リミテッド1.5点
 《クラーケンの幼子/Kraken Hatchling》を使った枚数なら誰にも負けない自信があるが、今回は幼子が荒ぶってた環境とは随分違うんだよな。軽くてパワーが2,3のクリーチャーは少なく、超弩級な奴らが多い。0/4の価値はがくっと下がってしまう。(少なくともタフネスは)凄まじいサイズに育つこともあるかもしれないが、それでも白にとってこの性能はコレジャナイ感が拭えない。
《船団の出航/Launch the Fleet》
 リミテッド3.5点
 勝ってる状況をオーバーキルに持ち込むような類のカードだが、効果は強力無比でゲーム展開の軸にできるカードだ。自軍全部を対象にとることができ、攻撃クリーチャーの数を倍にすることができる。英雄的デッキとしては嬉しいところだろう。クリーチャー1体を全力で強化する戦略には合わないが、散らせるデッキであればフィニッシャーとしてかなり強力な使い方ができる。《ヘリオッドの福音者/Evangel of Heliod》とのコンボも注目だ。出航が決まったら、福音者を取って航海に乗り出そう。
《レオニンの偶像破壊者/Leonin Iconoclast》
 リミテッド2.0点
 英雄的デッキはこういう防御的な効果に時間を割きたくないところだが、デッキに入れるようなことがあれば破滅というわけでもないからね。こいつが輝くマッチアップもあるだろう。授与されているときは、エンチャントされている方を先に何とかしないと倒せないというのが、何とも痒いところに手が届いてないけどね。
《定命の者の強情/Mortal Obstinacy》
 リミテッド3.0点
 かなりいいカードだと思う。軽くて英雄的を誘発させやすい上、1:1交換は取りやすい。それに+1/+1修正があれば、似たようなサイズのクリーチャーを難なく乗り越えていくのは難しくないからね。相手からしたら、サイズで上をいかれた対戦相手からすれば、チャンプブロックで凌いで次ターンに対処を持ち越すか、《浄化の印章/Seal of Cleansing》さながらエンチャントを割られるのに耐えるしかなくなってしまう。
《ニクス毛の雄羊/Nyx-Fleece Ram》
 リミテッド2.0点
 構築で使うのはとても楽しみなんだが、クリーチャーのパワーがすぐ6以上になるような環境柄、壊れ性能じゃあないね。早く手を出したくなるように見えるのは、羊頭狗肉じゃないかと思うよ。
《抑圧的な光線/Oppressive Rays》
 リミテッド1.5点
 唱えたターンはブロッカー排除になるだろうけれど、ゲームが長引くと効果が凄まじく劣化するし、カード1枚を対処するにしては抜け道が多すぎるというのが気に食わない。ヒドいカードではあるが、一応英雄的を誘発できなくもない。対象にとったあと、マナを支払って攻撃すればいいだけだからね。
《オレスコスの速爪/Oreskos Swiftclaw》
 リミテッド3.0点
 ニャーブレードキタ━(゚∀゚)━!
《密集軍の隊形/Phalanx Formation》
 リミテッド3.5点
 《踏み荒らし/Overrun》系列としては中々面白い。まず、これを撃っても小型クリーチャーが超強くなるわけじゃないから、下準備が欲しいところだ。一方で、白はバカデカい怪物を作ることができるから、どんな呪文であれば、こうやって複数体を対象にすることができるのはかなり有意義だ。こいつは中々強いんじゃないかと思っているけれど、しっかり使いこなせるようなデッキを組みたい。パワーが4以上のクリーチャーを安定して量産でもしないと、あまり使っても嬉しくないだろう。
《採石場の巨人/Quarry Colossus》
 リミテッド2.5点
 巨大で巨人な《ネクラタル/Nekrataal》みたいなもので、3点はつけてあげたいんだが、ベン・スターク(Ben Stark)が怒鳴り込んできそうなんだよなぁ。能力もサイズも素晴らしいが、7マナのカードは、抜けることもあるということを意識したい(神話レアとかは別だけどね)。
《復仇/Reprisal》
 リミテッド3.5点
 きたきた、これぞ的確な再録というやつだ。《復仇/Reprisal》はアライアンス時代に使ったけど強かったなあ。青白のジンデッキとか使ってたけど、《シヴ山のドラゴン/Shivan Dragon》を倒すのにちょうどよかったんだ。今回のリミテッドでも大活躍だろう。まずもって最も除去したい奴に撃つだろうから、撃ちたいけど撃てなくて当てが外れるということはまずないだろう。昔懐かしき再生できないって書いてあるのも結構意味がある。最近は再録でもないと滅多に見ない一文だけどね。
《盲いた喧嘩屋/Sightless Brawler》
 リミテッド2.5点
 これを抜くとしたら困った状況だろう。強力なカードを抜くことになるし、これが抜けるということは、クリーチャーの頭数が足りないからなんだろうが、白いデッキで生物が足りないという事態は歓迎しがたい。サイドに下げることがなくはないとおもうけど、そんなしょっちゅう抜くことはないと思う。こいつのデメリットは強烈だし、白のコントロール風味なデッキも存在はしている。でも全体としてみると、こいつは白の性格とかなり噛み合っている。ただ、こいつを使うときは前方確認をしてから使いたい。こいつをこちらの一番強いクリーチャーに授与しようとして、除去を合わせられてしまったら大打撃だ。せいぜいそれだと時間稼ぎにしかならないが、相手のクリーチャーにつけて攻撃しづらくもできることを覚えておこう。
《空封じ/Skybind》
 リミテッド1.0点
 名前を見ただけで、読まずに封印して次のカードへ行きたいと思ったんだが、俺もプロだから自分の好き嫌いくらいは我慢しないとね。気は長い方だからさ。このカードのテキストに書いてあることと同じくらい長い。とにかく、ブロッカーを排除するか、戦場に出た時の能力を再利用できるらしい。5マナの仕事としては空恐ろしいほど微妙だ。授与を剥がすこともできるが、わざわざこれを使う必要が感じられないんだよな。毎ターンエンチャントを唱えられたらプレッシャーをかけられると思うけれど、ちょっとばかり楽観的すぎやしないかな。
《石識の防衛者/Stonewise Fortifier》
 リミテッド3.0点
 2マナ2/2の熊にオマケがついている時点で好感度が高い。それに序盤に出しても後半に出しても仕事ができる。活躍できないターンもあるだろうけれど、是非とも採用したいクリーチャーだ。
《補給線の鶴/Supply-Line Cranes》
 リミテッド3.5点
 カウブレード以降、イラストみたいに武器を背負ってる鳥はお目にかかってないんだが、こいつはある意味、カウブレードを懐かしむための一枚じゃないかと思うんだけどどうだろうか。しかも偶然かどうかわからないけど、やたらと強いカードだ。5マナ3/5飛行という基本スペックで十分強いし、カウンターを他に乗せられる能力は色々使い出があることだろう。3/5飛行で選択肢がなかったとしてもとても強かったろうから、それに選択肢がついて悪いはずがないね。
《テツモスの大神官/Tethmos High Priest》
 リミテッド3.0点
 白のデッキなら、まず英雄的を誘発させる手段や釣る先には困らないだろうし、3マナ2/3は何もなくても使用に堪えうる。なんでレアじゃなくてアンコモンなのか不思議だけど、その分ドラフトでは目にすることが多いだろう。

 
 白のコモントップ3
 3.《アジャニの存在/Ajani’s Presence》
 2.《オレスコスの速爪/Oreskos Swiftclaw》
 1.《補給線の鶴/Supply-Line Cranes》
 
 補給線の鶴がぶっちぎりの一位(おっと、別に鳥が武器を持ってるからってわけじゃないぜ)。他の白のコモンは、まあ予想できたことだけどマナカーブを埋めていく感じかな。今回白には目玉となる英雄的クリーチャーが出なかった。ま、俺は別に残念と思ってないけどね。英雄的クリーチャーが最序盤に出てきて殴り掛かってくるゲームって、そんなに胸躍るものじゃなかったから、そういう速いゲームが減ってくれるなら言うことはないかな。オレスコスの速爪はあまりにマナレシオがいいものだから2位になった。カードとしては《アジャニの存在/Ajani’s Presence》が鶴に次いで強力だけれど、一般的にはコンバットトリックよりマナカーブの方が重要だからね。もっとも実際にドラフトしてみたら、2位と3位は入れ替わるかもしれない。



LSV






※《空槍の騎兵/Skyspear Cavalry》に関する記述がないのは、原文に存在しないためです。今までのパターン的に、2つ目か3つ目の記事で思い出したようにレビューされるはず。
ニクスへの旅より独占カードプレビュー 《Silence the Believers》 by LSV
◆ ニクスへの旅より独占カードプレビュー 《Silence the Believers》 by LSV
 
 Journey into Nyx Exclusive Preview Card - Silence the Believers
 
 Luis Scott-Vargas, 2014年4月9日
 
 http://www.channelfireball.com/home/journey-into-nyx-exclusive-preview-card-silence-the-believers/
 
 ニクスへの旅のカードでどんな素敵なことができるか、皆考えてるところだと思うけど、嬉しいことにすきっとして簡潔で、強力な除去呪文がお目見えだ。喜ばしくもみんなに今日紹介するカードは、《血統の切断/Sever the Bloodline》を彷彿とさせる奴だ。スタンダードに存在した間、たまに使われていたね。《血統の切断/Sever the Bloodline》が今あったら、《群れネズミ/Pack Rat》を相手取るのに良いかもしれないが、最近はそれほど周りがトークンだらけってわけでもない。翻って授与クリーチャーはついに頭角を現し始めた。とりわけ緑黒ドレッジだが、黒単ビートダウン、それに白ウィニーでも採用されている(それぞれ、《責め苦の伝令/Herald of Torment》と《万戦の幻霊/Eidolon of Countless Battles》が使われてるね)。
 
 今日紹介するカードは、オーラとしてついてる授与や強力な神々などでも効果てきめんに除去してしまう上、マナが伸びれば複数のクリーチャーを除去してしまうことができる。この《Silence the Believers》をご照覧あれ:
 
 《Silence the Believers》
 
 レアでここまで簡潔かつ機能的なカードはそうそう見ない。しかし、色々な理由でこれは実際かなりのものに仕上がってる。頭から一つずつ見ていこう。
 
 1.何でも除去できる。しかもインスタントタイミングで除去が可能
 これはデカい。最近は多くの除去呪文が枠を争っているけれど、無条件で除去できるというのはかなり大きい。《Silence the Believers》は、相手のサイズや色、その他特性が何であろうとお構いなし。クリーチャーであれば問答無用で除去が可能だ。加えてインスタントでもあるから、マナコストにも見合っているといえるだろう。こちらのターンに除去しなくてもいいので、もっと除去りたい対象に使うという選択肢も生まれてくる。実際、これを使うならそれなりのものを落とさないと、ちょいとばかりマナを使いすぎかもしれない。
 
 2.追放除去であること
 黒単信心が青単信心と戦うとき、最も癌になるのが破壊不能な《海の神、タッサ/Thassa, God of the Sea》だ。神を倒せる手段が手に入るのはとても大きい。黒系のデッキに採用する除去が多様化するだろう。もう青単(それと他にも神を使うデッキ)は、神を出しておきさえすれば安泰ということはなくなった。黒単の場合、ミラーマッチでも同じことが言えるね。《死者の神、エレボス/Erebos, God of the Dead》はミラーでかなりの脅威だったから。
 
 3.複数の対象を除去できる
 重たいかもしれないけれど、7マナや10マナで、複数対象に静寂にしていただく選択肢があるのは有用だ。大体は1体を黙祷させるに留まるだろうけど、複数を除去できたら素晴らしい。マナフラッドしているときや、超長期戦になったとき、トップからこいつを引いてさえこれればゲームへ復帰できる。そんなカードがデッキに入っている。なんと素晴らしい。
 
 4.授与も落とせる
 スタンダードで授与の存在感は決して大きくないが、間違いなくスタンの一部ではある。ニクスへの旅で、更に大きい存在になるだろう。《夜の咆哮獣/Nighthowler》や《責め苦の伝令/Herald of Torment》を、授与先ともども落とされたら大打撃だ。黒単信心がメインサイド合わせて《Silence the Believers》を2,3枚取るようになったら、緑黒ドレッジは苦しくなるだろう。
 
 4つもの長所があるのは大したものだ。きっと使われることだろう。マナコストが重いので4積みはされないだろうけれど、黒単系のデッキ構築に間違いなく影響してくるだろう。数少ないデッキの弱点を補ってくれるからね。黒単だけじゃなく、緑黒系のマナを伸ばすデッキでも使用を検討するだろう。ブロック構築のデッキでも、やり手になるんじゃないかと思ってるよ。
 
 クリーチャー除去の選択肢は多い方がいいな。単に対峙するクリーチャーから身を守るというだけでなく、正しい除去を選択することで報われるというのがいい。一番いい除去を4枚突っ込んどけってのじゃなくてね。既に除去は数あれど、《Silence the Believers》も歓迎したい。そこそこの数を目にすることになりそうだ。
 
 
 
 LSV
 ◆ 【翻訳】フランクに考えよう 神々の軍勢、ピック優先順位表
 
 Frank Analysis - A Pick Order List for Born of the Gods Draft
 
 By Frank Karsten 2014年3月12日
 
 http://www.channelfireball.com/articles/frank-analysis-a-pick-order-list-for-born-of-the-gods-draft/
 
 
 ここの記事でテーロス*3のドラフトピック順位表を発表したのも、もう2か月ばかり前になるのか。
 http://www.channelfireball.com/articles/frank-analysis-a-pick-order-list-for-Theros-draft/
 新しいセットの神々の軍勢も出たことだし、今日は軍勢のピック順位表を書いてみたよ。
 
 目標としては、1パック目の初手、つまり1-1で取るカードに順位をつけることになるかな。ドラフト中ずっと、考えなしにこの表に従って取っても駄目だよ。カードの価値はそれまで自分が取ったものによって変わってくるからね。ドラフトはやはり、シナジー、マナカーブ、ゲームプランといったものが成功の鍵だ。とは言ったものの、ピックの順位表を作るのは、各カードがどのくらい強力かというのを大まかに理解するのに適した方法だし、初手を決めるのに役立つからね。
 
 ここに掲載するリストは、自分の好み、経験、考えに基づいたものなんだけれど、他のチャネルファイアーボールのメンバーから受けた影響もかなり大きい。みんなで議論したからね。プロツアー前の水曜日に、皆で神々の軍勢の上位カードと座って睨めっこして語り合った。LSV(Luis Scott-Vargas)がチャートで議論をまとめてたよ。よく分からない矢印とか書いて楽しんでた。
 
 プロツアーの成績はかなり良くて、リミテッド部門は5-1までいけた。ドラフトで出来たデッキは香ばしい紙束だったけど、それでもなぜか勝ててしまった。どんなデッキだったかって?3-0したときのデッキは、赤マナ源の無い《はじけるトリトン/Crackling Triton》、《大アカシカ/Great Hart》、《沈黙の職工/Silent Artisan》。バニラクリーチャーデックウィンズだったとさ。
 
 ピック順位表
 
 ピック順位表を見る前に、これがどういうものなのかについて少し話させてほしい。。
 
 第一に、このリストは普通の神々の軍勢・テーロス・テーロスのドラフト用で、カードの金銭的価値は考慮に入れていない。チケットが欲しければ《サテュロスの火踊り/Satyr Firedancer》をどうぞ取ってくれ。ただ、マネーピックはここでの趣旨でない。
 
 第2に、順位には色の序列が影響している。俺の考えでは、白が最強の色だ。そしてドラフトでは青白、白緑、それに青緑の英雄的デッキが好きだね。この3つの組み合わせが、強力なシナジーを内包しつつ素のカードパワーも一番高い。プロツアー神々の軍勢に向けてやったドラフトでも一番成績が良かった。赤白英雄的や中速の赤緑も中々奮闘したけれど、赤はテーロスだと取るカードが少ないのでリスクがある。そういうわけで、候補になるカードの順位が同じくらいなら、赤・黒より緑・青・白のカードを取りたい。《槌の一撃/Fall of the Hammer》は、テーロスの赤で取るものがもっと潤沢にあれば最強のコモンだったかもしれないけれど、たらればの領域だね。現実は違う。
 
 他に個人的な好みが及ぼしてる影響としては、《突然の嵐/Sudden Storm》が皆の予想より高評価かもしれない。《突然の嵐/Sudden Storm》はテンポを稼ぐけど、赤や黒のクリーチャー除去とは食い合わせが悪い。ただ、クリーチャーを詰め込んでる青緑や青白デッキでは、これぞまさに欲しかった一枚だ。それに、こういう怪獣大決戦になるフォーマットにおいて、突然の嵐みたいな効果の大きさは計り知れない。オーラや授与がついたまま寝かせて封殺するのは、実際に除去するのより優れていることさえあるからね。
 
 リストを下に見ていくと、《欺瞞の神、フィナックス/Phenax, God of Deception》だとか《トロモクラティス/Tromokratis》だとか、爆弾レアとされてるレアの順位が低いことに驚くかもしれない。いくつか理由があるんだけど、まずこの環境のリミテッドは高速だというのがある。それに、重たいカードは山ほど存在する。多くのゲームが7ターン目から9ターン目には終わるから、決着がついたとき、6,7マナが消化不良で手札に残っているというのは、よくあることなんだ。それに流れる5マナ以上のカードはたくさんある。でも数をデッキには入れたくない。そんな理由で、終盤に叩きつける爆弾レアより、軽いクリーチャーを優先したいんだ。それに覚えておいてほしいんだけど、いわゆる勝ち手段がゲームを終わらせてるのを見ると、実際よりも強く印象に残るものなのさ。《欺瞞の神、フィナックス/Phenax, God of Deception》は、膠着したゲームを終わらせるのに目を見張る働きをするけど、押されてるとき、フィナックスのおかげで巻き返せることはまずない。他の神と同じく、顕現させるのが難しい上、出てすぐ盤面に影響があるわけじゃないからね。ブロッカーや除去さえあれば何とかなるというときはリミテッドにつきものだけど、フィナックスはそういうときに引きたいカードじゃないよね。
 
 《欺瞞の神、フィナックス/Phenax, God of Deception》の場合、順位が低い理由はもう一つあって、それはこいつが多色のカードだということだ。下のリストは1-1、1パック目の初手用だということを思い出してほしい。ドラフトの初手では柔軟なピックができるよう、強力な多色のカードより、多少見劣りしても単色のカードを取る方が好みだね。初手から2色決めたくはない。2色とも空いているのか、知る術がないからね。単色のカードを取った方が、最終的にそのカードがデッキに入る可能性は高い。多色のカードが素のカードパワーよりも低めに順位づけられてるのはそういう理由だ。
 
 さて、前口上は十分。順位を見よう!初手で《恐るべき気質/Fearsome Temper》と《ハイドラの血/Aspect of Hydra》の2択で悩むようなことはないだろうから、実質役に立つのは上の方だけだと思うけど、とにかく165枚のカードを並べてみた。こちらをどうぞ:
 (訳注:DNの仕様でテキストになっています。リストを見るなら元記事で画像を眺めるのがお勧めです http://www.channelfireball.com/articles/frank-analysis-a-pick-order-list-for-born-of-the-gods-draft/ )
 
 
《万戦の幻霊/Eidolon of Countless Battles》
《オレスコスの王、ブリマーズ/Brimaz, King of Oreskos》
《イロアスの英雄/Hero of Iroas》
《炎輪のフェニックス/Flame-Wreathed Phoenix》
《責め苦の伝令/Herald of Torment》
《羽撃王/Ornitharch》
《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》
《金箔付け/Gild》
《狩人の勇気/Hunter’s Prowess》
《炉焚きのドラゴン/Forgestoker Dragon》
《理想の調停者/Arbiter of the Ideal》
《荒ぶる波濤、キオーラ/Kiora, the Crashing Wave》
《アクロスの空護衛/Akroan Skyguard》
《運命をほぐす者/Fate Unraveler》
《悪魔の皮の魂結び/Felhide Spiritbinder》
《撤回のらせん/Retraction Helix》
《胆汁病/Bile Blight》
《突然の嵐/Sudden Storm》
《太陽神の一瞥/Glimpse the Sun God》
《勇気の元型/Archetype of Courage》
《欺瞞の神、フィナックス/Phenax, God of Deception》
《歓楽の神、ゼナゴス/Xenagos, God of Revels》
《槌の一撃/Fall of the Hammer》
《都市国家の神、エファラ/Ephara, God of the Polis》
《牙海岸のセイレーン/Siren of the Fanged Coast》
《アクロスの徴兵人/Akroan Conscriptor》
《ブリマーズの先兵/Vanguard of Brimaz》
《宿命的介入/Fated Intervention》
《殺戮の神、モーギス/Mogis, God of Slaughter》
《レイナ塔の英雄/Hero of Leina Tower》
《狼育ち/Raised by Wolves》
《エファラの啓蒙/Ephara’s Enlightenment》
《キオーラの追随者/Kiora’s Follower》
《蒔かれたものの収穫/Reap What Is Sown》
《ゼナゴスの狂信者/Fanatic of Xenagos》
《霊刃の幻霊/Ghostblade Eidolon》
《ケラノスの稲妻/Bolt of Keranos》
《ネシアン未開地の荒廃者/Nessian Wilds Ravager》
《灼熱の血/Searing Blood》
《常炎の幻霊/Everflame Eidolon》
《悪意に満ちた蘇りし者/Spiteful Returned》
《スコラ谷の災い/Scourge of Skola Vale》
《侍祭の報賞/Acolyte’s Reward》
《ニクス生まれのトリトン/Nyxborn Triton》
《ニクス生まれの狼/Nyxborn Wolf》
《空想の元型/Archetype of Imagination》
《高巣の崇拝者/Aerie Worshippers》
《静寂の歌のセイレーン/Siren of the Silent Song》
《窒息死/Asphyxiate》
《散兵の精鋭/Elite Skirmisher》
《アクロスの密集軍/Akroan Phalanx》
《ケンタウルスの武芸者/Swordwise Centaur》
《オレスコスの太陽導き/Oreskos Sun Guide》
《墓荒らし蜘蛛/Graverobber Spider》
《セテッサの誓約者/Setessan Oathsworn》
《モズのハーピー/Shrike Harpy》
《気高き獲物/Noble Quarry》
《ティマレットの召使い/Servant of Tymaret》
《ニクス生まれの幻霊/Nyxborn Eidolon》
《骨の神託者/Oracle of Bones》
《クラグマの解体者/Kragma Butcher》
《サテュロスのニクス鍛冶/Satyr Nyx-Smith》
《層雲歩み/Stratus Walk》
《苦痛の予見者/Pain Seer》
《潮流の合唱者/Chorus of the Tides》
《攻撃の元型/Archetype of Aggression》
《神託者の眼識/Oracle’s Insight》
《フィーリーズ団の精鋭兵/Pheres-Band Tromper》
《雷の粗暴者/Thunder Brute》
《深海の催眠術師/Deepwater Hypnotist》
《メレティスの天文学者/Meletis Astronomer》
《閃足の幻霊/Flitterstep Eidolon》
《ネシアンのデモロク/Nessian Demolok》
《啓蒙の神殿/Temple of Enlightenment》
《豊潤の神殿/Temple of Plenty》
《悪意の神殿/Temple of Malice》
《悲哀まみれ/Drown in Sorrow》
《厄介なキマイラ/Perplexing Chimera》
《悪戯と騒乱/Mischief and Mayhem》
《ニクス生まれの盾の仲間/Nyxborn Shieldmate》
《宿命的火災/Fated Conflagration》
《迷宮の霊魂/Spirit of the Labyrinth》
《無効化/Nullify》
《忠実なペガサス/Loyal Pegasus》
《黄金の木立ちの蛇/Snake of the Golden Grove》
《定命の者の決意/Mortal’s Resolve》
《定命の者の熱意/Mortal’s Ardor》
《フィーリーズ団の略奪者/Pheres-Band Raiders》
《予言/Divination》
《恐るべき気質/Fearsome Temper》
《トロモクラティス/Tromokratis》
《ハイドラの血/Aspect of Hydra》
《沈黙の歩哨/Silent Sentinel》
《憤怒の頂点/Pinnacle of Rage》
《サテュロスの道探し/Satyr Wayfinder》
《渦潮の精霊/Vortex Elemental》
《難題への挑戦/Rise to the Challenge》
《収穫の神、ケイラメトラ/Karametra, God of Harvests》
《絶望の偽母/Forlorn Pseudamma》
《無謀な歓楽者/Reckless Reveler》
《霊気のほころび/Unravel the AEther》
《宿命的報復/Fated Retribution》
《オドゥノス河の底さらい/Odunos River Trawler》
《宿命的復活/Fated Return》
《憤怒売り/Ragemonger》
《決断の元型/Archetype of Finality》
《ニクス生まれのお調子者/Nyxborn Rollicker》
《目抉り/Eye Gouge》
《悪魔の皮の喧嘩屋/Felhide Brawler》
《ケイラメトラの好意/Karametra’s Favor》
《セテッサの星砕き/Setessan Starbreaker》
《湿原霧のタイタン/Marshmist Titan》
《屍噛み/Necrobite》
《ケラノスの嵐呼び/Stormcaller of Keranos》
《保護色/Crypsis》
《彷徨える魂の勇者/Champion of Stray Souls》
《希望喰らい/Eater of Hope》
《永遠の罠/Eternity Snare》
《剥離/Excoriate》
《死の国の重み/Weight of the Underworld》
《氾濫潮の海蛇/Floodtide Serpent》
《宿命的心酔/Fated Infatuation》
《忌まわしい変身/Grisly Transformation》
《くぎ付け/Hold at Bay》
《一つ目峠のサイクロプス/Cyclops of One-Eyed Pass》
《ファラガックスの巨人/Pharagax Giant》
《神に寵愛された将軍/God-Favored General》
《性急な太陽追い/Impetuous Sunchaser》
《アショクの心酔者/Ashiok’s Adept》
《洗い流す砂/Scouring Sands》
《見捨てられし流れ者/Forsaken Drifters》
《精神奪い/Mindreaver》
《戦いの柱/Pillar of War》
《空掃き/Skyreaping》
《海峡のクラーケン/Kraken of the Straits》
《大アカシカ/Great Hart》
《稲妻の流弾/Lightning Volley》
《オドゥノスの黒樫/Black Oak of Odunos》
《日の出から日没/Dawn to Dusk》
《流浪/Peregrination》
《霊体のヤギ角/Astral Cornucopia》
《彩色マンティコア/Chromanticore》
《グリフィンの夢掴み/Griffin Dreamfinder》
《存在の破棄/Revoke Existence》
《ゴルゴンの首/Gorgon’s Head》
《スフィンクスの信奉者/Sphinx’s Disciple》
《雷撃の威力/Thunderous Might》
《血占術/Sanguimancy》
《タッサの拒絶/Thassa’s Rebuff》
《モーギスの戦詠唱者/Warchanter of Mogis》
《忍耐の元型/Archetype of Endurance》
《セイレーンの歌竪琴/Siren Song Lyre》
《バネ葉の太鼓/Springleaf Drum》
《突進するアナグマ/Charging Badger》
《圧倒的な波/Whelming Wave》
《導きの嘆願/Plea for Guidance》
《サテュロスの火踊り/Satyr Firedancer》
《エレボスの催促/Claim of Erebos》
《天啓の嵐/Epiphany Storm》
《エファラの輝き/Ephara’s Radiance》
《一過性の知力/Evanescent Intellect》
《選別の印/Culling Mark》
《運命の気まぐれ/Whims of the Fates》
《陽絆/Sunbond》
《英雄の演壇/Heroes’ Podium》
 
 この表に従って見ると、レア最強が《万戦の幻霊/Eidolon of Countless Battles》、アンコモン最強が《羽撃王/Ornitharch》、コモン最強が《アクロスの空護衛/Akroan Skyguard》ということになるだろう。最下位は《英雄の演壇/Heroes’ Podium》だ。評価に関しては、異議のある読者もいると思うので、コメント欄で有意義な議論ができればと思っているよ。
 
 神々の軍勢・テーロス・テーロスドラフトについて思うこと20
 
 前に続いて、この環境のドラフトについて20個ほどつらつらと書いてみる。
 
 1.《今わの際/Last Breath》は《深海の催眠術師/Deepwater Hypnotist》が出ているとかなり強力になる。前のターンに催眠術師で殴って、相手が返しで5/5を出してきたとしよう。催眠術師がアンタップすると、神啓で5/5を2/5にできる。下がったパワーは今わの際の射程内だ。《迷宮での迷子/Lost in a Labyrinth》と《今わの際/Last Breath》コンボはテーロスだけでできたけど、催眠術師とのコンボは素で使用に堪えるカードだけでできる!すごい!
 
 2.《太陽神の一瞥/Glimpse the Sun God》は、自分の《天馬の乗り手/Wingsteed Rider》や《高巣の崇拝者/Aerie Worshippers》もタップして英雄的や神啓を誘発させられることを覚えておこう。微アド。
 
 3.《層雲歩み/Stratus Walk》のデザインはかなり好き。用途が多岐にわたるからね。こちらのクリーチャーをブロックされなくしたり、相手のブロックを阻害したり、《氾濫潮の海蛇/Floodtide Serpent》で気持ち良くなったりできる。ただ、気を付けた方がいいこともあって、層雲歩みをつけたクリーチャーを《保護色/Crypsis》でアンタップして、地上を止めようとしたりしないようにしよう。一番好きなコンボとしては、《ナイレアの弓/Bow of Nylea》や《切り裂く風/Shredding Winds》と組み合わせることかな。《絶望の偽母/Forlorn Pseudamma》みたいなカードで攻めてくる相手にとてもよく効くよ。
 
 4.テーロスの点数付けはほとんど正しかったと思うけれど、リストを作った時よりも実際には、コンバットトリック、英雄的クリーチャー、授与クリーチャーをずっと優先的にピックしてた。青・白・緑の前のめりな、テンポ系デッキを作るのが好きなんでね。
 http://www.channelfireball.com/articles/frank-analysis-a-pick-order-list-for-Theros-draft/
 
 5.青赤が最弱の色の組み合わせだ。シナジーもないし、多色で強力なカードもない。信心要素もなければ、英雄的に寄せることもできない。そして勝率も高くない。可能なら避けるべき組み合わせだろう。もしも青赤になるなら、《炎語りの達人/Flamespeaker Adept》と《ケラノスの嵐呼び/Stormcaller of Keranos》のコンボを集めよう。終盤戦で特に強力だ。
 
 6.神啓クリーチャーは、テーロスから出る《蛮族の血気/Savage Surge》と《トリトンの戦術/Triton Tactics》との噛み合いが素晴らしい。《アクロスの徴兵人/Akroan Conscriptor》で神啓クリーチャーを反逆させると、神啓能力を使えるのは相手でなくてこちらになる。小技として覚えておきたい。
 
 7.6マナある状態で、《英雄の記録者/Chronicler of Heroes》と《蒔かれたものの収穫/Reap What Is Sown》が手札にあるなら、記録者を出して能力がスタックにのった後で、収穫をプレイすればカードが引ける。他にも《密集軍の指揮者/Phalanx Leader》と、《不屈の猛攻/Dauntless Onslaught》とかでもドローが可能だ。
 
 8.サイドボードの重要性は筆舌に尽くしがたい。習慣として自分は、相手がプレイしたカードをクリーチャーのパワーとタフネスも含めて全て書き留めておくようにしてるんだけど、サイドボード中にそれを見ながら入れ替えをするようにしている。可能であれば、相手のクリーチャーに合わせて、こちらのクリーチャーを変えたい。たとえば2/2を並べてくる相手に2/4は強い。この2/2に対する有用性が高くて、《大アカシカ/Great Hart》を《反論/Gainsay》よりも価値のあるサイドボードとみなしているくらいだ。相手から《マグマの噴流/Magma Jet》を2発撃たれたら、タフネス2を全部抜いて他の微妙なクリーチャーに入れ替えるというような、傾奇者めいたことだって選択肢になる。
 
 9.《渦潮の精霊/Vortex Elemental》は大体において《菅草の蠍/Sedge Scorpion》より弱い。でももし、試練とかでこいつのサイズをあげられたらゲームを支配できる。3/4とかになれば、小粒なクリーチャーを5マナの能力でブロック強制させて始末できるからね。
 
 10.通常、2ターン目までに唱えることのできるカードは最低6枚ほしい。つまり、2マナ域はかなり優先的に確保すること。5マナ以上のカードは多くても5枚までにしているね。
 
 11.《サテュロスの道探し/Satyr Wayfinder》は緑黒で使うときが一番強いけれど、テーロスの《定命の者の宿敵/Nemesis of Mortals》受けに、黒でなくても1枚は取っておくようにしてるよ。2ターン目道探しから、チャンプブロック経由の3ターン目宿敵は十分に可能だ。
 
 12.軍勢には強力なアンコモンが多数あるけれど、トップコモンの質は、テーロスの《雨雲のナイアード/Nimbus Naiad》、《ネシアンのアスプ/Nessian Asp》、《アスフォデルの灰色商人/Gray Merchant of Asphodel》、《天馬の乗り手/Wingsteed Rider》といった面々には及ばない。それどころか、パックから取るものがすぐになくなってしまうのが常だ。6手目かそこらで、デッキに入るカードをかき集めていることになりがちで、結果として、色替えを検討させるようなカードがほとんど流れてこず、隣が並んで仲良く同じ色をピックしていたということもよくある。
 
 13.ドラフト1パック目のの1手目、1手目では、普通一番強いカードを取る。似たような強さのカードなら、最初にとったカードと色の合うカードを取る。ただ、序盤は色について柔軟でありたい。柔軟でいれば、卓で人数の少ない色を察知したときや、《嵐の息吹のドラゴン/Stormbreath Dragon》のような爆弾レアをあけたとき、その色に参入できる。また、上家と色被りした際にも、その色を諦めやすくなる。2色目は16-17手目、つまり2パック目の1ピック目や2ピック目あたりまで、2色目は決めないことが多い。
 
 14.《稲妻の流弾/Lightning Volley》は、《ブリマーズの先兵/Vanguard of Brimaz》や《アクロスの十字軍/Akroan Crusader》のようなトークン生成、それか接死クリーチャーが無い限りサイドボードに落とすけれど、《決断の元型/Archetype of Finality》があれば話は別。常にメインから外さないカードになる。2枚で相手の盤面を更地にできる可能性があるからね。
 
 15.《乗騎ペガサス/Cavalry Pegasus》的に重要な、神々の軍勢における人間としては、《散兵の精鋭/Elite Skirmisher》、《高巣の崇拝者/Aerie Worshippers》、《神に寵愛された将軍/God-Favored General》あたりだろうか。神啓クリーチャーはペガサスとかなり相性がいい。回避能力を与えるのは戦闘を生き抜くのに有用だ。
 
 16.神々の軍勢のコモンには、タフネス1で有能な連中が多い。英雄的なら《アクロスの空護衛/Akroan Skyguard》・《散兵の精鋭/Elite Skirmisher》・《セテッサの誓約者/Setessan Oathsworn》、授与だと《ニクス生まれの狼/Nyxborn Wolf》・《ニクス生まれの幻霊/Nyxborn Eidolon》・《常炎の幻霊/Everflame Eidolon》がいる。《蒸気の精/Vaporkin》、《血集りのハーピー/Blood-Toll Harpy》、《菅草の蠍/Sedge Scorpion》など、テーロスもタフネス1がいないわけではなかったけれど、軍勢の方がタフネス1は多い。結果的に、《火花の衝撃/Spark Jolt》はかなり強くなった。今ならメインに1枚は喜んで入れるね。
 
 17.この環境は2色推奨。強力なカードを取るより、安定したマナベースのある方が好みだね。3色目をタッチすることはほとんどない。タッチするのであれば、色マナのサポートと、メインカラーにダブルシンボルがないことが条件だろうか。最近、ストリーミングでMO(マジックオンライン)配信を再開したんだけど、シールドで青白を組んで、サイドに《荒ぶる波濤、キオーラ/Kiora, the Crashing Wave》をのけてたことがあった。視聴者の中にタッチすることを勧めてきた人が何人かいたけど、前のめりなデッキで、かつ《天馬の乗り手/Wingsteed Rider》のために白白、《先見のキマイラ/Prescient Chimera》のために青青が必要なデッキだった。だから《平地/Plains》や《島/Island》を減らすのは、デッキを弱くすることになると思ったんだ。
 
 18.《波使い/Master of Waves》はリミテッドでも構築並みに強いけれど、コンバットトリックには気をつけよう。攻撃やブロックに参加するときは、常に最悪のケースを考えておきたい。自分の経験だと、《統率の取れた突撃/Coordinated Assault》の先制攻撃で、とどめになるはずの攻撃が一転敗北になってしまったことがあった。あと、赤や白マナが立ってるとき、プロテクション赤なら《不機嫌なサイクロプス/Ill-Tempered Cyclops》をブロックしても平気と思いこまないようにしたい。《侍祭の報賞/Acolyte’s Reward》ってカードで分からされたことがあったよ。
 
 19.《彩色マンティコア/Chromanticore》は努力に見合わない。確かに盤面に残れば勝つけれど、唱えるのは極端に難しく、また除去するのは非常に簡単だ。こいつはあらゆるエンチャント除去で落ちるし、《闇の裏切り/Dark Betrayal》、《反論/Gainsay》、《異端の輝き/Glare of Heresy》とサイドインされたあらゆる除去で死ぬ。プロツアーに向けて練習してたとき、0-3したデッキの記録をつけてたんだけど、栄えある一位は「5色悪斬の天使デッキ」だった。それも「青赤緑土地20枚のデッキ未満紙束」、「史上最弱が最も恐ろしい赤黒タッチ白緑」、「黒単見てからタッチ《都市国家の神、エファラ/Ephara, God of the Polis》余裕でした」デッキを押しのけてのトップだ。ドラフトで勝ちたいならやめとこう。
 
 20.神々の軍勢入りドラフトで一番愉快だったのは、《悪魔の皮の魂結び/Felhide Spiritbinder》に《ケイラメトラの好意/Karametra’s Favor》がついてるとき、《水跳ねの海馬/Breaching Hippocamp》を出したときだね。《鏡割りのキキジキ/Kiki-Jiki, Mirror Breaker》と《やっかい児/Pestermite》みたいな無限でこそないものの、3/2速攻をマナの続く限り出し続けられる。勝ち方としてはこの上なく格好いい。
 
 2週間ほどしたら、GPウィーンの結果報告と、シールド環境について書きたいと思っているよ。(ネタバレ:この環境はドラフトもシールドも大差ない。シールドの方が遅めでシナジーも気持ち薄いけれど、ゲーム展開は依然テンポ中心だ。それと先手を取ることをお勧めしたい。PTQへ行く人は頑張ってくれ。幸運を祈るよ。

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